堕ちた英勇の子

正海広竜

文字の大きさ
1 / 17

序章

しおりを挟む
 遥か昔、魔界より『魔神王』と呼ばれる存在が人間界に襲来した。
 魔界を統べる『魔神王』は配下の魔王軍と共に世界中を蹂躙した。
 その暴挙に人間だけではなく亜人達も立ち上がり、共に魔王軍と戦った。
 だが、魔族の力は強大であった。
 その力に魅せられて多くの人、亜人達が魔族に寝返り嘗ての同胞仲間達と戦う事になった。
 逆も然り、魔族達も長き戦に疲れ果て人間側に寝返る者達も少なからず居た。
 長く続く戦争により多くの国を滅ぼされたが、人間・亜人連合軍通称『連合軍ユニオン』は魔族と戦い続けた。
 幾度の戦いにより両軍には『英雄』『勇者』と謳われる程の者達が多数出て来たが、それで戦争が終わるという事はなかった。
 何時までも続くと思われる戦争に『連合軍』の上層部は一大作戦を決行する。 
 それは『連合軍』の中から選抜した『英雄』『勇者』達からなる『英勇隊』を魔族達の首魁である『魔神王』が居る本拠地『万魔宮殿パンデモニウム』へと突入させて『魔神王』を討ち取るという作戦であった。選抜された人数は五百人に及んだ。
 魔族達もその動きを察知して『万魔宮殿』には魔神王は魔族軍の精鋭中の精鋭を配備した上に『十三魔将王』と言われる魔族軍幹部を配した。
 『万魔宮殿』に待ち構える魔王軍。立ち向かう『連合軍』の『英勇隊』。その戦いは後に『魔人戦役』と言われる程の激しい戦いとなった。
 その激烈な戦いで両軍の九割が死亡した。
 最終決戦にて魔神王と生き残った『英勇隊』の者達が戦い、ようやく魔神王を討ち取る事が出来た。
 首魁を失った魔王軍は『十三魔将王』で唯一残った『幽冥の支配者』バレベルトを新しき首魁にして何処かに去った。魔界に帰ったとも、何処かの大陸で侵攻の機会を狙っていると言われている。
 魔神王を討ち取った者達は二十四人居たので、その者達は『二十四英勇』と言われる様になった。
 こうして、『二十四英勇』のお蔭で千年に及ぶ魔族と人間と亜人との戦が終わった。
 この戦を百年続いた事から『千年戦争』と呼ばれる事となった。

「この後は諸君らが知っている通り『連合軍』は戦争に荒れ果てた国を復興し、今日に至る」
 手に教科書を持っている教師を見ながら黒板に大事な事を書かれていた。
「それと此処が重要だ。その『二十四英勇』の内、我らがアルカディア皇国には何人いる?」
「「「八人です」」」
 教師の問いかけに授業を受けている生徒達は自信満々に答えた。
「そう、その通りだ」
 教師は生徒達の答えを聞いて満足げに頷きつつ、チラリと一番後ろの窓側の席に居る生徒を見た。
 其処には白皙の肌に濃紺色の少し長めの髪をしている男子生徒がいた。
 右半分・・・から見える顔立ちは端麗で切れ目をしていた。
 頬杖をつきながらも真面目に授業を聞いているので何の問題はない。
 気になる点で言えば、その生徒は左半分の顔が眼帯で覆われている事と言えた。
 気になりはするが、何か事情があるのだろうと思い教師は訊ねなかった。
 何せ、その生徒の両親は『二十四英勇』の二人『魔神殺し』と『万能』の二人の間に出来た子であった。
 その生徒の名前はエドワード=エウプュクテスという。
 授業の続きをしようとしたら、終業を告げる鐘が鳴った。
「今日は此処までとする。礼」
 教師がそう言って頭を下げると生徒達は立ち上がり教師に向かって一礼した。
 教師は黒板に書かれた字を消して、教室から出て行った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

処理中です...