堕ちた英勇の子

正海広竜

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第十四話

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 ランドルフから話を聞きながら駆けるエドワード。

「どうして、ばれた?」

「どうも、最近、そういう物が見つからないのを訝しんでいたようで」

「それで探していたと? 執念深いにも程があるだろう」 

「すまん。昨日、あそこ・・・に入るのを見られたようだ」

「じゃ、下手したら。部屋にある物を全て……」

 エドワードが訊ねると、その想像通りとばかりに頷くランドルフ。

「……お前のならまだしも、何で俺のまで被害を受けないといけないんだよっ」

「其処は……一緒の場所に隠していたからとしか言えないな」

「そうだけど、そうだけどさっ」

 エドワードは何で幼馴染の親友の婚約者に自分が隠している艶本を見られるような事になるんだと叫びたかった。

「済まない……」

「いや、お前の所為だけとは言わないけどさ……」
 
 済まなそうに謝る親友を見てエドワードは言葉を詰まらせる。

「しかし、お前。こういう事をされても良く婚約破棄するとか考えないよな」

 今回の場合だけではなくアィリアはランドルフに対して、かなり問題になるような事をしている。

 ランドルフに武器を持って詰め寄る事など可愛いと思えるような事を何度もしている。

 流石にやり過ぎではと思った事は何度もあったが、ランドルフは婚約破棄をする様子はなかった。

 ランドルフがこれで別に婚約破棄されない様に弱みを握られているという訳でも無く、別にアイニアに逆らえない様にされている訳でも無いので、エドワード達は何も言わなかった。

 傍から見れば、仲が良いカップルなのは確かなのでこれも一つのカップルの形なのだろうと思う事にした。

「うむ。破棄するつもりはない」

「まぁ、お前らしいな」

 何だかんだ言って仲が良いのだろうと思うエドワード。

 そうして、二人が駆けた先には学院の校庭の端にある小屋であった。

 校庭で授業で走り回っていると偶々、シモンファルトが見つけた。誰も使われていないのを良い事に、エドワード達が密かに改築して使えるようになった。
 
 主に倉庫代わりにしており、色々な物を置いていた。

 その倉庫の前にエドワード達が来ると、本の山を焚火になっていた。

 轟々と燃えている本の山。既に炭化していると言うのに、まだ足りないのか焚火の傍にいる女性が薪をくべて火力を絶やす様な事はしなかった。

「「ぎゃあああああああっっっ‼」」

 焚火になっている本の山を見て悲鳴を上げるエドワード達。

 二人は思わず膝をついて地面についた。

「お、おれのほんが……妹達とアンナマリー達に見つからない様に此処まで運んだのに」

「す、すまん……」

 エドワードはあまりの脱力感に四つん這いになっていた。

 ランドルフは謝りながらエドワードの肩を慰める様に叩いた。

「あら、エドワード君にランディ」

 二人の悲鳴が聞こえたのか、焚火の傍にいる女性が振り返る。

 エドワード達と同じ学院の制服を身に纏い、それでいてウィンプルを被っていた。
 
 大きな目に青い瞳。目鼻立ちの整った美しい顔立ち。ウィンブルの隙間から見える青いショートヘア。

 平均的な女性よりも低いが、それでいて胸が凄く主張して、腰も細く尻も大きかった。
 
 恰好から分かる様に彼女は皇国で広く信仰されている『神聖教』を宗教を信仰している。

 信仰している理由は彼女の父親が『神聖教』の枢機卿を務めている関係で信仰している。

「よう……アィリア」

「うむ」

 笑顔で二人に近付く女性はアィリア=アミュタンと言い、ランドルフの婚約者であった。

「お前、何をしてくれてるの?」

「何って? 何の事?」

 エドワードの問いかけにアィリアは意味が分からないのか首を傾げた。

「いや、お前。校内で焚火するとか駄目だろう」

 この際、エドワード達が持っている艶本が燃やされているのは脇に置いたとしても、学院の校庭の傍で焚火は駄目だろうと思い口を挟んだ。

「ああ、あれね。大丈夫よ」

「大丈夫って……」

「ちゃんと学院の教師には申請しているから問題ないわ」

 アィリアが平然と言うのを聞いてエドワード達は口が塞がらなかった。

「それにランディの目を穢す汚物は早く消毒しないと」

 瞳孔を開いた目でそう言うアィリア。

 そんなアィリアを見てエドワード達は溜め息を吐いた。
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