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第十五話
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ようやく、火が治まったので三人は小屋に入った。
小屋と言っても、かなり広さだ。
元は物置として使われていたのだろう。棚が幾つもあった。
エドワード達が色々と手を加えた事で飾り付けられ居心地が良い空間となっていた。
そんな中でランドルフはアィリアを相手をしていた。
アィリアは優雅に茶を飲みながらランドルフに話しかける。
「ランディ。茶菓子は無いの?」
「ち、ちょっと待ってくれ」
ランドルフは慌てて別室に入り菓子が無いか探しだした。
エドワードは何も言えずランドルフが別室に入るのを見送っていると、アィリアが声を掛けて来た。
「エドワード君。最近はどう?」
「……まぁ、見ての通り元気にしているぞ」
内心、お気に入りの艶本が燃やされて気分がブルーだがなと思うエドワード。
『相変わらず過激なお嬢ちゃんだぜ。ランディも大変だな』
テッドがランドルフを憐れむように言いながら首を振る。
エドワードも同感だなと内心で同意していると、アィリアが何か思い出したのか訊ねて来た。
「ああ、そうだ。エドワード君」
「何だ?」
「アイギナ王女殿下とカサンドラ王女殿下が入っている部の勧誘を受けているって聞いたけど、本当?」
「ああ~、間違ってはいないな」
エドワードは言葉を濁しながら認めた。
「じゃあ、噂は本当なのかしら?」
「噂?」
「王女殿下達が自分の派閥にエドワード君を入れようとしているって噂」
「王女殿下達が自分の派閥に俺を入れようとしている? 何で?」
「それは簡単でしょう。貴方の身分を考えればそうなるのも無理はないでしょう」
「……ふむ。言われてみればそうか」
エドワードの両親は『二十四英勇』だ。その名声は皇国だけではなく他国にも知れ渡っている。
その名声を取り込む為にもエドワードを自分の派閥に入れるのは、変では無かった。
「あの二人。お互いに皇太女になろうと励んでいるからな」
「それにあの二人。性格的に合わないのもあるからね」
アィリアが言う通り、アイギナとカサンドラは犬猿の仲と言えるぐらいに仲が悪かった。
二人共冷静な性格だが、考え方が違った。
アイギナは理想主義。カサンドラは現実主義。
考え方が違う事で仲が悪い事を助長していると言えた。
不思議な事に母親同士は仲が良かった。
「まぁ、理由は分かっているけどね」
アィリアは意味ありげな笑みを浮かべた。
エドワードはその笑みの意味が分からず首を傾げた。
「待たせたな」
話をしているとランドルフが別室から出て来た。
手の中には容器の中に日持ちする菓子が入っていた。
それをアィリアが座っている椅子の前にあるテーブルに置いた。
「ありがとう」
「ああ」
「俺達も昼飯を食べるか?」
「ああ」
ランドルフは疲れた声で頷いて一緒の席に座る。
「婚約者と一緒の席に座らなくて良いのか?」
「あいつはもう食べ終わっているから良いだろう。今も何も言わないから大丈夫だ」
エドワードはアィリアの方を見ると、何も言わず菓子を茶を楽しんでいた。
「そうかい。ところで」
「何だ?」
「あの菓子。ティナのじゃないか?」
「……他に菓子が無かった」
「……あいつが気付くまで黙っていようか」
「助かる」
もしバレれば、どうして菓子を食べる様になった経緯を話さなければならないので、この事は黙っていようと決めたエドワードとランドルフ。
小屋と言っても、かなり広さだ。
元は物置として使われていたのだろう。棚が幾つもあった。
エドワード達が色々と手を加えた事で飾り付けられ居心地が良い空間となっていた。
そんな中でランドルフはアィリアを相手をしていた。
アィリアは優雅に茶を飲みながらランドルフに話しかける。
「ランディ。茶菓子は無いの?」
「ち、ちょっと待ってくれ」
ランドルフは慌てて別室に入り菓子が無いか探しだした。
エドワードは何も言えずランドルフが別室に入るのを見送っていると、アィリアが声を掛けて来た。
「エドワード君。最近はどう?」
「……まぁ、見ての通り元気にしているぞ」
内心、お気に入りの艶本が燃やされて気分がブルーだがなと思うエドワード。
『相変わらず過激なお嬢ちゃんだぜ。ランディも大変だな』
テッドがランドルフを憐れむように言いながら首を振る。
エドワードも同感だなと内心で同意していると、アィリアが何か思い出したのか訊ねて来た。
「ああ、そうだ。エドワード君」
「何だ?」
「アイギナ王女殿下とカサンドラ王女殿下が入っている部の勧誘を受けているって聞いたけど、本当?」
「ああ~、間違ってはいないな」
エドワードは言葉を濁しながら認めた。
「じゃあ、噂は本当なのかしら?」
「噂?」
「王女殿下達が自分の派閥にエドワード君を入れようとしているって噂」
「王女殿下達が自分の派閥に俺を入れようとしている? 何で?」
「それは簡単でしょう。貴方の身分を考えればそうなるのも無理はないでしょう」
「……ふむ。言われてみればそうか」
エドワードの両親は『二十四英勇』だ。その名声は皇国だけではなく他国にも知れ渡っている。
その名声を取り込む為にもエドワードを自分の派閥に入れるのは、変では無かった。
「あの二人。お互いに皇太女になろうと励んでいるからな」
「それにあの二人。性格的に合わないのもあるからね」
アィリアが言う通り、アイギナとカサンドラは犬猿の仲と言えるぐらいに仲が悪かった。
二人共冷静な性格だが、考え方が違った。
アイギナは理想主義。カサンドラは現実主義。
考え方が違う事で仲が悪い事を助長していると言えた。
不思議な事に母親同士は仲が良かった。
「まぁ、理由は分かっているけどね」
アィリアは意味ありげな笑みを浮かべた。
エドワードはその笑みの意味が分からず首を傾げた。
「待たせたな」
話をしているとランドルフが別室から出て来た。
手の中には容器の中に日持ちする菓子が入っていた。
それをアィリアが座っている椅子の前にあるテーブルに置いた。
「ありがとう」
「ああ」
「俺達も昼飯を食べるか?」
「ああ」
ランドルフは疲れた声で頷いて一緒の席に座る。
「婚約者と一緒の席に座らなくて良いのか?」
「あいつはもう食べ終わっているから良いだろう。今も何も言わないから大丈夫だ」
エドワードはアィリアの方を見ると、何も言わず菓子を茶を楽しんでいた。
「そうかい。ところで」
「何だ?」
「あの菓子。ティナのじゃないか?」
「……他に菓子が無かった」
「……あいつが気付くまで黙っていようか」
「助かる」
もしバレれば、どうして菓子を食べる様になった経緯を話さなければならないので、この事は黙っていようと決めたエドワードとランドルフ。
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