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第10話
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狂介とオルチが話していると、部屋のドアがノックされた。
「どうぞ」
狂介が部屋に入っても良いと言うと、部屋のドアが開かれて、オルチの部下が入って来た。
「お話し中失礼。親父、前方に船を見つけたぜ」
「何処の所属だ?」
「スペインの国旗を掲げていますぜ」
「良し。今日の獲物だ。逃がすなよ」
「了解しましたぜ」
部下がそう言って部屋を出て行くと、オルチは剣を鞘に収め狂介を見る。
「キョウ。お前も手伝ってもらうぞ」
オルチは狂介の事をキョウと呼んでいた。
愛称としてつけたのか分からないが、その呼び方が他の者達にも伝わり、皆も狂介の事を「キョウ」と呼んでいた。
「分かった」
狂介は剣を研ぐのを止めて、側に置いている剣を持ち腰に佩いた。
狂介が剣を佩くのは、自分も襲撃に参加する為だ。
海賊船に乗っている以上、漕ぎ手以外は全員、相手の船に切り込む戦力として必要であった。
オルチは狂介と共に部屋を出て甲板へと上がった。
少しすると、オルチが乗る船がスぺイン国籍の商船を補足し、大砲を見舞った。
大砲が火を噴くと同時に砲弾が発射された。
狙いは適当だが、砲弾が海中に落ちる度に、海面が揺れる。それだけで商戦の足は鈍った。
何発かは船に当たりはしたが、船に与える損傷は軽微であった。
「取り付けっ」
オルチが大声でそう命じると、舵を取る部下は命じられるがままに舵を操った。
商船にも防衛の為に積まれている大砲を発射させたが、一発もオルチの船に当たる事は無かった。
外れた砲弾は海中に落ちるので、こちらも海面の揺れで船足が鈍った。
しかし、それも少しだけであった。
海面が揺れる中でも、オルチの船は進み続けて商船に取り付く事に成功した。
「攻撃しろっ」
オルチが剣を抜いて部下達にそう命じた。
部下達は鉤付きの綱を相手の船に投げて、商船が逃げない様にした。その上に板を置いて、相手の船に乗り込んだ。
「異教徒共を乗り込ませるなっ」
商船の船長はそう部下に命じつつ腰に佩いている剣を抜いて戦闘態勢を取った。
部下達も剣を持って乗り込むオルチの部下達を迎撃した。
両船の掛けられている板の上は白兵戦の場と化した。
互いの獲物をぶつけ合い鍔迫り合い。切られて、身体の何処かの部位を失う者も居れば、海に落ちる者まで居た。
海にまで血が飛び散りながらも戦う海賊と商船の護衛達。
狂介は甲板からオルチの部下達が相手の船に乗り込もうとしているのを見ていた。
喊声をあげながら、相手の船に乗り込もうとしているが、相手の船の護衛が道を阻む。
中々船内に乗り込む事が出来ない様であった。
それを見た狂介は腰に佩いている剣を抜いた。
「……行くか」
狂介がそう言って駆け出した。
丁度、オルチの部下が相手に切られて海に落ちたので道が出来た。
狂介はその板に乗るなり、相手に袈裟切りに見舞った。
「ぎゃあっ」
袈裟切りに切られた護衛は悲鳴をあげて海へと落ちて行った。
狂介はその勢いのまま、目の前にいる商船の護衛に切り掛かっていく。
「ぐあああっ」
「ぎゃああっ」
護衛達は剣を数合交えるが、直ぐに切り捨てられた。
剣が血で濡らしながらも狂介は構う事なく駆けた。
(……良い切れ味だ)
狂介は持っている剣の切れ味を見て笑みを浮かべていた。
故郷に居た頃、自分が作った刀を見て思った事があった。
この刀の切れ味はいかほどの物なのか?と。
自分が作った物だけに余計にそう思う狂介。
それが、海賊船に乗るようになり実現できて最高に嬉しい狂介。
これだけでも、故郷に出た甲斐があったと思う狂介。
笑みを浮かべながら護衛を切り捨てて行く狂介。
「キョウに遅れるなっ」
「「「おおおおおおおっっっ」
その武勇に釣られて、オルチの部下達も士気が上がった。
士気が上がるオルチと部下達。
逆に商船の護衛達の士気は下がり、少しする船は制圧された。
「どうぞ」
狂介が部屋に入っても良いと言うと、部屋のドアが開かれて、オルチの部下が入って来た。
「お話し中失礼。親父、前方に船を見つけたぜ」
「何処の所属だ?」
「スペインの国旗を掲げていますぜ」
「良し。今日の獲物だ。逃がすなよ」
「了解しましたぜ」
部下がそう言って部屋を出て行くと、オルチは剣を鞘に収め狂介を見る。
「キョウ。お前も手伝ってもらうぞ」
オルチは狂介の事をキョウと呼んでいた。
愛称としてつけたのか分からないが、その呼び方が他の者達にも伝わり、皆も狂介の事を「キョウ」と呼んでいた。
「分かった」
狂介は剣を研ぐのを止めて、側に置いている剣を持ち腰に佩いた。
狂介が剣を佩くのは、自分も襲撃に参加する為だ。
海賊船に乗っている以上、漕ぎ手以外は全員、相手の船に切り込む戦力として必要であった。
オルチは狂介と共に部屋を出て甲板へと上がった。
少しすると、オルチが乗る船がスぺイン国籍の商船を補足し、大砲を見舞った。
大砲が火を噴くと同時に砲弾が発射された。
狙いは適当だが、砲弾が海中に落ちる度に、海面が揺れる。それだけで商戦の足は鈍った。
何発かは船に当たりはしたが、船に与える損傷は軽微であった。
「取り付けっ」
オルチが大声でそう命じると、舵を取る部下は命じられるがままに舵を操った。
商船にも防衛の為に積まれている大砲を発射させたが、一発もオルチの船に当たる事は無かった。
外れた砲弾は海中に落ちるので、こちらも海面の揺れで船足が鈍った。
しかし、それも少しだけであった。
海面が揺れる中でも、オルチの船は進み続けて商船に取り付く事に成功した。
「攻撃しろっ」
オルチが剣を抜いて部下達にそう命じた。
部下達は鉤付きの綱を相手の船に投げて、商船が逃げない様にした。その上に板を置いて、相手の船に乗り込んだ。
「異教徒共を乗り込ませるなっ」
商船の船長はそう部下に命じつつ腰に佩いている剣を抜いて戦闘態勢を取った。
部下達も剣を持って乗り込むオルチの部下達を迎撃した。
両船の掛けられている板の上は白兵戦の場と化した。
互いの獲物をぶつけ合い鍔迫り合い。切られて、身体の何処かの部位を失う者も居れば、海に落ちる者まで居た。
海にまで血が飛び散りながらも戦う海賊と商船の護衛達。
狂介は甲板からオルチの部下達が相手の船に乗り込もうとしているのを見ていた。
喊声をあげながら、相手の船に乗り込もうとしているが、相手の船の護衛が道を阻む。
中々船内に乗り込む事が出来ない様であった。
それを見た狂介は腰に佩いている剣を抜いた。
「……行くか」
狂介がそう言って駆け出した。
丁度、オルチの部下が相手に切られて海に落ちたので道が出来た。
狂介はその板に乗るなり、相手に袈裟切りに見舞った。
「ぎゃあっ」
袈裟切りに切られた護衛は悲鳴をあげて海へと落ちて行った。
狂介はその勢いのまま、目の前にいる商船の護衛に切り掛かっていく。
「ぐあああっ」
「ぎゃああっ」
護衛達は剣を数合交えるが、直ぐに切り捨てられた。
剣が血で濡らしながらも狂介は構う事なく駆けた。
(……良い切れ味だ)
狂介は持っている剣の切れ味を見て笑みを浮かべていた。
故郷に居た頃、自分が作った刀を見て思った事があった。
この刀の切れ味はいかほどの物なのか?と。
自分が作った物だけに余計にそう思う狂介。
それが、海賊船に乗るようになり実現できて最高に嬉しい狂介。
これだけでも、故郷に出た甲斐があったと思う狂介。
笑みを浮かべながら護衛を切り捨てて行く狂介。
「キョウに遅れるなっ」
「「「おおおおおおおっっっ」
その武勇に釣られて、オルチの部下達も士気が上がった。
士気が上がるオルチと部下達。
逆に商船の護衛達の士気は下がり、少しする船は制圧された。
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