転移したら研師になった。  この能力で全てを研ぎ澄ます

正海広竜

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第二十二話

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 ドアノブを回し中に入ると、棚の上に色々な服が置かれていた。
 ボタンで留めるのもあればセーターみたいな服もあった。
 少し黄ばんでいるのもあれば、これは古着で良いのかと思えるくらいに綺麗な服が置かれていた。
 思っていたよりも、服は良さそうだな。
 想像の中だと、ボロボロな服しかなくて変な匂いとかしていると思っていたので、余計に良いと思った。

「いらっしゃい。どんな服をお求めだい?」
 カウンターには年配のおばちゃんが座って俺を見ていた。
「・・・・・・タダで貰える服」
「そんなのある訳無いだろう」
 要望を言うと、おばちゃんはバッサリと切り捨てる様に無いと言う。
 商売だし、そうとしか言えないよな。
 でも、流石にこんなボロボロの服で居るのはな。
 何かないかと、無事なポケットに手を入れたが、何も入っていなかった。

 この服で下取りしようにも、ボロボロだから売れないな。
 困ったな。金がないから、服を買い替える事が出来ない。
 そんな俺を見たおばちゃんも何か考えていた。
「・・・・・・じゃあ、穿いている服を寄越しな。それで上下揃いの服をあげるよ」
「おっ、有り難い。それでお願いしますっ」
 おばちゃんの好意で、俺は穿いているズボンを下取りにして、俺は上下揃いの服を手に入れた。
 黒いズボンの様な服と同じ色のシャツであった。着てみると、思っていたよりも悪くなかった。
「じゃあ、何かあったら服を買っとくれよ」
「分かった。ありがとな」
 おばちゃんに礼を述べて、俺は古着屋を後にした。

 新しい服は手に入ったが、次は身を休める所だが。
 とは言え、金が無い。無い以上泊まる事は不可能と言えた。
 どうしたものかな。
 頭を抱えていると、村の入り口で見張りをしていた人が歩いて来るのが見えた。
 誰かを探しているのか、首を動かしていた。
 そして、目的の人を見つけたのか、顔を輝かせた。
 その人は俺に近付いて来た。
「いたいた。兄ちゃん。服を着替える事は出来たようだな」
「ええ、教えてくれてありがとうございます」
 
 お蔭で探す手間が省けた。
「なぁに、良いって事よ。それよりも、兄ちゃんは無一文でこの村に来たんだよな?」
「ええ、まぁ」
 財布も鞄の中に入れていたし、持っていた携帯もマールスとの修行で壊れてしまった。
 なので、無一文と言っても良かった。

「なら、丁度良い。ちょっと手伝ってくれないか。お駄賃程度だが、宿に泊まれるぐらいの金は出してやるから」
 その話を聞いた俺はあまりに都合が良すぎると思った。
 此処は自分達が居た世界とは違い異世界だ。
 自分達の常識で考えて行動しない方が良いな。
 俺が怪しんでいるのを察したのか、話を持ち掛けて来た人は苦笑いを浮かべた。
「まぁ、いきなりこんな話をされたら不思議に思うのは仕方が無いな。だが、直ぐに済む仕事だから」
「内容は?」
「村の若い衆が狩って来た魔物の解体をするから、それの手伝いをしてくれればいいんだ」
 解体の手伝いか。
 それなら、大丈夫かな。
「それだったら」
「受けてくれるか。助かる。もう、村の入り口に狩った魔物が来てるんだ。血抜きは済ませているが、運ぶのは良いんだが、解体の手が足りなくてな。付いて来てくれ」
 男性は俺が話を受けてくれた事に礼を述べつつ、その狩った魔物が居る所に案内してくれた。
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