22 / 31
第二十二話
しおりを挟む
ドアノブを回し中に入ると、棚の上に色々な服が置かれていた。
ボタンで留めるのもあればセーターみたいな服もあった。
少し黄ばんでいるのもあれば、これは古着で良いのかと思えるくらいに綺麗な服が置かれていた。
思っていたよりも、服は良さそうだな。
想像の中だと、ボロボロな服しかなくて変な匂いとかしていると思っていたので、余計に良いと思った。
「いらっしゃい。どんな服をお求めだい?」
カウンターには年配のおばちゃんが座って俺を見ていた。
「・・・・・・タダで貰える服」
「そんなのある訳無いだろう」
要望を言うと、おばちゃんはバッサリと切り捨てる様に無いと言う。
商売だし、そうとしか言えないよな。
でも、流石にこんなボロボロの服で居るのはな。
何かないかと、無事なポケットに手を入れたが、何も入っていなかった。
この服で下取りしようにも、ボロボロだから売れないな。
困ったな。金がないから、服を買い替える事が出来ない。
そんな俺を見たおばちゃんも何か考えていた。
「・・・・・・じゃあ、穿いている服を寄越しな。それで上下揃いの服をあげるよ」
「おっ、有り難い。それでお願いしますっ」
おばちゃんの好意で、俺は穿いているズボンを下取りにして、俺は上下揃いの服を手に入れた。
黒いズボンの様な服と同じ色のシャツであった。着てみると、思っていたよりも悪くなかった。
「じゃあ、何かあったら服を買っとくれよ」
「分かった。ありがとな」
おばちゃんに礼を述べて、俺は古着屋を後にした。
新しい服は手に入ったが、次は身を休める所だが。
とは言え、金が無い。無い以上泊まる事は不可能と言えた。
どうしたものかな。
頭を抱えていると、村の入り口で見張りをしていた人が歩いて来るのが見えた。
誰かを探しているのか、首を動かしていた。
そして、目的の人を見つけたのか、顔を輝かせた。
その人は俺に近付いて来た。
「いたいた。兄ちゃん。服を着替える事は出来たようだな」
「ええ、教えてくれてありがとうございます」
お蔭で探す手間が省けた。
「なぁに、良いって事よ。それよりも、兄ちゃんは無一文でこの村に来たんだよな?」
「ええ、まぁ」
財布も鞄の中に入れていたし、持っていた携帯もマールスとの修行で壊れてしまった。
なので、無一文と言っても良かった。
「なら、丁度良い。ちょっと手伝ってくれないか。お駄賃程度だが、宿に泊まれるぐらいの金は出してやるから」
その話を聞いた俺はあまりに都合が良すぎると思った。
此処は自分達が居た世界とは違い異世界だ。
自分達の常識で考えて行動しない方が良いな。
俺が怪しんでいるのを察したのか、話を持ち掛けて来た人は苦笑いを浮かべた。
「まぁ、いきなりこんな話をされたら不思議に思うのは仕方が無いな。だが、直ぐに済む仕事だから」
「内容は?」
「村の若い衆が狩って来た魔物の解体をするから、それの手伝いをしてくれればいいんだ」
解体の手伝いか。
それなら、大丈夫かな。
「それだったら」
「受けてくれるか。助かる。もう、村の入り口に狩った魔物が来てるんだ。血抜きは済ませているが、運ぶのは良いんだが、解体の手が足りなくてな。付いて来てくれ」
男性は俺が話を受けてくれた事に礼を述べつつ、その狩った魔物が居る所に案内してくれた。
ボタンで留めるのもあればセーターみたいな服もあった。
少し黄ばんでいるのもあれば、これは古着で良いのかと思えるくらいに綺麗な服が置かれていた。
思っていたよりも、服は良さそうだな。
想像の中だと、ボロボロな服しかなくて変な匂いとかしていると思っていたので、余計に良いと思った。
「いらっしゃい。どんな服をお求めだい?」
カウンターには年配のおばちゃんが座って俺を見ていた。
「・・・・・・タダで貰える服」
「そんなのある訳無いだろう」
要望を言うと、おばちゃんはバッサリと切り捨てる様に無いと言う。
商売だし、そうとしか言えないよな。
でも、流石にこんなボロボロの服で居るのはな。
何かないかと、無事なポケットに手を入れたが、何も入っていなかった。
この服で下取りしようにも、ボロボロだから売れないな。
困ったな。金がないから、服を買い替える事が出来ない。
そんな俺を見たおばちゃんも何か考えていた。
「・・・・・・じゃあ、穿いている服を寄越しな。それで上下揃いの服をあげるよ」
「おっ、有り難い。それでお願いしますっ」
おばちゃんの好意で、俺は穿いているズボンを下取りにして、俺は上下揃いの服を手に入れた。
黒いズボンの様な服と同じ色のシャツであった。着てみると、思っていたよりも悪くなかった。
「じゃあ、何かあったら服を買っとくれよ」
「分かった。ありがとな」
おばちゃんに礼を述べて、俺は古着屋を後にした。
新しい服は手に入ったが、次は身を休める所だが。
とは言え、金が無い。無い以上泊まる事は不可能と言えた。
どうしたものかな。
頭を抱えていると、村の入り口で見張りをしていた人が歩いて来るのが見えた。
誰かを探しているのか、首を動かしていた。
そして、目的の人を見つけたのか、顔を輝かせた。
その人は俺に近付いて来た。
「いたいた。兄ちゃん。服を着替える事は出来たようだな」
「ええ、教えてくれてありがとうございます」
お蔭で探す手間が省けた。
「なぁに、良いって事よ。それよりも、兄ちゃんは無一文でこの村に来たんだよな?」
「ええ、まぁ」
財布も鞄の中に入れていたし、持っていた携帯もマールスとの修行で壊れてしまった。
なので、無一文と言っても良かった。
「なら、丁度良い。ちょっと手伝ってくれないか。お駄賃程度だが、宿に泊まれるぐらいの金は出してやるから」
その話を聞いた俺はあまりに都合が良すぎると思った。
此処は自分達が居た世界とは違い異世界だ。
自分達の常識で考えて行動しない方が良いな。
俺が怪しんでいるのを察したのか、話を持ち掛けて来た人は苦笑いを浮かべた。
「まぁ、いきなりこんな話をされたら不思議に思うのは仕方が無いな。だが、直ぐに済む仕事だから」
「内容は?」
「村の若い衆が狩って来た魔物の解体をするから、それの手伝いをしてくれればいいんだ」
解体の手伝いか。
それなら、大丈夫かな。
「それだったら」
「受けてくれるか。助かる。もう、村の入り口に狩った魔物が来てるんだ。血抜きは済ませているが、運ぶのは良いんだが、解体の手が足りなくてな。付いて来てくれ」
男性は俺が話を受けてくれた事に礼を述べつつ、その狩った魔物が居る所に案内してくれた。
0
あなたにおすすめの小説
召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
神は激怒した
まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。
めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。
ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m
世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる