悪役令嬢に恋した黒狼

正海広竜

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第32話 授業

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「それで、そのけんさ? というのをしましょうか」
「はい。分かりました」
 まずはザガードがする事になった。
 リエリナはこの検査用の魔石の使い方など知らないと思い、先にザガードがする事となった。
「それにしても、よく、この魔石が検査用だと分かりましたね。魔石自体は見るのも稀なのに」
「・・・偶々本を読んで知ったのですよ」
 ザガードは少し間を開けてから答えた。
「そうなの?」
「ええ、では、先に見せますね」

 そう言ってザガードが魔石を握り、魔力を流し込んだ。
(ほっ、何とか誤魔化せた)
 魔石に魔力を流し込みながら、ザガードは内心で安堵していた。
 ザガードがどうして、この魔石を知っていたのかと言うと、それはザガードの昔に職業に関係する。
 闘奴になる際、魔力の有無を調べる為に、ザガードはその魔石を手に取り魔法適性を調べたのだ。
(もう、解放されてそれなりの時間は経ったが、口に出して言う事ではないからな)
 そう思い、ザガードは誤魔化したのだ。
 そして、前に調べていたので、自分の魔法適性は直ぐに分かった。

 魔石は、緑、黒、そして、透明に輝きだした。
「ねぇ、これはどういう意味なの?」
「魔石が輝いた色で、魔法適性が分かるのです。例えば、火なら赤。水なら青。風なら緑。土なら黄色。闇なら黒。光なら白。無なら透明に輝くのです。大抵は一つの色に輝くのですが、稀に適性が複数持っている人は、この様に色を変えながら輝くのです」
 ザガードはリエリナに説明しながら、内心で首を傾げていた。
(変だな。昔、調べた時は緑と黒色にし輝かなかったのだが?)

 内心、不思議に思いながらザガードはリエリナに魔石を渡した。
「こんな感じですれば良いのですよ」
「そう、分かったわ」
 やり方を見せてくれたおかげで、リエリナは難なく魔石に魔力を流し込んだ。
 そして、魔石は黒と透明に輝いた。
「ふむ。成程。お嬢様は闇と無属性のようですね」
「わたしが? う~ん。個人的には光や水の方が良かったのだけど、残念ね」
 リエリナは少し残念そうな顔をした。
 
「仕方がありません。魔法適性と言うのは、生を得た時に決まっているという話ですから」
「そうなの?」
「まぁ、それについては色々な説がありますね。生まれた時の環境で変わるとか、生まれた時の性格形成時に決まるとか色々と言われていますが、どれも事実かどうか分かっていないので、本当かどうか分かりませんが」
「ふぅん。そうなの」
 ザガードがリエリナと話しながら紙に、自分とリエリナの魔法適性を書いていると。
 
 教室のドアが開いた。
 誰かが入って来たよぅだ。
 最も、既に始業の鐘が鳴ったので、この時間で教室に入るのは授業を教える講師役の先生だけだ。
 ザガード達はドアを開けた先生を見た。

 黄金色に輝く髪をポニーテールにし、額には中央部に赤い宝石を埋め込まれた金属で出来たサークレットを嵌めている。見目麗しい顔立ちで、切れ長の目。鳶色の瞳。スラリとした長身で、メロンの様な胸を持ち、すっきりと引き締まった腹部。キュッと引き締まった尻。
 膝丈までありスリットが入っているスカートと一体となったオレンジ色の服を着ており。
 右肩にはレースが着いた肩当てを着けていた。
 服と同じ色のニーソックスを穿き、動きやす様にブーツを履いていた。

 男子達は女性講師を見て目を奪われていた。
 そんな男子の好奇に満ちた目で見られても、その女性は。
「・・・・・・ふふ」
 ニコリと微笑んだ。
「「「⁉‼⁈」」」
 その微笑んだ顔を見て、殆どの男子達は心臓を撃ち抜かれたような顔をした。
(へェ、マクスインが言っていた様に、本当に清楚で優しそうな女性だな)
 ザガードはマクスインから何となく話を聞いていたので想像していたが、良い意味でその想像をぶち壊された。
 
 そして、その女性はドアを閉めて歩き出して、教壇の所まで来た。
 この教室は教壇を中心にして囲むように作られているので、皆の視線は教壇に上がった女性を集まる。
「はい。皆、居るわね。初めまして、今年の一年生の魔法学を教える事になった。プレシア=エルテファナよ。よろしくね」
 自分の名前を名乗ったプレシアに頭を下げた。
 ザガード達もそれに倣って、頭を下げた。
「じゃあ、まずは自己紹介をしてもらおうかしら。出席番号順に名前を呼ぶから、その時に簡単に自己紹介してね。じゃあ、まずは」
「はいっ」
 プレシアが名前を呼ぶ前に、出席番号一番の者が声を出して立ち上がった。
「出席番号一番。アズリッド=パルコトールです。趣味は身体を動かす事です!」
 元気よく自己紹介したアズリットを見ながら、苦笑するプレシア。

「はい。元気が良くて宜しい。でも、次からは、わたしが呼んでから答えてね」
「はいっ」
 アズリットは顔を赤くしながら返事をして、椅子に座った。
 そこからは、プレシアが名前を呼んで生徒達は簡単に自己紹介していった。
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