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第1章『聖霊樹の巫女』
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「ふぅ、ゲームじゃなくて実際動くとなると少し不安なところもあったが……結構思い通りになるものなんだな」
脳内ではターゲットカーソルやスキルウインドウが、ゲームをプレイしている時のように表示されている錯覚があった。
廃ゲーマーとまではいかないまでも結構やりこんだからなぁ。
「大丈夫だったか、リーフィア?」
「ん、平気。カイト凄い」
そう言って俺を見上げてくるリーフィアは、表情までは変わらないものの瞳だけはキラキラ輝いているような気がした。
あまりに強い存在に対して人が覚える感情は、きっと二つ。
恐怖か憧れだ。
幸いにして、リーフィアが俺に抱いたのは後者だったようだ。
「………お?」
ドロップアイテムのバウンドウルフの牙や毛皮を拾っていると、リーフィアのいる側に帰還用の魔法陣が展開した。
という事は、隠しイレギュラー扱いだったが、今のバウンドウルフの群れが個々のボス扱いになっていたという事になる。
戻る方法自体あるかどうかわからなかったから、これはありがたい。
問題はこれを使って戻ると、完全にエミリオ達とは分断状態になってしまう事だが……まぁ、しょうがないだろう。
一度戻って彼らが戻っていなければ、再度ダンジョンに足を踏み入れて彼らと合流するしかないと思う。
幸いリサ先生の使い魔はエミリオ達と一緒だから、リサ先生なら二人の位置は把握できるだろう。
まぁ、それよりも問題はリーフィアなんだよな……ここに放置していくなんていうのは論外だし、とはいえ連れて帰ってそれからどうしたものか……
「なぁ、リーフィア。とりあえず……俺と一緒にここを出るか?」
「ん、出る」
俺の問いかけに彼女は素直に頷いた。
あまりに素直すぎて、悪い奴に騙されたりしないかと俺は今からそんな心配をしていた。
『カイト!』
俺がリーフィアを背負って帰還魔法陣からダンジョンの外に出てくると、そこにはリサ先生とエミリオとセレンさんの三人が待っていた。
「よかった、無事だったのね!エミリオ君たちも丁度いま戻ってきたところで、これから二人を街に帰してから、あたしも捜索に入ろうと思ってたんだけど……」
「いやいや、私達ももちろんリサ先生と同行し再度入るつもりだったのだよ。とはいえ、リサ先生に止められてしまってね。いやはや、しかし無事でよかった!」
「ちなみにロンドはあたしが使い魔で君が消えた状況を見てそれを伝えたと同時に中に入ったわ。あいつならこのダンジョンなんて目を瞑っても踏破できる……はずだったんだけどね。まさかこんな未発見の仕掛けがあって、しかもその先が完全に未探査区域だとは思わなかったわ。カイト君、悪いけど一度ギルドに戻って詳しい報告をお願いしていいかしら?」
「ええ、まぁ、それは構いませんが……」
まいったな、そうなるとバウンドウルフの事も話さないわけにはいかないか。
俺一人でバウンドウルフ四体を、非戦闘員のリーフィアと俺自身も無傷のままに殲滅したとか報告しづらいんだが……かといって、ダンジョンの調査報告となると下手な嘘もつけないしな。
というか、リサ先生はなんで未探査区域ってことが分かったんだろう?
「ああ、隠しルートからの隠しボスの存在は他のダンジョンでも、いくつかの報告例があるの。エミリオ君達もここの普通のボスを倒して帰ってきているし、あなたはそれとほとんど間を置かずに戻ってきたわ。それなら、別の場所に転移された後エミリオ君たちの後でボス部屋に入ってボスを倒して出てくるにしては時間が早すぎると思ったのよ。それなら、別ルートの隠しボス部屋を攻略したって言われた方がすっきりするしね」
「ところでカイトよ。そちらの少女はどうしたのかね?」
「あ、ああ。えーっとこの子はリーフィアって言って……未探査区域で出会ってだな」
「拾われた」
「そう、拾った……って、人聞き悪いな!?せめて救助したとかそんな感じに言ってくれよ」
「そう、それ。そう言いたかった」
かなり疑わしい。どうせいつもの冗談だろうな。
どうも彼女は冗談を言った時の俺の反応を気に入ってるらしく、事あるごとに変なことを口走る。
まぁそれが彼女の情操教育?になるのなら、突っ込みぐらい付き合ってあげたってかまわないんだが。
俺は一応かなり大雑把にリサ先生に説明し……それでも「は?バウンドウルフ四体をソロで?しかも護衛対象ありで……冗談でしょ?」等と少し驚き半分疑い半分の視線を向けられたが……ロンド先生が戻ってくるのを待って冒険者ギルドへと戻るのだった。
脳内ではターゲットカーソルやスキルウインドウが、ゲームをプレイしている時のように表示されている錯覚があった。
廃ゲーマーとまではいかないまでも結構やりこんだからなぁ。
「大丈夫だったか、リーフィア?」
「ん、平気。カイト凄い」
そう言って俺を見上げてくるリーフィアは、表情までは変わらないものの瞳だけはキラキラ輝いているような気がした。
あまりに強い存在に対して人が覚える感情は、きっと二つ。
恐怖か憧れだ。
幸いにして、リーフィアが俺に抱いたのは後者だったようだ。
「………お?」
ドロップアイテムのバウンドウルフの牙や毛皮を拾っていると、リーフィアのいる側に帰還用の魔法陣が展開した。
という事は、隠しイレギュラー扱いだったが、今のバウンドウルフの群れが個々のボス扱いになっていたという事になる。
戻る方法自体あるかどうかわからなかったから、これはありがたい。
問題はこれを使って戻ると、完全にエミリオ達とは分断状態になってしまう事だが……まぁ、しょうがないだろう。
一度戻って彼らが戻っていなければ、再度ダンジョンに足を踏み入れて彼らと合流するしかないと思う。
幸いリサ先生の使い魔はエミリオ達と一緒だから、リサ先生なら二人の位置は把握できるだろう。
まぁ、それよりも問題はリーフィアなんだよな……ここに放置していくなんていうのは論外だし、とはいえ連れて帰ってそれからどうしたものか……
「なぁ、リーフィア。とりあえず……俺と一緒にここを出るか?」
「ん、出る」
俺の問いかけに彼女は素直に頷いた。
あまりに素直すぎて、悪い奴に騙されたりしないかと俺は今からそんな心配をしていた。
『カイト!』
俺がリーフィアを背負って帰還魔法陣からダンジョンの外に出てくると、そこにはリサ先生とエミリオとセレンさんの三人が待っていた。
「よかった、無事だったのね!エミリオ君たちも丁度いま戻ってきたところで、これから二人を街に帰してから、あたしも捜索に入ろうと思ってたんだけど……」
「いやいや、私達ももちろんリサ先生と同行し再度入るつもりだったのだよ。とはいえ、リサ先生に止められてしまってね。いやはや、しかし無事でよかった!」
「ちなみにロンドはあたしが使い魔で君が消えた状況を見てそれを伝えたと同時に中に入ったわ。あいつならこのダンジョンなんて目を瞑っても踏破できる……はずだったんだけどね。まさかこんな未発見の仕掛けがあって、しかもその先が完全に未探査区域だとは思わなかったわ。カイト君、悪いけど一度ギルドに戻って詳しい報告をお願いしていいかしら?」
「ええ、まぁ、それは構いませんが……」
まいったな、そうなるとバウンドウルフの事も話さないわけにはいかないか。
俺一人でバウンドウルフ四体を、非戦闘員のリーフィアと俺自身も無傷のままに殲滅したとか報告しづらいんだが……かといって、ダンジョンの調査報告となると下手な嘘もつけないしな。
というか、リサ先生はなんで未探査区域ってことが分かったんだろう?
「ああ、隠しルートからの隠しボスの存在は他のダンジョンでも、いくつかの報告例があるの。エミリオ君達もここの普通のボスを倒して帰ってきているし、あなたはそれとほとんど間を置かずに戻ってきたわ。それなら、別の場所に転移された後エミリオ君たちの後でボス部屋に入ってボスを倒して出てくるにしては時間が早すぎると思ったのよ。それなら、別ルートの隠しボス部屋を攻略したって言われた方がすっきりするしね」
「ところでカイトよ。そちらの少女はどうしたのかね?」
「あ、ああ。えーっとこの子はリーフィアって言って……未探査区域で出会ってだな」
「拾われた」
「そう、拾った……って、人聞き悪いな!?せめて救助したとかそんな感じに言ってくれよ」
「そう、それ。そう言いたかった」
かなり疑わしい。どうせいつもの冗談だろうな。
どうも彼女は冗談を言った時の俺の反応を気に入ってるらしく、事あるごとに変なことを口走る。
まぁそれが彼女の情操教育?になるのなら、突っ込みぐらい付き合ってあげたってかまわないんだが。
俺は一応かなり大雑把にリサ先生に説明し……それでも「は?バウンドウルフ四体をソロで?しかも護衛対象ありで……冗談でしょ?」等と少し驚き半分疑い半分の視線を向けられたが……ロンド先生が戻ってくるのを待って冒険者ギルドへと戻るのだった。
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