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「う~ん、まだお花見にはやっぱり少し早かったなぁ」
そう言って、父さんは小さくため息をついた。
桜のお花見は四月!
そんなことは幼い自分でも知っていた事だが、俺がこれ程に幼い頃であっても父さんも母さんも仕事で大忙しだった。
そんな二人が珍しく休みが取れたのが三月の末日だったのだ。
たまには家族でお花見だ!なんて息巻く父さんと母さんに幼い俺は多少呆れながらも、やっぱり両親とのお出かけにウキウキする気持ちは間違いなく存在していたと思う。
「そうねえ、まだまだ三分咲き……どころか一分咲きぐらいかしらねえ」
母さんも残念そうに言うが、まだ幼い俺は花が何分咲きかなんてどうでもよかった。
普段は祖父母に預けられている俺にとっては、こうして両親と一緒に出掛けられることこそが一番嬉しい事だったのだ。
「ううん、僕緑色も好きだよ!緑の葉っぱも鮮やかでいいよね!」
そんな懐かしい記憶、ああ夢を見ているんだなと思った。
まだ弟も生まれていない頃の数少ない両親との思い出、ピンクの花弁よりはるかに視界を覆いつくすような青々した緑の木の葉。
そして夢だ、と思ってしまうと急速に視界はぼやけていく……
「………ん、ここは」
懐かしい夢を見た気がするが、懐かしいという郷愁だけで明確にどんな夢だったのかが思い出せない。
まぁ、夢なんてそんなものだろう。
昼に見た蘇った聖霊樹の影響か、木に関係する夢だったような気がした。
そう思いなんとなくベッドを抜け出して聖霊樹が見える窓の方へ……
「……リーフィア?」
そこには既に先客がいた。
彼女も何かを思い目を覚まして夜の聖霊樹を眺めているのだろうか?
聖霊樹復活の為に俺もリーフィアも限界近くMPを絞り切った。
それ故にそのまま城でさらにもう一泊となったのだ。
ちなみにリーフィアとは同室だった。
リーフィアが部屋を分けるのを嫌がったからだ。
俺は一応別室にと思ったのだが、リーフィアの『カイトは一緒……嫌?』なんて言われてしまうと断れなかった。
窓を少し開け、そこから流れる風に純白の髪を揺らすリーフィアはどこか神秘的ではかなげな印象だった。
「………どうしたの?」
じっと彼女を見ていたことに気が付いたのか、リーフィアがこちらを振り返り声をかけてくる。
「いや、まぁなんていうか……奇麗だなと思ってね。雪のようで」
夜闇に舞う純白の髪はまさに、はかなく消える神秘的な粉雪のようで、思わず俺はずいぶん気障な物言いをしてしまった。
「ふぅん」
とはいえ、気障だろうと何だろうと、その辺りの感情の機微にはリーフィアはまだまだ疎いようで俺の言葉はあっさり聞き流されてしまっていた。
「雪って……奇麗?」
「雪か?そうだなぁ、奇麗だぞ。俺もあんまり見た事はないけどさ」
俺の住んでる地域はあまり雪の降らない地域だった。
だから、たまに降る雪は神秘的で奇麗だといつも思っていた。
豪雪地帯とかに住んでいたら、意見は百八十度変わるのだろうけど、それはそういう人たちの事情だ。
「そうなんだ。見てみたい、かも」
「そっか……」
確かゲームでは聖霊樹に守られる国の中に、雪国もあったはずだ。
特にどこに行かなければならないというわけではないのだから、次はそこを目指してもいいかもしれないなとおぼろげに考え始めていた……
そう言って、父さんは小さくため息をついた。
桜のお花見は四月!
そんなことは幼い自分でも知っていた事だが、俺がこれ程に幼い頃であっても父さんも母さんも仕事で大忙しだった。
そんな二人が珍しく休みが取れたのが三月の末日だったのだ。
たまには家族でお花見だ!なんて息巻く父さんと母さんに幼い俺は多少呆れながらも、やっぱり両親とのお出かけにウキウキする気持ちは間違いなく存在していたと思う。
「そうねえ、まだまだ三分咲き……どころか一分咲きぐらいかしらねえ」
母さんも残念そうに言うが、まだ幼い俺は花が何分咲きかなんてどうでもよかった。
普段は祖父母に預けられている俺にとっては、こうして両親と一緒に出掛けられることこそが一番嬉しい事だったのだ。
「ううん、僕緑色も好きだよ!緑の葉っぱも鮮やかでいいよね!」
そんな懐かしい記憶、ああ夢を見ているんだなと思った。
まだ弟も生まれていない頃の数少ない両親との思い出、ピンクの花弁よりはるかに視界を覆いつくすような青々した緑の木の葉。
そして夢だ、と思ってしまうと急速に視界はぼやけていく……
「………ん、ここは」
懐かしい夢を見た気がするが、懐かしいという郷愁だけで明確にどんな夢だったのかが思い出せない。
まぁ、夢なんてそんなものだろう。
昼に見た蘇った聖霊樹の影響か、木に関係する夢だったような気がした。
そう思いなんとなくベッドを抜け出して聖霊樹が見える窓の方へ……
「……リーフィア?」
そこには既に先客がいた。
彼女も何かを思い目を覚まして夜の聖霊樹を眺めているのだろうか?
聖霊樹復活の為に俺もリーフィアも限界近くMPを絞り切った。
それ故にそのまま城でさらにもう一泊となったのだ。
ちなみにリーフィアとは同室だった。
リーフィアが部屋を分けるのを嫌がったからだ。
俺は一応別室にと思ったのだが、リーフィアの『カイトは一緒……嫌?』なんて言われてしまうと断れなかった。
窓を少し開け、そこから流れる風に純白の髪を揺らすリーフィアはどこか神秘的ではかなげな印象だった。
「………どうしたの?」
じっと彼女を見ていたことに気が付いたのか、リーフィアがこちらを振り返り声をかけてくる。
「いや、まぁなんていうか……奇麗だなと思ってね。雪のようで」
夜闇に舞う純白の髪はまさに、はかなく消える神秘的な粉雪のようで、思わず俺はずいぶん気障な物言いをしてしまった。
「ふぅん」
とはいえ、気障だろうと何だろうと、その辺りの感情の機微にはリーフィアはまだまだ疎いようで俺の言葉はあっさり聞き流されてしまっていた。
「雪って……奇麗?」
「雪か?そうだなぁ、奇麗だぞ。俺もあんまり見た事はないけどさ」
俺の住んでる地域はあまり雪の降らない地域だった。
だから、たまに降る雪は神秘的で奇麗だといつも思っていた。
豪雪地帯とかに住んでいたら、意見は百八十度変わるのだろうけど、それはそういう人たちの事情だ。
「そうなんだ。見てみたい、かも」
「そっか……」
確かゲームでは聖霊樹に守られる国の中に、雪国もあったはずだ。
特にどこに行かなければならないというわけではないのだから、次はそこを目指してもいいかもしれないなとおぼろげに考え始めていた……
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