藍は墓泣く

のんカフェイン

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中間発表

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「いやぁ、黒川君には申し訳ないことをしてるよ」

「ちょっと理不尽ですよね、あの言い方は」

「うん、この会社は丸で営業部が連携出来ていない」

「と言いますと?」

「トップの水谷の動きがどうもおかしいんだよ。これはまだ私の推測だが、営業日報も真実には見えないんだよ。部下との連携も出来ていないし。その悪いところが全部林に出てるんだ。このままだと黒川君にとって良くないんだよな。だから、黒川君をなるべくこちらに近づけたいんだ」

「私もその方がいいと思います」
「何か心当たりでもある?」

「はい、まず林さんと今まで二度、営業周りに同席したのですが、行動と営業日報が丸で違うんです」

立見常務はやっぱりかと言った表情を示した。

「まぁ、外回りは私も刺激になってよかったんですが、一つは直行すれば午後からでも間に合ったものを、遠くのご飯屋さんに行ってから、呉服店に行ったり」

「関呉服店さんの時はルート営業と関さんじゃなかったのか?」

「いえ、あの日は関さんだけで、遠くのイタリアンみたいなところに行ったんです。行く前に会社様の名前を聞いたんですけど、頑なに答えなくて、今理解できました」

「なるほどなぁ」

「あともう一件はそれから二、三日後だったんですけど、PBジーンズの打ち合わせがあるから来てくれってのでついて行ったら、林さんの勘違いで午前からじゃなくて午後からだったって言う」


立見常務の顔が段々と呆れ顔に変わっていく。

「それで時間が余ってるから、デイユースのホテルで休憩しようとか言ってて。私は気持ち悪くて車をすぐ降りて、タクシーで帰社しました」

「それであの日は別々で帰ってきたんだな。ごめんな、知らない間に辛い思いをさせて」

「いえ、それからはもう相手にしてないので」

「春奈さんは強いね」

「こう言うところは父親に似て良かったです」立見常務は笑っても良いのか分からず、沈黙している。

「ただ、私は言える方だから大丈夫なんですが、言えない人がいることを思うと、本当に良くないですよ」

「そうだよな、誠に伝えにくいんだが、その上の水谷も関東さんと」

「あぁ、社内不倫ですか?」

「え、知ってるのか?」

「知ってると言うか、女の勘というかあの二人は出来てんだろうなって思ってます。だから、関東さんの推薦は水谷さんがするんだろうなって」

「全くその通りだよ。統制の取れてる会社だからこそ、悪目立ちしてるんだよな」

「どうすればいいんでしょうか」

「うん、私も考えているんだが、社長も既にこれらのことに気づいてる様なんだよ」





「え?」





「うん、それが今回のこの社内コンペだと思う。社内を一気に変える気なんなんだと思ってる」

「つまりどう言うことですか?」




「関東さんの案を社長決定ではなく、最初から二人での社内全体コンペを考えてたんだと思う」




「社内コンペ案は関東さんから社長にお伝えしたものじゃなかったんですか?」


「うん、社長からのご提案で私も乗ったと言う形なんだ。なんだかこの一件で、社内の見えない組織図が見える気がしていてね」



「確かにそんな気がしますね。私も最初、立見常務に推薦者をお願いしようと思いましたもん」

「私に?」

「はい、でも、黒川君が一度、夜遅くにおにぎりと焼き鳥を差入れしてくれた時があって、嬉しくてつい黒川君にお願いをしました」

「おぉ、彼がそんなことを」

「はい、私も驚きました。さっきの提案も一部は黒川君にアドバイスを貰ったりしたんです」

「良いコンビだな。私も協力できることがあったらさせて貰うよ」

「是非、お願いします」

「うん、前の会社では最初の数年で営業職の経験もあるし、社内の営業フローも理解はしているから、黒川君のフォローもしてあげたいけどな」

「流石、立見常務ですね」

「いえいえ、とんでもない。それで、中間報告はほぼ今の形で問題ないよ。それで、必ず質疑応答があると思うから、それは黒川君に必ずメモを取っておくように伝えといてね。最後に何かあるかな?」

「はい、一つお願いなんですが、この案が通ると仮定して、十月の実機試作の前に数枚のテストをしたくて、ご協力いただきたいのですが」

「もちろん、私も現場に掛け合ってみるよ」


「ありがとうございます」

すぐ様今後の方向性を整理して、コストの点を考えることにした。







そして明日に中間発表の日を迎えた。

「おはようございます」今日も出荷や連絡事項が後に続く。

「最後に明日が七十周年特別企画製品の中間発表の日になります。関東さんの推薦者は水谷部長が、春奈さんの推薦者は黒川さんが行います。明日の朝礼後直ぐに行います。両名は朝礼の段階で発表出来るようにそれぞれ準備をお願いします」


「承知しました」

「最後に社長から一言ございますか?」

「いや、大丈夫だ。明日はそれぞれ頑張って欲しい」

「ありがとうございます。それでは今日も一日宜しくお願いします」

今日は一日、ルーティンワークとスライドの最終チェックと発表の練習とで一日だった。


「春奈さん、お疲れ様です。とうとう明日ですね」

「うん、黒川君も色々と付き合ってくれてありがとね。心強いよ、ほんと」

「とんでもないです」

「それでね、一個お願いがあって、明日の中間発表の時の質疑応答の議事録を取ってもらいたいんだけどいいかな?」

「はい、分かりました。他にも気になったことがあったらメモしておきます」

「ありがとう、明日は宜しくね」今日は定時で帰ることにした。

「おはようございます」今日も出荷や連絡事項が後に続く。

「そして、スケジュールにもあったように、今日はこのまま七十周年特別企画製品の中間発表を行います。

関東さんからお願いします」

そう言われると、関東さんと推薦者の水谷さんが前に出た。





「えー、私水谷は関東さんの製品を推薦します。その理由としましては、多忙な中に本製品の開発業務に従事し、時には休日に集まって会議を行ったこともありました。普段の彼女の服装もセンスがあり、そのセンスの良さがこの製品にも十二分に表現されております。それでは関東さん、宜しくお願い致します」
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