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雨潦
四
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闇が、揺れていた。
流れる雲間から見え隠れする満月が、静止した者の姿を蒼白く照らし、また隠す。流動を続けながらも静寂を保つ、深い水底のような冷たさが、あたりを包んでいた。
森を抜ける風の音は低く、群れた狼の咆哮を思わせる響きは、得体の知れない闇の重さをより一層、際立たせている。
波打つように漂う月光に対し、取り囲む気配は微動だにしない。それはすでに、逃げる道がないことを示してもいた。
「道を開けてはもらえないようだな」
アダムは呟くように言った。聞こえているのかいないのか、正面に立つ人影から返答はない。顔に黒布を巻いてあるらしく、夜闇に眼だけが白く、異様に強い光を放っている。猛禽の眼。そんな感じもした。
剣を突きつけられているわけではない。それでもこうして向き合えば、かなりの手練れであることはわかる。小柄だが、肩幅などの体格からして男だろう。
周囲を固めている気配も含めると全部で六人。ただ、こういった手合いは先に数を決めてかからないほうがいい。実際に、視界の外に立っている者より、むしろ正面の一人から、気配らしいものがほとんど感じられなかった。人ではないものと睨み合っている。そんな気分にもなってくる。
どれくらい向き合っているのか。わずかな時が、ひどく長いもののように感じられた。たまたま行き遭った野盗ではない。自分を狙ってきた者たちであることは、ひりひりと肌を刺すような殺気が物語っている。
アダムは、対峙する六人の位置を測った。かすかな息遣い。放たれる殺気。視界の外側で、戦ぐ枝葉の音を遮る位置はどこか。夜眼はそれなりに利くほうだが、森のなかの小径である。その狭さが、活かせるのか、仇となるのか。
ひと際強い風に煽られた木々が、ざわざわと大きな音をたてた。
再びの静寂。アダムは確かめるように、左手の杖を握り直した。月光を受け、杖は闇に白く浮かびあがって見えている。腰には短剣があるが、手を伸ばすことはできない。先に動けば、そこに隙が生じる。それは避けたかった。
不意に、闇が深くなった。月が厚い雲に隠れたのだ。瞬間、すべてが静止したようになった。
突如、強烈な気魄の塊とでもいうべきものがアダムの全身を打つ。気配のなかった正面からの殺気。誘いだ。思った通り、それを合図に左右の影がいきなり踏みこんできた。アダムは杖の頭に右手を添え、向かってくる左の男の腹を杖先で突いた。そのまま反動を利用して杖を返し、杖の頭で右の男の手を打ち、短剣を叩き落とす。すれ違いざま、右の肘を男の鳩尾に叩きこんだ。
間断なく、ほとんど音もたてずに、左右の背後から別の二人が同時に斬りかかってきた。アダムは地に伏せるように前に倒れてかわし、地を転がりながら、さっき叩き落とした敵の短剣を逆手に拾いあげる。続けざまに斬りかかってくる刃を転がることで避け、立ちあがったときには追いすがる一人を拾った短剣で斬りあげていた。浅い。
身を翻し、左手の杖を大きく振りまわすことで相手の攻撃を牽制し、間合いを取る。躰を包む套衣も翻り、闇のなかにばたばたと音をたてて舞った。
大木の幹を背にして立ち、腰を落として右手の短剣を低く構える。ようやく一度、深く息を吸った。
左に三人、右に二人。正面にいた男の位置は変わっていないが、いつの間にか躰はこちらを向いている。アダムが短剣を奪った者以外、全員が短い剣を抜いていた。樹木の立ち並ぶなかで、長い剣より利があることはわかっている。間合いを保つ。そうするしかない。捨て身で踏みこまれては、かわしようがない。
左の一人が、じり、と間合いを詰める。不意に肌を打つ気配を感じ、アダムは上体をひねった。空を切る音とともに、頬を鋭い風が叩く。右からの飛礫。紙一重でかわしていた。飛礫を合図に、左の三人が斬りかかってくる。
一人目の斬撃をかわしながら、すれ違いざまに斬りつける。相手の腹を横に払って抜けた短剣を返し、二人目を斬りあげる。脇腹から胸にかけて斜めに深く入った短剣は抜けず、三人目の刃をかわすために柄から手を放した。
闇のなかで、白い光が躍るように跳ねる。振りおろされてくる短剣。その手首を、杖の柄で巻くように払いあげ、相手の懐に入って下腹に右肘を打ちこむ。
誰一人として声をあげない。三人目も呻きひとつ漏らさず、膝から崩れるようにして倒れた。
視界の端に、飛礫を打ったほうの二人の影が動く。素早く足もとの短剣を拾いあげ、駆け寄る二人に向き直ったところで血の気が引いた。動きのなかった正面の男の影が消えている。アダムは杖を軸に反動をつけ、横に身を投げるように跳びながら、手にある短剣を天に向けて投げ打った。手応え。地に倒れこんだアダムのそばに、衝撃とともに黒い塊が落ちてきた。動かずに正面に立っていた男だ。いつの間に跳躍したのか。倒れた男の首には、アダムの投げた短剣が突き立ち、月光を受けて白く輝いている。
残った二人は、わずかにたじろぐ気配を見せた。跳ね起きて向き合い、アダムはひとつ大きく息をした。肌がひりついたように痺れ、遅れて全身から汗が吹き出してくる。躰が熱い。血が燃えるように感じられた。
二人同時に来る構え。これまでの戦い方からすれば一方は誘い。次もそうなのか。呼吸を読む。アダムがはじめに浅く斬りあげた一人は息遣いが荒い。肩も大きく上下している。
跳ぶために利用した白杖は、アダムの手を離れていた。腰の短剣に手をやる。だが、抜く前に睨み合う眼が光り、手負いの一人が先に踏みこんできた。やはり誘いか。アダムはもう一方の攻撃に備えたが、手負っているほうがそのまま突っこんできた。アダムの腕を短剣がかすめる。浅く斬られたが、相手の手もとに手刀を打ちこみ、短剣を払い飛ばした。片膝をつきかけた手負いの男が跳躍し、覆いかぶさってくる。捨て身だ。
揉み合いになる。それを見計らったように、飛び退ったもう一人が長く指笛を吹いた。遠くまで響く音だ。加勢を呼んだのか。
アダムは覆いかぶさる男の側頭部に拳を打ちつけた。眉横の急所。意識が飛んだ男を蹴ってどける。転がり、地を掴むようにして跳ね起きる。
駆けた。残った一人が追ってくる。跳ね起きるときに掴んだ土を男に向かって投げた。男が怯み、腕で視界を覆うようにそれを遮る。アダムはその隙に荷袋と落とした白杖をさっと拾いあげ、また駆けた。
月明かりを頼りに、見知らぬ森を走る。加勢はどの方向から来るのか。わかりはしないが、駆けるしかない。なるべく開けた場所を選ぶ。足を取られて転べば、そこまでだ。
闇を蹴るように、駆けた。
なぜ、狙われたのか。
この森に踏みこんですぐに、黒尽くめの男一人と遭遇し、突然斬りかかられた。アダムは反射的に男の腕を掴んでひねった。相手の男は関節が柔らかく、アダムの手を振りほどこうと無理に躰を動かしたときに、自分の短剣で喉元を斬ったのだ。脈動に合わせて首から血があふれ出し、すぐに男は死んだ。
アダムに、そこで襲われる理由はなにもないはずだった。
しばらく滞在した寒村で、隠れ酒場の店主から話を聞き、その後、別の集落で雑貨商の老人に会った。そこで請けた仕事をこなすため、北を目指して歩いていただけだ。
そして、襲われた森の入口からいくらか進んだところで、先ほどの連中に囲まれた。
雑貨商の旦那は、大事な仕事だからと腕の立つ者を探していたようだが、こうなることをどこかで予測していたのだろうか。
しかし、まだ仕事の場所へと向かっている段階である。得体の知れない黒尽くめの連中に、アダムがこの依頼を請けたことを知られていたとしても、なにも手にしていないアダムを襲うことにあまり意味があるとは思えない。あとを尾行たり拘束しようというのではなく、いきなり殺しにかかってきたのだ。
この森そのものが、連中の縄張りだったのだろうか。森に立ち入っただけで襲われる理由があるとすれば、ほかになにがあるのか。考えたところで、わかりはしなかった。声ひとつあげず、闇を巧みに利用しながら連携をして襲いかかるすべは、そこらの野盗とは明らかに違うものだった。それだけは確かだ。
アダムは駆けながら、どちらへ向かうべきか考えた。このまま森を進めば、加勢の者に行き遭うかもしれない。考えながら、躰はもう森の続く北ではなく、西に向かって駆けていた。
東には険峻な山々が南北に連なった高山地帯があり、森はその麓まで続いている。かといって、西に寄りすぎるのも避けたかった。荒地が広がる西域との境を越えれば、また別の危険もある。
行く手を阻むような、黒々とした木々の隙間を縫うように駆け続ける。木の根や倒れた朽木に足を取られないよう、やはりなるべく開けた場所をたどる。駆けに駆け、傾斜をあがったところで、倒れた大木の陰に身を隠した。
呼吸にして四つ。追ってきた者の駆ける音が聞こえた。坂をあがったので、アダムの姿は一度、追手の視界から消えているはずだった。
口もとに套衣の裾を押し当て、駆け続けで乱れたままの息を押し殺す。鼓動が胸の内側を叩くように暴れている、とアダムは思った。思うことで、ほかのことは考えないようにした。黒い獣に追われているようなものだ。微妙な心の動きすらも、獣は察知しかねない。
坂をあがってきた追手は立ちどまり、奇妙な調子の指笛を吹きながら走りはじめ、やや北寄りのほうへと駆けて行った。
アダムもすぐに立ちあがり西へ向かった。追手の去った北寄りは避け、後ろも振り返らずに、ほとんど転げ出るようにして森を抜けた。
西には広漠とした原野が広がっており、その先が乾きの広がる西域になる。アダムが向かうのは北だが、いますぐに北へ進めば、あの黒尽くめの集団の仲間に捕捉される可能性は高い。なにを目的としている集団なのか、そしてどれほどの人数がいるのかもわからなかった。
突然襲われはしたが、腕を浅く刃先が撫でた痕と、頬をかすめた飛礫のひりついた感覚以外は、大きな傷は負っていなかった。腕の刃傷の血も、すでに止まっているようだ。
野営に慣れているからといって、不用意にあの森に入ったのは間違いだった、といまにして思う。
夕暮れに見た雲の流れが速く、夜は雨が降ると予想した。それで雨露を避けるために、森の木々を利用して屋根のある簡単な寝床を組もうとしていたのだ。それも、たいした警戒もせずに歩いていた。毒蛇には注意していたが、人の気配など、まるで感じなかったのである。
素早く歩く。急いだが、駆けることはしなかった。駆ければ目立ち、警戒すべきものを見落とすかもしれない。
ひとまず、うまく撒いたようだった。しばらく警戒しながら進んだが、追手の気配はすっかり消えている。それでも警戒は怠らなかった。おそらくは隠術を使いこなす者たちで、人知れず殺しを遂行するために、気配を隠すすべも持っているはずだ。
月明かりを頼りに、もう少し森から離れながら、北へ向かうことにした。
左手に丘陵が見える。月と星を見て方角はわかっているが、目立った印のない原野を行くよりもいいように思えて、自然とその山のほうへと足を向けていた。
南西の風。もうこの地域は雨季に入っていてもいい時季だ。
雲の流れは相変わらず、吹き飛ばされていくようなめまぐるしさで形を変えていく。原野を照らす月光も、生温い風にたなびく帯でもあるかのように、ゆらゆらと揺れていた。
しばらく歩くと、小川に行きあたった。岸の幅から見れば痩せているが、ちろちろと水は流れている。
アダムは少し考えて、これが目印として聞いていた川の、支流であると見当をつけた。本当なら森のなかで本流にぶつかり、そこから上流を目指すつもりだったのだ。森を出てなんとなく足を向けていたあの山が、まさに請けた仕事が待っている場所、ということだった。
川上に眼をやる。山の手前あたりの木々の隙間から、細く煙があがっているのが見えた。細いが、間違いなく煙だ。野営する者か、人家があるのか。それほど遠くはない。わずかな路銀しかないが、分けてもらえるなら食い物にもありつけるかもしれない。
周囲を警戒しながら一刻(約三十分)ほど歩くと、横の木によりかかるようにして、いかにも粗末な造りのあばら屋が建っていた。小屋の裏手はすぐに山になっている。なかで火を熾しているらしく、あちこちの壁板の隙間から光が漏れており、一帯には獣肉の焼けるにおいが立ちこめている。腹が鳴っていた。
アダムが戸口の前まで近づくと、訪いを入れるより先にがたがたと音をたてて戸が開き、なかから老人の顔が覗いた。暗さのせいもあるが、皺が深く、表情はおろか、老爺か老婆か、ということもいまひとつ判然としない。
「すみません。ひと晩、屋根を貸してもらえないでしょうか」
言うと、老人はアダムをじっと見たあと、無言で請じ入れた。
火のそばに腰をおろす。腹は減っているが、当然ながら焼かれているのは一人分の肉で、それを分けてもらおうとは思わない。老人は腰も曲がっており、わずかな獣肉もそれほど簡単に手に入りはしないだろう。
アダムは老人に気を遣わせないように横を向いていたが、器が差し出された。
「これくらいしかやれんが、飲め。裏の山で採れた山菜を煮こんだ汁だ」
「これはありがたい」
アダムは湯気が昇る器を両手で受け取り、息を吹きかけて口をつけた。白く濁ったわずかにとろみのある汁で、それほど味は濃くないが、朝霧に濡れた樹木のような豊かな香りが、鼻を抜ける。茸もいくつかの種類が入っているようだ。
「ここには、お一人で?」
「住みはじめて二十年余りになるかの」
老人は歯のほとんどない口をすぼめて答え、いつまでもしつこくしゃぶっていた獣肉の骨を、火のなかに投げ入れた。
「夫と、遅くにできた息子はおった。ここには小さな村があってな」
夫がいたのならば、この老人は老婆なのだろう。答えを知っても、揺れる火に照らされた老人の表情はあまり読み取れず、しばらく見ているとアダムにはやはり、見ただけでは男女どちらなのかわからなかった。
老婆は、息子が生まれてここに住みはじめたころ、夫と二人で山菜採りをしていたと話した。山を越えた北側にも小屋があり、山に入れない時季は木籠を作ったり、川魚を釣ったりしていたという。それは片手間にやるという言い方で、本来の仕事はまた別にあったようだ。
「あのころは楽しかった。もちろん、それだけではなかったが。貧しくても、馬鹿を言う相手がおるのは救いになるでな。いつも夢のような話を大真面目にする男で、無理が続いて、老いぼれる前に躰を壊して死におった。いまになって、あの夢の続きを知りたいと思ったりする。もう、どうやっても知ることはできんがな」
アダムは、しばらく老婆の話を黙って聞いていた。都の欲にまみれた話は嫌になるが、生臭さのない枯れた老人の話を聞くのは嫌いではなかった。
「息子さんは、一緒に暮らしておられないのですか」
「あれは家業を継いで、それなりの男にはなったよ。ただもう、帰ってくることはないだろうね」
老婆は、それきりしばらく押し黙った。それ以上訊いてはならないような気がして、アダムも黙って器の汁を飲み干した。
「雨が降り出したな」
アダムがそばにあった棒で火床をつつき、薪にする枯れ枝を折ろうとしたところで、老婆が手を前に出して制した。その手で、素早く火に水をかけて消す。
「あんた、追われてるね」
「なに」
「後ろの床下から裏手に出て、山へお逃げ」
火の消えた闇のなかに、老婆のかすれた声だけが静かに響く。
アダムも、ようやく雨の向こうに気配を感じた。近づいてくるのはひとつやふたつではない。ここまで追ってきたのか、あまりに執拗だった。あの森に潜んでいることを、よほど知られてはならない連中だったのだろうか。
「なぜ私を助けるのです?」
「さあね。こんなに老いぼれてから若い者の役に立つってのも悪かないよ」
「しかし」
「もともとこの上の山小屋に向かってたんだろうよ、あんた。違うのかい」
「どうしてそれを?」
「あたしらには、命より大事なものさ。荷物のことを頼んだよ。さあ、もう行け。行くんだよ」
この老婆は、アダムの請けた依頼について知っている。なぜなのか。理由はわからない。詳しく訊ける状況でもなかった。
「すまない。ここにあるだけの路銀を置いておく」
「馬鹿だね若いの。屍を渡す月舟に、銭は無用さ」
闇に、老婆の抑えた笑い声が響く。それでもアダムは、懐にあった銭袋を置いた。もう振り返り、話をしている余裕はなかった。
隅を手で探ると、床板に手がかかる。そこから床下に出て、山のほうへ這って進んだ。
床下を出ると、冷たい雨が背を打った。眼前にあるのは、獣道すら定かでない山。アダムは躰が灌木に隠れるまで、地に伏せた恰好で進んだ。耳の後ろに雨が当たり、ぼつぼつと不快な音を立てる。土にまみれるが、気にしてなどいられなかった。
斜面を這い登り、下生えが多くなったところで、姿勢を低くしたまま身を起こす。小屋へ向けられた殺気が、アダムのところにも届いた。肌が寒気で波打つような殺気である。
あの老婆は、黒尽くめの集団をごまかしきれるのか。そして、そうまでして守ろうとする荷物とはなんなのか。
雨が強い。いまできるのはそれを幸いと捉えて、進むことだけだ。
急な斜面で足を取られる。突き出た小枝も多く、行く手を阻む。慎重に、通れる場所を探った。土についた跡は流れる。気をつけなければならないのは、この雨でも流れない、枝を折るなどして残してしまう痕跡だ。
荷物のことを頼んだ。老婆は、確かにそう言った。
アダムが雑貨商の老人から請けた依頼は、山小屋にある荷物の回収。それを北の簪呂国の安全な場所へ、無事に持ちこむこと。特別に大事な荷物であるため、腕の立つ者を探していた、という内容だった。
彼らにとって命より大事な荷物。アダムが追われる理由がその荷物にあるのだとすれば、単純な品だとは考えられなくなってきた。
月は、完全に雲に隠れている。闇に濡れた山はどこまで行っても、葉を打つ雨音に包まれているようだった。
流れる雲間から見え隠れする満月が、静止した者の姿を蒼白く照らし、また隠す。流動を続けながらも静寂を保つ、深い水底のような冷たさが、あたりを包んでいた。
森を抜ける風の音は低く、群れた狼の咆哮を思わせる響きは、得体の知れない闇の重さをより一層、際立たせている。
波打つように漂う月光に対し、取り囲む気配は微動だにしない。それはすでに、逃げる道がないことを示してもいた。
「道を開けてはもらえないようだな」
アダムは呟くように言った。聞こえているのかいないのか、正面に立つ人影から返答はない。顔に黒布を巻いてあるらしく、夜闇に眼だけが白く、異様に強い光を放っている。猛禽の眼。そんな感じもした。
剣を突きつけられているわけではない。それでもこうして向き合えば、かなりの手練れであることはわかる。小柄だが、肩幅などの体格からして男だろう。
周囲を固めている気配も含めると全部で六人。ただ、こういった手合いは先に数を決めてかからないほうがいい。実際に、視界の外に立っている者より、むしろ正面の一人から、気配らしいものがほとんど感じられなかった。人ではないものと睨み合っている。そんな気分にもなってくる。
どれくらい向き合っているのか。わずかな時が、ひどく長いもののように感じられた。たまたま行き遭った野盗ではない。自分を狙ってきた者たちであることは、ひりひりと肌を刺すような殺気が物語っている。
アダムは、対峙する六人の位置を測った。かすかな息遣い。放たれる殺気。視界の外側で、戦ぐ枝葉の音を遮る位置はどこか。夜眼はそれなりに利くほうだが、森のなかの小径である。その狭さが、活かせるのか、仇となるのか。
ひと際強い風に煽られた木々が、ざわざわと大きな音をたてた。
再びの静寂。アダムは確かめるように、左手の杖を握り直した。月光を受け、杖は闇に白く浮かびあがって見えている。腰には短剣があるが、手を伸ばすことはできない。先に動けば、そこに隙が生じる。それは避けたかった。
不意に、闇が深くなった。月が厚い雲に隠れたのだ。瞬間、すべてが静止したようになった。
突如、強烈な気魄の塊とでもいうべきものがアダムの全身を打つ。気配のなかった正面からの殺気。誘いだ。思った通り、それを合図に左右の影がいきなり踏みこんできた。アダムは杖の頭に右手を添え、向かってくる左の男の腹を杖先で突いた。そのまま反動を利用して杖を返し、杖の頭で右の男の手を打ち、短剣を叩き落とす。すれ違いざま、右の肘を男の鳩尾に叩きこんだ。
間断なく、ほとんど音もたてずに、左右の背後から別の二人が同時に斬りかかってきた。アダムは地に伏せるように前に倒れてかわし、地を転がりながら、さっき叩き落とした敵の短剣を逆手に拾いあげる。続けざまに斬りかかってくる刃を転がることで避け、立ちあがったときには追いすがる一人を拾った短剣で斬りあげていた。浅い。
身を翻し、左手の杖を大きく振りまわすことで相手の攻撃を牽制し、間合いを取る。躰を包む套衣も翻り、闇のなかにばたばたと音をたてて舞った。
大木の幹を背にして立ち、腰を落として右手の短剣を低く構える。ようやく一度、深く息を吸った。
左に三人、右に二人。正面にいた男の位置は変わっていないが、いつの間にか躰はこちらを向いている。アダムが短剣を奪った者以外、全員が短い剣を抜いていた。樹木の立ち並ぶなかで、長い剣より利があることはわかっている。間合いを保つ。そうするしかない。捨て身で踏みこまれては、かわしようがない。
左の一人が、じり、と間合いを詰める。不意に肌を打つ気配を感じ、アダムは上体をひねった。空を切る音とともに、頬を鋭い風が叩く。右からの飛礫。紙一重でかわしていた。飛礫を合図に、左の三人が斬りかかってくる。
一人目の斬撃をかわしながら、すれ違いざまに斬りつける。相手の腹を横に払って抜けた短剣を返し、二人目を斬りあげる。脇腹から胸にかけて斜めに深く入った短剣は抜けず、三人目の刃をかわすために柄から手を放した。
闇のなかで、白い光が躍るように跳ねる。振りおろされてくる短剣。その手首を、杖の柄で巻くように払いあげ、相手の懐に入って下腹に右肘を打ちこむ。
誰一人として声をあげない。三人目も呻きひとつ漏らさず、膝から崩れるようにして倒れた。
視界の端に、飛礫を打ったほうの二人の影が動く。素早く足もとの短剣を拾いあげ、駆け寄る二人に向き直ったところで血の気が引いた。動きのなかった正面の男の影が消えている。アダムは杖を軸に反動をつけ、横に身を投げるように跳びながら、手にある短剣を天に向けて投げ打った。手応え。地に倒れこんだアダムのそばに、衝撃とともに黒い塊が落ちてきた。動かずに正面に立っていた男だ。いつの間に跳躍したのか。倒れた男の首には、アダムの投げた短剣が突き立ち、月光を受けて白く輝いている。
残った二人は、わずかにたじろぐ気配を見せた。跳ね起きて向き合い、アダムはひとつ大きく息をした。肌がひりついたように痺れ、遅れて全身から汗が吹き出してくる。躰が熱い。血が燃えるように感じられた。
二人同時に来る構え。これまでの戦い方からすれば一方は誘い。次もそうなのか。呼吸を読む。アダムがはじめに浅く斬りあげた一人は息遣いが荒い。肩も大きく上下している。
跳ぶために利用した白杖は、アダムの手を離れていた。腰の短剣に手をやる。だが、抜く前に睨み合う眼が光り、手負いの一人が先に踏みこんできた。やはり誘いか。アダムはもう一方の攻撃に備えたが、手負っているほうがそのまま突っこんできた。アダムの腕を短剣がかすめる。浅く斬られたが、相手の手もとに手刀を打ちこみ、短剣を払い飛ばした。片膝をつきかけた手負いの男が跳躍し、覆いかぶさってくる。捨て身だ。
揉み合いになる。それを見計らったように、飛び退ったもう一人が長く指笛を吹いた。遠くまで響く音だ。加勢を呼んだのか。
アダムは覆いかぶさる男の側頭部に拳を打ちつけた。眉横の急所。意識が飛んだ男を蹴ってどける。転がり、地を掴むようにして跳ね起きる。
駆けた。残った一人が追ってくる。跳ね起きるときに掴んだ土を男に向かって投げた。男が怯み、腕で視界を覆うようにそれを遮る。アダムはその隙に荷袋と落とした白杖をさっと拾いあげ、また駆けた。
月明かりを頼りに、見知らぬ森を走る。加勢はどの方向から来るのか。わかりはしないが、駆けるしかない。なるべく開けた場所を選ぶ。足を取られて転べば、そこまでだ。
闇を蹴るように、駆けた。
なぜ、狙われたのか。
この森に踏みこんですぐに、黒尽くめの男一人と遭遇し、突然斬りかかられた。アダムは反射的に男の腕を掴んでひねった。相手の男は関節が柔らかく、アダムの手を振りほどこうと無理に躰を動かしたときに、自分の短剣で喉元を斬ったのだ。脈動に合わせて首から血があふれ出し、すぐに男は死んだ。
アダムに、そこで襲われる理由はなにもないはずだった。
しばらく滞在した寒村で、隠れ酒場の店主から話を聞き、その後、別の集落で雑貨商の老人に会った。そこで請けた仕事をこなすため、北を目指して歩いていただけだ。
そして、襲われた森の入口からいくらか進んだところで、先ほどの連中に囲まれた。
雑貨商の旦那は、大事な仕事だからと腕の立つ者を探していたようだが、こうなることをどこかで予測していたのだろうか。
しかし、まだ仕事の場所へと向かっている段階である。得体の知れない黒尽くめの連中に、アダムがこの依頼を請けたことを知られていたとしても、なにも手にしていないアダムを襲うことにあまり意味があるとは思えない。あとを尾行たり拘束しようというのではなく、いきなり殺しにかかってきたのだ。
この森そのものが、連中の縄張りだったのだろうか。森に立ち入っただけで襲われる理由があるとすれば、ほかになにがあるのか。考えたところで、わかりはしなかった。声ひとつあげず、闇を巧みに利用しながら連携をして襲いかかるすべは、そこらの野盗とは明らかに違うものだった。それだけは確かだ。
アダムは駆けながら、どちらへ向かうべきか考えた。このまま森を進めば、加勢の者に行き遭うかもしれない。考えながら、躰はもう森の続く北ではなく、西に向かって駆けていた。
東には険峻な山々が南北に連なった高山地帯があり、森はその麓まで続いている。かといって、西に寄りすぎるのも避けたかった。荒地が広がる西域との境を越えれば、また別の危険もある。
行く手を阻むような、黒々とした木々の隙間を縫うように駆け続ける。木の根や倒れた朽木に足を取られないよう、やはりなるべく開けた場所をたどる。駆けに駆け、傾斜をあがったところで、倒れた大木の陰に身を隠した。
呼吸にして四つ。追ってきた者の駆ける音が聞こえた。坂をあがったので、アダムの姿は一度、追手の視界から消えているはずだった。
口もとに套衣の裾を押し当て、駆け続けで乱れたままの息を押し殺す。鼓動が胸の内側を叩くように暴れている、とアダムは思った。思うことで、ほかのことは考えないようにした。黒い獣に追われているようなものだ。微妙な心の動きすらも、獣は察知しかねない。
坂をあがってきた追手は立ちどまり、奇妙な調子の指笛を吹きながら走りはじめ、やや北寄りのほうへと駆けて行った。
アダムもすぐに立ちあがり西へ向かった。追手の去った北寄りは避け、後ろも振り返らずに、ほとんど転げ出るようにして森を抜けた。
西には広漠とした原野が広がっており、その先が乾きの広がる西域になる。アダムが向かうのは北だが、いますぐに北へ進めば、あの黒尽くめの集団の仲間に捕捉される可能性は高い。なにを目的としている集団なのか、そしてどれほどの人数がいるのかもわからなかった。
突然襲われはしたが、腕を浅く刃先が撫でた痕と、頬をかすめた飛礫のひりついた感覚以外は、大きな傷は負っていなかった。腕の刃傷の血も、すでに止まっているようだ。
野営に慣れているからといって、不用意にあの森に入ったのは間違いだった、といまにして思う。
夕暮れに見た雲の流れが速く、夜は雨が降ると予想した。それで雨露を避けるために、森の木々を利用して屋根のある簡単な寝床を組もうとしていたのだ。それも、たいした警戒もせずに歩いていた。毒蛇には注意していたが、人の気配など、まるで感じなかったのである。
素早く歩く。急いだが、駆けることはしなかった。駆ければ目立ち、警戒すべきものを見落とすかもしれない。
ひとまず、うまく撒いたようだった。しばらく警戒しながら進んだが、追手の気配はすっかり消えている。それでも警戒は怠らなかった。おそらくは隠術を使いこなす者たちで、人知れず殺しを遂行するために、気配を隠すすべも持っているはずだ。
月明かりを頼りに、もう少し森から離れながら、北へ向かうことにした。
左手に丘陵が見える。月と星を見て方角はわかっているが、目立った印のない原野を行くよりもいいように思えて、自然とその山のほうへと足を向けていた。
南西の風。もうこの地域は雨季に入っていてもいい時季だ。
雲の流れは相変わらず、吹き飛ばされていくようなめまぐるしさで形を変えていく。原野を照らす月光も、生温い風にたなびく帯でもあるかのように、ゆらゆらと揺れていた。
しばらく歩くと、小川に行きあたった。岸の幅から見れば痩せているが、ちろちろと水は流れている。
アダムは少し考えて、これが目印として聞いていた川の、支流であると見当をつけた。本当なら森のなかで本流にぶつかり、そこから上流を目指すつもりだったのだ。森を出てなんとなく足を向けていたあの山が、まさに請けた仕事が待っている場所、ということだった。
川上に眼をやる。山の手前あたりの木々の隙間から、細く煙があがっているのが見えた。細いが、間違いなく煙だ。野営する者か、人家があるのか。それほど遠くはない。わずかな路銀しかないが、分けてもらえるなら食い物にもありつけるかもしれない。
周囲を警戒しながら一刻(約三十分)ほど歩くと、横の木によりかかるようにして、いかにも粗末な造りのあばら屋が建っていた。小屋の裏手はすぐに山になっている。なかで火を熾しているらしく、あちこちの壁板の隙間から光が漏れており、一帯には獣肉の焼けるにおいが立ちこめている。腹が鳴っていた。
アダムが戸口の前まで近づくと、訪いを入れるより先にがたがたと音をたてて戸が開き、なかから老人の顔が覗いた。暗さのせいもあるが、皺が深く、表情はおろか、老爺か老婆か、ということもいまひとつ判然としない。
「すみません。ひと晩、屋根を貸してもらえないでしょうか」
言うと、老人はアダムをじっと見たあと、無言で請じ入れた。
火のそばに腰をおろす。腹は減っているが、当然ながら焼かれているのは一人分の肉で、それを分けてもらおうとは思わない。老人は腰も曲がっており、わずかな獣肉もそれほど簡単に手に入りはしないだろう。
アダムは老人に気を遣わせないように横を向いていたが、器が差し出された。
「これくらいしかやれんが、飲め。裏の山で採れた山菜を煮こんだ汁だ」
「これはありがたい」
アダムは湯気が昇る器を両手で受け取り、息を吹きかけて口をつけた。白く濁ったわずかにとろみのある汁で、それほど味は濃くないが、朝霧に濡れた樹木のような豊かな香りが、鼻を抜ける。茸もいくつかの種類が入っているようだ。
「ここには、お一人で?」
「住みはじめて二十年余りになるかの」
老人は歯のほとんどない口をすぼめて答え、いつまでもしつこくしゃぶっていた獣肉の骨を、火のなかに投げ入れた。
「夫と、遅くにできた息子はおった。ここには小さな村があってな」
夫がいたのならば、この老人は老婆なのだろう。答えを知っても、揺れる火に照らされた老人の表情はあまり読み取れず、しばらく見ているとアダムにはやはり、見ただけでは男女どちらなのかわからなかった。
老婆は、息子が生まれてここに住みはじめたころ、夫と二人で山菜採りをしていたと話した。山を越えた北側にも小屋があり、山に入れない時季は木籠を作ったり、川魚を釣ったりしていたという。それは片手間にやるという言い方で、本来の仕事はまた別にあったようだ。
「あのころは楽しかった。もちろん、それだけではなかったが。貧しくても、馬鹿を言う相手がおるのは救いになるでな。いつも夢のような話を大真面目にする男で、無理が続いて、老いぼれる前に躰を壊して死におった。いまになって、あの夢の続きを知りたいと思ったりする。もう、どうやっても知ることはできんがな」
アダムは、しばらく老婆の話を黙って聞いていた。都の欲にまみれた話は嫌になるが、生臭さのない枯れた老人の話を聞くのは嫌いではなかった。
「息子さんは、一緒に暮らしておられないのですか」
「あれは家業を継いで、それなりの男にはなったよ。ただもう、帰ってくることはないだろうね」
老婆は、それきりしばらく押し黙った。それ以上訊いてはならないような気がして、アダムも黙って器の汁を飲み干した。
「雨が降り出したな」
アダムがそばにあった棒で火床をつつき、薪にする枯れ枝を折ろうとしたところで、老婆が手を前に出して制した。その手で、素早く火に水をかけて消す。
「あんた、追われてるね」
「なに」
「後ろの床下から裏手に出て、山へお逃げ」
火の消えた闇のなかに、老婆のかすれた声だけが静かに響く。
アダムも、ようやく雨の向こうに気配を感じた。近づいてくるのはひとつやふたつではない。ここまで追ってきたのか、あまりに執拗だった。あの森に潜んでいることを、よほど知られてはならない連中だったのだろうか。
「なぜ私を助けるのです?」
「さあね。こんなに老いぼれてから若い者の役に立つってのも悪かないよ」
「しかし」
「もともとこの上の山小屋に向かってたんだろうよ、あんた。違うのかい」
「どうしてそれを?」
「あたしらには、命より大事なものさ。荷物のことを頼んだよ。さあ、もう行け。行くんだよ」
この老婆は、アダムの請けた依頼について知っている。なぜなのか。理由はわからない。詳しく訊ける状況でもなかった。
「すまない。ここにあるだけの路銀を置いておく」
「馬鹿だね若いの。屍を渡す月舟に、銭は無用さ」
闇に、老婆の抑えた笑い声が響く。それでもアダムは、懐にあった銭袋を置いた。もう振り返り、話をしている余裕はなかった。
隅を手で探ると、床板に手がかかる。そこから床下に出て、山のほうへ這って進んだ。
床下を出ると、冷たい雨が背を打った。眼前にあるのは、獣道すら定かでない山。アダムは躰が灌木に隠れるまで、地に伏せた恰好で進んだ。耳の後ろに雨が当たり、ぼつぼつと不快な音を立てる。土にまみれるが、気にしてなどいられなかった。
斜面を這い登り、下生えが多くなったところで、姿勢を低くしたまま身を起こす。小屋へ向けられた殺気が、アダムのところにも届いた。肌が寒気で波打つような殺気である。
あの老婆は、黒尽くめの集団をごまかしきれるのか。そして、そうまでして守ろうとする荷物とはなんなのか。
雨が強い。いまできるのはそれを幸いと捉えて、進むことだけだ。
急な斜面で足を取られる。突き出た小枝も多く、行く手を阻む。慎重に、通れる場所を探った。土についた跡は流れる。気をつけなければならないのは、この雨でも流れない、枝を折るなどして残してしまう痕跡だ。
荷物のことを頼んだ。老婆は、確かにそう言った。
アダムが雑貨商の老人から請けた依頼は、山小屋にある荷物の回収。それを北の簪呂国の安全な場所へ、無事に持ちこむこと。特別に大事な荷物であるため、腕の立つ者を探していた、という内容だった。
彼らにとって命より大事な荷物。アダムが追われる理由がその荷物にあるのだとすれば、単純な品だとは考えられなくなってきた。
月は、完全に雲に隠れている。闇に濡れた山はどこまで行っても、葉を打つ雨音に包まれているようだった。
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