魔導士なのに賢者になりたいとか言い出したんですが、バカなんですか?

tukisirokou

文字の大きさ
2 / 5

2

しおりを挟む
 
「それで?どうしますか?」

「うーん・・・冒険者ってどうやってなるかアルトは知ってる?」

「・・・・・まさか知らずに言ってたんですか?」

 又もや、はぁ・・・と僕はため息をついた。
 何故にこうも見切り発車なのだろうか?本気で彼女を心配する。
 それでも、何とかやっていけるのだから世の中は不思議だ。

「取り敢えず街に行きましょうか。そこで冒険者を纏める『冒険者ギルド』がありますから、登録しましょう。所持金も無い事ですし」

 そう、これは切実な問題だ。
 なんせ今までは、森に住んでいた為、自給自足の生活で十分事足りた。
 日用品なども対して困らない。

 何故なら、僕は師匠とは違って錬金術も使えるから・・・。
 因みに師匠は僕が錬金術を使えることは知らない。
 だって、師匠の為に僕は覚えたんだから・・・。

「じゃあ街にレッツ・ゴー!」

 と意気揚々と言ったかと思えば魔法陣を展開した。
 コレは転移の魔法陣だ。
 本当に初っ端から規格外だ。これ高等魔法ですけど・・・。


 * * *


 一瞬にして移動した先は、王都だった。
『王都・イエルタ』このスヴェール国の首都だ。
 そしてこの大陸一番の大国であり、勇者を輩出した国。

 街に入るが、あまり昔と変わったことはない。
 建物が新しくなったとか、ちょっと建築様式が変わったな・・・ぐらいだ。

 なんせあれから300年しか経ってない。
 そうそう戦が無い限り建物も壊れる事がないだろう。
 昔より魔法は身近なものになったし、錬金術も発展している。
 建物の保護や修復なんて簡単に出来る様になっただろうから。

 辿り着いた冒険者ギルドは大きかった。
 今は魔族や魔王と言った最も危険な者達と相対することはないが、魔物は別だ。
 今でも、魔族・人間問わず被害をもたらす。

 魔族が魔物を使役して、人に嗾けているなんて絵空事だ。
 実際には双方に被害が出ているんだから・・・。

 取り敢えず、冒険者登録をして、幾つか依頼を受けないと今日寝る場所も食べる物もない。
 まぁ、転移して家に帰るのも手だが、師匠は嫌がるだろうし・・・。
 僕は手始めに冒険者登録をするべくカウンターに向かった。

「こんにちは、依頼でしょうか?」

「いえ、冒険者登録をお願いします。僕と彼女の」

 人好きする笑顔を見せる女性は、僕と師匠をみると用紙を二枚出してきた。

「こちらに、お名前を」

 言われるがままに名前を書き、女性に手渡す。
 因みに師匠は物珍しいのか、周りをきょろきょろしているので、僕が記入した。
 どこかに行ってしまわないだけマシだ。

「はい。確かに、『アルト』さんと『メリッサ』さんですね。ではこちらの石板に一人ずつ触れて下さい。冒険者カードを登録しますので」

 女性の言う通りにそれぞれ登録をする。

「では、簡単に冒険者の仕事を説明しますね。まず冒険者にはランクがあります。F~Sまでになり、お二人はFランクからのスタートですね。ランクを上げると、受けられる依頼が増えます。それに比例して報酬も上がりますが、危険度も上がりますので注意してください。依頼を失敗されると報酬は勿論出ません。失敗が度重なるとランクが下がってしまいますので、気を付けて下さい。それからランクを上げる方法ですが、一定の依頼をこなすと上がる方式になっています。こちらは自動的に冒険者カードに記載がされますので虚偽の報告は出来ません。何か質問はございますか?」

「いえ、大丈夫です。ありがとうございます」

「いいえ、依頼はあちらのボードに張り出されていますので、そちらを持ってカウンターにお越しください。受付をしますから」

 お礼を言って師匠と二人、依頼ボードに向かう。

「師匠どれにしますか?」

「ふむ。これとかどうかな?」

「どれですか?・・・師匠、これAランクですよ。受けられません。Fのを探して下さい」

 膨れる師匠を諫めて、依頼を選ばせる。
 よりにもよって師匠はAランクのワイバーン討伐を指さしたのだ。
 そりゃ師匠と僕なら何も問題はない。でも規律上受けられのだから仕方がない。

「これならいいでしょ?」

 と次に見せて来たのは、『薬草採取』と『キラービー』と『ゴブリン』の討伐だ。
 これなら問題はないし、この三つなら今日の宿とそこそこの食事は食べれるので、これにした。


 結果。
 薬草採取は手慣れた物だったので直ぐに終わり、キラービーとゴブリンなんて直ぐに討伐出来た。
 魔法で一発だ。
 しかもゴブリンメイジ・ゴブリンキングと出てきたが、難なく討伐。
 今日でランクDまで上がった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

うっかり結婚を承諾したら……。

翠月るるな
恋愛
「結婚しようよ」 なんて軽い言葉で誘われて、承諾することに。 相手は女避けにちょうどいいみたいだし、私は煩わしいことからの解放される。 白い結婚になるなら、思う存分魔導の勉強ができると喜んだものの……。 実際は思った感じではなくて──?

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜

美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。

石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。 自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。 そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。 好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

没落貴族とバカにしますが、実は私、王族の者でして。

亜綺羅もも
恋愛
ティファ・レーベルリンは没落貴族と学園の友人たちから毎日イジメられていた。 しかし皆は知らないのだ ティファが、ロードサファルの王女だとは。 そんなティファはキラ・ファンタムに惹かれていき、そして自分の正体をキラに明かすのであったが……

あっ、追放されちゃった…。

satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。 母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。 ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。 そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。 精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。

処理中です...