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9話 プレオープン
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結果として、ザビーネの卵は三日で孵った。しかも孵ったその日には蛹になり成虫にもなった。
生まれた幼虫は自分が生まれた卵を食べ、蛹になり、そのまま成虫だ。早いにもほどがある。
生まれたのはビーワーカーだが、新たな発見もあった。
産んだ10個の卵の一つが銀色だったのだ。そしてその卵から生まれたのはビーメイジだった。
稀に当たりが出るというのはこういう事だったらしい。
さて、3日で育つなら話は別だと俺は毎日<産卵>を二人のクイーンに命じた。ザビーネの方は<召喚>も使えるのでそちらはビーナイトを出してもらった。
<産卵>の当たりの確率はだいたい10%くらいのようだ。10個中1個は銀の卵が出てる。出ない日もあるが、2個出る日もあるので平均して一日一個、10%だ。
ちなみにトマトは花が咲いてから5日で収穫時期を迎えた。
この事から恐らく成長促進効果は10倍とかいう恐ろしい倍率である事が判明した。
ザビーネに巣を作らせ、そちらに置いた卵はまだ孵化してないので、恐らくはこの推測はあっていると思う。
あちらの巣の卵が一月で孵れば確定だ。ザビーネの作った巣の形は足長バチの巣に似ている。
ちなみに俺の宝具であるプランターは形を変え、卵パックみたいな構造にして卵の保持をしやすくした。土を入れればそのままプランターとしても使えるし。
今では巨大な卵畑である。
ビークイーンやアントクイーンの卵の大きさは約10cmだ。それがずらっと並んでいるのである。
俺は毎日のようにプランターの宝具に魔力を流して拡張している。
畑兼孵化装置として大活躍である。
そうして2週間が経ち、俺はついにダンジョンのプレオープン日を迎えることとなった。
◇
プレオープン。
ダンジョンマスターのチュートリアルと言えるこの期間は、とにかくDP稼ぎと人気の安定化だ。
ダンジョンコアを破壊されるのはアウトだが、ある程度攻略はされないと冒険者が来なくて結局ダンジョンの成長が止まってしまう。
そんな訳で朝9時、ダンジョンコアから目の前に展開された空中スクリーンにダンジョン内の様子が映し出されている。俺が見ているのはその中でもダンジョンの入り口、アーチの場所だ。
ダンジョンには侵入できる状態のはずだが、入ってこない。
それから30分ほど画面を眺めていると、ようやく侵入者が入ってきたようだ。
侵入者は若い少年の3人組。
見渡す限りの草原に驚いているようだ。そのまま進み……あっ……
右から来たホーンラビットとヘッジホックの小隊にやられた。
全く気が付かなかったようだ。そして彼らの死体は光になってすぐに消えてしまった。
「完全にゲームだよな。 フルダイブが現実になった訳かぁ…」
それからしばらく見ていると少しづつ侵入者は増えて行ったが、みんな500メートルくらい進んだらホーンラビット達にやられていった。ホーンラビットがやられても、他のホーンラビット小隊が戦っている間にリスポーンのための1時間がたち、ホーンラビットが居なくならない…。
結局、初日は二階層への到達者すら出なかった。
倒されたのも召喚魔方陣で召喚されたホーンラビットやヘッジホックのみ。魔物を追加する必要すらない。
稼げたDPは210DPほど、入って来た人数に対してはかなり効率がいいが……なんというか拍子抜けだ。
ダンジョンの営業終了後、することも無いので、外に食べに行くことにした。
◇
酒場に入り、つまみと飲み物を注文する。
「串焼き定食と、酒ダメなんでリンゴジュースください、炭酸抜きで」
「はーい」
ええそうです。酒も炭酸もついでにタバコもしてないさ俺は。前世からこうだし、今世では嗜好品なんて口にすることなかったからな。
と、酒場に来たもう一つの目的を果たすために耳を澄ませる。
「今日の成果はどうだったよ」
「なんもねぇよ、【信仰の迷宮】に入って速攻で死んだよ」
「有名どころか、まぁ妥当だな。 難しかったのか?」
「難しいなんてレベルじゃねぇよ。 すでに天使がいやがったんだ」
「は? 天使? Fランクのダンジョンにか?」
「ああ…おかげでパーティメンバー全員が即死だよ。 明日はレベルを戻すために適当なダンジョンに行かなきゃな…」
「ご愁傷さまって奴だな。 しかしFランクで天使とは…流石は『七美徳』の『名のある迷宮』ってことか」
酒場で聞き耳を立てて得られる情報は多い。それが正確かはともかくな。
聞いてる限りどうやら当日は『名のある迷宮』が大人気らしい。
『名のある迷宮』と言えば『属性』『色彩』『七美徳』『七大罪』と色々と有名どころがあるが、今回は今年に新しくできた『名のある迷宮』だろう。
今年のネームドと言えば先ほど出てた【信仰の迷宮】が七美徳、さらには色彩系のダンジョンも増えていたはずだ。
もどってダンジョンのリストを確認すれば、誰がどのダンジョンを運営してるかと何のギフトを貰ったのかは解る。
ともかく、俺のダンジョンに人が来なかったのは、他が大人気だった影響って訳だ。
冒険者が神殿で蘇れるのは一日一回、しかもダンジョン都市限定だ。
有名どころに行って死んだんじゃ、そりゃぁ俺のダンジョンには来ないわな。
そして明日は適当な所でレベリングらしい。
つまりは一般迷宮である俺のダンジョンは明日からが本番って訳だ。
生まれた幼虫は自分が生まれた卵を食べ、蛹になり、そのまま成虫だ。早いにもほどがある。
生まれたのはビーワーカーだが、新たな発見もあった。
産んだ10個の卵の一つが銀色だったのだ。そしてその卵から生まれたのはビーメイジだった。
稀に当たりが出るというのはこういう事だったらしい。
さて、3日で育つなら話は別だと俺は毎日<産卵>を二人のクイーンに命じた。ザビーネの方は<召喚>も使えるのでそちらはビーナイトを出してもらった。
<産卵>の当たりの確率はだいたい10%くらいのようだ。10個中1個は銀の卵が出てる。出ない日もあるが、2個出る日もあるので平均して一日一個、10%だ。
ちなみにトマトは花が咲いてから5日で収穫時期を迎えた。
この事から恐らく成長促進効果は10倍とかいう恐ろしい倍率である事が判明した。
ザビーネに巣を作らせ、そちらに置いた卵はまだ孵化してないので、恐らくはこの推測はあっていると思う。
あちらの巣の卵が一月で孵れば確定だ。ザビーネの作った巣の形は足長バチの巣に似ている。
ちなみに俺の宝具であるプランターは形を変え、卵パックみたいな構造にして卵の保持をしやすくした。土を入れればそのままプランターとしても使えるし。
今では巨大な卵畑である。
ビークイーンやアントクイーンの卵の大きさは約10cmだ。それがずらっと並んでいるのである。
俺は毎日のようにプランターの宝具に魔力を流して拡張している。
畑兼孵化装置として大活躍である。
そうして2週間が経ち、俺はついにダンジョンのプレオープン日を迎えることとなった。
◇
プレオープン。
ダンジョンマスターのチュートリアルと言えるこの期間は、とにかくDP稼ぎと人気の安定化だ。
ダンジョンコアを破壊されるのはアウトだが、ある程度攻略はされないと冒険者が来なくて結局ダンジョンの成長が止まってしまう。
そんな訳で朝9時、ダンジョンコアから目の前に展開された空中スクリーンにダンジョン内の様子が映し出されている。俺が見ているのはその中でもダンジョンの入り口、アーチの場所だ。
ダンジョンには侵入できる状態のはずだが、入ってこない。
それから30分ほど画面を眺めていると、ようやく侵入者が入ってきたようだ。
侵入者は若い少年の3人組。
見渡す限りの草原に驚いているようだ。そのまま進み……あっ……
右から来たホーンラビットとヘッジホックの小隊にやられた。
全く気が付かなかったようだ。そして彼らの死体は光になってすぐに消えてしまった。
「完全にゲームだよな。 フルダイブが現実になった訳かぁ…」
それからしばらく見ていると少しづつ侵入者は増えて行ったが、みんな500メートルくらい進んだらホーンラビット達にやられていった。ホーンラビットがやられても、他のホーンラビット小隊が戦っている間にリスポーンのための1時間がたち、ホーンラビットが居なくならない…。
結局、初日は二階層への到達者すら出なかった。
倒されたのも召喚魔方陣で召喚されたホーンラビットやヘッジホックのみ。魔物を追加する必要すらない。
稼げたDPは210DPほど、入って来た人数に対してはかなり効率がいいが……なんというか拍子抜けだ。
ダンジョンの営業終了後、することも無いので、外に食べに行くことにした。
◇
酒場に入り、つまみと飲み物を注文する。
「串焼き定食と、酒ダメなんでリンゴジュースください、炭酸抜きで」
「はーい」
ええそうです。酒も炭酸もついでにタバコもしてないさ俺は。前世からこうだし、今世では嗜好品なんて口にすることなかったからな。
と、酒場に来たもう一つの目的を果たすために耳を澄ませる。
「今日の成果はどうだったよ」
「なんもねぇよ、【信仰の迷宮】に入って速攻で死んだよ」
「有名どころか、まぁ妥当だな。 難しかったのか?」
「難しいなんてレベルじゃねぇよ。 すでに天使がいやがったんだ」
「は? 天使? Fランクのダンジョンにか?」
「ああ…おかげでパーティメンバー全員が即死だよ。 明日はレベルを戻すために適当なダンジョンに行かなきゃな…」
「ご愁傷さまって奴だな。 しかしFランクで天使とは…流石は『七美徳』の『名のある迷宮』ってことか」
酒場で聞き耳を立てて得られる情報は多い。それが正確かはともかくな。
聞いてる限りどうやら当日は『名のある迷宮』が大人気らしい。
『名のある迷宮』と言えば『属性』『色彩』『七美徳』『七大罪』と色々と有名どころがあるが、今回は今年に新しくできた『名のある迷宮』だろう。
今年のネームドと言えば先ほど出てた【信仰の迷宮】が七美徳、さらには色彩系のダンジョンも増えていたはずだ。
もどってダンジョンのリストを確認すれば、誰がどのダンジョンを運営してるかと何のギフトを貰ったのかは解る。
ともかく、俺のダンジョンに人が来なかったのは、他が大人気だった影響って訳だ。
冒険者が神殿で蘇れるのは一日一回、しかもダンジョン都市限定だ。
有名どころに行って死んだんじゃ、そりゃぁ俺のダンジョンには来ないわな。
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