ありふれたダンジョンでも異世界をエンジョイする!

プラントキング

文字の大きさ
14 / 51

13話 死ぬほど痛いぞ

しおりを挟む
ボス部屋の魔物の全滅。
あっけにとられている暇はない。

俺はクイーン達を連れて私室の扉を開けて入っていく。当然ここは鍵をかける。壁も扉も薄い作りだが、ダンジョンの壁は破壊不能オブジェクトだ。ダンジョンコアを塞いでいない、通り道でもない限りはこの効果は適用される。

重厚なボス部屋の扉を開けて侵入者達はダンジョンコアの間に入って来たようだ。

「誰も居ないか、戦えるタイプのダンジョンマスターじゃなくて助かるな」
「魔物よりも厄介な時もあるものね」
「ああ、それにしても中々の難易度のダンジョンだったな。本当にFランクか?」
「Dランクのモンスターが36体だったからね、火の魔法が効果的で助かったけどね」
「それでもドラコの奴がやられるのは想定外だったけどな」
「最後の特攻はびっくりしたわね。<背水>の発動したドラコの防御力でも回復が間に合わなかったもの」
「だな、これはオープン後は狙えないかな」
「でしょうね、それでもダンジョンコアが手に入るから大儲けではあるんだけど」
「他にも狙いどころは沢山ありますからね。わざわざ死にやすい場所を選ぶ必要はないでしょう」
「さて、それじゃ割っちまうか」

どう考えてもFランクの冒険者じゃない動きだったが、恐らくは偽Fランクって奴だろう。

Fランクのダンジョンは『ダンジョンカード』がFランク以下じゃないと入場できない。
だから基本的にはFランク相応の侵入者しか来ないのだが、このダンジョンカードには抜け道がある。
ダンジョンカードは教会で更新が出来るのだが、更新しなければずっと同じランクのままなのだ。
つまり、実力が高くても更新さえしなければFランクのままを維持できるって訳だ。

これが冒険者ギルドで使う『ギルドカード』ならランクが低いと多々不都合があるのだが『ダンジョンカード』はダンジョンでしか使わない。つまりはダンジョン都市以外では無用の長物なのだ。
もちろんギルドカードにはダンジョンカードのランクも表示されるので、高ランクダンジョンの情報とか攻略や採取の依頼などは来なくなるデメリットは存在するが。
それを補って余りあるほどダンジョンコアの入手ってのが重要視されている訳だ。

蘇生アイテムの話は俺も調べた。
<錬金術>で作れるらしく、寿命以外の要因で死んだ場合に完全蘇生できるっていう凄い代物だ。
事故に戦争に国防にダンジョン外の魔物災害、使いどころはどこにでもある。

噂程度には聞いていた。これが偽Fランクか。
この敗北を糧に、次にどう生かすか。プレオープンは死にはしない、問題はオープンしてか……

「うぐっ…!?」

そうして俺の意識は途切れた。



起きたら青空だ。いや、正確には青空みたいな天井か。

なるほどな、ダンジョンコアを破壊されるとああなるのか……

「二度とごめんだな…」

生きたまま四肢が引き裂かれるような痛みを心に負ったような、心がばらばらに砕けたような。
そんな感覚を味わったにもかかわらず”真っ当な思考ができる状態に”蘇っている。
しかし、感覚としては鮮明に思い出せるのだ。
拷問された記憶が正確に残っているのに廃人ならない感覚と言うか、なんというか…。

ともかく、プレオープンは死にはしないとか。そんなことを言っている場合じゃない。

言葉にすれば簡単だ。死ぬほど痛いぞ。まさにこれだ。
あんなヤバいとは思わなかった。死ぬってのはああいう事なのかと、今更理解した。

とにかく対策だ。
ボス部屋は難攻不落でいい。どうにかしなくちゃならん。
手っ取り早いのは高ランクモンスターの召喚だ。しかしながら当然それにはDPが必要だ。

だがついさっき大量の魔物を失ったばかりだ。
全て<召喚>か<産卵>で出した魔物なので実質無料だが、当然即補充って訳にも行かない。
Dランク30匹と言えばDP換算で30000DP、適正のある魔物でも15000DPもかかるのだ。
つまりそのレベルの魔物を並べないと太刀打ちできない敵が来ると言う事なのだ。

ちなみにダンジョンコアが破壊され、俺は1時間後に蘇生された訳だが。現在俺のダンジョンは休業扱いだ。
攻略されたプレオープンのダンジョンはその日はもう入場できなくなり、侵入者も強制退出させられる。
それに一度攻略した冒険者は同じダンジョンにはプレオープン期間中には入れなくなる。
なので今のダンジョンは弄り放題だ。

しかしながらどうするべきか。

先ほどの彼らがプレオープン中は来れないのは確かだが、彼らレベルが他に居るという想定はしておくべきだろう。
高ランクの魔物は確かに強い。
だが、結局単体では対策され、連携され倒されてしまう。
先ほどの連中も本来はDランクの魔物では倒せない相手だっただろう。だが、連携と特攻が合わさり一人だけでも倒せたのだ。
やはり、数と力、どちらも欲しい……

「どうするべきか、確か残りのDPは3000ちょっと……は?」

俺はダンジョンコアに触れて確認したDPの残高に唖然となった。

残り8900DP。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

極限効率の掃除屋 ――レベル15、物理だけで理を解体する――

銀雪 華音
ファンタジー
「レベル15か? ゴミだな」 世界は男を笑い、男は世界を「解体」した。 魔力も才能も持たず、万年レベル15で停滞する掃除屋、トワ。 彼が十年の歳月を費やして辿り着いたのは、魔法という神秘を物理現象へと引きずり下ろす、狂気的なまでの**『極限効率』**だった。 一万回の反復が生み出す、予備動作ゼロの打撃。 構造の隙間を分子レベルで突く、不可視の解体。 彼にとって、レベル100超えの魔物も、神の加護を受けた聖騎士も、ただの「非効率な肉の塊」に過ぎない。 「レベルは恩恵じゃない……。人類を飼い慣らすための『制限(リミッター)』だ」 暴かれる世界の嘘。動き出すシステムの簒奪者。 管理者が定めた数値(レベル)という鎖を、たった一振りのナイフで叩き切る。 これは、最弱の掃除屋が「論理」という名の剣で、世界の理(バグ)を修正する物語。気になる方は読んでみてください。 ※アルファポリスで先行で公開されます。

捨てられた貴族六男、ハズレギフト『家電量販店』で僻地を悠々開拓する。~魔改造し放題の家電を使って、廃れた土地で建国目指します~

荒井竜馬@書籍発売中
ファンタジー
 ある日、主人公は前世の記憶を思いだし、自分が転生者であることに気がつく。転生先は、悪役貴族と名高いアストロメア家の六男だった。しかし、メビウスは前世でアニメやラノベに触れていたので、悪役転生した場合の身の振り方を知っていた。『悪役転生ものということは、死ぬ気で努力すれば最強になれるパターンだ!』そう考えて死ぬ気で努力をするが、チート級の力を身につけることができなかった。  それどころか、授かったギフトが『家電量販店』という理解されないギフトだったせいで、一族から追放されてしまい『死地』と呼ばれる場所に捨てられてしまう。 「……普通、十歳の子供をこんな場所に捨てるか?」 『死地』と呼ばれる何もない場所で、メビウスは『家電量販店』のスキルを使って生き延びることを決意する。  しかし、そこでメビウスは自分のギフトが『死地』で生きていくのに適していたことに気がつく。  家電を自在に魔改造して『家電量販店』で過ごしていくうちに、メビウスは周りから天才発明家として扱われ、やがて小国の長として建国を目指すことになるのだった。  メビウスは知るはずがなかった。いずれ、自分が『機械仕掛けの大魔導士』と呼ばれ存在になるなんて。  努力しても最強になれず、追放先に師範も元冒険者メイドもついてこず、領地どころかどの国も管理していない僻地に捨てられる……そんな踏んだり蹴ったりから始まる領地(国家)経営物語。 『ノベマ! 異世界ファンタジー:8位(2025/04/22)』 ※別サイトにも掲載しています。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!

霜月雹花
ファンタジー
 神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。  神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。 書籍8巻11月24日発売します。 漫画版2巻まで発売中。

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

お帰り転生―素質だけは世界最高の素人魔術師、前々世の復讐をする。

永礼 経
ファンタジー
特性「本の虫」を選んで転生し、3度目の人生を歩むことになったキール・ヴァイス。 17歳を迎えた彼は王立大学へ進学。 その書庫「王立大学書庫」で、一冊の不思議な本と出会う。 その本こそ、『真魔術式総覧』。 かつて、大魔導士ロバート・エルダー・ボウンが記した書であった。 伝説の大魔導士の手による書物を手にしたキールは、現在では失われたボウン独自の魔術式を身に付けていくとともに、 自身の生前の記憶や前々世の自分との邂逅を果たしながら、仲間たちと共に、様々な試練を乗り越えてゆく。 彼の周囲に続々と集まってくる様々な人々との関わり合いを経て、ただの素人魔術師は伝説の大魔導士への道を歩む。 魔法戦あり、恋愛要素?ありの冒険譚です。 【本作品はカクヨムさまで掲載しているものの転載です】

転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚

熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。 しかし職業は最強!? 自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!? ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。

処理中です...