ありふれたダンジョンでも異世界をエンジョイする!

プラントキング

文字の大きさ
34 / 51

31話 最近の噂(冒険者視点)

しおりを挟む
「はぁ……」
「どうしたよ、ずいぶん深刻そうな溜息じゃねぇか」

そう言ったのは別のパーティに所属している同じEランク冒険者の男。

「どうもこうもねぇよ、俺らのパーティが潜ってたダンジョンが消えちまったんだよ」
「最近か? 覚えてねぇな、そんなに人気なダンジョンだったのか?」
「いや、【氷狼の迷宮】だよ。北国の出身だからな、雪には慣れてるからやりやすかったんだが」
「ああ、あの【六区の迷宮】に負けたとこか」
「はぁ……」

男は本当に残念そうにしていた。

「ま、お貴族様だったしな。仕方ねぇさ」
「どういう意味だよ」
「なんだおめぇ、知らねぇのか? 帝国の貴族と冒険者は軒並み【六区の迷宮】を狙ってんだよ。【氷狼】も確か帝国貴族だったはずだ」
「じゃぁなにか? あの迷宮はお貴族様絡みで消えちまったのかよ」
「まぁそうだろうな」
「はぁ、くっだらねぇ…なんでわざわざ勝てない相手に挑むかねぇ? 【六区の迷宮】って確かDランクだろ? 今季最優の迷宮の一つじゃねぇか」
「さぁな、勝てると思ったのか、上からの命令か。俺らにはわかんねぇよ」

男はやれやれって感じで首を振る。
酒場には疲れている冒険者がやけに多い。

「最近やたらとダンジョンが消えるよな」
「ああ。なんでもプレオープンで『ダンジョンコアの欠片』が稼げなかったから、攻略できるダンジョンが攻略されてるんだってよ」
「他にも【六区の迷宮】に挑んで消えてくダンジョンも多いしな」
「あそこは連戦連勝だもんな」
「まぁ格下相手だけどな」
「そこは仕方ねぇだろ。Dランク以上のダンジョンは軒並み『同盟』組んでんだろ? 流石の【六区の迷宮】も挑めねぇだろ」
「まぁ【六区】側が挑んでるのかは知らねぇけどな」
「ああ、帝国側がちょっかいかけてんのか? どっちでもいいけどよ。てか、他に良いダンジョンはねぇのかよ?」

冒険者ギルドでは魔石や素材の納品依頼の他にも、ダンジョンの情報が掲載されている。
○○の迷宮が勝ったとか、同盟を結んだとか。そういった情報だ。ダンジョンコアで通知が来た次の日には、冒険者ギルドで掲載されている訳だ。
その掲載が最近は連日【六区の迷宮】だと言うのだから、気になるのも当然だろう。

他の席でもFランクやEランクの冒険者が多い。ここはそういう酒場だ。
彼らの潜っていたダンジョンは最近になって軒並み姿を消している。

「【羽虫】と【草牙】はどうよ?」
「【羽虫】は経験値はいいんだが、最近は人も多いし、相変わらず金にはなりにくいんだよなぁ。虫の素材は使い道がなぁ」
「昔は装備とか食料にしてたらしいけどな」
「マジかよ、どんだけ困窮してたんだ?」
「さぁな、今じゃいくらでもラビットの肉とか食えるからな」
「ああ、出来ればやっぱそっち方面の稼ぎも欲しいんだよな」
「獣系ならって言うと【草牙】か? あっちならボアが出たろ」
「結構奥の方だし、でかすぎるとマジックバッグに入らねぇのがなぁ。他は狼ばっかで肉はあんま売れねぇし」
「後は【針葉樹】か、あそこならホーンラビットが出るが、最近はなぁ…」

そう言って渋そうな顔を見せるEランクの冒険者。
レベルリングと報酬が両立できるダンジョンが少なく、更に最近は多くの低ランクダンジョンが消えていっているため、行きたいダンジョンが少なくなってしまっている。そんな中で出る不穏な情報。

「なんだ? 【針葉樹】でなんかあったのか?」
「最近やたらとホーンラビットが強いんだよなぁ」
「はぁ? ホーンラビットが?」
「ああ、稀にあるんだよ。むしろ天使とか出てくるようなダンジョンに多い傾向だったんだが」
「どんくらい強くなるんだ?」
「ホーンディアのちょい下くらいか、そういやホーンディアも出るぞ。あいつの肉は結構稼ぎになるだろ」
「Dランクかよ。てかホーンディアも出るのか。その【針葉樹】ってのは」
「ああ、三階層でな。奥まで行くとCランクの虫どもが階段をまもってるから通れねぇけどな」
「なんだ、突破されてねぇのか。まぁCランクが守ってるんじゃしゃーねーか」

男はあえて【湖畔】の情報は出さなかった。
自分たちは一度、真ん中の浮橋を通って水上リングに行ったのだ。
当然シャコの魔物に全滅させられた訳だが、それを教えるのは憚られた。メンツの問題だ。

ダンジョンコアの欠片集めでFランクのダンジョンが減り、更には迷宮決闘ダンジョンバトルで多くのEランクのダンジョンも消えている。相対的に行けるダンジョンが少なくなり、客足が集中しているのだ。

実は【針葉樹の迷宮】は現在、絶賛好景気の中に居たのだ。

そんなことはつゆ知らず、ワーカーの減りが激しいなぁ。と頭を悩ませている男が居た訳だが。
その男は今まさに、届いたメッセージで頭を悩ませている。さて、どうなることやら。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

極限効率の掃除屋 ――レベル15、物理だけで理を解体する――

銀雪 華音
ファンタジー
「レベル15か? ゴミだな」 世界は男を笑い、男は世界を「解体」した。 魔力も才能も持たず、万年レベル15で停滞する掃除屋、トワ。 彼が十年の歳月を費やして辿り着いたのは、魔法という神秘を物理現象へと引きずり下ろす、狂気的なまでの**『極限効率』**だった。 一万回の反復が生み出す、予備動作ゼロの打撃。 構造の隙間を分子レベルで突く、不可視の解体。 彼にとって、レベル100超えの魔物も、神の加護を受けた聖騎士も、ただの「非効率な肉の塊」に過ぎない。 「レベルは恩恵じゃない……。人類を飼い慣らすための『制限(リミッター)』だ」 暴かれる世界の嘘。動き出すシステムの簒奪者。 管理者が定めた数値(レベル)という鎖を、たった一振りのナイフで叩き切る。 これは、最弱の掃除屋が「論理」という名の剣で、世界の理(バグ)を修正する物語。気になる方は読んでみてください。 ※アルファポリスで先行で公開されます。

捨てられた貴族六男、ハズレギフト『家電量販店』で僻地を悠々開拓する。~魔改造し放題の家電を使って、廃れた土地で建国目指します~

荒井竜馬@書籍発売中
ファンタジー
 ある日、主人公は前世の記憶を思いだし、自分が転生者であることに気がつく。転生先は、悪役貴族と名高いアストロメア家の六男だった。しかし、メビウスは前世でアニメやラノベに触れていたので、悪役転生した場合の身の振り方を知っていた。『悪役転生ものということは、死ぬ気で努力すれば最強になれるパターンだ!』そう考えて死ぬ気で努力をするが、チート級の力を身につけることができなかった。  それどころか、授かったギフトが『家電量販店』という理解されないギフトだったせいで、一族から追放されてしまい『死地』と呼ばれる場所に捨てられてしまう。 「……普通、十歳の子供をこんな場所に捨てるか?」 『死地』と呼ばれる何もない場所で、メビウスは『家電量販店』のスキルを使って生き延びることを決意する。  しかし、そこでメビウスは自分のギフトが『死地』で生きていくのに適していたことに気がつく。  家電を自在に魔改造して『家電量販店』で過ごしていくうちに、メビウスは周りから天才発明家として扱われ、やがて小国の長として建国を目指すことになるのだった。  メビウスは知るはずがなかった。いずれ、自分が『機械仕掛けの大魔導士』と呼ばれ存在になるなんて。  努力しても最強になれず、追放先に師範も元冒険者メイドもついてこず、領地どころかどの国も管理していない僻地に捨てられる……そんな踏んだり蹴ったりから始まる領地(国家)経営物語。 『ノベマ! 異世界ファンタジー:8位(2025/04/22)』 ※別サイトにも掲載しています。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!

霜月雹花
ファンタジー
 神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。  神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。 書籍8巻11月24日発売します。 漫画版2巻まで発売中。

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

お帰り転生―素質だけは世界最高の素人魔術師、前々世の復讐をする。

永礼 経
ファンタジー
特性「本の虫」を選んで転生し、3度目の人生を歩むことになったキール・ヴァイス。 17歳を迎えた彼は王立大学へ進学。 その書庫「王立大学書庫」で、一冊の不思議な本と出会う。 その本こそ、『真魔術式総覧』。 かつて、大魔導士ロバート・エルダー・ボウンが記した書であった。 伝説の大魔導士の手による書物を手にしたキールは、現在では失われたボウン独自の魔術式を身に付けていくとともに、 自身の生前の記憶や前々世の自分との邂逅を果たしながら、仲間たちと共に、様々な試練を乗り越えてゆく。 彼の周囲に続々と集まってくる様々な人々との関わり合いを経て、ただの素人魔術師は伝説の大魔導士への道を歩む。 魔法戦あり、恋愛要素?ありの冒険譚です。 【本作品はカクヨムさまで掲載しているものの転載です】

転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚

熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。 しかし職業は最強!? 自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!? ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。

処理中です...