Hate or Fate?

たきかわ由里

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 宵闇まであと一歩のところで、宵闇は綺悧の怪しい動きに気付いて顔を上げる。
「何だ?」
「えへへ」
 綺悧は笑いながら、宵闇の胸元を覗き込む。
「うん? これか」
 ネックレスを見る綺悧の視線に気付いて、トップを掌に乗せて差し出す。
「前から持ってるヤツだから、別に珍しくないだろう」
 俺のいる位置からはそれが何かは見えねぇけど、綺悧は頷いている。
「宵闇さん、百合の紋章はしないんですか?」
 綺悧、直球ぶち込みやがった。素直って怖ぇ。
 宵闇も一瞬黙り込む。
 これが、まあまあ気に入ってる程度の物を身近な人間にくれてやっただけなら、そう説明するだろう。だけど、そんな長い間身に着けていた大事な物を、惚れてる人間に着けてやったとなると、これはもう別だよな。そこまで俺、思われてんのか。それは嬉しい。嬉しいけど。
 綺悧の手前、何なら新品買ってもらった方が絶対に気まずくなかったな、これ。
「それは、夕にやった」
 うわー! 何でそれを言うんだ宵闇!
 長いことお前を崇拝してる綺悧に悪いだろうよ!
 綺悧はくるっと俺を振り向く。
 いや、綺悧、これは、何だ、アレだ。
 何て言い訳したらいいんだこれ。
 小走りで戻って来た綺悧は、俺のネックレスをつかむ。
「あのな、綺悧…」
 借りてることにするか? でもあいつ、はっきり「やった」って言っちまったよ。
 綺悧はマジマジと手の中のトップを見てから、俺の顔を見る。
「これは…」
 どうしようか。何て説明したら、綺悧が納得してくれるんだ。
「すごい…」
 そう呟く綺悧の目は何故かキラキラ輝いてる。何でだ。どういうことだ。
「あんなに愛用してたのに、夕さんが似合うからくれたんだよね…やっぱり宵闇さんって、器が大きい…」
 そう来たか。あいつの器は別にそんな巨大じゃないと思うけど。綺悧がそう思うなら、そういうことにしておこうか。納得してくれたみたいだし。
「…そう、だな? 流石宵闇はケチくさいことは言わねぇな」
「うん。確かに夕さんにすごく似合うし」
「おう、ありがとな」
 宵闇の方を見ると、宵闇と目が合った。マジでヤバかったわ。眉を寄せて、ちょっと睨んでやる。ヤツはしれっと視線をはずしやがった。
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