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「んー?」
「こないだから気になってたんだけど」
「うん?」
何だ? 綺悧の目は、俺の胸元を見てる。
「…ああ、これか?」
取材の日から着けたままのネックレスを、指でつまみ上げる。
「うん。これ、宵闇さんのネックレスと同じ」
「ああ…」
ああ…同じっていうか…同一ネックレスだからなぁ。そりゃ同じだよな。
でも、これ、言っていいのか? もし、綺悧が宵闇から何かもらったことなかったら、何で俺がもらうんだって感じにならねぇか?
ちょっと焦る。
「これ、もう売ってないよね」
「そうなのか?」
「うん、こないだジャスティン見に行ったけど、やっぱりなかった」
「じゃすてぃん?」
何じゃそれ。ネックレス屋なのか? ジャスティン・ビーバーの店なのか?
「ジャスティンデイビス。カッコいいよね。その百合の紋章のヤツ欲しかったんだけど、同じのなかったから、これ買ったんだ」
綺悧は自分のかけているネックレスのチェーンを両手でひっかけて見せてくれる。鎖が垂れ下がった十字架だ。如何にも綺悧が好きそうだな。
「一年に一回、一つ買うんだ。自分へのご褒美」
「へぇ、そりゃ楽しみだな」
「うん。で、違う百合の紋章ならあったんだけど、やっぱりこのデザインが良かったから、諦めてこれにしちゃった」
「これが百合なのか?」
剣だと思ってたわ。全然百合に見えねぇ。
「うん、そうだよ。だいぶ前のデザインだよね、それ」
「へー、そうなのか」
綺悧は首を傾げる。どうも、これ人気ブランドの人気商品だったっぽいな。しかも随分前のデザインで、今は手に入らないレアアイテムっぽいじゃん。
もしかして、知らないで着けてるバカはいないんじゃねぇか、これ。俺ぐらいしか。
「宵闇さん、ディエス・イレの頃からずーっとそれ使ってるんだよね。だから真似して欲しかったんだけど、その頃は子どもだったから買えなくて」
「え、そんなに長い間使ってたのか」
「うん。たまに違うのも使ってたけど、オフは絶対にそれだよ」
てことは、俺にくれるまでめちゃめちゃ使ってたってことか。じゃあ、オフで会った時着けてたのか? 興味なさすぎて全然記憶にねぇ。
「あれ」
綺悧は急に宵闇を振り返る。ヤツは反対の隅で床に座って譜面を見返している。
「そう言えば宵闇さん、違うネックレスしてる…」
そう言うと、忍び足でそっと宵闇に近付いて行く。
うわ、そこに気付いちまったか。つうか、これそんなに大事にしてたヤツだったのかよ。まったくお前ってヤツは、どこまで俺に甘いんだ。
「こないだから気になってたんだけど」
「うん?」
何だ? 綺悧の目は、俺の胸元を見てる。
「…ああ、これか?」
取材の日から着けたままのネックレスを、指でつまみ上げる。
「うん。これ、宵闇さんのネックレスと同じ」
「ああ…」
ああ…同じっていうか…同一ネックレスだからなぁ。そりゃ同じだよな。
でも、これ、言っていいのか? もし、綺悧が宵闇から何かもらったことなかったら、何で俺がもらうんだって感じにならねぇか?
ちょっと焦る。
「これ、もう売ってないよね」
「そうなのか?」
「うん、こないだジャスティン見に行ったけど、やっぱりなかった」
「じゃすてぃん?」
何じゃそれ。ネックレス屋なのか? ジャスティン・ビーバーの店なのか?
「ジャスティンデイビス。カッコいいよね。その百合の紋章のヤツ欲しかったんだけど、同じのなかったから、これ買ったんだ」
綺悧は自分のかけているネックレスのチェーンを両手でひっかけて見せてくれる。鎖が垂れ下がった十字架だ。如何にも綺悧が好きそうだな。
「一年に一回、一つ買うんだ。自分へのご褒美」
「へぇ、そりゃ楽しみだな」
「うん。で、違う百合の紋章ならあったんだけど、やっぱりこのデザインが良かったから、諦めてこれにしちゃった」
「これが百合なのか?」
剣だと思ってたわ。全然百合に見えねぇ。
「うん、そうだよ。だいぶ前のデザインだよね、それ」
「へー、そうなのか」
綺悧は首を傾げる。どうも、これ人気ブランドの人気商品だったっぽいな。しかも随分前のデザインで、今は手に入らないレアアイテムっぽいじゃん。
もしかして、知らないで着けてるバカはいないんじゃねぇか、これ。俺ぐらいしか。
「宵闇さん、ディエス・イレの頃からずーっとそれ使ってるんだよね。だから真似して欲しかったんだけど、その頃は子どもだったから買えなくて」
「え、そんなに長い間使ってたのか」
「うん。たまに違うのも使ってたけど、オフは絶対にそれだよ」
てことは、俺にくれるまでめちゃめちゃ使ってたってことか。じゃあ、オフで会った時着けてたのか? 興味なさすぎて全然記憶にねぇ。
「あれ」
綺悧は急に宵闇を振り返る。ヤツは反対の隅で床に座って譜面を見返している。
「そう言えば宵闇さん、違うネックレスしてる…」
そう言うと、忍び足でそっと宵闇に近付いて行く。
うわ、そこに気付いちまったか。つうか、これそんなに大事にしてたヤツだったのかよ。まったくお前ってヤツは、どこまで俺に甘いんだ。
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