Hate or Fate?

たきかわ由里

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 凄い。こんなもんが出来上がるのか。凄いしか出て来ねぇ。楽曲の方は、しつこいようだがミックスが平凡だ。だけど、映像がその迫力でそれを補って、かなり良く聴こえる。この両面が一体化したものが、ヴィジュアル系なのか。
「夕、綺麗だったな」
「は?」
 感心してた俺の思考は、宵闇の一言で吹っ飛んだ。
 何なんだお前は。こいつはこれを編集で散々見てるし、編集した張本人の一人だから改めて凄いとかは思わないのか。
 っていうか! 散々映像全部見てて、何を改めて「夕、綺麗」なんだか。飽きないのか。しかも後半の俺、ヴィジュアル系としてあるまじきぐちゃぐちゃっぷりだぞ。
「綺麗だったよ?」
「はあー? ぐっちゃぐちゃだったじゃねえか。髪の毛めちゃめちゃ顔にはりついてたし」
「それでも綺麗なんだよな」
 いやいやいや、それはただのお前の欲目であって、綺麗だったのは礼華だろ。最初から最後までタカラヅカ真っ青だったわ。
 もうこいつ、ほっとこう。
「いい出来だな。曲もすげぇグレードアップして聴こえた」
「だろ? 公開したら反応楽しみだな」
 これ、明日の21時公開予定だったな。ツイッターでも、楽しみにしてます、ってリプライをいくつももらってる。
「それよか、これコンテと全然違わねぇか?」
「かなり変えた。演奏シーンが思った以上に良かったから、メインをそっちに持ってったんだ」
「正解だな」
 コンテでは、イメージシーンをメインに据えてあったんだけど、俺はこっちの方が好きだ。ベルノワールがどんなバンドなのかがよくわかる。
 その分、編集作業は鬼のように大変だったろうな。残ってる部分もあるけど、ほぼゼロからの編集だ。
「おつかれさん。今晩はしっかり寝ろよ」
「そうする。今回はほんと疲れた」
 笑う宵闇の目の下には、ちょっとクマがある。面構えとマッチしてて違和感ねぇけど、やっぱ疲れてんな。
 手を伸ばしてクマのとこを撫でてやると、嬉しそうに頭を撫で返してきた。
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