184 / 233
34-6
しおりを挟むパッケージの蓋を開ける。ああ、やっぱ美味そうだ。安定のココイチ。
「夕、こっちカツ入ってるから…あれ、そっちも入ってる」
「ほうれん草とカキフライじゃ、肉がねぇじゃねぇか」
「ないけど」
「トッピングしといたから食え」
「こんなに食えないよ」
宵闇は笑いながら、前髪をしばる。
「残したら俺が食うから、食えるだけ食えって」
そうなんだよな、こいつ、ちょっと食が細い。少なくとも、俺よりは少食だ。まあ、あんまり食わせてこのヒョロい体型が崩れるのも宵闇様的にまずいんだろうけど。
それでも、ちょっと体力つけて欲しいよな。
「わかった。何カツ?」
「ロースカツ」
「いただきます」
そういうと、カレーをご飯にかけ始めた。何となく眺めちまう。目の下のクマはちょっと薄くなってる。ちゃんと食えよ。
「ん? 夕、食わないのか?」
「食う食う」
宵闇が一口目を口に入れるのを見届けて、俺も食い始める。やっぱ3辛くらいないと、カレー食った気しねぇわ。
「それ何?」
俺のトッピングのクリームコロッケを、宵闇がスプーンで指す。
「クリームコロッケ」
「食ったことない」
「美味いぞ? 食うか?」
2個あるし。一つ、ヤツのご飯の上に乗せてやる。
「いいのか?」
「いいよ。じゃ、カキフライ一個もらうわ」
宵闇はカキフライを俺のご飯の上に乗っけて、それからロースカツを3切れ追加する。
「大体これで釣り合うかな」
「いや、少ないっつって文句言わねぇし」
ほんと、笑えるよな。こいつといると、こんなくだらねぇことでもすげぇ楽しいし、気が楽だ。
もう一ヶ月近く、ほとんど毎日こいつと一緒にいるんだよな。ここんとこは顔見る、程度じゃなくて、長い時間一緒にいて、二人きりで過ごす時間も結構あって。それが全然苦じゃないし、変な気は遣わないでいいし、自然だ。そりゃ、お互い惚れてる同士だから一緒にいて楽しいのは当然かもしれねぇけど、気合い入れてカッコつけたり取り繕ったりしなくていいってのは…やっぱいいよな。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる