Hate or Fate?

たきかわ由里

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     ◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇



 2つあるテイクワンネクストの広めの楽屋は、それでもそれぞれ2バンドずつが入るといっぱいだ。
 本番を前にした緊張感と、高揚感が満ちるこの空間が俺は好きだ。同じ楽屋になったゲイズと挨拶を交わして、楽屋の右半分に荷物を置く。セルスクェアも既に入ってるみたいだから、挨拶に行かねぇとな。
 そんなことを考えてると、楽屋がザワついた。振り返ると、セルスクェアのヴォーカルのサキさんと長崎さん、ベースのレイジさんが来てる。
 まずゲイズが挨拶をして、握手をしてる。
 サキさんとレイジさんに直接会うのは初めてだ。
 銀髪で色気のある鋭い目付きのサキさん。でけぇな。礼華も結構でけぇけど、もっと背が高くて肩幅が広い。とんでもなく男前だ。偉そぶることなく、柔らかい表情でゲイズに接してる。いかにも大人物っていう、余裕のある雰囲気が漂ってる。
 レイジさんは、宵闇と同じくらいの身長か。前に見た時と同じ黒髪だけど、肩までだった長さは、腰までに伸びてる。エクステか? こっちもクールで涼し気なイケメンだ。
 長崎さんはいつも通り、腰までの赤い髪。日本人離れした顔立ちの物凄い美人だ。ギターの才能と美貌の両方を兼ね備えてるってとこに、神様の不公平を感じるよな。ギターを持ってる時は怖いくらいの迫力があるんだけど、それ以外はいつもにこやかで可愛らしい人なんだ。
 彼らはゲイズと挨拶が終わると、こちらをくるりと振り返った。
 サキさんは宵闇の姿を認めると、すっと歩み寄って手を差し出す。
「サキだ。今日はよろしく頼む」
「はじめまして、宵闇です。精一杯やらせて頂きます」
 穏やかに握手を交わす。
「急なオファーですまなかった」
「いえ、呼んで頂けて光栄です」
「楽しみにしてるよ。後のことは考えないで、思いっきりやってくれ」
「はい」
 話す時の声もすげぇいいんだよな。ライブで何回か見てるからMC聞いてるけど、ほんと聞き惚れる。
 サキさんは順に、俺たちとも握手をして声をかけてくれる。
「芳之から聞いてるよ。マヤバンドで見せてもらったことがあるんだ。今日はプレイを聴けるのを楽しみにしてる」
 俺にはそう声をかけてくれる。そうか、サキさんもマヤちゃんのライブに来たことがあるのか。
「ありがとうございます。頑張ります」
 こりゃ頑張らないとな。マヤバンドより出来が悪かったら、恥ずかしくて二度とサキさんの前に顔出せねぇ。
 握手が終わるか終わらないかのタイミングで、サキさんの後ろから長崎さんがひょっこり顔を覗かせる。
「優哉くんおはよー!」
「おはようございます。相変わらず元気ですね」
 会うのは結構久しぶりだ。マヤちゃんの仕事が暫くないからな。
「元気だよ。ねぇねぇ、僕の教え子は誰?」
 明らかに期待に満ちた楽しそうな顔で、聞いてくれる。そうだ、今日はその引き合わせもしないと。
「ああ! そうですよね、紹介します」
 隅でおどおどしてた礼華と、隣で話に入りたそうにしてた朱雨を引っ張り出す。
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