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しおりを挟む宵闇は頷いて、続ける。
「今日もレイジさんに繋いでもらったんだ」
おお! そうだったのか! レイジさんありがてぇ。
「いいドラマーが入ったって宵闇から聞いたから。随分褒めてたから、俺も早く見たくてな」
「マジすか?」
聞き返しながら、宵闇の顔を見る。ヤツはすいっと目線を逸らしやがる。何言ってたのか、後でこっそり追求してやろ。
「ああ。誰かいればオープニングアクトに入れよう、って言っててちょうど空席のままだったから推薦したんだ」
その時はまだ俺の入った音源はなかったのに、レイジさんは推してくれて、サキさんは採用してくれたのか。その頃、長崎さんは俺がベルノワールに入ったことは知らなかったから、長崎さんの後押しはなかったはずだ。
宵闇の人柄採用ってことかな。よっぽどレイジさんから信用されてるんだろう。
「ありがとうございます!」
「芳之に聞いたけど、一緒に仕事してるんだって?」
「はい。長崎さんにはお世話になってます」
そう言うと、レイジさんは明るく笑う。
「いやいや、あいつのお世話してもらってるよな?」
「そんなことは…」
なくはない。ギターを弾いてない時の長崎さんは、とんでもなく幼い。
「あるよなぁ。苦情ならサキさんにな」
なるほど、メンバーの面倒はリーダーがとそういう…。
考えながら長崎さんを振り向くと、長崎さんはサキさんの腕にぎゅうっとしがみついて、綺悧と話しながら笑ってる。
俺とそんなに身長が変わらない長崎さんが、サキさんの腕にくっつくと、頭のてっぺんは肩のラインくらいか。めちゃめちゃ上目遣いが可愛いなおい。
じゃなくて。
苦情はサキさんにってのは、そういうことなのかもしかして。
あの二人、出来てんのか。
やっと腕からは離れたけど、そのまま両手で握った手をぶらぶら振ってる。サキさんはそれに動じないで、平然と綺悧と話し続けてる。ヴォーカリストの大先輩だから、いろいろ聞いとくといいよな…ってああもう、長崎さんの動きが気になってしゃーないわ!
綺悧も長崎さんを見ていいものかどうかって、めちゃめちゃ目が泳いでる。気になって、せっかくの話が頭に入ってねぇんじゃねぇか?
サキさんと綺悧の話に入れないことをやっと理解した長崎さんは、手を繋いだままくるりと朱雨たちを振り向いて、喋り始めた。
いや、離そうよ、手。楽屋でなんか絶対はぐれないですから。
「夕くんは酒は?」
レイジさんが不意に聞いてくれた。長崎さんに気を取られてた俺ははっとする。
「あ、呑みます呑みます」
「じゃあ今度、呑みに行こう。そっち二人と、こっちはタカミも連れてくよ」
「行きたいです! いつでも声掛けて下さい」
タカミさんとも話してみたい。やっぱベテランから話聞くのは勉強になるからさ。こっちからお願いしたいくらいのリズム隊呑み会だよ。宵闇も頷く。
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