転生王子と勇者

ふぁんたずま

文字の大きさ
上 下
4 / 8

王子の休息

しおりを挟む
・・・・・スッキリした。

あの後まさか1時間もの間我慢するとは…。
結局部屋の外に出てきてしまった。
1度出たら入れないと言われたため、現在時間つぶしの為に庭を練り歩いている。

庭とはいっても、王宮のように手入れされているわけでもなく、ただただ雑草が生えているだけの貧相な庭だ。

けど、俺はこちらの方が好きだ。
何でも豪華にしておけばいいと言う物でもないだろうに、あの方の趣味は理解できない。

適当な場所を見つけ、そこに腰を下ろす。
もう夕方に差し掛かってきたが、まだ儀式は終わらないのだろうか。我が国の魔術師団は優秀な者が多いと聞くが、勇者召喚とはそれほど難しいことなのだろうか。

              ***

「・・・・・んー。あ?やば、寝てた」

あまりの心地よさに、いつの間にか眠っていたようだ。
日の位置は寝る前よりほんの少し動いたくらいの場にあるため、そこまで長い時間眠っていたわけではなかったことにホッと胸を撫で下ろす。

急いで起き上がり服に汚れが無いか確認する。装飾が少ない割に意外と値の張ったこの服を汚せば、口煩いメイド長からまた何か言われる。
一通り確認し終わり、儀式の間を目指す。

部屋の外で待っていなければ一番上の兄から何か言われるのは明白だ。
面倒なことは出来るだけ避けたい。

「勇者の顔も見なきゃだし」

ノッテは新しいおもちゃを買ってもらった子供のような顔をしたまま足早にその場を離れた。
しおりを挟む

処理中です...