転生王子と勇者

ふぁんたずま

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自分の弱さ

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「ん・・・・」

目を覚ますと、そこは見慣れた天井だった。

あの時の事が夢ではないのだと、体中の痛みが教えてくれる。
小さなあの体のどこにあんな力があるというのか。

「爺」
「は、ここに」
「少し手をかしてくれ」

身体を動かすのもしんどく、一人では起き上がることが困難だと判断し、爺の手を借りながらなんとか上半身だけ起きあげることが出来た。
爺の淹れてくれた紅茶を啜りながら、何が起こったのか説明してもらった。

「まさか、軽く殴られただけで吹っ飛ぶって。面白いこともあるもんだな」

ここまで行けば自分のことでも笑ってしまう。
今まで体術や剣術など、少なからずやってきた身だ。
それが一撃で。しかも見るからに年下の子供にやられるとは・・・。

「今日の予定は全てキャンセルだ。午後から勇者に会いに行く」
「畏まりました」

考えただけで体の不調が治まって来た。

今来ている仕事で重要なものは特になかったはずだ。
勇者に会いに行った後は、お忍びで街に行こう。

楽しみすぎて顔の筋肉が弛緩してきた。
ああ、午後が待ち遠しいな。


                            
        ーーーーーー??ーーーーーー

その世界のとある場所。
形を成さぬ者が暗闇の中静かに祈り続ける。

「モうすグ。モぅスグであのオ方が目覚メる。--もうすぐだ」

形を成さぬその者は、その言葉を残し消えた。
奴の消えた城には不気味な静寂だけが残った。




--------キリトリ線--------
アルファポリス様での投稿が随分と空いてしまったので、本日は2話更新となります。
次回は今週中に上げたいと思っておりますので、少しの間お待ちいただければなと思います。
よろしくお願いします。
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