ふつつかものですが鬼上司に溺愛されてます

松本尚生

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7、もうちょっとだけ、夢を見させて

7-6

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 翔太は行人の腕を取り、バスタブへ引き入れた。向き合って脚をからめて、キスをした。行人が翔太の耳許で言った。
「広いベッドもいいけど、広いお風呂も悪くないね」
「ユキさん……」
 翔太は行人に抱きつき、その背に腕を回した。リゾート効果か、いつもの自分の部屋でより、素直になれる気がした。
「ユキさん」
「何? ショウちゃん」
 行人が翔太の耳にささやく。その声も快くて、翔太は正気を保てなくなる。
「俺の身体も好きでいてくれますか?」
「好きだよショウちゃん。可愛くてエロくて大好きだよ」
「じゃあ、……してください」
 行人は翔太の耳たぶを甘くかんだ。
「何を? ショウちゃんは俺に何して欲しい?」
 翔太は目をつぶって行人の肩に顔を伏せた。
「指……入れて」
「ふふふっ」
 行人は嬉しそうに言われた通りにした。
「あ……っ」
 身体が熱くなる。翔太はもう湯の中に浸かったままではいられない。明るいバスルームで、行人は翔太をバスタブの縁に浅く腰かけさせた。翔太の腕を自分の首に巻き付けさせて、翔太の身体の深いところを探った。ふたりで過ごした月日が、翔太の感覚を鋭くしていた。翔太は緩み濡れてあふれそうになった。
「ユキさん……来て」
 荒い呼吸で翔太は言った。
「お願い……ユキさん……」
 行人は身体を安定させられる場所を探した。翔太の上体を壁に凭れかけさせ、片脚を担ぐように持ち上げて翔太の身体を大きく拡げた。翔太はぶるっと震えた。
「ユキさん……」
 もうガマンできない。
「ユキさんのを、俺の身体の奥に入れて……!」
 行人は慎重に身体を進めた。
「ああっ」
 翔太は行人の首に腕を回したまま、大きく叫んで身を反らした。
「ユキさん……ユキさん……っ」
 行人は大きく身体を動かして、翔太の最も悦ぶところを深く抉った。動きに合わせて翔太が漏らすあえぎに、行人は嬉しそうに言った。
「ショウちゃん……可愛いよ。そんなに俺のこれが気持ちイイの?」
「あ……んん。気持ち、イイ、です……」
「ショウちゃん……可愛い……スキ」
「ユキさん……ユキさん!」
「ああっ」とひときわ大きな声を上げ、翔太は行人の首にしがみついた。行人の腹に翔太の欲望のしぶきが飛んだ。脱力しそうな翔太の腰をぐっと抱いて、行人は自分の欲望を遂げた。
 はあはあと荒い呼吸で、ふたりは壁に凭れたまま唇を重ねた。行人は片手を伸ばしてシャワーの水栓を捻った。雨のように優しい温水が降り注いだ。翔太がようやく目を開けると、行人の長い睫毛に雨滴が溜まり、ぽろと落ちた。
(キレイだ……ユキさん)
 翔太は行人の頬に両手でそっと触れた。行人もゆっくり目を開けた。翔太の大好きな瞳がうるんで翔太をじっと見つめてくれる。
「ユキさん……」
 ため息交じりに翔太がついその名を漏らすと、行人は翔太の腕を取った。
「出ようか」
 バスルームを出ると、行人が翔太の身体をバスタオルで包み込んだ。翔太の全身を拭き、翔太の髪の水分をリズミカルに拭き取った。翔太は黙って立ったまま、行人のするがままに任せた。
「ユキさん……」
「ん? 何、ショウちゃん」
「お水飲みたい」
 行人は笑ってうなずいた。
「おいで」
 行人に手を取られて部屋へ戻ると、行人は翔太をベッドに座らせ、バスローブを羽織らせた。海外からのインバウンド客が多いのか、ここのホテルには浴衣ではなく、バスローブが備えてあった。共用スペースのドレスコードを日本人客に守らせるには、浴衣を置かないのが効果的かもしれない。
「はいショウちゃん、お水。俺の飲みかけでいい?」
「はい」
 翔太は手渡されたペットボトルをこくりと飲んだ。行人が隣に腰かけて、翔太の身体に腕を回した。行人もタオル地のバスローブを肩にかけている。
「浴衣、借りようか? フロントに言えば、貸し出してくれるって書いてある」
 翔太は首を振った。行人もふっと笑った。
「ま、そんなもの着てるスキは与えないけど」
 行人は翔太の手からペットボトルを受け取った。
「ショウちゃん、ボーッとしてるね。疲れたの?」
 翔太は正直に言おうかどうしようか、また迷った。胸の中の甘い気分に押されて、口が開いた。
「身体の奥が痺れてて、どうしようにも止められない」
「ショウちゃん……」
 翔太は行人の胸に倒れ込んだ。
「ユキさん、俺、おかしくなったのかも」
 行人はゆっくり翔太の身体を手のひらで撫でた。翔太はびくりと身を震わせた。
「……欲しいの?」
「ユキさん……!」
 翔太は行人のバスローブにしがみついて顔をうずめた。
「カワイイ……ショウちゃん。今したばっかりなのに、俺のこと欲しくて、ガマンできないんだ」
「ユキさん……」
「じゃあ、もっと可愛いカッコして、俺のこと誘ってみて」
 翔太は泣きそうになった。胸の動悸が苦しくて、息ができない。
「今日はいっぱい抱いて欲しかったんでしょ? いいよ。だからショウちゃん、そう言って」
「あ……あ……ユキさんっ」
 翔太は目を伏せ、バスローブの前を開いた。左右の太腿を少し開いて、唇をかんだ。
「ユキさん……お願い、もう一回して」
「……カワイイ!!」
 行人は震える翔太を猛然と押し倒した。
「ショウちゃん、今の、サイコーにエロかった……!」
 行人の理性を吹き飛ばすことに成功した。翔太は、もっと、自信を持っていいのかもしれない。
 快楽に溺れるとはこういう状態を言うのだろうか。翔太は行人の身体の下で、声の限りに叫ばされながら、薄れる意識の中でそう思った。
 ならそれは、この上なく幸せなことだ。
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