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四、過ぎゆく秋と、冬の初め
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(あなたはどうせ僕のものにはなってくれないんだ)
悟は悲しくて悲しくて、悲しすぎる自分の感情を放棄するしかできなかった。
(ならもう構わないで)
遼一は、心の底の底では、決してそのひとを忘れていない。いくら否定されても、遼一の瞳の奥をのぞいてしまう。探してしまう、その痕跡を。
自分がいつからその疑いを持ったか、今となってはもう分からない。が、遼一の優しいまなざしが、ときに自分を通り越して、もっと遠いところを見つめているのに気づいたとき。
遼一の視線を取り戻すために躍起になった。いろいろがんばった。がんばればがんばるほど不安は増して――。
「俺の何が悪い?」
(悪くない。遼一さんが悪いんじゃない)
遼一は大人の男だ。長く生きていれば、何かしらある。過去は過去と割り切って、現在を生きる遼一が自分を見てくれて、自分を愛してくれれば、もうそれでいいじゃないか。悟はそう思おうとした。
よくある話じゃないか、彼氏の過去が気になるなんて。自分もそんな「よくある話」のひとつだと。
「悟は俺にどうして欲しい?」
(遼一さんは、僕の欲しいものはみんなくれた。みんなくれたのに、遼一さんのくれないものを一番欲しがる僕がダメなんだ)
優しく見守ってくれた。その胸に抱き留めてくれた。暴れる自分がいつか安心できるのを待つと言ってくれた。快楽も愛も全部くれたのに。
全部受け止めると怖くなる。まだ十五年しか生きていない自分は、三十二年生きている遼一の経験が怖かった。
このひとを悲しませた昔の思い出は、歳をとらず遼一の心の中でどんなにか美しいことだろう。そのひとと比べられたら、子供で、女性でもない自分に勝ち目はない。
勝ち目のない美しいゴーストに戦いを挑み続け、負け続けている。
もう、疲れた。
(僕のことを忘れて欲しい)
いっそ、忘れてもらえれば。戦いから降りてしまえばラクになる。そう思い続けて三ヶ月。プレッシャーから、たびたび遼一に八つ当たりしてしまう。遼一はそんな悟の八つ当たりも優しくいなしてくれて。
遼一は、確かに自分を愛してくれている。そんなことは分かっている。
分からないから、怖いんじゃない。分かっているから、怖いんだ。
「そうか。分かった。今まで悪かったな」
ああ……。本当に、これで、最後なんだ。
(僕は、解放される。虚しい、空っぽな、透明なクラゲに戻るんだ)
透き通って海を漂うクラゲなら、感情に煩わされることもない。悲しいことも、怖いこともなくなる。嬉しいこと、幸せなこともない代わりに、自由で気ままに生きていける。
自由で気まま?
胸が痛くて、身体中重くて、息もできないのに?
眠れず一晩中涙が止まらないのに?
大丈夫、そんな辛いのは今だけだ。すぐに痛いも重いも、感じなくなる。だって、昔からそうだったじゃないか。何も感じない、空っぽの心にきっとすぐ戻る。
悟の手首を握っていた遼一の指から力が抜けた。悟はあえてそれを振り払わなかった。
伝わってくる遼一の体温。もうこれが最後。一秒でも長くこの体温を感じていたくて。
でもこの体温が心地よいと感じるのも、この温かさが涙が出るほど嬉しいのも、今だけ。ちょっとガマンすれば、きっと自分の身体からこの感情は消える。
本当に消えるのだろうか。
遼一は、遠い昔のひとを忘れていない。
悟は背筋に冷たいものが走るのを感じた。
今遼一から解放される自分も、実際は解放されることなく、遼一のように、何年も何年も、この手の温かさを忘れることができないとしたら。
遼一の顔が近づいてきた。感情を切り離した悟は、無表情でいるはずだった。遼一の唇がこめかみに触れた。悟の手首から指が離れた。優しい感触。
最後の、感触。
悟の視界の隅で、遼一は悟に背を向け、もと来た方へ歩きだした。
悟の額を、温かなしずくが伝った。
涙――。
遼一のこぼした、涙だった。
(遼一さん……泣いて……?)
胸に鋭い痛みが走る。悟は振り返った。肩を落とし、ふらふらと歩く頼りない男の姿があった。遼一のこんな姿を、悟は見たことがなかった。
(僕の……せいで……)
そのとき悟はようやく気づいた。自分がどんなに遼一を苦しめていたかということに。あんなに自分を、親よりも愛してくれたひとを、自分がどんなに傷つけていたかということに。
自分が苦しみから逃れることばかりを考えていた。
遼一は、自分が悟を愛することが悟を苦しめるなら、悟を諦めるとまで言ってくれたのに。そして、自分から手を離して。
そしてこんなにボロボロになって去っていく。
今ようやく悟にも分かった。
自分が辛いより、もっと辛いことがこの世にあった。
遼一が堪え忍んでいた辛さは、もしかして、悟が感じていた辛さよりも大きかったかもしれない。
もうこらえられなかった。その背を黙って見ていられなかった。自分がこんなに誰かを苦しめたなんて。自分がこんなに傷つけてしまったこのひとは、誰より大切なひとなのに。
悟は再び走り出した。
「遼一さん……!」
遼一はビクリと肩を震わせて立ち止まった。
「遼一さん」
悟は速度を緩めることなく、遼一の背中に飛びついた。遼一の身体ががくんと前へ折れた。
「遼一さん、遼一さん、遼一さん……!」
悟は大きく首を振った。
(無理だ、僕にはやっぱり無理だ)
「ごめんな……さい」
悟は遼一の苦しみを放置することができなかった。
「やっぱり僕……僕は……」
遼一はゆっくりと振り返った。
表情の抜け落ちた、生気のない瞳で、遼一は悟に小さく訊いた。
「本心か」
悟は遼一を見上げたまま、コクリと一度うなずいた。
遼一の腕が、すがりつくように強く悟の身体を抱きしめた。
遼一はしばらくそうしていたが、やがて悟の身体を離し、助手席の扉を開けた。悟が乗り込むのを黙って待ち、遼一は扉を閉めた。
「ごめんなさい……ごめんなさい」
悟は助手席で泣きじゃくった。
遼一は無言で運転席にいた。悟の泣き声を聞いていた。
拳で、手の甲で、拭いきれないほどの涙でぐしぐしになって、悟は遼一に許しを乞うた。
フロントガラスが曇ってきた。初冬の夕闇が下りていた。
「いい。もうやめろ。謝って欲しいわけじゃない」
遼一はポケットからハンカチを取り出した。悟は責められると思ったのか、びくりと肩を震わせた。遼一は悟を責めなかった。悟の指の隙間から涙に濡れた頬を拭った。
取り出したハンカチをそのまま悟の指に握らせ、無言で車のエンジンをかけた。
助手席で、悟はひっくひっくと肩を上下させていた。
車は繁華街、悟の疑惑の根拠となった、街一番の商店街へ向かい、併行して南北を走る一本東の道で折れた。建物のひとつへ車を入れた。
「ひと前では俺を『兄さん』と呼べよ」
遼一はただひと言悟にそう言った。
地下駐車場の入り口から入りエレベーターで一階へ上がると、市内で最も格式高いとされるホテルのロビーだった。華やかな礼服の男女がロビーを行き交っていた。泣き腫らした顔の悟をソファに残し、遼一はフロントへ向かった。
遼一は「続き部屋の空きはあるか」と尋ねた。受験ノイローゼ寸前の甥を教育熱心な自分の兄から一晩だけでも離し、気分をリセットさせたいのだと説明した。もちろん、その母親の依頼で動いていると匂わせて。
フロント係はPCを叩き、「ございますが、あいにく寝台はひとつでして」と申し訳なさそうに言った。
遼一は、自分は次の間のソファで寝るので問題ないと言った。毛布の一枚ももらえれば充分だと。フロント係はエクストラベッドを入れることを提案したが、大掛かりになると従弟が過敏に反応するので不要だと断った。
いずれにせよ、万一のことがあるといけない、今夜自分は熟睡してはいけないのだからと。
フロント係は大筋で納得したようだった。
「行くぞ」
言葉少なにそう言って、遼一は悟を促した。悟はおとなしくついてきた。
悟は悲しくて悲しくて、悲しすぎる自分の感情を放棄するしかできなかった。
(ならもう構わないで)
遼一は、心の底の底では、決してそのひとを忘れていない。いくら否定されても、遼一の瞳の奥をのぞいてしまう。探してしまう、その痕跡を。
自分がいつからその疑いを持ったか、今となってはもう分からない。が、遼一の優しいまなざしが、ときに自分を通り越して、もっと遠いところを見つめているのに気づいたとき。
遼一の視線を取り戻すために躍起になった。いろいろがんばった。がんばればがんばるほど不安は増して――。
「俺の何が悪い?」
(悪くない。遼一さんが悪いんじゃない)
遼一は大人の男だ。長く生きていれば、何かしらある。過去は過去と割り切って、現在を生きる遼一が自分を見てくれて、自分を愛してくれれば、もうそれでいいじゃないか。悟はそう思おうとした。
よくある話じゃないか、彼氏の過去が気になるなんて。自分もそんな「よくある話」のひとつだと。
「悟は俺にどうして欲しい?」
(遼一さんは、僕の欲しいものはみんなくれた。みんなくれたのに、遼一さんのくれないものを一番欲しがる僕がダメなんだ)
優しく見守ってくれた。その胸に抱き留めてくれた。暴れる自分がいつか安心できるのを待つと言ってくれた。快楽も愛も全部くれたのに。
全部受け止めると怖くなる。まだ十五年しか生きていない自分は、三十二年生きている遼一の経験が怖かった。
このひとを悲しませた昔の思い出は、歳をとらず遼一の心の中でどんなにか美しいことだろう。そのひとと比べられたら、子供で、女性でもない自分に勝ち目はない。
勝ち目のない美しいゴーストに戦いを挑み続け、負け続けている。
もう、疲れた。
(僕のことを忘れて欲しい)
いっそ、忘れてもらえれば。戦いから降りてしまえばラクになる。そう思い続けて三ヶ月。プレッシャーから、たびたび遼一に八つ当たりしてしまう。遼一はそんな悟の八つ当たりも優しくいなしてくれて。
遼一は、確かに自分を愛してくれている。そんなことは分かっている。
分からないから、怖いんじゃない。分かっているから、怖いんだ。
「そうか。分かった。今まで悪かったな」
ああ……。本当に、これで、最後なんだ。
(僕は、解放される。虚しい、空っぽな、透明なクラゲに戻るんだ)
透き通って海を漂うクラゲなら、感情に煩わされることもない。悲しいことも、怖いこともなくなる。嬉しいこと、幸せなこともない代わりに、自由で気ままに生きていける。
自由で気まま?
胸が痛くて、身体中重くて、息もできないのに?
眠れず一晩中涙が止まらないのに?
大丈夫、そんな辛いのは今だけだ。すぐに痛いも重いも、感じなくなる。だって、昔からそうだったじゃないか。何も感じない、空っぽの心にきっとすぐ戻る。
悟の手首を握っていた遼一の指から力が抜けた。悟はあえてそれを振り払わなかった。
伝わってくる遼一の体温。もうこれが最後。一秒でも長くこの体温を感じていたくて。
でもこの体温が心地よいと感じるのも、この温かさが涙が出るほど嬉しいのも、今だけ。ちょっとガマンすれば、きっと自分の身体からこの感情は消える。
本当に消えるのだろうか。
遼一は、遠い昔のひとを忘れていない。
悟は背筋に冷たいものが走るのを感じた。
今遼一から解放される自分も、実際は解放されることなく、遼一のように、何年も何年も、この手の温かさを忘れることができないとしたら。
遼一の顔が近づいてきた。感情を切り離した悟は、無表情でいるはずだった。遼一の唇がこめかみに触れた。悟の手首から指が離れた。優しい感触。
最後の、感触。
悟の視界の隅で、遼一は悟に背を向け、もと来た方へ歩きだした。
悟の額を、温かなしずくが伝った。
涙――。
遼一のこぼした、涙だった。
(遼一さん……泣いて……?)
胸に鋭い痛みが走る。悟は振り返った。肩を落とし、ふらふらと歩く頼りない男の姿があった。遼一のこんな姿を、悟は見たことがなかった。
(僕の……せいで……)
そのとき悟はようやく気づいた。自分がどんなに遼一を苦しめていたかということに。あんなに自分を、親よりも愛してくれたひとを、自分がどんなに傷つけていたかということに。
自分が苦しみから逃れることばかりを考えていた。
遼一は、自分が悟を愛することが悟を苦しめるなら、悟を諦めるとまで言ってくれたのに。そして、自分から手を離して。
そしてこんなにボロボロになって去っていく。
今ようやく悟にも分かった。
自分が辛いより、もっと辛いことがこの世にあった。
遼一が堪え忍んでいた辛さは、もしかして、悟が感じていた辛さよりも大きかったかもしれない。
もうこらえられなかった。その背を黙って見ていられなかった。自分がこんなに誰かを苦しめたなんて。自分がこんなに傷つけてしまったこのひとは、誰より大切なひとなのに。
悟は再び走り出した。
「遼一さん……!」
遼一はビクリと肩を震わせて立ち止まった。
「遼一さん」
悟は速度を緩めることなく、遼一の背中に飛びついた。遼一の身体ががくんと前へ折れた。
「遼一さん、遼一さん、遼一さん……!」
悟は大きく首を振った。
(無理だ、僕にはやっぱり無理だ)
「ごめんな……さい」
悟は遼一の苦しみを放置することができなかった。
「やっぱり僕……僕は……」
遼一はゆっくりと振り返った。
表情の抜け落ちた、生気のない瞳で、遼一は悟に小さく訊いた。
「本心か」
悟は遼一を見上げたまま、コクリと一度うなずいた。
遼一の腕が、すがりつくように強く悟の身体を抱きしめた。
遼一はしばらくそうしていたが、やがて悟の身体を離し、助手席の扉を開けた。悟が乗り込むのを黙って待ち、遼一は扉を閉めた。
「ごめんなさい……ごめんなさい」
悟は助手席で泣きじゃくった。
遼一は無言で運転席にいた。悟の泣き声を聞いていた。
拳で、手の甲で、拭いきれないほどの涙でぐしぐしになって、悟は遼一に許しを乞うた。
フロントガラスが曇ってきた。初冬の夕闇が下りていた。
「いい。もうやめろ。謝って欲しいわけじゃない」
遼一はポケットからハンカチを取り出した。悟は責められると思ったのか、びくりと肩を震わせた。遼一は悟を責めなかった。悟の指の隙間から涙に濡れた頬を拭った。
取り出したハンカチをそのまま悟の指に握らせ、無言で車のエンジンをかけた。
助手席で、悟はひっくひっくと肩を上下させていた。
車は繁華街、悟の疑惑の根拠となった、街一番の商店街へ向かい、併行して南北を走る一本東の道で折れた。建物のひとつへ車を入れた。
「ひと前では俺を『兄さん』と呼べよ」
遼一はただひと言悟にそう言った。
地下駐車場の入り口から入りエレベーターで一階へ上がると、市内で最も格式高いとされるホテルのロビーだった。華やかな礼服の男女がロビーを行き交っていた。泣き腫らした顔の悟をソファに残し、遼一はフロントへ向かった。
遼一は「続き部屋の空きはあるか」と尋ねた。受験ノイローゼ寸前の甥を教育熱心な自分の兄から一晩だけでも離し、気分をリセットさせたいのだと説明した。もちろん、その母親の依頼で動いていると匂わせて。
フロント係はPCを叩き、「ございますが、あいにく寝台はひとつでして」と申し訳なさそうに言った。
遼一は、自分は次の間のソファで寝るので問題ないと言った。毛布の一枚ももらえれば充分だと。フロント係はエクストラベッドを入れることを提案したが、大掛かりになると従弟が過敏に反応するので不要だと断った。
いずれにせよ、万一のことがあるといけない、今夜自分は熟睡してはいけないのだからと。
フロント係は大筋で納得したようだった。
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