星導の魔術士

かもしか

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第一章 魔術学校編

第18話 星間魔術大会

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 ────平和とは、争いもいざこざもなく行き渡った生活と聞く。

 魔術学校に入学してからは色々あったが、至って平和そのものでありレントも知らない知識をどんどん吸収していった。

 そんな中、ひとつのイベントがレントの耳に入ることになる。

「ねぇ、レントくん。君は星間魔術大会には出るのかい?」
「星間魔術大会?」

 昼休み時間にミラと話していた。
 今日は皆ほとんどクラスメイトと食べていてレントと食べているのは彼だけだ。

「そう、1年に1回開催される星の代表魔術士が戦う大会だよ」
「へぇ、他の星ねぇ」

 この学校にも図書館というものがある。
 レントがいつもいる所を聞けば、誰に聞いても図書館と言うくらいには入り浸っていた。
 見渡す限り本が並べられた知識の宝庫そのものだとレントは言っているが、それらに興味のない者は揃って「へぇ……」止まりである。

 だが、その本の中に星について書かれた者があった。
 その世界は13の星で構成されており、レントの住んでいるこの星はそのひとつだということらしい。

「そんな簡単に他の星に行く手段があるのか」
「何言ってるんだ。旅行に行く位の感覚で星間飛行が出来るだろ」

 レントは他の星にはなかなか行けないと聞いたことがあるくらいで、その他の情報は無かった。

「へぇ……で、その星間魔術大会というよは?」
「さっき言ったじゃないか、それぞれの代表が戦うんだよ。それに参加するのかい? って聞いてるんだ」

 レントとしては戦うことより他の星に行くことの方に興味が出てきた。
 話に聞いたことがあるだけで、行ける日が来るとは思ってなかったのだ。

「出れるもんなら出てみたいね」
「おっ! ならレントも参加だね」
「なにか申請したりするのか?」

 そうレントが言うとどこから出したのか、ミラは一枚の紙を取りだした。

「これに記入して担任に提出するんだよ。というか、これティル先生が言ってたことなんだけど話は聞いておけよ」
「あぁ、そうするよ」

 ティル先生の授業と言えば、この星の歴史についての授業だ。
 図書館や小さい頃から読んでいる本で、大抵の事は分かっているレントからしたら暇な時間に他ならなかった。

「流石に担任の授業は聞いとくべきだと思うよ」
「そうだな」

 適当に流してその大会とやらの話に戻した。

「で、その紙はどこで貰えば?」
「本当に話聞いてないんだね、キミ……。まず、代表魔術士になるための大会で優勝しなくちゃならないんだよ。その大会は3人で1チームとして出場するんだ」
「3人……か」

 レントがそれに出るとして他に誰がいるだろう。
 なるべく顔見知りがいいな、と思っていると

「そして、レントくんさえ良ければ僕と出ないかい?」
「ミラと?」

 それは願ってもない話だが、ミラもでるらしい。

「それはもちろん! 他の星の魔術士なんてなかなか見れないからね! その星に行ってもその星で会えるかも分からないわけだし」
「確かにそれはそうだね、ということはミラが行きたい理由って」
「そう、他の星の魔術士に僕の魔術が効くのか知りたいんだ」

 なるほど、ミラは防御特化の魔術士だ。
 それが耐えれるかどうかは、魔物との戦いにおいても貴重な要素だろう。

「で、あと一人は決まってるの?」
「あぁ、出来ればアガーテにしたいけど……」

 そう言ってミラはアガーテの方に目線を向けた。

「アガーテさん、大会に出るの?」
「アガーテ! 一緒に出よう!」
「危ないわよ?」

 数々の女子がアガーテの元に群がっていた。
 あの殆どはアガーテと参加したい者達だろう。

「ね? 少し無理そうなんだよね」
「あれは、そうだなぁ」

 流石にあの中に行くのは気が引ける。
 他の人を見繕おうとして今度はライゴウとケイスを探す。

「ケイス、お前は大会に出るのか?」
「……僕は出ない」
「ほう?何故だ」
「僕のも確かに魔術。……でも僕自身は何も出来ないんだ」
「お前を狙われたら終わり、ということか」
「……うん。そこまで残りの2人に迷惑はかけられない」

 なにやら珍しい組み合わせだとレントは思ったが、ケイスは難しそうだ。
 ならライゴウを誘おうとしたらミラに止められた。

「ライゴウは既に別チームだよ」
「あぁ」

 ライゴウは強い、引く手は数多なんだろう。

「と、なるとなかなか見つかるもんじゃないね」
「だから、僕はレントに声をかけたんだ。半ば反則みたいな感じあるからね」
「ほぇ?」

 我ながら情けない声が出た。

「僕が反則?」
「それはそうでしょ。入学式から黒竜を退け、その力は校長先生も認めてるんだ。確かに仲間にするには強いけど、少し反則じみてるんだよ。強さが」
「えぇ」

 それで今まで声がかかってこなかったのか。
 少し寂しさを覚えたレントだが、ミラが誘ってくれたので良しとした。

「それと、レントと仲間より相手として戦いたいって人もいるみたいだしね」

 そう言ってミラはある方向を指さした。

「ガルド?」
「あぁ。彼は君と戦いたいらしいんだよ。どうやら今の自分を見せたいらしくてね」
「暇な時言ってくれればいいのに」

 そうじゃないんだよ、とミラが言うがそんなもんだろうか?
 とりあえずレント達はもう1人を探すために食堂を後にした。

「あてはあるの?」
「あるって言ったら嘘になるんだけどね、何個か候補はなくはないよ」

 なんとも煮え切らない返答だ。
 なくはないならあるじゃないんだろうか。

「とりあえず図書館に行こう」
「了解」

 そのまま2人は図書館に向かって歩くことにした。



 図書館までたどり着くと、いつも吸う空気を感じてレントはここにもよく足を運んだものだとしみじみとした。

「ほら、あそこだよ」
「ん?」

 そう言われ目線を向けた先には1人の女子がいた。
 どうやら、彼女は眠っているらしく心地よさそうに寝息を立てていた。

「ここの空気眠くなるよなぁ」
「確かにね」

 2人して頷きつつも彼女の元へと歩を進める。

「やぁ、リンシアさん」
「……スゥ……」

 寝息が聞こえてくる。
 起きそうになさそうなのを見ると、ミラは肩に手を添えて揺することにした。

「リンシアさーん、起きてますかー?」
「……んあ? ……スゥ」

 寝てるに決まってるだろうになんて声のかけ方だとレントは思うが、起こさないことには話は進まないので協力することにする。

「リンシア? さん? おーーい」
「仕方ない、最終手段を取ろう」

 そう言うとミラはハリセンを取り出した。
 それで叩くのだろうか、それはあまりに物騒すぎやしないだろうか?
 そう思うやいなやミラの持つハリセンは机を強打した。

「……スゥ……うぉ!?」

 飛び起きたリンシアと呼ばれた女子が何が起きたと辺りを見渡す。

「やっと起きたね、リンシア」
「……あぁ、お兄様」

 ミラの妹だったのか。
 ……ん?妹がなんでここにいて制服着てるんだ?
 年齢が満たないとここに入学できないはずだけど……とレントが考えているとミラから助け舟が出された。

「君のが年上だろ……」
「でも」
「でもじゃないんだよ。君のが年上だしその証拠に君は第2学生じゃないか」
「むぅ……」

 何があってこの呼び方なのかは知る由もないが、実妹では無さそうだ。

「で? 私を起こした理由を聞きたい」
「星間魔術大会にでよう」
「わかった」

 すごいスピーディに話が進む進む、いつの間にか紙には自分の名前が書かれておりレントはそれを確認した。

 ──リンシア・フォリア

「字名がおんなじじゃないか」
「あぁ、そこはややこしい事情があってね。話すタイミングが来たら話すよ。今は大会の話しね」
「……わかった」

 かなり気になることではあるが、確かに大会の方が大事だ。
 どうやら紙によると期日は今週末らしい。
 あと2日しかない。

「本当にいいの? ええと」
「リンシア」
「そう、リンシア……さん」
「いい。お兄様の場所が私の居場所。それと、リンシアでいい」

 よくもここまで溺愛されているものだ。
 いや、ややこしい事情とか言ってたし血が繋がってないのかも?
 レントはそれ以上考えるのをやめた。

「出てくれるならこれで3人だね」
「で、何やるの? それ」

 リンシアは二つ返事だったので内容が何一つわかってない。

「この星間魔術大会に出るんだよ。まぁ、その前に代表決定大会もあるけどね」
「わかった。出る」
「うん、それは分かったんだけど……まぁいいや。とりあえず訓練場行こう」

 どうやらレントとリンシアで手合わせさせるらしい。
 チームである以上、手の内はある程度知りたかったレントには助かることになる。

 訓練場というと入学式の時に盛大に壊れてから急ぎで建て直されたものだ。
 あの時よりも頑丈に、かつ何かある時は直ぐに壊れるようにしたらしい。
 どういう魔術を使えばそれが出来るのかレントは疑問で仕方がない。
 しかし、実際それはあるのだ。

「さて、訓練場に着いたわけだけど今日は午後が休みだからね。このまま始めようか」
「うん」
「そうだね」




 そうして、レントとリンシアの模擬戦が始まることになった。
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