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13、夫に誘われました
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朝食の後はまたしてもラシェルの書斎に連行される。
ちなみに、ロットグレイ家には使用人のための書斎もある――というのは親しくなったメイドに教えられた話だ。
彼らが利用する書斎は誰でも自由に出入りすることができて、その場で読むことも、借りることもできるらしい。いつもリタ・グレイシアの本は発売当日に入荷し、大人気だと教えられた。
今いるのは、ラシェルが個人的に集めた本が保管される部屋ということになる。
「昨日も伝えたが、ここにある本は好きに読んで構わない。ずっと屋敷にいては退屈だろう」
「ありがとうございます」
確かに本棚を見上げると、蔵書はリタ・グレイシア以外にも充実しているので退屈することはなさそうだ。前世から本を読むことは好きだったので素直に嬉しい。
「君が本好きであることは昨夜の語らいで理解した。ここにある本はどれも素晴らしい作品ばかりだ。ぜひ他の本も読んでほしいと思っている」
「それは読むのが楽しみですね。ところで……」
昨夜は気付かなかったけれど、やけに厳重な金庫が本棚に埋め込まれている。動かせないようにしっかりと固定されていて、まるで宝石箱のようだ。本に囲まれた部屋にしては明らかに異質である。
視線に気付いたラシェルは懐から鍵を取り出した。
「君になら構わない。俺の宝物を見せよう」
肌身離さず鍵を持ち歩くほど、大切な物なのか。
慎重に取り出すろころを見守っていると、現れたのは見覚えのある本だ。
(こ、これはっ!)
「リタ・グレイシアの最初の作品にして代表作、『王女の婚姻』その初版とも言われる今や幻の本だ」
(そう。かつてお母様が親戚に配ると言って私に作らせた最初の十冊。ラシェルは伯母様の家系、お母様から渡されていても不思議はないわ!)
その十冊は、価値が付けられないほどの高値で取引されているという。手放す者がいないせいで偽物まで出回る始末だ。
「まさか旦那様が所有されていたなんて」
「そういえば、発行元はレスタータ家が管理する印刷所だったな。これはアレクに貰ったものだ」
またしても聞こえた弟の名前に身体が反応する。
弟とラシェルは歳が近かったけれど、顔合わせの日はお互いに遠慮していてぎこちなかった。いつの間に本を渡すほど親しくなったのか、セレスティーナが知ることのなかった二人の空白を知りたいと思う。
とはいえ油断している場合ではない。
「ならば君は、リタに会ったことがあるか?」
「お会いしたことはありません。あまり人前には姿を見せない方と聞いていますから」
「ではサイン会で会えた俺は幸運だったな」
「サイン会、行かれたのですか?」
油断は禁物だけれど、好奇心が押さえられずに踏み込んだ。
「ああ。気持ちがはやり、朝一番に向かってしまった」
「それは、時間まで随分と待ったのではありませんか?」
「リタ・グレイシアのために使う時間に少しも苦はない」
清々しい宣言であった。
「これまで発売された物語に想いを馳せているうちに、気付いたら目の前に彼女がいた。素晴らしい書き手であることは知っていたが、握った手の小ささに驚かされたものだ」
(あの変装に明言されなくて良かった!)
当たり障りのない感想にほっとする。
「本当は手持ちの本全てにサインが欲しかったのだが、生憎仕事で一度しか並ぶことができなかった」
(いや、何冊あると思ってるんですか旦那様!?)
リタ・グレイシアで本棚コーナーが作れるほどである。一度で良かったとセレナは心から思った。仕事を入れてくれた人に感謝したい。
「残念ながら俺は今日も仕事だが、君は読書を楽しんでくれ。そしてまた共に語り合おう。食事もその、夕食も一緒にいいだろうか?」
「もちろんです」
外では不遜な公爵の評価を得ている癖に、向けられられた問いかけは不安そうだ。ここはラシェルの家なのだから、彼の好きにしてほしい。それなのに律儀に許可を取ってくれるところが真面目で、ありがとうと笑顔を見せてくれるところに優しさを感じる。
噂で人を判断することが愚かだと知っていたはずなのに、勝手に壁を作っていたのは自分だったとセレナは反省する。
(そうよね。貴族社会は嘘でできている)
王女であった頃、嫌というほど目にしてきたはずだ。ラシェルにだって本当の顔がある。仮にも妻、そして元親戚なのだから彼を信じなければ。
「ではまた夜に。行ってくる」
「行ってらっしゃいませ」
(はっ! 今のやり取り、凄く夫婦っぽかったわね!?)
妻の仕事をしている自分に感激する。
やはり小説の参考になる。契約結婚万歳と再度思うセレナであった。
それからラシェルとは定期的に本について語り合う仲になった。一緒に朝食をとりながら、足りない時はあの書斎で。
いつの間にか書斎にはセレナ専用のイスが置かれるようになり、歓迎されている事を知る。
ついこの間まで顔を合わせることも最低限。険悪なわけではないが、お互いに干渉することのなかった二人の変化に、公爵邸は大きな衝撃に包まれていた。
そんなわけで夕食時、夫が妻に放った一言はまたしても大きな衝撃を生んでいた。
「明日、一緒に出かけてくれないか」
伯爵令嬢と公爵家当主の結婚は、ラシェルが大声で求婚したせいで、一部の者たちの間では熱烈な求婚にセレナが頷いたと囁かれている。しかしこの公爵邸でそんな噂を信じる者はいなかった。誰がどう見ても政略結婚という関係の希薄さである。
それが一緒に出かけてほしいという急展開に、使用人はもちろん妻本人も驚きを隠せていない。
「二人で、ですか?」
「悪いがモニカは留守番だ」
セレナは優しく告げる夫の真意を探ろうとする。
「実は明日、大切な用事がある。君にも同席してほしい」
あれ、こんな話少し前にも聞いたなとセレナは思った。慌てて自身の予定を振り返る。
(明日はサイン会はないし、今回は大丈夫よね!?)
とはいえ一応、行き先を確認しておこう。もう同じ驚きはたくさんだ。夫にサインを書き握手したことは、忘れたくても忘れられない。
「どこに行くんですか?」
「すまないが、今ここで口にすることはできない」
「え?」
口調と共に和やかだった空気が一変する。
こんなに真剣に頼んでくるのだから重要なもので、守秘義務もあるのかもしれない。同席を頼みたいということは、きっと公爵夫人としてのお役目だろう。
幸せな契約結婚を持ちかけてくれたラシェルの役に立ちたいと、セレナは了承した。
ちなみに、ロットグレイ家には使用人のための書斎もある――というのは親しくなったメイドに教えられた話だ。
彼らが利用する書斎は誰でも自由に出入りすることができて、その場で読むことも、借りることもできるらしい。いつもリタ・グレイシアの本は発売当日に入荷し、大人気だと教えられた。
今いるのは、ラシェルが個人的に集めた本が保管される部屋ということになる。
「昨日も伝えたが、ここにある本は好きに読んで構わない。ずっと屋敷にいては退屈だろう」
「ありがとうございます」
確かに本棚を見上げると、蔵書はリタ・グレイシア以外にも充実しているので退屈することはなさそうだ。前世から本を読むことは好きだったので素直に嬉しい。
「君が本好きであることは昨夜の語らいで理解した。ここにある本はどれも素晴らしい作品ばかりだ。ぜひ他の本も読んでほしいと思っている」
「それは読むのが楽しみですね。ところで……」
昨夜は気付かなかったけれど、やけに厳重な金庫が本棚に埋め込まれている。動かせないようにしっかりと固定されていて、まるで宝石箱のようだ。本に囲まれた部屋にしては明らかに異質である。
視線に気付いたラシェルは懐から鍵を取り出した。
「君になら構わない。俺の宝物を見せよう」
肌身離さず鍵を持ち歩くほど、大切な物なのか。
慎重に取り出すろころを見守っていると、現れたのは見覚えのある本だ。
(こ、これはっ!)
「リタ・グレイシアの最初の作品にして代表作、『王女の婚姻』その初版とも言われる今や幻の本だ」
(そう。かつてお母様が親戚に配ると言って私に作らせた最初の十冊。ラシェルは伯母様の家系、お母様から渡されていても不思議はないわ!)
その十冊は、価値が付けられないほどの高値で取引されているという。手放す者がいないせいで偽物まで出回る始末だ。
「まさか旦那様が所有されていたなんて」
「そういえば、発行元はレスタータ家が管理する印刷所だったな。これはアレクに貰ったものだ」
またしても聞こえた弟の名前に身体が反応する。
弟とラシェルは歳が近かったけれど、顔合わせの日はお互いに遠慮していてぎこちなかった。いつの間に本を渡すほど親しくなったのか、セレスティーナが知ることのなかった二人の空白を知りたいと思う。
とはいえ油断している場合ではない。
「ならば君は、リタに会ったことがあるか?」
「お会いしたことはありません。あまり人前には姿を見せない方と聞いていますから」
「ではサイン会で会えた俺は幸運だったな」
「サイン会、行かれたのですか?」
油断は禁物だけれど、好奇心が押さえられずに踏み込んだ。
「ああ。気持ちがはやり、朝一番に向かってしまった」
「それは、時間まで随分と待ったのではありませんか?」
「リタ・グレイシアのために使う時間に少しも苦はない」
清々しい宣言であった。
「これまで発売された物語に想いを馳せているうちに、気付いたら目の前に彼女がいた。素晴らしい書き手であることは知っていたが、握った手の小ささに驚かされたものだ」
(あの変装に明言されなくて良かった!)
当たり障りのない感想にほっとする。
「本当は手持ちの本全てにサインが欲しかったのだが、生憎仕事で一度しか並ぶことができなかった」
(いや、何冊あると思ってるんですか旦那様!?)
リタ・グレイシアで本棚コーナーが作れるほどである。一度で良かったとセレナは心から思った。仕事を入れてくれた人に感謝したい。
「残念ながら俺は今日も仕事だが、君は読書を楽しんでくれ。そしてまた共に語り合おう。食事もその、夕食も一緒にいいだろうか?」
「もちろんです」
外では不遜な公爵の評価を得ている癖に、向けられられた問いかけは不安そうだ。ここはラシェルの家なのだから、彼の好きにしてほしい。それなのに律儀に許可を取ってくれるところが真面目で、ありがとうと笑顔を見せてくれるところに優しさを感じる。
噂で人を判断することが愚かだと知っていたはずなのに、勝手に壁を作っていたのは自分だったとセレナは反省する。
(そうよね。貴族社会は嘘でできている)
王女であった頃、嫌というほど目にしてきたはずだ。ラシェルにだって本当の顔がある。仮にも妻、そして元親戚なのだから彼を信じなければ。
「ではまた夜に。行ってくる」
「行ってらっしゃいませ」
(はっ! 今のやり取り、凄く夫婦っぽかったわね!?)
妻の仕事をしている自分に感激する。
やはり小説の参考になる。契約結婚万歳と再度思うセレナであった。
それからラシェルとは定期的に本について語り合う仲になった。一緒に朝食をとりながら、足りない時はあの書斎で。
いつの間にか書斎にはセレナ専用のイスが置かれるようになり、歓迎されている事を知る。
ついこの間まで顔を合わせることも最低限。険悪なわけではないが、お互いに干渉することのなかった二人の変化に、公爵邸は大きな衝撃に包まれていた。
そんなわけで夕食時、夫が妻に放った一言はまたしても大きな衝撃を生んでいた。
「明日、一緒に出かけてくれないか」
伯爵令嬢と公爵家当主の結婚は、ラシェルが大声で求婚したせいで、一部の者たちの間では熱烈な求婚にセレナが頷いたと囁かれている。しかしこの公爵邸でそんな噂を信じる者はいなかった。誰がどう見ても政略結婚という関係の希薄さである。
それが一緒に出かけてほしいという急展開に、使用人はもちろん妻本人も驚きを隠せていない。
「二人で、ですか?」
「悪いがモニカは留守番だ」
セレナは優しく告げる夫の真意を探ろうとする。
「実は明日、大切な用事がある。君にも同席してほしい」
あれ、こんな話少し前にも聞いたなとセレナは思った。慌てて自身の予定を振り返る。
(明日はサイン会はないし、今回は大丈夫よね!?)
とはいえ一応、行き先を確認しておこう。もう同じ驚きはたくさんだ。夫にサインを書き握手したことは、忘れたくても忘れられない。
「どこに行くんですか?」
「すまないが、今ここで口にすることはできない」
「え?」
口調と共に和やかだった空気が一変する。
こんなに真剣に頼んでくるのだから重要なもので、守秘義務もあるのかもしれない。同席を頼みたいということは、きっと公爵夫人としてのお役目だろう。
幸せな契約結婚を持ちかけてくれたラシェルの役に立ちたいと、セレナは了承した。
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