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この学園に来て2日目。授業も平穏にこなし、それとなくクラスにも溶け込めた…。でも今1番苦痛なこと。それはお昼休み。みんなは友達とうっふきゃははして学食を食べているのに、私は一体一人で食堂まで来て何を…。まあいいや。考えるだけ無駄無駄。とりあえず腹ごしらえをしよう。友達作りはその後でもいいよね。
そう自分を励まし、入り口から置くまで続いている、滅茶苦茶長い行列に並ぶ。辿り着いた先には美味しそうなメニュー表が。
「ハンバーグもいいな…いや、でもシチューも捨てがたい。」
うっかり声に出して考えていたとき、ドンッと背中に衝撃が。
「早くしろよ。俺を待たせるな。」
この声は…
とりあえず早くしようと思い、シチューにする。受け取り口に並び、私の後ろから来た赤髪のその男を睨みつけた。
「野上、小さい頃みたいにまたぶっ飛ばしてやろーか?」
軽口を叩いてみるが、野上はニヤッと笑っただけだった。
「もうぶっ飛ばされねーよ。おら、シチュー来たぞ。早く取ってけ。」
何なんだこいつ。俺様キャラなのかなんなのか分かんないキャラになってんぞ。キャラ変か?
「うぃっす」
言われるがままシチューを受け取り、私は一人で席を探す。あ、あの窓際とか良さそう。私は一人で食べるのに最適な窓際の席についた。その後に、野上はなぜだか知らんが、隣の席についた。
Why?
「別に席が空いてただけだから座っただけだわ。うぜぇ。」
ただ見てただけなのにうざいって言われた私可哀想…。まあいいか、野上がいようがいまいが。主人公君に見られてる訳じゃないんだし。
それにしても、でかいなぁ…。隅っこの席だから、食堂全体を見渡せる。考えながらご飯を黙々と食べていく。
「え、めちゃうますぎね?」
おっと声が出てしまった。…ここのご飯美味しすぎる。いくらでも食べれる。サイコー。もぐもぐ…
「ふはっ、大口開けすぎだろ」
横がうるさいなぁ。
「野上もそんくらい大きいでしょうが」
見てないけど。
野上は一言「まあな」といい、カレーを食べた。それを横目に私も食べるのを再開させた。
ドンッ!
え、なに。机を叩いた音と椅子が倒れる音。誰が勢いよく立ちすぎたのかと思ったけど、違ったらしい。怒号が聞こえる。気になって周りを見ると、食堂の中心あたりで男子生徒たちが揉めいた。
「宇佐美君は俺が幸せにするんだ!」
「うるせえ。宇佐美に近寄んなストーカー。」
上からモサモサな頭とメガネをかけている男と金髪さらさらマッシュ君。昨日の…確か、晴山だったっけ。で、晴山と一緒にいる可愛い男の子が宇佐美くん、ね。…あれ。
宇佐美って確か主人公のデフォルトネームじゃなかったっけ。主人公君、ゲームだと顔は出てなかったけど、絶世の美女(男)って世界観だった気がするし。
あ。これあれだ。ストーカーが近寄ってきて現在で1番好感度が高い攻略対象者が助けるってイベントだ。よくもまあこんな雑なイベント思いついたよな。食堂とストーカーって…一体どう結びつけたらそうなんだろ。
「宇佐美君。僕が毎日君の机の上においてたの、気づいてた?」
あー、あれね。愛の形という名の使用済みパンツね。
「…あ…パンツ…」
宇佐美は気づいたのか、顔を真っ青にしている。当たり前だ。正直、これは誰でも引く。
「宇佐美、とりあえずここ離れよう。こいつは後で校長に報告すればいい。生憎、証人は沢山いるからね。」
聡明な判断だな金髪さらさらマッシュ君。構うだけ無駄だ、こういうタイプは。
「晴山ぁ!僕の宇佐美君に触るなぁ!!!」
立ち上がる二人を前にそいつは、とうとう皿を投げようとした。いやいや、危ないってアホなんかよ。
気付けば体が動いていた。
「やめときなってストーカー君」
私はストーカー君の持ってる皿を取り上げる。うわ、まだ料理残ってんじゃん…。
「喧嘩すんのはいいけどさぁ、場所を弁えろっての。あと、あんたが持ってるその皿、まだ料理残ってんだろうが。」
「お前誰だよ!」
男は苛立っていてさっきより凄い顔になった。うわ、般若じゃん。
「誰だっていいでしょうが。それより、学食食えてんのは料理人さんたちがいるからでしょ、あんたは今、それを無駄にしようとしたんだぞ」
ストーカー君に語りかけてみるけど、全く持って響いてないなこれ。それに、どんどん私に近寄ってきている。殴りかかろうとしてない?こいつ。
「うるさい!だまれだまれだまれ!宇佐美君と僕の仲を裂くな!」
男が私に拳を振り被る。
よし、一発殴られてやって、こいつ退学にしよっ。私は瞬時にそう思い、これから来るであろう痛みに目を瞑った。…が。
「あぶねぇだろうが。」
そう自分を励まし、入り口から置くまで続いている、滅茶苦茶長い行列に並ぶ。辿り着いた先には美味しそうなメニュー表が。
「ハンバーグもいいな…いや、でもシチューも捨てがたい。」
うっかり声に出して考えていたとき、ドンッと背中に衝撃が。
「早くしろよ。俺を待たせるな。」
この声は…
とりあえず早くしようと思い、シチューにする。受け取り口に並び、私の後ろから来た赤髪のその男を睨みつけた。
「野上、小さい頃みたいにまたぶっ飛ばしてやろーか?」
軽口を叩いてみるが、野上はニヤッと笑っただけだった。
「もうぶっ飛ばされねーよ。おら、シチュー来たぞ。早く取ってけ。」
何なんだこいつ。俺様キャラなのかなんなのか分かんないキャラになってんぞ。キャラ変か?
「うぃっす」
言われるがままシチューを受け取り、私は一人で席を探す。あ、あの窓際とか良さそう。私は一人で食べるのに最適な窓際の席についた。その後に、野上はなぜだか知らんが、隣の席についた。
Why?
「別に席が空いてただけだから座っただけだわ。うぜぇ。」
ただ見てただけなのにうざいって言われた私可哀想…。まあいいか、野上がいようがいまいが。主人公君に見られてる訳じゃないんだし。
それにしても、でかいなぁ…。隅っこの席だから、食堂全体を見渡せる。考えながらご飯を黙々と食べていく。
「え、めちゃうますぎね?」
おっと声が出てしまった。…ここのご飯美味しすぎる。いくらでも食べれる。サイコー。もぐもぐ…
「ふはっ、大口開けすぎだろ」
横がうるさいなぁ。
「野上もそんくらい大きいでしょうが」
見てないけど。
野上は一言「まあな」といい、カレーを食べた。それを横目に私も食べるのを再開させた。
ドンッ!
え、なに。机を叩いた音と椅子が倒れる音。誰が勢いよく立ちすぎたのかと思ったけど、違ったらしい。怒号が聞こえる。気になって周りを見ると、食堂の中心あたりで男子生徒たちが揉めいた。
「宇佐美君は俺が幸せにするんだ!」
「うるせえ。宇佐美に近寄んなストーカー。」
上からモサモサな頭とメガネをかけている男と金髪さらさらマッシュ君。昨日の…確か、晴山だったっけ。で、晴山と一緒にいる可愛い男の子が宇佐美くん、ね。…あれ。
宇佐美って確か主人公のデフォルトネームじゃなかったっけ。主人公君、ゲームだと顔は出てなかったけど、絶世の美女(男)って世界観だった気がするし。
あ。これあれだ。ストーカーが近寄ってきて現在で1番好感度が高い攻略対象者が助けるってイベントだ。よくもまあこんな雑なイベント思いついたよな。食堂とストーカーって…一体どう結びつけたらそうなんだろ。
「宇佐美君。僕が毎日君の机の上においてたの、気づいてた?」
あー、あれね。愛の形という名の使用済みパンツね。
「…あ…パンツ…」
宇佐美は気づいたのか、顔を真っ青にしている。当たり前だ。正直、これは誰でも引く。
「宇佐美、とりあえずここ離れよう。こいつは後で校長に報告すればいい。生憎、証人は沢山いるからね。」
聡明な判断だな金髪さらさらマッシュ君。構うだけ無駄だ、こういうタイプは。
「晴山ぁ!僕の宇佐美君に触るなぁ!!!」
立ち上がる二人を前にそいつは、とうとう皿を投げようとした。いやいや、危ないってアホなんかよ。
気付けば体が動いていた。
「やめときなってストーカー君」
私はストーカー君の持ってる皿を取り上げる。うわ、まだ料理残ってんじゃん…。
「喧嘩すんのはいいけどさぁ、場所を弁えろっての。あと、あんたが持ってるその皿、まだ料理残ってんだろうが。」
「お前誰だよ!」
男は苛立っていてさっきより凄い顔になった。うわ、般若じゃん。
「誰だっていいでしょうが。それより、学食食えてんのは料理人さんたちがいるからでしょ、あんたは今、それを無駄にしようとしたんだぞ」
ストーカー君に語りかけてみるけど、全く持って響いてないなこれ。それに、どんどん私に近寄ってきている。殴りかかろうとしてない?こいつ。
「うるさい!だまれだまれだまれ!宇佐美君と僕の仲を裂くな!」
男が私に拳を振り被る。
よし、一発殴られてやって、こいつ退学にしよっ。私は瞬時にそう思い、これから来るであろう痛みに目を瞑った。…が。
「あぶねぇだろうが。」
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