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「あー、お待たせ」
そこには『あれ? コイツは未来の僕かな?』と一瞬勘違いするような、小汚い肥満の中年男性が立っていた。
「どうも、鑑定士の蛸沼です。えー、君が木本オタフク君かな?」
「……どうも」
現実は甘くないってことだね蛸沼アスカさん……
◇
「待たせしてごめんね」
涼しい部屋のはずなのにすでに汗だくの蛸沼さん。
いい名前ですねぇ。大分パンチ効いてますけど、しっかり名は体を表してますよ?
どこか親近感を覚えた。
「いえ、あのどうして僕がここに連れてこられたんですか?」
いい加減理由くらい教えてくれよ!
「あれ、まだ聞かされてないの?」
汗をぬぐいながら蛸沼酸が言う。
「はい……担当のアスカさんから聞いてくれと」
まったく、報連相の出来ていない組織だな!
「あーそういうことか。そりゃそうだね。とりあえず先にレベルの鑑定からさせてもらうよ」
「レベルの……?」
どうしてよりによって僕のレベルを? レベル0だぞ?
蛸沼さんは僕の手のひらを見る。
鑑定士のスキルを持っている人はこうするとレベルが浮かび上がって見えるらしい。
傍から見たら巨漢のオッサン占い師に見てもらうキモオタ、とういう気持ちの悪い構図になっている。
「おぉ……本当にレベル0だ……こりゃすごい……」
どこか嬉しそうな蛸沼さん。
「すごいって……」
「いや、私も長く鑑定士をしているけどレベル0は初めてだよ! レア! 激レアだね! SSR!」
蛸沼さんじゃ興奮している。鑑定士から見ると歴史的発見なのだろう。
「そんなに珍しいですか……」
こんなに嬉しくないレアはなかなかないだろうが……
「なるほどね、確かにこれなら大丈夫だろう。よしよし……」
蛸沼さんは一人うなずき納得している。
「あの……だからなんで僕が連れてこられたのかそろそろ教えてくれよ!」
流石に僕もイライラしてきた。
「ちょ、ちょっと! そんなに怒らないで!」
蛸沼さんは怒る僕に慌てる。
「政府の権力で無理やり連れてこられて何の説明も無く! 早く理由を教えてくれよ!」
オタクだってキレる時はキレるんだぞ!
「え? 君はアスカさんから聞けって言われたんでしょ?」
「だから! アンタがアスカさんだろ?」
何を言ってるんだこのオッサンは!?
「えぇ!? わ、私は蛸沼ゴンゾウだよ?」
「え?」
蛸沼……ゴンゾウ? アスカっていうのはコイツじゃないのか?
「き、君はあんまりダンジョン冒険者とか興味ない子かな?」
「いや……」
興味はもちろんあるが……
「今の子はアスカさん知らないのかな? 結構有名なんだけどなぁ」
……どういうことだ? 理解が追い付かない。
『カッカッ』
その時、廊下から聞こえるピンヒールの音。
『ガチャ』
肥満中年とキモオタが言い争いをする醜い部屋に誰かが入ってきた。
「すまない、待たせたね」
美しい声で彼女は僕に話しかけた。
「あ……ぁ……」
震える僕、あまりの興奮にチビっていたのは言うまでもない。
スラっとしたスタイルの良い、圧倒的オーラを持つ美女。
「ギルド竜の牙のアスカだ。初めまして木本君」
彼女は僕の憧れの最強女剣士アスカさんだった。
「あ、あの……ファンです……好きです……」
アイドル白野サクラから推し変は一瞬だった。
そこには『あれ? コイツは未来の僕かな?』と一瞬勘違いするような、小汚い肥満の中年男性が立っていた。
「どうも、鑑定士の蛸沼です。えー、君が木本オタフク君かな?」
「……どうも」
現実は甘くないってことだね蛸沼アスカさん……
◇
「待たせしてごめんね」
涼しい部屋のはずなのにすでに汗だくの蛸沼さん。
いい名前ですねぇ。大分パンチ効いてますけど、しっかり名は体を表してますよ?
どこか親近感を覚えた。
「いえ、あのどうして僕がここに連れてこられたんですか?」
いい加減理由くらい教えてくれよ!
「あれ、まだ聞かされてないの?」
汗をぬぐいながら蛸沼酸が言う。
「はい……担当のアスカさんから聞いてくれと」
まったく、報連相の出来ていない組織だな!
「あーそういうことか。そりゃそうだね。とりあえず先にレベルの鑑定からさせてもらうよ」
「レベルの……?」
どうしてよりによって僕のレベルを? レベル0だぞ?
蛸沼さんは僕の手のひらを見る。
鑑定士のスキルを持っている人はこうするとレベルが浮かび上がって見えるらしい。
傍から見たら巨漢のオッサン占い師に見てもらうキモオタ、とういう気持ちの悪い構図になっている。
「おぉ……本当にレベル0だ……こりゃすごい……」
どこか嬉しそうな蛸沼さん。
「すごいって……」
「いや、私も長く鑑定士をしているけどレベル0は初めてだよ! レア! 激レアだね! SSR!」
蛸沼さんじゃ興奮している。鑑定士から見ると歴史的発見なのだろう。
「そんなに珍しいですか……」
こんなに嬉しくないレアはなかなかないだろうが……
「なるほどね、確かにこれなら大丈夫だろう。よしよし……」
蛸沼さんは一人うなずき納得している。
「あの……だからなんで僕が連れてこられたのかそろそろ教えてくれよ!」
流石に僕もイライラしてきた。
「ちょ、ちょっと! そんなに怒らないで!」
蛸沼さんは怒る僕に慌てる。
「政府の権力で無理やり連れてこられて何の説明も無く! 早く理由を教えてくれよ!」
オタクだってキレる時はキレるんだぞ!
「え? 君はアスカさんから聞けって言われたんでしょ?」
「だから! アンタがアスカさんだろ?」
何を言ってるんだこのオッサンは!?
「えぇ!? わ、私は蛸沼ゴンゾウだよ?」
「え?」
蛸沼……ゴンゾウ? アスカっていうのはコイツじゃないのか?
「き、君はあんまりダンジョン冒険者とか興味ない子かな?」
「いや……」
興味はもちろんあるが……
「今の子はアスカさん知らないのかな? 結構有名なんだけどなぁ」
……どういうことだ? 理解が追い付かない。
『カッカッ』
その時、廊下から聞こえるピンヒールの音。
『ガチャ』
肥満中年とキモオタが言い争いをする醜い部屋に誰かが入ってきた。
「すまない、待たせたね」
美しい声で彼女は僕に話しかけた。
「あ……ぁ……」
震える僕、あまりの興奮にチビっていたのは言うまでもない。
スラっとしたスタイルの良い、圧倒的オーラを持つ美女。
「ギルド竜の牙のアスカだ。初めまして木本君」
彼女は僕の憧れの最強女剣士アスカさんだった。
「あ、あの……ファンです……好きです……」
アイドル白野サクラから推し変は一瞬だった。
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