キモオタ レベル0★世界最弱のオタク高校生の僕だけレベルアップ!美女に囲まれハーレム青春物語

さかいおさむ

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 「お疲れ様……良い戦いだったぞ……」
 戦いを終え僕にねぎらいの言葉をくれるアスカさん。
 しかし、さすがに手裏剣一撃は予想していなかったようで苦笑いでアスカさん。

 「……ハハ、圧勝でしたね」
 さすがにあの弱さには驚いた。
 レベル0のモンスター、おそらく自然界にはいないレベルの弱さだったのだろう……
 わざわざついて来てくれたサポートメンバーにも申し訳ない。

 ダンジョン冒険者という幼い頃からの夢が叶ったが何とも複雑な心境だ。 
 初めてのダンジョンクリアだっていうのにこの虚しさ。ほんとにこれでクリアになるんだろうか?



 《ダンジョンクリアおめでとうございます》

 あのアナウンスが流れだす。
 よかった。無事にクリアできたようだ。


 ボスステージの中央に光が集まる。


 「気をつけろ!」
 アスカさんが剣を構える。

 「はい!」
 俺も剣を構える。

 「調子に乗るなぁ! 木本君は引っ込んでろ!」
 「ぐわぁああ」
 アスカさんは俺を蹴り飛ばす。

 「モンスターが飛び出してくるかもしれないんだぞ! 危険だ、離れていろ!」
 「……はい……」
 ダンジョンをクリアしたとはいえレベル0の俺にアスカさんは厳しかった。ボスを倒したんだから少しくらい優しくしてくれてもよくないか?
 トボトボと離れ、遠目に光を見る。


 小さな何かがフラフラと光から出てきた。

 「むっ!? モンスターか? くらえ!」
 アスカさんがそれに斬りかかる。その時――

 「キャーーーッ! 斬らないでぇぇえ!」
 「!?」
 部屋中に女の子の声が響き渡る。

 「き……斬らないでください! わ、私は精霊です!」
 「せ、精霊!?」
 「はい……精霊です……この剣をどけてください……」
 宙に浮く、ハムスターほどの大きさの羽の生えた女の子。
 アスカさんに剣を突きつけられ怯えている。


 「……どうやらモンスターではないようだな……紛らわしいな」
 「いや……アスカさん、謝りましょうよ……」
 「やめて……死にたくない! 逝きたくない!」
 「ん!? どっちだ!?」
 「アスカさん……とりあえず剣を下ろしましょうよ……」

 泣きながら青ざめる精霊と名乗る女の子。


 ◇


 「……とんでもない人ですね……いきなり斬るなんて! この世界の人はイカれてますね!」
 いきなり斬られかけた精霊はやっと落ち着きを取り戻し、アスカさんを睨んでいる。

 「ごめんね……アスカさんも悪気があったわけじゃないんだよ」
 「ふんっ! ダンジョンで急にこんなチビスケが現れたら、誰だってモンスターだと思うだろ!」
 「チビスケって……! 失礼ですね……わざわざこの世界に来た精霊に対してそんな態度は!」
 アスカさんと険悪な精霊。

 「そもそも精霊とはなんだ? お前は何者だ?」
 「精霊も知らないなんて……本当にこの世界は遅れてるますね!」
 「……この世界って? お前はどこから来たんだ?」
 「……異世界からよ」
 「異世界!?」

 精霊はフワッと宙に浮き俺の目の前に飛んでくる。……近い。

 「感謝してます。えっと……木本君? キモオタ君?」
 「え、いやぁ……どちらでも……」
 手のひらサイズだが至近距離の可愛い女の子に照れる。

  「このダンジョンをクリアする人が現れるのをずっと待っていました。キモオタ君、あなたに世界を救ってほしいの!」
 「世界を救う!?」
 「ええ、あなたにしか魔王は倒せないんです!」
 俺が……魔王を!? 
 
 「……なるほど、やはり……俺は運命の勇者……ってことな――」
 『ガッ!』
 「ぐわああ」
 「ウロチョロするなチビスケ!」
 なんで俺を蹴るんですか……アスカさん……

 「ダンジョンのことを知っているんだろ!? 早く教えろ! あのダンジョンせいで……妹は……!」
 アスカさんは泣きそうだ。前に言っていた寝たきりの家族のことだろうか?


 精霊は真剣な表情になる。
 「そうですね。ちゃんとお話ししないといけませんね……でも、その前に――」
 ダンジョンの秘密を知っている精霊。重大な話に違いない……
 「……その、お腹ペコペコで……なにか食べ物ありませんか?」
 「……」
 アスカさんは怒りの表情で剣を手をやる。

 「アスカさん!! 斬っちゃダメだ!」
 「離せ! 木本君! こいつは人を馬鹿にしている!」
 「キャーーーッ! 斬らないでぇぇえ!」
 「待てぇぇえ! チビスケ!」
 
 異世界から来た精霊。彼女の出現でこの世界は大きく変わった。
 とりあえずこの二人は犬猿の仲のようだ。 
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