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「はぁはぁ……」
僕は魔人化を解く。残りの魔力はわずかだった。クタクタだ……
「や、やった……やりましたよ! キモオタ君!」
「よくやった!」
みんなが僕に駆け寄る。
「倒せ……ましたかね?」
「あの攻撃を食らって無事なわけありませんよ! 世界は……救われましたよ!」
目を潤ませるガイド。
「そっか……よかった……」
僕は恐る恐る、倒れた魔王に近づく。
光の弾丸をくらいボロボロだ。
「こうもあっさり倒せると……」
僕は念のため魔王にとどめを刺そうと剣を振り上げる。
その時、禍々しい気配に気づく。
「く……やってくれたな……」
「ッ! ま、魔王!」
僕は急いで剣を振り下ろすが……
『ドンッ!』
魔王の体から衝撃波が放たれ、僕は吹き飛ばされる。
「くっ……」
「いやぁ、死にかけたよ……まさか魔人化まで出来るとは驚いた」
ボロボロの魔王は立ち上がりこちらに歩み寄る。
「そんな……生きてるなんて……」
ガイドは絶望の表情で震えている。
ヨロヨロと歩くのがやっとという様子。魔王は相当ダメージを受けているのは間違いない。
「くそ……もう一回だ!」
僕は再度、魔人化しようと魔力を集める。
もう一発食らわせれば……!
「ふふふ、まあ待て、キモオタ君」
ボロボロの体を引きずりながら魔王は笑いながら言う。
「魔人化とはすごい、どれだけの経験値を積んだのか……しかし……」
魔王の体がどす黒い光に包まれる。
「こ、これは……」
僕は嫌な予感がした。
「この技は元々、私たち魔族の技だ!」
魔王の体が黒く光り出す。さっきまでとは比べ物にならない力を感じる。
「ま、魔人化だって……?」
ただでさえギリギリの戦いだったというのに更にパワーアップを残していたなんて……
もう魔力の残りはわずか。僕は絶望し下を向く。
「おやおや、もう終わりか? 可哀そうに。人間ごときが中途半端に力を持ったばかりに……弱いままなら期待することもなかったのにな」.
ニヤニヤと笑いながら魔王が向かって来るが、もう反撃する気も起きない。
「さらばだ、キモオタ!」
うつむく僕に魔王は剣を振り下ろす。
「やっぱり駄目だったか……」
あー、結局レベル0の頃より強くはなったけど、全部無駄だったか。
一瞬だけど、勇者の夢を見れて良かった……
全てを諦めたその時、魔王の剣の前に何かが立ちはだかる。
「えっ!?」
『ギィンッ!!』
金属音が鳴り響き、衝撃で吹き飛ぶ僕。
「うぅぅ……」
「ハァハァ、木本君! なに諦めているんだ!!」
「ア、アスカさん……」
魔王の剣に立ち向かったのはアスカさんだった。
「ぐっ!」
アスカさんは苦悶の表情で手を抑える。
「だ、大丈夫ですか?」
「あ、ああ……心配無用だ」
魔人化した魔王の攻撃を受け止めたのだ。大丈夫な訳はない。
「木本君……どうしたんだ?」
「……僕みたいな奴が魔王に勝つなんて甘かったんですよ。中途半端に少し強くなったくらいで夢見ちゃって……」
「バカ者! なに言ってるんだ!」
「うぅ……」
「やれやれ……人類最強の戦士もこのザマか。終わりにしよう」
座り込む僕らに魔王は手をかざす。
黒い炎が撃たれるその時、サクラちゃんが飛び出す。
「アンタね! いい加減にしなさいよ!」
サクラちゃんの剣が魔王の腕を斬る。魔人化した皮膚には傷一つ付いていないが、魔王の動きを止めた。
「ウジウジして……バカじゃないの!」
「サクラちゃん……」
「キモオタ君……私の魔力を使ってください。少しなんで役に立つか分かりませんけど……」
ガイドが僕の体に触れ、魔力を分けてくれた。
ほんの少しの魔力だが、胸の奥に熱いものを感じた。
「木本君、厳しい状況だが、諦めちゃダメだ! 私は、レベル0の君がここまで成長したすべてを見てきた。君の力は中途半端なんかじゃないぞ。前を向くんだ!」
「みんな……」
情けない。僕の憧れた勇者は、いつでも諦めることなんてなかったな。
「お話は済んだか?」
魔王はニヤニヤと笑いながら僕らを見下ろす。
「ああ……おかげで目が覚めたよ」
僕は立ち上がり剣を握る。
アスカさんがくれた剣、勇者の剣だ。
魔王にやられて落ち込むなんて贅沢になったものだ。
少し前までどのクラスメイトより弱かったというのに。
あの悔しさに比べたら、今の状況がなんだ!
「来い! 魔王!」
剣を構える僕の体は金色に輝く。魔人化の残りもわずかだろう。
最後の勝負だ。
僕は魔人化を解く。残りの魔力はわずかだった。クタクタだ……
「や、やった……やりましたよ! キモオタ君!」
「よくやった!」
みんなが僕に駆け寄る。
「倒せ……ましたかね?」
「あの攻撃を食らって無事なわけありませんよ! 世界は……救われましたよ!」
目を潤ませるガイド。
「そっか……よかった……」
僕は恐る恐る、倒れた魔王に近づく。
光の弾丸をくらいボロボロだ。
「こうもあっさり倒せると……」
僕は念のため魔王にとどめを刺そうと剣を振り上げる。
その時、禍々しい気配に気づく。
「く……やってくれたな……」
「ッ! ま、魔王!」
僕は急いで剣を振り下ろすが……
『ドンッ!』
魔王の体から衝撃波が放たれ、僕は吹き飛ばされる。
「くっ……」
「いやぁ、死にかけたよ……まさか魔人化まで出来るとは驚いた」
ボロボロの魔王は立ち上がりこちらに歩み寄る。
「そんな……生きてるなんて……」
ガイドは絶望の表情で震えている。
ヨロヨロと歩くのがやっとという様子。魔王は相当ダメージを受けているのは間違いない。
「くそ……もう一回だ!」
僕は再度、魔人化しようと魔力を集める。
もう一発食らわせれば……!
「ふふふ、まあ待て、キモオタ君」
ボロボロの体を引きずりながら魔王は笑いながら言う。
「魔人化とはすごい、どれだけの経験値を積んだのか……しかし……」
魔王の体がどす黒い光に包まれる。
「こ、これは……」
僕は嫌な予感がした。
「この技は元々、私たち魔族の技だ!」
魔王の体が黒く光り出す。さっきまでとは比べ物にならない力を感じる。
「ま、魔人化だって……?」
ただでさえギリギリの戦いだったというのに更にパワーアップを残していたなんて……
もう魔力の残りはわずか。僕は絶望し下を向く。
「おやおや、もう終わりか? 可哀そうに。人間ごときが中途半端に力を持ったばかりに……弱いままなら期待することもなかったのにな」.
ニヤニヤと笑いながら魔王が向かって来るが、もう反撃する気も起きない。
「さらばだ、キモオタ!」
うつむく僕に魔王は剣を振り下ろす。
「やっぱり駄目だったか……」
あー、結局レベル0の頃より強くはなったけど、全部無駄だったか。
一瞬だけど、勇者の夢を見れて良かった……
全てを諦めたその時、魔王の剣の前に何かが立ちはだかる。
「えっ!?」
『ギィンッ!!』
金属音が鳴り響き、衝撃で吹き飛ぶ僕。
「うぅぅ……」
「ハァハァ、木本君! なに諦めているんだ!!」
「ア、アスカさん……」
魔王の剣に立ち向かったのはアスカさんだった。
「ぐっ!」
アスカさんは苦悶の表情で手を抑える。
「だ、大丈夫ですか?」
「あ、ああ……心配無用だ」
魔人化した魔王の攻撃を受け止めたのだ。大丈夫な訳はない。
「木本君……どうしたんだ?」
「……僕みたいな奴が魔王に勝つなんて甘かったんですよ。中途半端に少し強くなったくらいで夢見ちゃって……」
「バカ者! なに言ってるんだ!」
「うぅ……」
「やれやれ……人類最強の戦士もこのザマか。終わりにしよう」
座り込む僕らに魔王は手をかざす。
黒い炎が撃たれるその時、サクラちゃんが飛び出す。
「アンタね! いい加減にしなさいよ!」
サクラちゃんの剣が魔王の腕を斬る。魔人化した皮膚には傷一つ付いていないが、魔王の動きを止めた。
「ウジウジして……バカじゃないの!」
「サクラちゃん……」
「キモオタ君……私の魔力を使ってください。少しなんで役に立つか分かりませんけど……」
ガイドが僕の体に触れ、魔力を分けてくれた。
ほんの少しの魔力だが、胸の奥に熱いものを感じた。
「木本君、厳しい状況だが、諦めちゃダメだ! 私は、レベル0の君がここまで成長したすべてを見てきた。君の力は中途半端なんかじゃないぞ。前を向くんだ!」
「みんな……」
情けない。僕の憧れた勇者は、いつでも諦めることなんてなかったな。
「お話は済んだか?」
魔王はニヤニヤと笑いながら僕らを見下ろす。
「ああ……おかげで目が覚めたよ」
僕は立ち上がり剣を握る。
アスカさんがくれた剣、勇者の剣だ。
魔王にやられて落ち込むなんて贅沢になったものだ。
少し前までどのクラスメイトより弱かったというのに。
あの悔しさに比べたら、今の状況がなんだ!
「来い! 魔王!」
剣を構える僕の体は金色に輝く。魔人化の残りもわずかだろう。
最後の勝負だ。
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