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第一章 勇者パーティーの魔法使い

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「はぁー、面倒くせえな。まあ魔王のいない今の魔族は昔より弱いだろうから何とかなるだろう。
 人間以外の種族は長生きだからな。俺の知ってるやつもどこかにいるかもしれない。旅をしながら探してみるか」
 アルカンタラは言う。

 ドワーフやエルフは数100年は生きるのだ。
 
「ところで……暗黒水晶を壊してまた平和になったら、そのあとアルカンタラはどうするんだ?」
 ペドロは疑問をアルカンタラにぶつける。

「……分かんねぇ。凍っている間は歳をとってないからな。見た目も体も俺はまだ18歳のままだ。健康ならあと5.60年は生きるんだろうが。
 まあその時はのんびり暮らすか。物心ついた頃から魔王がこの世界を支配してて、100年経っても今度は暗黒水晶だ。いい加減、平穏に暮らしたいもんだ。
 とりあえず……ソーサーたちが守ったこの世界の平和は俺が取り戻してやるよ」
 アルカンタラは恥ずかしそうに言う。

「ふふ、ずいぶん大人になったもんだな、アルカンタラ」
「……なあ、俺の力は今の時代なら通用するんだろうな?」
 ペドロに確認をするアルカンタラ。

 城を襲ってきたサンダーバードくらいなら楽に倒せたものの、100年前の世界ではソーヤーやアゼリなどのトップ戦士に比べれば、弱かった自分の魔法が本当に現代で通用するのかアルカンタラには不安もあった。

「ああ。魔法陣の入れ墨、古代魔法を使える人間は現在の世界ではアルカンタラだけだ。魔力だけなら世界トップクラスだろう。しかし、知っての通り今の魔法……古代魔法に対して近代魔法と呼ぶなら、近代魔法は複雑に進化している。
 魔法自体のパワーではアルカンタラに劣っていても、近代魔法の使い方次第では苦戦する魔法使いも現れるかもしれん」

「近代魔法か。たしかに厄介そうだな」
 ペドロの言葉に不安を覚えるアルカンタラ。

「だが大丈夫だ。アルカンタラにはミルリーフ殿がいるんだ」
 ペドロは力強く言う。

「……そうだな。ソーサーとアゼリの子孫だもんな。普通に考えたら俺なんかより強くなるに決まっているか」
 アルカンタラは苦笑いをする。

「あまり自分を卑下するじゃない。お前が本当に弱かったらソーサー様がパーティーに入れるわけないだろ?」
「……どうかな?」
「頼んだぞ。この世界を救ってくれよ」
 ペドロはアルカンタラの肩に手を置く。

「ああ……やれるだけやってみるさ。
 えーと、まずは冒険者ギルドってやつだな? まったく、めんどくさい時代になったもんだ」

「仕方ないんだ。平和になって、人々が安心して暮らすためにはルールが必要になったんだ。
 大丈夫、ミルリーフ殿も一緒なんだ。うまくやってくれてはずだ」

「ルールね……めんどくせぇがしょうがない」

 資料を読み、先ほど国王やペドロ長老から聞いた古代魔法が禁止された歴史などを知れたアルカンタラだった。
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