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第1部 第4章 最悪とハジメテ
⑬【※】
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キリアンの言葉はまっすぐで、僕は顔にカーっと熱が溜まるのを実感してしまう。
「き、キリアン――」
「俺はもう、ジェリーなしじゃ生きていけない」
僕の腕をひとまとめにするキリアンの手に、力がこもった。
――僕は、どうしたいんだろうか。
(キリアンとそういうこと――えっち、したいの?)
けど、でも――。
悩む僕をよそに、キリアンが唇を重ねてくる。
音を立ててキスをされたかと思うと、その唇が徐々に下へと向かっていく。
僕の首筋に口づけて、少しだけ見える鎖骨の辺りに噛みつかれたのがわかった。
「なぁ、ジェリー」
僕を呼ぶキリアンの声が、切なげだった。
まるで捨てられた子供のような声に、胸がぎゅうっと締め付けられる。
一度だけ、たった一度だけなら――いいんじゃないか。
頭の中で誰かがそうささやいた。
(そうだよ。僕が今後誰かと性交渉をするなんて、ないんだから――)
だったら、ここでキリアンに身体を委ねたら、一生の思い出として残るんじゃないだろうか。
そう思って、僕はキリアンの唇が重なったときに自ら舌を差し出した。
「んっ、ふぅっ」
口づけはどんどん深くなった。
どちらともなく舌を絡め合う。僕の身体もどんどん熱くなっていく。
いつの間にか腕は解放されていたけど、僕は動かす気にもならなかった。
「――キリアン」
唇が離れて、キリアンのことを呼ぶ。彼が息を呑んだ。
「あの、ね」
「――あぁ」
「優しくしてしてくれるなら、僕のことを抱いてもいいよ……」
今にも震えそうな声で言うと、キリアンが目を見開く。
けど、すぐに「あぁ」と言った。
「絶対に優しくする。ジェリーを傷つけたりはしない」
誓いのような言葉。真剣な声音でキリアンが宣言した。
静かに頷いて、僕は自らのシャツに手をかけた。
ローブは寝苦しいからとすでに脱いでいる。もちろん、キリアンも上着は着ていない。
なんだか、お互い薄着でいるのを実感して今更恥ずかしいなって。
(昨夜もそうだったんだけど)
なのに、やっぱりなにかが違うような気がする――。
なんて考える僕の手にキリアンの手が重なった。彼を見つめると、彼が首を横に振る。
「俺が脱がせる」
キリアンがはっきりと言う。
「だ、だけどね」
「こういうのは俺がしたい」
そこまで言われちゃうと、断ることも出来ない。
僕がシャツのボタンから手を離すと、代わりとばかりにキリアンの手がボタンに触れた。
キリアンの太い指が僕のシャツのボタンを外していく。一つずつ外されるたびに、僕の鼓動が早くなる。
「こんなところでヤるなんて、ムードがないからな。せめてほかくらいは」
キリアンが僕のシャツの前をはだけさせる。男性にしては薄い胸をキリアンがじっと見つめる。
「可愛いな」
大きな手のひらが僕の胸に触れて、撫でまわすように動いた。
気持ちいいはずがない――のに。どうしてだろうか、身体が熱くなる。
「ぁ、あっ、き、りあん――」
撫でられた箇所が熱い。下肢に熱がどんどんたまっていく。
自分の身体の反応に戸惑っていると、キリアンが胸の突起に触れた。普段は飾りにしかならない突起に触れられると、僕の身体がびくんと跳ねる。
「ここ、気持ちいいか?」
僕の目を見たキリアンが問いかけてきた。
恥ずかしくて、視線を逸らしたいのに――僕は視線を逸らせない。キリアンの目に魅入られてしまったみたいだ。
「うぁっ」
少しぷっくりとし始めた乳首を爪でつつかれて、声が漏れた。
洞窟の外ではしとしとと雨が降っている。そんな中で情交に及ぶ僕たちは、この森の中で最も浮いている存在だろう。
(でも、なんでもいい。――愛して、僕を欲して)
キリアンの目が僕を欲してくれている。
たったそれだけで、嬉しくて、満たされていく。僕の胸の中に喜びの感情がじわぁっと広がっていく。
「き、キリアン――」
「俺はもう、ジェリーなしじゃ生きていけない」
僕の腕をひとまとめにするキリアンの手に、力がこもった。
――僕は、どうしたいんだろうか。
(キリアンとそういうこと――えっち、したいの?)
けど、でも――。
悩む僕をよそに、キリアンが唇を重ねてくる。
音を立ててキスをされたかと思うと、その唇が徐々に下へと向かっていく。
僕の首筋に口づけて、少しだけ見える鎖骨の辺りに噛みつかれたのがわかった。
「なぁ、ジェリー」
僕を呼ぶキリアンの声が、切なげだった。
まるで捨てられた子供のような声に、胸がぎゅうっと締め付けられる。
一度だけ、たった一度だけなら――いいんじゃないか。
頭の中で誰かがそうささやいた。
(そうだよ。僕が今後誰かと性交渉をするなんて、ないんだから――)
だったら、ここでキリアンに身体を委ねたら、一生の思い出として残るんじゃないだろうか。
そう思って、僕はキリアンの唇が重なったときに自ら舌を差し出した。
「んっ、ふぅっ」
口づけはどんどん深くなった。
どちらともなく舌を絡め合う。僕の身体もどんどん熱くなっていく。
いつの間にか腕は解放されていたけど、僕は動かす気にもならなかった。
「――キリアン」
唇が離れて、キリアンのことを呼ぶ。彼が息を呑んだ。
「あの、ね」
「――あぁ」
「優しくしてしてくれるなら、僕のことを抱いてもいいよ……」
今にも震えそうな声で言うと、キリアンが目を見開く。
けど、すぐに「あぁ」と言った。
「絶対に優しくする。ジェリーを傷つけたりはしない」
誓いのような言葉。真剣な声音でキリアンが宣言した。
静かに頷いて、僕は自らのシャツに手をかけた。
ローブは寝苦しいからとすでに脱いでいる。もちろん、キリアンも上着は着ていない。
なんだか、お互い薄着でいるのを実感して今更恥ずかしいなって。
(昨夜もそうだったんだけど)
なのに、やっぱりなにかが違うような気がする――。
なんて考える僕の手にキリアンの手が重なった。彼を見つめると、彼が首を横に振る。
「俺が脱がせる」
キリアンがはっきりと言う。
「だ、だけどね」
「こういうのは俺がしたい」
そこまで言われちゃうと、断ることも出来ない。
僕がシャツのボタンから手を離すと、代わりとばかりにキリアンの手がボタンに触れた。
キリアンの太い指が僕のシャツのボタンを外していく。一つずつ外されるたびに、僕の鼓動が早くなる。
「こんなところでヤるなんて、ムードがないからな。せめてほかくらいは」
キリアンが僕のシャツの前をはだけさせる。男性にしては薄い胸をキリアンがじっと見つめる。
「可愛いな」
大きな手のひらが僕の胸に触れて、撫でまわすように動いた。
気持ちいいはずがない――のに。どうしてだろうか、身体が熱くなる。
「ぁ、あっ、き、りあん――」
撫でられた箇所が熱い。下肢に熱がどんどんたまっていく。
自分の身体の反応に戸惑っていると、キリアンが胸の突起に触れた。普段は飾りにしかならない突起に触れられると、僕の身体がびくんと跳ねる。
「ここ、気持ちいいか?」
僕の目を見たキリアンが問いかけてきた。
恥ずかしくて、視線を逸らしたいのに――僕は視線を逸らせない。キリアンの目に魅入られてしまったみたいだ。
「うぁっ」
少しぷっくりとし始めた乳首を爪でつつかれて、声が漏れた。
洞窟の外ではしとしとと雨が降っている。そんな中で情交に及ぶ僕たちは、この森の中で最も浮いている存在だろう。
(でも、なんでもいい。――愛して、僕を欲して)
キリアンの目が僕を欲してくれている。
たったそれだけで、嬉しくて、満たされていく。僕の胸の中に喜びの感情がじわぁっと広がっていく。
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