【R18】悪魔な幼馴染から逃げ切る方法。

すめらぎかなめ

文字の大きさ
22 / 50
第2章

しおりを挟む
 その後、亜玲はきれいにラッピングされた包みが入った紙袋を俺に持たせた。

 ……別にいいって言ってるのに。

「なぁ、亜玲……」
「あ、突き返すのはなしね。あと、お金払うとか言うのも、なし」

 亜玲が笑って、俺の言葉の先を封じてくる。……なにも言えなかった。

 長年の付き合いだからわかる。亜玲はこうなったら自分を曲げない。

 相手が折れるまで、自分を突き通す。頑固というべきなのか、意地っ張りというべきなのか……。

「……わかったよ」

 もう、諦めるしかなかった。

 それに、今日が終われば亜玲と関わるつもりはない。

 つまり、最初で最後のプレゼント。昨日のお詫び。

 そう思えば、受け取れるような気もしたのだ。

「ったく、亜玲はなにも変わってない……」

 ぽつりとそう呟けば、亜玲は俺に視線を向けた。

 その目の奥に宿っているのは、なんともいえない感情のようだった。

「祈には、そう見えるの?」

 きょとんとした亜玲が、そう問いかけてきた。

 俺にはその言葉の意味がわからない。

「俺は、変わったよ。……昔の俺じゃない」

 何処か寂しそうに、亜玲がそう呟く。

 ……確かに、昔の亜玲と全く一緒じゃないことは理解している。

 あの天使のようだった亜玲の面影なんてない。悪魔のような男に成長したと思う。

 ……いや、思っていた。

「違うよ。……今日わかった。亜玲は、なにも変わっていない」

 表面上は、面影なんて消えているように見える。

 けれど、亜玲の内面はそのままなのだ。なにも、変わっていない。

 変わったように見えるのは、俺の所為なんだ。

「なぁ、亜玲」
「……うん」
「お前、幸せになれよ」

 端的にそう告げて、俺は歩き出す。

 亜玲が慌てて俺の手首を掴んだのがわかって、驚いて亜玲を見つめた。

「なんで、他人事なの」

 亜玲が小さな声で訪ねてきた。……なんで他人事かって問われても。

「だって、他人事だからだよ。俺と亜玲は他人。……っていうか、ただの昔馴染みだ」

 だから、もう関わることなんてない。道を交えることもない。

 それに、俺は亜玲を恨むことをやめた。なんていうか、毒気を抜かれたというか……。

「俺、もう亜玲のこと憎まないし恨まない。……というわけで、もう、俺に関わらないでくれ」

 それが唯一の条件だ。これ以上、俺は亜玲のことを嫌いにはなりたくない。

「あとさ、亜玲にもきっといい人が現れるよ。……だから、もう俺ら、互いを忘れよう」

 昨日のことは一夜の過ち。寝取ったとか、寝取られたとか。そういうことも全部水に流す。

 それが、多分俺が亜玲に出来る唯一のことなんだ。

(こいつは、怖いんだ。臆病なままだったんだ)

 怖がりで、臆病で。

 そんな亜玲のままだった。それに気が付かないまま、俺はただひたすら亜玲を恨んだ。

 確かに亜玲のやっていたことは最低野郎のすることだ。けれど、もうしないような気がした。

「な、昨日のことも忘れて、俺らは――」
「――忘れるわけがない」

 俺の言葉を遮って、亜玲がそう言う。

 まっすぐに俺を見つめた亜玲の目が、恐ろしいほどに昏い色を宿していた。

「祈は俺のだ。俺のなんだっ……!」

 亜玲が手に力をこめる。俺の手首に痛みが走る。

 さらには周囲の視線が痛い。痴話喧嘩をしていると思われている……の、かも。

「俺に関わるななんて言うんだったら、祈のことを閉じ込める。……俺以外、見えないようにする」

 ……こいつは一体なにを言っているんだろうか。犯罪の予告でもしているのか。

「いっそ、殺してもいい。二人で心中するのもありだよ」
「……なに、言って」
「もしもそれが嫌なんだったら、俺は祈の前で死んでやる。むごい方法で、死んでやる。祈の頭の中に焼き付けるような景色を見せてやる」

 亜玲の様子がおかしいことに気が付いた。俺は亜玲の手を振り払おうとする。……力が強すぎて、無理だった。

 喉が鳴った。……何処かで、俺は亜玲の地雷を踏んだんだ。今更、それに気が付いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

美形な幼馴染のヤンデレ過ぎる執着愛

月夜の晩に
BL
愛が過ぎてヤンデレになった攻めくんの話。 ※ホラーです

ヤンデレだらけの短編集

BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。 【花言葉】 □ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡 □ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生 □アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫 □ラベンダー:希死念慮不良とおバカ □デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。 かなり昔に書いたもので芸風(?)が違うのですが、楽しんでいただければ嬉しいです! 【異世界短編】単発ネタ殴り書き随時掲載。 ◻︎お付きくんは反社ボスから逃げ出したい!:お馬鹿主人公くんと傲慢ボス

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中

俺にだけ厳しい幼馴染とストーカー事件を調査した結果、結果、とんでもない事実が判明した

あと
BL
「また物が置かれてる!」 最近ポストやバイト先に物が贈られるなどストーカー行為に悩まされている主人公。物理的被害はないため、警察は動かないだろうから、自分にだけ厳しいチャラ男幼馴染を味方につけ、自分たちだけで調査することに。なんとかストーカーを捕まえるが、違和感は残り、物語は意外な方向に…? ⚠️ヤンデレ、ストーカー要素が含まれています。 攻めが重度のヤンデレです。自衛してください。 ちょっと怖い場面が含まれています。 ミステリー要素があります。 一応ハピエンです。 主人公:七瀬明 幼馴染:月城颯 ストーカー:不明 ひよったら消します。 誤字脱字はサイレント修正します。 内容も時々サイレント修正するかもです。 定期的にタグ整理します。 批判・中傷コメントはお控えください。 見つけ次第削除いたします。

隣の番は、俺だけを見ている

雪兎
BL
Ωである高校生の湊(みなと)は、幼いころから体が弱く、友人も少ない。そんな湊の隣に住んでいるのは、幼馴染で幼少期から湊に執着してきたαの律(りつ)。律は湊の護衛のように常にそばにいて、彼に近づく人間を片っ端から遠ざけてしまう。 ある日、湊は学校で軽い発情期の前触れに襲われ、助けてくれたのもやはり律だった。逃れられない幼馴染との関係に戸惑う湊だが、律は静かに囁く。「もう、俺からは逃げられない」――。 執着愛が静かに絡みつく、オメガバース・あまあま系BL。 【キャラクター設定】 ■主人公(受け) 名前:湊(みなと) 属性:Ω(オメガ) 年齢:17歳 性格:引っ込み思案でおとなしいが、内面は芯が強い。幼少期から体が弱く、他人に頼ることが多かったため、律に守られるのが当たり前になっている。 特徴:小柄で華奢。淡い茶髪で色白。表情はおだやかだが、感情が表に出やすい。 ■相手(攻め) 名前:律(りつ) 属性:α(アルファ) 年齢:18歳 性格:独占欲が非常に強く、湊に対してのみ甘く、他人には冷たい。基本的に無表情だが、湊のこととなると感情的になる。 特徴:長身で整った顔立ち。黒髪でクールな雰囲気。幼少期に湊を助けたことをきっかけに執着心が芽生え、彼を「俺の番」と心に決めている。

幼馴染みのハイスペックαから離れようとしたら、Ωに転化するほどの愛を示されたβの話。

叶崎みお
BL
平凡なβに生まれた千秋には、顔も頭も運動神経もいいハイスペックなαの幼馴染みがいる。 幼馴染みというだけでその隣にいるのがいたたまれなくなり、距離をとろうとするのだが、完璧なαとして周りから期待を集める幼馴染みαは「失敗できないから練習に付き合って」と千秋を頼ってきた。 大事な幼馴染みの願いならと了承すれば、「まずキスの練習がしたい」と言い出して──。 幼馴染みαの執着により、βから転化し後天性Ωになる話です。両片想いのハピエンです。 他サイト様にも投稿しております。

ヤンキーΩに愛の巣を用意した結果

SF
BL
アルファの高校生・雪政にはかわいいかわいい幼馴染がいる。オメガにして学校一のヤンキー・春太郎だ。雪政は猛アタックするもそっけなく対応される。  そこで雪政がひらめいたのは 「めちゃくちゃ居心地のいい巣を作れば俺のとこに居てくれるんじゃない?!」  アルファである雪政が巣作りの為に奮闘するが果たして……⁈  ちゃらんぽらん風紀委員長アルファ×パワー系ヤンキーオメガのハッピーなラブコメ! ※猫宮乾様主催 ●●バースアンソロジー寄稿作品です。

処理中です...