【完結】【R18短編】その腕の中でいっそ窒息したい

すめらぎかなめ

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本編

7.【※】

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 それからしばらくして、巽がため息をつく。もしかして、呆れられただろうか? 一抹のそんな不安が朱夏を襲うものの、彼は「……本当、どうなっても知りませんよ」と言ってくる。

 その後、巽は朱夏の身体を振り払う。それに一瞬だけ驚くものの、彼は朱夏と向き直ってきた。そのまま朱夏の頬に手を当てる。そのごつごつとした太い指が、朱夏の頬を撫でる。たったそれだけなのに、幸福感が心の奥底からふつふつと湧き上がってくる。

「ん」

 ゆっくりと目を閉じれば、唇に温かいものが触れた。何度も何度もついばむようなキスをされ、朱夏の脳内がぼんやりとしてくる。角度を変えて行われるキスに、朱夏の中の幸福感がまたむくむくと膨れ上がっていく。

「……口、開けてくれますか?」

 一旦唇が離れ、そう問いかけられる。そのため、ゆっくりと朱夏が唇を開けば、口内に何かが侵入してくる。それが巽の舌だとわかったのはそれから数秒後だった。

 だからこそ、朱夏は必死に舌を自ら絡めた。こういうことをするのは慣れていない。むしろ、ハジメテだ。けれど、巽に応えたかった。それに自分から誘った手前、怖いから止めてなんて言えるわけがない。

(違う。期待しているんだわ……)

 しかし、朱夏は自分の心が期待していることに気が付いてしまう。

 朱夏はおもむろに腕を伸ばし、巽の首に抱き着くような形になる。そのまま必死にキスを堪能していれば、巽の身体がわずかに震えたのに気が付いた。多分、彼自身朱夏がここまで積極的だとは思わなかったのだろう。

 巽のキスはお世辞にも上手だとは言えなかった。まぁ、朱夏自身ハジメテなので上手とか下手とかそういうことはどうでもよかった。ただ、彼と触れ合えているだけで幸せだった。

「んんっ」

 そんなことを考えていれば、朱夏の背に巽の手が添えられた。もしかしたら、このまま続きをしてくれるのかも。そう思って期待してしまう朱夏を他所に、巽はゆっくりと朱夏から唇を離す。

 その目は明らかに欲情しており、朱夏の身体がきゅんとする。……このまま、抱いてくれないだろうか。そんな期待に満ちた目で彼を見つめれば、巽は「……いいんですか?」と問いかけてきた。

「……いいよ」

 巽の胸に自身の胸を押し付けて、上目遣いでそう言えば彼が露骨に息を呑む。そして、彼はおもむろに立ち上がると朱夏の身体を横抱きにし、ベッドの方に運んでいく。

「……あんまり、広くないですけれど」

 眉を下げてそう言う彼が可愛らしくて、朱夏は「いいよ」と静かに答える。

「……ムードも何にも、ないですけれど」
「私が押しかけて来ただけだから、文句は言わない」

 首をゆるゆると横に振ってそう言えば、巽は朱夏の身体の上に跨ってくる。そのままもう一度触れるだけの口づけをしてくれた。

 巽の手が、朱夏の真っ白なブラウスのボタンにかけられる。その瞬間、朱夏の心臓がドクンと大きな音を立てた。

 彼の手つきはお世辞にも手慣れたものとは言えないが、そういうところさえ愛おしい。むしろ、女性慣れしていたら朱夏がショックを受けていた。それは、間違いない。

 そうしていれば、朱夏のブラウスのボタンがすべて外される。そのまま彼の手が朱夏のブラウスの前をはだけさせれば、彼が露骨に息を呑んだのがわかった。

 それほどまでに、朱夏の身体はきれいだった。きめ細やかな色白の肌に、平均よりも少し大きめの胸。その胸を隠すのは淡い水色のブラジャーだった。白いレースに縁どられた可愛らしいデザインのそれは、どうやら巽には少々刺激が強すぎたらしい。

「触っても、いいですか……?」

 恐る恐るとばかりにそう問いかけられ、朱夏はこくんと首を縦に振る。やはり、彼は女性慣れしていないらしい。それがわかるからこそ、朱夏の中に幸福感が広がっていく。

 彼の大きな手が朱夏の胸のふくらみを包み込む。その触れ方はまるで壊れ物を扱うかのように優しく、朱夏の心がきゅんとする。朱夏の胸は朱夏自身の手では包み込めない大きさだった。だが、巽の手の大きさだと簡単に包み込まれてしまう。

 やわやわと刺激され、朱夏の中の官能が疼いていく。顔を真っ赤にして視線を逸らす。

「……これ、外してもらって、いいですか?」

 その後しばらくして、巽は朱夏の胸を堪能したらしく、そう言ってくる。巽の言う「これ」とは大方ブラジャーのことだろう。それがわかるからこそ、朱夏はこくんと首を縦に振り、起き上がってブラジャーを外す。いずれは彼に外してもらいたいのだが、今日は無理だだろう。そう思った。

 ブラジャーを外せば、朱夏のきれいな胸を隠すものは何一つとしてない。微かに色づいた肌に巽が息を呑むのが朱夏にも分かった。それがどうしようもないほど恥ずかしくて、また視線を逸らす。……彼の目は、朱夏の姿を瞼の裏に焼き付けようとしているかのように、熱く見つめてくる。恥ずかしくて、身体が熱くなってしまう。

「あ、あんまり、見ない、で……」

 顔を真っ赤にしてそう言えば、彼は「……まぁ、そうですよね」と返事をくれる。だが、すぐに「けど、俺の身体見たじゃないですか」と反論してきた。それを言われると、もう何も言えなかった。
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