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第27話 あなたたち、一夜の間に何があったんですのよ?
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☆
翌日。目が覚めると、リサちゃんの拘束から抜け出して、代わりに彼女にはワインボトルを抱っこさせてあげた。酔っ払いにはこっちの方が似合う。
ちなみにワインの残りはすべて私が飲み干しておいた。昨日の分のお返しとして。
リサちゃんが二日酔いになっていたら申し訳ないなと思いつつも部屋を出ると、ちょうどヘレナとコルネリアの2人が店に入ってくるところだった。そういえばこの2人は普段どこに住んでいるのだろう?
2人は私が店にいることに対して不思議そうな顔をした後、バックヤードで寝ているリサちゃんを見て大体の状況を把握したらしい。
「あらアニータちゃん、リサさんが大変なことになっているようですわね」
コルネリアが口角を上げて笑みを浮かべてこちらに向かってきた。なんか楽しそうなんだけど……。
「しょうがないじゃん。酔っ払ったリサちゃんは手がつけられないんだって……」
「へぇ~。それでアニータちゃんが面倒見てあげていたの?」
今度はヘレナがニヤつきながら訊ねてくる。私は苦笑いを浮かべながら「まあね」と答えた。すると、2人共意外だという表情になった。
「リサに聞いてみましょうか。……起きなさいっ!」
ヘレナはそのオーガのような怪力で寝ているリサちゃんからワインボトルを取り上げる。そしてそのラベルを確認して眉をひそめた。
「もう……あたし秘蔵の年代物ワインを空けちゃってぇ……」
ヘレナがブツブツ言っていると、リサちゃんが目を擦りながら伸びをした。どうやら目を覚ましたようだ。
リサちゃんは部屋をぐるりと見渡すと、ヘレナやコルネリアの顔を見て、私と視線を合わした。
じっと私を見つめていたリサちゃんの顔が急速に紅潮していく。ほら、やっぱり覚えていたようだ。
「り、リサは! リサはなんてことを……!」
リサちゃんは両手で顔を覆って叫ぶ。そんな様子に私達は揃って爆笑した。
「もう! 笑わないでくださいいじわる! ……こうなったらアニータさんに責任を取ってもらうしかありませんね!」
「──え、えっと? それはつまりどういうことなんでしょうか?」
私は頬を引きつらせながら尋ねると、リサちゃんは不敵な笑みを浮かべた。そして「それはですね……」と言いながら私の手を握る。そして指を絡めてきた。えっと……リサちゃん? なにをしてらっしゃるの?
そして、私の耳元に唇を寄せると甘く囁いた。
「これからずっとリサと一緒にいてくれるなら……リサはあなたの側にいますよ……」
私はその瞬間、背筋をぞくりとしたものが駆け抜ける感覚を覚えた。
そして気付く。私は彼女に魅せられてしまったのだということに。ああ、もうダメだ。私は彼女のものになるしかない。そう悟った時、自然と言葉が口からこぼれていた。
「もちろんだよ。……一応、私とリサちゃんはパートナーってことになってるし」
そう言って笑うと、彼女はとても嬉しそうに笑っていた。その様子を見た私は胸の中に暖かいものが込み上げてきて、なんだか幸せな気分だった。そして同時に思う。この子を一生かけて幸せにしてあげるのだと。
私がこんな風に思っているということは、きっと彼女も同じ気持ちなのだと思う。
「はいはい、ちょっと待った。なに勝手に話を進めてますのよ?」
コルネリアが腰に手を当てながら不満そうに声を上げた。私はそちらに振り向くと、彼女にしては珍しく、ムッとしたような顔になっていることに驚いた。
「あなたたち、一夜の間に何があったんですのよ? ……もしかして」
「違うよ!? 別に何もないから! ……しかけたってだけで、してはいないから!」
私がそう弁明している最中、コルネリアは呆れたように額に手をやり、ため息をついていた。
ヘレナは口元に手を当ててニヤニヤ笑いを浮かべている。
「あなたたちが結ばれて、お母さん幸せだわ!」
「だから私はあんたの娘じゃねぇっての! てか結ばれてないし!」
3人でワイワイ騒ぎ始めたところで、またしても恥ずかしさの波が来てしまったらしいリサちゃんは真っ赤になった顔を俯かせていた。その様子がおかしくて、私達はまた笑い出すのだった。
4人でひとしきり騒いだ後、ヘレナが一転して真面目な顔で私とリサちゃんに依頼の紙切れを差し出した。
「リサ、アニータちゃん、あなたたちにまた任務をお願いしたいの」
「……暗殺? それとも護衛?」
「アニータちゃんが大好きな猫探しよ」
「……えっと」
「あ、はい」
リサちゃんは私を見て微笑んだ。私は苦笑いするしかなかった。
「でも、今回はちょっとだけ特殊な内容なのよねぇ」
「どんな?」
「巨大な猫型魔物の討伐よ」
「えっ……そんなのがいるの?」
私が尋ねると、ヘレナはウィンクをしながら人差し指を立てた。
「いるんですよねーこれが。どうやら魔王によって強化された魔物のうちの一体みたいで、周辺の街や村から討伐依頼が来てるの」
「なるほどね。まぁいいんじゃいないかな。面白そうだし」
「そうですね! リサたちにかかればその程度余裕でしょう」
リサちゃんは自信たっぷりに答えたので、多分今回も余裕だろう。そんなことを考えていると、ヘレナが釘を刺してきた。
「油断しないでね。今回のはただでさえ強いのに加えて魔王直々の強化魔法を受けていて厄介な相手なんだから。──これを持っていきなさい」
そう言いながらヘレナが差し出したのは赤黒くてグロテスクなポーションだった。
「え、なにこれ?」
「あたしが調合した特製ポーションよ。困った時に使いなさい」
「いやいいよ。明らかに怪しい色してるじゃんこれ……」
「いいから持っていきなさい。必要にならないに越したことはないけれど、念の為……ね」
ヘレナは私の手にポーションを押し付けてくる。私はそれを渋々鞄にしまった。
「それに──」
ヘレナが言い終わる前にリサちゃんのお腹が鳴ってしまった。ヘレナは一瞬固まった後、くすっと笑った。
リサちゃんは恥ずかしそうにお腹を押さえる。
ヘレナは「ご飯食べてから行きましょうか」と言って立ち上がると部屋から出ていった。私達は互いに見つめ合いながら肩をすくめると、彼女の後に続いて食堂へと向かうのであった。
食事を終えた私達は準備を整え、早速旅立った。今回も王都からかなり離れた地方まで行かなければならないので数日の旅程になる。なので食料を買い込んで馬車で移動するのだ。御者席にはいつも通りリサちゃんが座り、私は荷台に乗っているのだが……。
2人での旅は何となく気まずかった。昨日の件もあるし。リサちゃんの顔を見るだけで、昨日の酔っ払って私に迫ってくるリサちゃんのエロい表情が思い出されてしまって仕方がない。
私が悶々としていると、突然後ろを振り向いたリサちゃんと目が合ってしまう。彼女は不思議そうな顔をしていたので、私は咄嵯に誤魔化すことにした。
「リサちゃん、前見てないと危ないよ?」
「あはは、すみません」
彼女は笑いながら前を向いた。私はホッとして再び窓の外の風景に視線を向ける。
リサちゃんのことをもっと知りたい。故郷の村を襲った魔物って何だったのかとか、どうしてそんなに強くなれたのかとか……。考えてみたら【宵の明星】のメンバーはヘレナやコルネリアも含めて謎だらけだ。そんなことをつらつらと考えているうちに、私の意識は徐々に薄れていった。いつの間にか眠っていたようだ。
翌日。目が覚めると、リサちゃんの拘束から抜け出して、代わりに彼女にはワインボトルを抱っこさせてあげた。酔っ払いにはこっちの方が似合う。
ちなみにワインの残りはすべて私が飲み干しておいた。昨日の分のお返しとして。
リサちゃんが二日酔いになっていたら申し訳ないなと思いつつも部屋を出ると、ちょうどヘレナとコルネリアの2人が店に入ってくるところだった。そういえばこの2人は普段どこに住んでいるのだろう?
2人は私が店にいることに対して不思議そうな顔をした後、バックヤードで寝ているリサちゃんを見て大体の状況を把握したらしい。
「あらアニータちゃん、リサさんが大変なことになっているようですわね」
コルネリアが口角を上げて笑みを浮かべてこちらに向かってきた。なんか楽しそうなんだけど……。
「しょうがないじゃん。酔っ払ったリサちゃんは手がつけられないんだって……」
「へぇ~。それでアニータちゃんが面倒見てあげていたの?」
今度はヘレナがニヤつきながら訊ねてくる。私は苦笑いを浮かべながら「まあね」と答えた。すると、2人共意外だという表情になった。
「リサに聞いてみましょうか。……起きなさいっ!」
ヘレナはそのオーガのような怪力で寝ているリサちゃんからワインボトルを取り上げる。そしてそのラベルを確認して眉をひそめた。
「もう……あたし秘蔵の年代物ワインを空けちゃってぇ……」
ヘレナがブツブツ言っていると、リサちゃんが目を擦りながら伸びをした。どうやら目を覚ましたようだ。
リサちゃんは部屋をぐるりと見渡すと、ヘレナやコルネリアの顔を見て、私と視線を合わした。
じっと私を見つめていたリサちゃんの顔が急速に紅潮していく。ほら、やっぱり覚えていたようだ。
「り、リサは! リサはなんてことを……!」
リサちゃんは両手で顔を覆って叫ぶ。そんな様子に私達は揃って爆笑した。
「もう! 笑わないでくださいいじわる! ……こうなったらアニータさんに責任を取ってもらうしかありませんね!」
「──え、えっと? それはつまりどういうことなんでしょうか?」
私は頬を引きつらせながら尋ねると、リサちゃんは不敵な笑みを浮かべた。そして「それはですね……」と言いながら私の手を握る。そして指を絡めてきた。えっと……リサちゃん? なにをしてらっしゃるの?
そして、私の耳元に唇を寄せると甘く囁いた。
「これからずっとリサと一緒にいてくれるなら……リサはあなたの側にいますよ……」
私はその瞬間、背筋をぞくりとしたものが駆け抜ける感覚を覚えた。
そして気付く。私は彼女に魅せられてしまったのだということに。ああ、もうダメだ。私は彼女のものになるしかない。そう悟った時、自然と言葉が口からこぼれていた。
「もちろんだよ。……一応、私とリサちゃんはパートナーってことになってるし」
そう言って笑うと、彼女はとても嬉しそうに笑っていた。その様子を見た私は胸の中に暖かいものが込み上げてきて、なんだか幸せな気分だった。そして同時に思う。この子を一生かけて幸せにしてあげるのだと。
私がこんな風に思っているということは、きっと彼女も同じ気持ちなのだと思う。
「はいはい、ちょっと待った。なに勝手に話を進めてますのよ?」
コルネリアが腰に手を当てながら不満そうに声を上げた。私はそちらに振り向くと、彼女にしては珍しく、ムッとしたような顔になっていることに驚いた。
「あなたたち、一夜の間に何があったんですのよ? ……もしかして」
「違うよ!? 別に何もないから! ……しかけたってだけで、してはいないから!」
私がそう弁明している最中、コルネリアは呆れたように額に手をやり、ため息をついていた。
ヘレナは口元に手を当ててニヤニヤ笑いを浮かべている。
「あなたたちが結ばれて、お母さん幸せだわ!」
「だから私はあんたの娘じゃねぇっての! てか結ばれてないし!」
3人でワイワイ騒ぎ始めたところで、またしても恥ずかしさの波が来てしまったらしいリサちゃんは真っ赤になった顔を俯かせていた。その様子がおかしくて、私達はまた笑い出すのだった。
4人でひとしきり騒いだ後、ヘレナが一転して真面目な顔で私とリサちゃんに依頼の紙切れを差し出した。
「リサ、アニータちゃん、あなたたちにまた任務をお願いしたいの」
「……暗殺? それとも護衛?」
「アニータちゃんが大好きな猫探しよ」
「……えっと」
「あ、はい」
リサちゃんは私を見て微笑んだ。私は苦笑いするしかなかった。
「でも、今回はちょっとだけ特殊な内容なのよねぇ」
「どんな?」
「巨大な猫型魔物の討伐よ」
「えっ……そんなのがいるの?」
私が尋ねると、ヘレナはウィンクをしながら人差し指を立てた。
「いるんですよねーこれが。どうやら魔王によって強化された魔物のうちの一体みたいで、周辺の街や村から討伐依頼が来てるの」
「なるほどね。まぁいいんじゃいないかな。面白そうだし」
「そうですね! リサたちにかかればその程度余裕でしょう」
リサちゃんは自信たっぷりに答えたので、多分今回も余裕だろう。そんなことを考えていると、ヘレナが釘を刺してきた。
「油断しないでね。今回のはただでさえ強いのに加えて魔王直々の強化魔法を受けていて厄介な相手なんだから。──これを持っていきなさい」
そう言いながらヘレナが差し出したのは赤黒くてグロテスクなポーションだった。
「え、なにこれ?」
「あたしが調合した特製ポーションよ。困った時に使いなさい」
「いやいいよ。明らかに怪しい色してるじゃんこれ……」
「いいから持っていきなさい。必要にならないに越したことはないけれど、念の為……ね」
ヘレナは私の手にポーションを押し付けてくる。私はそれを渋々鞄にしまった。
「それに──」
ヘレナが言い終わる前にリサちゃんのお腹が鳴ってしまった。ヘレナは一瞬固まった後、くすっと笑った。
リサちゃんは恥ずかしそうにお腹を押さえる。
ヘレナは「ご飯食べてから行きましょうか」と言って立ち上がると部屋から出ていった。私達は互いに見つめ合いながら肩をすくめると、彼女の後に続いて食堂へと向かうのであった。
食事を終えた私達は準備を整え、早速旅立った。今回も王都からかなり離れた地方まで行かなければならないので数日の旅程になる。なので食料を買い込んで馬車で移動するのだ。御者席にはいつも通りリサちゃんが座り、私は荷台に乗っているのだが……。
2人での旅は何となく気まずかった。昨日の件もあるし。リサちゃんの顔を見るだけで、昨日の酔っ払って私に迫ってくるリサちゃんのエロい表情が思い出されてしまって仕方がない。
私が悶々としていると、突然後ろを振り向いたリサちゃんと目が合ってしまう。彼女は不思議そうな顔をしていたので、私は咄嵯に誤魔化すことにした。
「リサちゃん、前見てないと危ないよ?」
「あはは、すみません」
彼女は笑いながら前を向いた。私はホッとして再び窓の外の風景に視線を向ける。
リサちゃんのことをもっと知りたい。故郷の村を襲った魔物って何だったのかとか、どうしてそんなに強くなれたのかとか……。考えてみたら【宵の明星】のメンバーはヘレナやコルネリアも含めて謎だらけだ。そんなことをつらつらと考えているうちに、私の意識は徐々に薄れていった。いつの間にか眠っていたようだ。
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