31 / 50
第31話 調査任務
しおりを挟む
「あれって、聖剣騎士団だな」
「うん、青赤緑ってことは……えーっと誰だっけ?」
「七聖剣第二席、トルステン・ヘーザー、第五席、アーベル・ネルリンガー、第六席、ルナ・サロモン」
気づくとノエルがクロエの横に立ってコメントしている。こいつらに男の部屋に入ることに対する抵抗感は存在しないらしい。まあいいんだけどね。今さら気にしたところでしょうがない。それよりも今は聖剣騎士団の動きの方が気になる。
「聖剣騎士団はどこに向かってるんだろうな」
「わからないけど、あちらの方角では、戦争っていうわけではなさそう。恐らくモンスターの討伐、それも七聖剣が三人も出張るようなモンスターというと……」
そう言われて思い浮かぶものは一つしかない。俺の中では既に確信に近いものがあった。だが一応確認のために口を開く。
「ドラゴン……とかかな……」
すると、クロエは待ってましたとばかりに目を輝かせる。
「そうだよね!? ドラゴンだよね!? よし、今すぐみんなを集めて対策会議だよ!」
「いやなんでだよ。仮にドラゴンだとしても聖剣騎士団に任せておけばいいだろ?」
「でも、ルナちゃんを放っておけなくない? ドラゴンの討伐なら冒険者にも依頼が来てるかもだし」
「聖剣騎士団は王国の機密事項に近いから、共闘するのは同じく聖剣騎士団の別部隊のみ。冒険者に声がかかることはないと思うぞ」
「でも、ドラゴンを倒すためには協力しないと!」
クロエはそう言って身を乗り出すが、ノエルにやんわりと止められる。
「ダメだよクロエ。ドラゴンはデスナイトとは格が違うから。もし私達が戦っても負けるのは必至、下手をすれば全滅の可能性すらある」
「むぅ……」
クロエは悔しそうに下唇を噛んで俯く。そんな彼女にノエルは優しい声で語りかける。
「だからここは大人しくしよ。ね?」
クロエは少しの間思案していたが、やがてゆっくりと顔を上げる。
「バカ乳の言うとおりかもしれないわね。それに、私たちの目的は聖フランシス教団の壊滅であってドラゴンの討伐じゃないし」
「そうそう、やっと分かってくれたか。俺たちは俺たちにできることをやるぞ」
俺はそう言ってクロエを諭すと、彼女は渋々といった感じではあったがなんとか了承してくれた。
……しかしこのとき俺は見落としていたのだ。俺の言葉を聞いたノエルの表情に一瞬だけ暗い影が差したことを。
その後、俺たち四人は再びクエストを受注しに冒険者ギルドを訪れた。俺たちが建物に入った瞬間、中にいた冒険者たちがザワめいた。
「なあ見ろよ。あれが昨日ジャイアント・デスナイトを討伐した『月の雫』だぜ」
「嘘だろ、ガキばっかりの四人パーティーじゃねぇか」
「あぁ、なんでも結成したばかりの新人ギルドらしい」
とか何とか話しているのが聞こえる。
どうやら俺達のことはもうすっかり噂になっているようだった。まあ目立つことをしてしまえばこうなることも想定していたのだが、実際にそうなってみると居心地が悪いものだ。
「なんだか注目されてるな。さっさとクエストを受けちゃおう」
「うん」
「オッケー!」
俺は相変わらず暇そうにしていた受付嬢のエリノアに声をかける。
「すみません、ちょっと聞きたいんですけど」
「男と話す気はねーんですけど?」
と相変わらず塩対応だ。俺は気にせず続ける。
「また緊急クエストとか来てたりしませんかね?」
「緊急クエストがそんな頻繁に来るわけないでしょ。バカなんじゃないのこの男」
「ですよねぇ……」
と残念がっていると、背後にいたクロエが「あの……実は」と言って口を挟む。
「聖剣騎士団が王都を出ていったみたいなんですよ。エリノアさんは何か情報掴んでたりします?」
「あのね、情報っていうのはタダでもらえると思わない方がいいわよ? 欲しいならそれなりの対価を差し出さないとね」
とか言いながらこの変態はどうせ対価としてクロエやノエルの身体を触りたがっているに違いない。
「対価? お金ですか?」
「あたしがお金で満足すると思う? 優秀なギルド受付嬢として多額の報酬を受け取っているこのエリノア・クルーゲが?」
そう言ってドヤ顔をするエリノア。するとクロエが困ったように呟く。
「だったら……」
「決まってるでしょう! 身体よ身体! クロエちゃん、お姉さんといいことしましょう!」
「……っ!?」
エリノアのセクハラ発言を真に受けたのか、クロエは頬を赤らめて固まってしまった。このやり取り以前も似たようなことをやったはずなんだけどなぁ。たまらず俺は助け舟を出す。
「あの、あんまりウチのメンバーに変なことしないでもらえます?」
「うっさい! 黙れ! 男はすっこんでろ!」
と怒鳴られる始末。
仕方ないので無視してクロエに話しかける。
「クロエはエリノアさんの相手はしなくていいからな」
「……うん」
「はぁ、つれない子ねぇ……」
とか何とかいいながら、エリノアはどさくさに紛れて、近くに立っていたノエルの大きな胸に触れていた。全く油断も隙もない。すると、ノエルが「……んッ」と甘い吐息を漏らす。その色っぽい反応を見た周囲の冒険者どもがゴクリと唾を飲み込む。
これ以上騒ぎが大きくなる前にさっさと用件を伝えよう。
「じゃあエリノアさん、俺たちにちょうどいいクエストを見繕ってもらえますか?」
「仕方ないわね。賄賂もいただいたし、特別よ?」
エリノアはそう言いながらまだノエルの胸をワシワシとしている。賄賂を渡したというか、こいつが勝手に受け取ってるだけのような気がする。すると彼女は名残惜しそうにしながらもようやくノエルの胸から手を離した。
「そうねぇ、あなたたちにピッタリなのはコレかしら」
彼女がカウンターの下から取り出してきた紙には、大きな文字で『緊急クエスト』と書いてあった。
「なんだ、緊急クエストあるんじゃねぇかよ!」
「まあ、緊急クエストなんて探せばいくらでもあるのよ。依頼主が緊急だと判断したらそれは緊急クエストになるんだから」
さっきと言っていることが真逆である。全く信用ならない女だ。まあいいや、とにかく今はコイツの言葉を信じるしかない。
俺は依頼内容を確認しようと紙を手に取る。
「えっとなになに……? 調査任務?」
そこにはこう書かれていた。
【急募】ドラゴンに関する調査任務
場所:南の街ハーフェン周辺
概要:休眠中のドラゴンの巣穴に聖フランシス教団の手の者が出入りしているという情報あり。至急真偽の確認を要請します。なお、もしこれが本当であった場合、聖フランシス教団の目的を明らかにしてください。
報酬:金貨50枚
「うん、青赤緑ってことは……えーっと誰だっけ?」
「七聖剣第二席、トルステン・ヘーザー、第五席、アーベル・ネルリンガー、第六席、ルナ・サロモン」
気づくとノエルがクロエの横に立ってコメントしている。こいつらに男の部屋に入ることに対する抵抗感は存在しないらしい。まあいいんだけどね。今さら気にしたところでしょうがない。それよりも今は聖剣騎士団の動きの方が気になる。
「聖剣騎士団はどこに向かってるんだろうな」
「わからないけど、あちらの方角では、戦争っていうわけではなさそう。恐らくモンスターの討伐、それも七聖剣が三人も出張るようなモンスターというと……」
そう言われて思い浮かぶものは一つしかない。俺の中では既に確信に近いものがあった。だが一応確認のために口を開く。
「ドラゴン……とかかな……」
すると、クロエは待ってましたとばかりに目を輝かせる。
「そうだよね!? ドラゴンだよね!? よし、今すぐみんなを集めて対策会議だよ!」
「いやなんでだよ。仮にドラゴンだとしても聖剣騎士団に任せておけばいいだろ?」
「でも、ルナちゃんを放っておけなくない? ドラゴンの討伐なら冒険者にも依頼が来てるかもだし」
「聖剣騎士団は王国の機密事項に近いから、共闘するのは同じく聖剣騎士団の別部隊のみ。冒険者に声がかかることはないと思うぞ」
「でも、ドラゴンを倒すためには協力しないと!」
クロエはそう言って身を乗り出すが、ノエルにやんわりと止められる。
「ダメだよクロエ。ドラゴンはデスナイトとは格が違うから。もし私達が戦っても負けるのは必至、下手をすれば全滅の可能性すらある」
「むぅ……」
クロエは悔しそうに下唇を噛んで俯く。そんな彼女にノエルは優しい声で語りかける。
「だからここは大人しくしよ。ね?」
クロエは少しの間思案していたが、やがてゆっくりと顔を上げる。
「バカ乳の言うとおりかもしれないわね。それに、私たちの目的は聖フランシス教団の壊滅であってドラゴンの討伐じゃないし」
「そうそう、やっと分かってくれたか。俺たちは俺たちにできることをやるぞ」
俺はそう言ってクロエを諭すと、彼女は渋々といった感じではあったがなんとか了承してくれた。
……しかしこのとき俺は見落としていたのだ。俺の言葉を聞いたノエルの表情に一瞬だけ暗い影が差したことを。
その後、俺たち四人は再びクエストを受注しに冒険者ギルドを訪れた。俺たちが建物に入った瞬間、中にいた冒険者たちがザワめいた。
「なあ見ろよ。あれが昨日ジャイアント・デスナイトを討伐した『月の雫』だぜ」
「嘘だろ、ガキばっかりの四人パーティーじゃねぇか」
「あぁ、なんでも結成したばかりの新人ギルドらしい」
とか何とか話しているのが聞こえる。
どうやら俺達のことはもうすっかり噂になっているようだった。まあ目立つことをしてしまえばこうなることも想定していたのだが、実際にそうなってみると居心地が悪いものだ。
「なんだか注目されてるな。さっさとクエストを受けちゃおう」
「うん」
「オッケー!」
俺は相変わらず暇そうにしていた受付嬢のエリノアに声をかける。
「すみません、ちょっと聞きたいんですけど」
「男と話す気はねーんですけど?」
と相変わらず塩対応だ。俺は気にせず続ける。
「また緊急クエストとか来てたりしませんかね?」
「緊急クエストがそんな頻繁に来るわけないでしょ。バカなんじゃないのこの男」
「ですよねぇ……」
と残念がっていると、背後にいたクロエが「あの……実は」と言って口を挟む。
「聖剣騎士団が王都を出ていったみたいなんですよ。エリノアさんは何か情報掴んでたりします?」
「あのね、情報っていうのはタダでもらえると思わない方がいいわよ? 欲しいならそれなりの対価を差し出さないとね」
とか言いながらこの変態はどうせ対価としてクロエやノエルの身体を触りたがっているに違いない。
「対価? お金ですか?」
「あたしがお金で満足すると思う? 優秀なギルド受付嬢として多額の報酬を受け取っているこのエリノア・クルーゲが?」
そう言ってドヤ顔をするエリノア。するとクロエが困ったように呟く。
「だったら……」
「決まってるでしょう! 身体よ身体! クロエちゃん、お姉さんといいことしましょう!」
「……っ!?」
エリノアのセクハラ発言を真に受けたのか、クロエは頬を赤らめて固まってしまった。このやり取り以前も似たようなことをやったはずなんだけどなぁ。たまらず俺は助け舟を出す。
「あの、あんまりウチのメンバーに変なことしないでもらえます?」
「うっさい! 黙れ! 男はすっこんでろ!」
と怒鳴られる始末。
仕方ないので無視してクロエに話しかける。
「クロエはエリノアさんの相手はしなくていいからな」
「……うん」
「はぁ、つれない子ねぇ……」
とか何とかいいながら、エリノアはどさくさに紛れて、近くに立っていたノエルの大きな胸に触れていた。全く油断も隙もない。すると、ノエルが「……んッ」と甘い吐息を漏らす。その色っぽい反応を見た周囲の冒険者どもがゴクリと唾を飲み込む。
これ以上騒ぎが大きくなる前にさっさと用件を伝えよう。
「じゃあエリノアさん、俺たちにちょうどいいクエストを見繕ってもらえますか?」
「仕方ないわね。賄賂もいただいたし、特別よ?」
エリノアはそう言いながらまだノエルの胸をワシワシとしている。賄賂を渡したというか、こいつが勝手に受け取ってるだけのような気がする。すると彼女は名残惜しそうにしながらもようやくノエルの胸から手を離した。
「そうねぇ、あなたたちにピッタリなのはコレかしら」
彼女がカウンターの下から取り出してきた紙には、大きな文字で『緊急クエスト』と書いてあった。
「なんだ、緊急クエストあるんじゃねぇかよ!」
「まあ、緊急クエストなんて探せばいくらでもあるのよ。依頼主が緊急だと判断したらそれは緊急クエストになるんだから」
さっきと言っていることが真逆である。全く信用ならない女だ。まあいいや、とにかく今はコイツの言葉を信じるしかない。
俺は依頼内容を確認しようと紙を手に取る。
「えっとなになに……? 調査任務?」
そこにはこう書かれていた。
【急募】ドラゴンに関する調査任務
場所:南の街ハーフェン周辺
概要:休眠中のドラゴンの巣穴に聖フランシス教団の手の者が出入りしているという情報あり。至急真偽の確認を要請します。なお、もしこれが本当であった場合、聖フランシス教団の目的を明らかにしてください。
報酬:金貨50枚
18
あなたにおすすめの小説
散々利用されてから勇者パーティーを追い出された…が、元勇者パーティーは僕の本当の能力を知らない。
アノマロカリス
ファンタジー
僕こと…ディスト・ランゼウスは、経験値を倍増させてパーティーの成長を急成長させるスキルを持っていた。
それにあやかった剣士ディランは、僕と共にパーティーを集めて成長して行き…数々の魔王軍の配下を討伐して行き、なんと勇者の称号を得る事になった。
するとディランは、勇者の称号を得てからというもの…態度が横柄になり、更にはパーティーメンバー達も調子付いて行った。
それからと言うもの、調子付いた勇者ディランとパーティーメンバー達は、レベルの上がらないサポート役の僕を邪険にし始めていき…
遂には、役立たずは不要と言って僕を追い出したのだった。
……とまぁ、ここまでは良くある話。
僕が抜けた勇者ディランとパーティーメンバー達は、その後も活躍し続けていき…
遂には、大魔王ドゥルガディスが収める魔大陸を攻略すると言う話になっていた。
「おやおや…もう魔大陸に上陸すると言う話になったのか、ならば…そろそろ僕の本来のスキルを発動するとしますか!」
それから数日後に、ディランとパーティーメンバー達が魔大陸に侵攻し始めたという話を聞いた。
なので、それと同時に…僕の本来のスキルを発動すると…?
2月11日にHOTランキング男性向けで1位になりました。
皆様お陰です、有り難う御座います。
社畜の異世界再出発
U65
ファンタジー
社畜、気づけば異世界の赤ちゃんでした――!?
ブラック企業に心身を削られ、人生リタイアした社畜が目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界。
前世では死ぬほど働いた。今度は、笑って生きたい。
けれどこの世界、穏やかに生きるには……ちょっと強くなる必要があるらしい。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
小さいぼくは最強魔術師一族!目指せ!もふもふスローライフ!
ひより のどか
ファンタジー
ねぇたまと、妹と、もふもふな家族と幸せに暮らしていたフィリー。そんな日常が崩れ去った。
一見、まだ小さな子どもたち。実は国が支配したがる程の大きな力を持っていて?
主人公フィリーは、実は違う世界で生きた記憶を持っていて?前世の記憶を活かして魔法の世界で代活躍?
「ねぇたまたちは、ぼくがまもりゅのら!」
『わふっ』
もふもふな家族も一緒にたくましく楽しく生きてくぞ!
落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!
ユーリ
ファンタジー
気がつくと、見知らぬ部屋のベッドの上で、状況が理解できず混乱していた僕は、鏡の前に立って、あることを思い出した。
ここはリュカとして生きてきた異世界で、僕は“落ちこぼれ貴族の息子”だった。しかも最悪なことに、さっき行われた絶対失敗出来ない召喚の儀で、僕だけが失敗した。
そのせいで、貴族としての評価は確実に地に落ちる。けれど、両親は超が付くほど過保護だから、家から追い出される心配は……たぶん無い。
問題は一つ。
兄様との関係が、どうしようもなく悪い。
僕は両親に甘やかされ、勉強もサボり放題。その積み重ねのせいで、兄様との距離は遠く、話しかけるだけで気まずい空気に。
このまま兄様が家督を継いだら、屋敷から追い出されるかもしれない!
追い出されないように兄様との関係を改善し、いざ追い出されても生きていけるように勉強して強くなる!……のはずが、勉強をサボっていたせいで、一般常識すら分からないところからのスタートだった。
それでも、兄様との距離を縮めようと努力しているのに、なかなか縮まらない! むしろ避けられてる気さえする!!
それでもめげずに、今日も兄様との関係修復、頑張ります!
5/9から小説になろうでも掲載中
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
S級スキル『剣聖』を授かった俺はスキルを奪われてから人生が一変しました
白崎なまず
ファンタジー
この世界の人間の多くは生まれてきたときにスキルを持っている。スキルの力は強大で、強力なスキルを持つ者が貧弱なスキルしか持たない者を支配する。
そんな世界に生まれた主人公アレスは大昔の英雄が所持していたとされるSランク『剣聖』を持っていたことが明らかになり一気に成り上がっていく。
王族になり、裕福な暮らしをし、将来は王女との結婚も約束され盤石な人生を歩むアレス。
しかし物事がうまくいっている時こそ人生の落とし穴には気付けないものだ。
突如現れた謎の老人に剣聖のスキルを奪われてしまったアレス。
スキルのおかげで手に入れた立場は当然スキルがなければ維持することが出来ない。
王族から下民へと落ちたアレスはこの世に絶望し、生きる気力を失いかけてしまう。
そんなアレスに手を差し伸べたのはとある教会のシスターだった。
Sランクスキルを失い、この世はスキルが全てじゃないと知ったアレス。
スキルがない自分でも前向きに生きていこうと冒険者の道へ進むことになったアレスだったのだが――
なんと、そんなアレスの元に剣聖のスキルが舞い戻ってきたのだ。
スキルを奪われたと王族から追放されたアレスが剣聖のスキルが戻ったことを隠しながら冒険者になるために学園に通う。
スキルの優劣がものを言う世界でのアレスと仲間たちの学園ファンタジー物語。
この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる