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4 繋がる気持ち
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時間も忘れ、抱き締め合い、僕もアリスも泣いてお互いの涙を指で拭い合った後、水分が無くなった分を補うためにお茶を飲んだ。
「ほんの、出来心だったんだ……」
一息ついた後に始まった懺悔のようなアリスの話はこうだ。
元々僕がアリスのことが大好きなのは分かっていたし、アリスも僕のことが誰より大好きだった。僕が人見知りなのを良いことに、親しい友人が出来ないよう学校では常に傍にいて目を光らせていたという。き、気付かなかった。
高等部に上がり、アリスは今まで以上の関係になりたいとも思ったが、今の所謂両片思いな状態も楽しくて幸せで、崩したくなかった。関係が変わることが怖かったのだと言う。
「僕も……僕もアリスと幼なじみの関係が幸せで……。このままずっと続けば良いと思ってた。変わらず、ずっと一緒にいるだけで幸せだと……」
「うん……。私は浅はかで勇気がなくて、自分からシェリーに告白出来なかった。だからシェリーから私に想いを伝えてくれないかな? と考えたんだ」
「僕から……? でも家格も差があるし、どうあっても僕から告白は出来なかったと思う」
「うん、そうだよね。貴族の常識があって、思慮深いシェリーは私に告白するなんて出来ないって、その時は想像出来なかったんだ。バカだよね。後から周りに言われたよ」
「周りに? 他の人に相談してたの?」
「あぁ。生徒会の奴らやミカに罵られた。アドバイスも貰ったが上手くいかなくて……。シェリーにカッコ良く思われたいのに……情けないよ……」
本日何度目かの驚きだ。生徒会もミカも知っていて協力していたのか。
クラスが別れ、ミカのフォローで暫く僕と一緒にいられないことが分かり、ショックではあったがチャンスだと思ったらしい。会えない日々が続いても僕からアリスに会いに来ないし、いつも一緒に行っていた祭典をキャンセルしても僕は微笑んで了承した。アリスは、もしかしたら自分だけがシェリーを好きだったのではないか、という焦りが生まれた。
そこで、僕がアリスを好きかどうか確かめるために、ミカに詳しいことは話さず、僕が食堂に来るタイミングで抱き締めるから喜んだ感じにしろと伝えたらしい。確かに僕は一人で食事をしていた時は、混雑を避けるため少し遅れて食堂に来ていた。
僕が食堂に来る時間を正確に当てたため、生徒会メンバーやミカには「キショい」と言われたらしい。そして抱き着かれたミカは喜ばずゴスゴスと強めに脇腹を殴られ数日痕が残ったらしい。ミカ、見かけによらず力が強いんだな。
「あの食堂のことがあって、週末を過ぎたあと、シェリーが私のことを以前のような目で見てないことに気付いた。それで私は自分のした愚かな行為に気付いた。人の心を試そうとするなんて、他でもないシェリーの気持ちを疑って、自分は臆病にも何も伝えてないのに勝手に傷付いて暴走して、本当に馬鹿だ。シェリーが他の人と交流を持つようになったり、私と出来るだけ会わないようにしてるのが分かって、『引いた』んだと思った。シェリーが私を求めることは今後無いんだと理解した。この世の終わりだと思った。どうやって挽回出来るのか分からなかった。それでみんなに相談したら、呆れられて怒られたけど『全部話して謝って、許して貰えたらパートナーとして一緒にパーティーに参加したらどうか?』と」
あぁ……あの時アリスが食堂で言おうとしたのはパーティーに一緒に参加出来ないではなくパートナーになって欲しいということだったのか。僕も話を聞かずアリスの気持ちを全て分かった気でいた。モブだし、絶対にアリスとは結ばれないと意固地になっていた。
本当は……ずっとずっと、どうやっても気持ちが消せないくらい好きなのに。
「シェリー。愛している。どうか生涯のパートナーとして、ずっと傍にいて欲しい。愚かで短慮な私だけれど、ずっと、シェリーだけが好きなんだ。今までもこれからも、ずっと君だけなんだ。私の世界にはシェリーさえいれば良いんだ。お願いだ、人生の最後の最後まで共に生きて欲しい。これからは絶対に辛い想いはさせないから。幸せにしたいから……」
同じだ。アリスも僕も同じくらい狭い世界で重い気持ちを抱いている。でもそれが心地よい。ある意味お似合いカップルかもしれない。前世の記憶で言うと『破れ鍋に綴じ蓋』?
「アリス。僕もずっとアリスだけが大好きだよ。僕のパートナーになってくれますか?」
「ありがとう……! ありがとう……! シェリー、大好きだ!」
一生分かと思えるような涙を流したまま、アリスが僕の顔中にキスを送る。クスクス笑ってキスを受け入れていたが、アリスと目が合うと、自然とお互いの顔が近付き、口付けをした。今までの人生で、一番幸せな瞬間だった。
「ほんの、出来心だったんだ……」
一息ついた後に始まった懺悔のようなアリスの話はこうだ。
元々僕がアリスのことが大好きなのは分かっていたし、アリスも僕のことが誰より大好きだった。僕が人見知りなのを良いことに、親しい友人が出来ないよう学校では常に傍にいて目を光らせていたという。き、気付かなかった。
高等部に上がり、アリスは今まで以上の関係になりたいとも思ったが、今の所謂両片思いな状態も楽しくて幸せで、崩したくなかった。関係が変わることが怖かったのだと言う。
「僕も……僕もアリスと幼なじみの関係が幸せで……。このままずっと続けば良いと思ってた。変わらず、ずっと一緒にいるだけで幸せだと……」
「うん……。私は浅はかで勇気がなくて、自分からシェリーに告白出来なかった。だからシェリーから私に想いを伝えてくれないかな? と考えたんだ」
「僕から……? でも家格も差があるし、どうあっても僕から告白は出来なかったと思う」
「うん、そうだよね。貴族の常識があって、思慮深いシェリーは私に告白するなんて出来ないって、その時は想像出来なかったんだ。バカだよね。後から周りに言われたよ」
「周りに? 他の人に相談してたの?」
「あぁ。生徒会の奴らやミカに罵られた。アドバイスも貰ったが上手くいかなくて……。シェリーにカッコ良く思われたいのに……情けないよ……」
本日何度目かの驚きだ。生徒会もミカも知っていて協力していたのか。
クラスが別れ、ミカのフォローで暫く僕と一緒にいられないことが分かり、ショックではあったがチャンスだと思ったらしい。会えない日々が続いても僕からアリスに会いに来ないし、いつも一緒に行っていた祭典をキャンセルしても僕は微笑んで了承した。アリスは、もしかしたら自分だけがシェリーを好きだったのではないか、という焦りが生まれた。
そこで、僕がアリスを好きかどうか確かめるために、ミカに詳しいことは話さず、僕が食堂に来るタイミングで抱き締めるから喜んだ感じにしろと伝えたらしい。確かに僕は一人で食事をしていた時は、混雑を避けるため少し遅れて食堂に来ていた。
僕が食堂に来る時間を正確に当てたため、生徒会メンバーやミカには「キショい」と言われたらしい。そして抱き着かれたミカは喜ばずゴスゴスと強めに脇腹を殴られ数日痕が残ったらしい。ミカ、見かけによらず力が強いんだな。
「あの食堂のことがあって、週末を過ぎたあと、シェリーが私のことを以前のような目で見てないことに気付いた。それで私は自分のした愚かな行為に気付いた。人の心を試そうとするなんて、他でもないシェリーの気持ちを疑って、自分は臆病にも何も伝えてないのに勝手に傷付いて暴走して、本当に馬鹿だ。シェリーが他の人と交流を持つようになったり、私と出来るだけ会わないようにしてるのが分かって、『引いた』んだと思った。シェリーが私を求めることは今後無いんだと理解した。この世の終わりだと思った。どうやって挽回出来るのか分からなかった。それでみんなに相談したら、呆れられて怒られたけど『全部話して謝って、許して貰えたらパートナーとして一緒にパーティーに参加したらどうか?』と」
あぁ……あの時アリスが食堂で言おうとしたのはパーティーに一緒に参加出来ないではなくパートナーになって欲しいということだったのか。僕も話を聞かずアリスの気持ちを全て分かった気でいた。モブだし、絶対にアリスとは結ばれないと意固地になっていた。
本当は……ずっとずっと、どうやっても気持ちが消せないくらい好きなのに。
「シェリー。愛している。どうか生涯のパートナーとして、ずっと傍にいて欲しい。愚かで短慮な私だけれど、ずっと、シェリーだけが好きなんだ。今までもこれからも、ずっと君だけなんだ。私の世界にはシェリーさえいれば良いんだ。お願いだ、人生の最後の最後まで共に生きて欲しい。これからは絶対に辛い想いはさせないから。幸せにしたいから……」
同じだ。アリスも僕も同じくらい狭い世界で重い気持ちを抱いている。でもそれが心地よい。ある意味お似合いカップルかもしれない。前世の記憶で言うと『破れ鍋に綴じ蓋』?
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