ダンジョンマスターは魔王ではありません!?

静電気妖怪

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1章〜異世界の地に立つ者達〜

15話「階層主討伐2」

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「あぁ、あぁあ!どうしたらいいんでしょう?
 どうしたら貴方様は私だけを見ててくれるんでしょう?
 どうしたら貴方様は私だけを求めてくれるんでしょう?
 どうしたら貴方様は私だけを愛してくれるんでしょう?」

 パンドラは頬を赤く染め身悶えていた。しかし、視線だけは絶対に外さない。レイジから一瞬たりとも絶対に。

「どうしたらいいんでしょう。
 貴方様を愛すだけで良いのでしょうか?
 貴方様は縛り付ければいいんでしょうか?
 貴方様を見つめていれば良いのでしょうか?
 貴方様以外を⋯⋯逝かせば良いのでしょうか?」

 パンドラの発言がレイジには理解できなかった。
 水が上から下へ流れるが如く紡がれる狂気的な愛がレイジの背中に冷たい汗を流させる。

 それでもなんとかレイジは言葉を発した。

「な、なぜそこまで俺にこだわる?今、初めて会った相手⋯⋯しかも、お前を討伐に来たと言ったんだぞ?!」
「そうですね⋯⋯何故、と言われましても。私が貴方様のことを愛してしまったからですわ」

 その一言がきっかけとなったのかレイスが動いたーーと言うより、初期動作を起こした。
 それはレイスが持つS級スキル『神速』が生み出す刹那でありーー

「ます、たー⋯⋯は⋯⋯わたさ、ない!」

 ーー気づくころにはレイスはパンドラの背後を取っていた。

「お速いですわね。ですが残念」

 レイスの持つククリナイフはパンドラの白い首筋に吸い込まれるように軌跡を描いた。だがーー

「ーーッ!?」

 ーー強烈な金属音とともにククリナイフが弾かれた。
 パンドラは一歩も、指先一つだって動かしていない。しかし、レイスの渾身の一撃は目に見えない何かに防がれてしまった。

「それ、なら⋯⋯ッ!」

 レイスだからこそできる『神速』の最骨頂は無限の高速移動。一度も止まることなく去り際に何度も何度も何度も攻撃を仕掛ける。
 外から見るとそれはミキサーのように中心部を細切れに切り刻んでいく。だがーー

 「どう、いう⋯⋯こと⋯⋯?!」

 ーー全てが何かに防がれ一筋たりともパンドラには届かない。

「私の技能(スキル)は『災厄』。災厄とは現象、概念そのもの。貴方のような直接な攻撃では私には勝てませんことよ」
「⋯⋯」
「では、まずは貴方かーー」

 パンドラがレイスを標的にした時、遮るようにファントムが影の槍を放った。
 対するパンドラは瞬時に反応して闇の盾を作り槍を防いでしまった。

「邪魔はしないでくださいまし。貴方が代わりにお相手してくださるのでしょうか?」
「(コクリ)」
「いいでしょう。ですが、その前にーー」

 そう言ってパンドラは腕を振るった。
 すると、パンドラの足元に小さな魔法陣がいくつも出来上がり、魔法陣からは数十、数百の何かが生まれた。

 何かは様々な形を持つ。
 あるものは虫の姿を。
 あるものは魚の姿を。
 あるものは鳥の姿を。
 あるものは人の姿を。

 それら何かは真っ直ぐにレイスに向かっていった。

「さてさて、貴方にはこれを差し上げますわ」

 そう言って、パンドラは宙に10を超える闇の槍を作り撃ち放った。
 槍は全てファントムに向かい、煙を立てた。

「ファントム!」

 レイジはファントムの安否を確認するように叫んだ。
 だが、返答はなかった。

 やがて煙が晴れるとそこには無傷のファントムと、ファントムの前には口を開いた餓鬼の姿があった。

「あれ!?いつのまに!」

 レイジは周りを見ると隣にいたはずの餓鬼の姿はなくなっていた。

「無傷ですの!?」

 驚くパンドラ。
 そこにファントムは一切の躊躇もなく影の槍を20揃えーー

「....!」

 ーー撃ち放った。

「っ!」

 パンドラは一瞬の遅れをとったものの闇の盾をはりなんとか耐えきった。

「やりますわね。一体、どんなーー」

 耐えきり油断したパンドラに拳が近づいた。

「ーーッ!」

 間一髪のところで闇の盾を滑り込ませパンドラは攻撃を防いだ。

「わたし、も⋯⋯いる⋯⋯」
「ど、どういうことですの!?貴方には沢山の厄災を与えたはず!」
「ぜん、ぶ⋯⋯たお、した」
「ぜ、全部!?こ、この短時間でですの!?そ、それに貴方では私には触れられないはずなのに何故!?」
「ま、りょく⋯⋯つかえば⋯⋯こう、げき⋯⋯あた、る」
「こ、この短時間で魔力を纏って攻撃できるようになったと言うのですの?!そんなの不可能ですわ!」
「で、も⋯⋯でき、た⋯⋯」
「い、一体何がーーッ!」

 パンドラはレイスの攻撃を耐えながら会話していたためファントムの存在を意識から外してしまった。

 その状況をファントムは見逃すことなく20を超える影の槍を作り撃ち放った。

 レイスは足を止めていなかったためギリギリまでパンドラを攻撃し、直前に回避した。

 一方、直前まで防御に回れなかったパンドラはーー

「ま、間に合わッ!」

 ーー直撃した。ようやく手応えのある一撃が入ったのだ。
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