ダンジョンマスターは魔王ではありません!?

静電気妖怪

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1章〜異世界の地に立つ者達〜

17話「階層主討伐4」

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「え?」

 レイスとファントムの性別を聞いたパンドラは驚きを隠せずにいた。

「貴女達は⋯⋯その、大変申し訳ないのですが本当に女性なのですか?」

 女性に年齢はおろか、性別を尋ねることは間違いなく失礼に値することはパンドラ本人も十分に理解していた。
 しかし、嘘だと思ったーーいや、嘘だと信じたかった。今までの経験や感性が全て否定されるかのような感覚があったからだ。

「う、ん⋯⋯」
「(コクリ)」

 2人の肯定がトドメとなった。
 戦力を見誤ったこと、自身の能力を過信していたこと、そして何より自分の見る目がなかったことへの悔やみ。
 ここまで敗因が多いと逆に清々しさをパンドラは感じた。

「はぁ、わかりましたわ。今回は貴女達の気持ちの強さに負けましたわ。降参です」

 パンドラは両手を軽くあげ降参のポーズをとった。
 自ら降参するのがパンドラにとっての最後の抵抗、矜持だった。

 同様に、レイジト餓鬼が受けていた攻撃も止んだ。

 ファントムもレイスと見合わせた後、頷き合いククリナイフと影の槍の拘束を解いた。

「え?いいのか?」

 突然に終わった戦闘にレイジは困惑した。

「いいも何も、戦いは私の負けですわ」
「ならーー」
「ええ、貴方様の統治下に下りたいと思っています。よろしいでしょうか?」

 レイジは逡巡するもーー

「ああ、これからよろしく頼む」

 ーーゼーレの言葉を思い返し、パンドラを受け入れることにした。

「はい!よろしくお願いします!」

 パンドラは安心から生まれたの笑顔でそう答えた。

 ◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾

「じゃあ、改めてこのダンジョンのダンジョンマスターをすることになったレイジだ」
「はい、よろしくお願いします貴方様」
「一応聞くが、何でその呼び方?」

 自己紹介をしたのにも関わらず、呼び方が変わっていないことを疑問に思ってしまったレイジはつい聞いてしまった。

「どうして、と言われましても貴方様をこの場で初めて⋯⋯その、見た時から私の中ではもう⋯⋯進んでしまっていますから」
「何が!?お前の中で俺はどうなってるんだよ!?ーーなんか悪寒がッ!」

 パンドラとのやり取りの最中冷たく、射る様な視線をレイジは感じた。

 振り返るとそこにはーー

「⋯⋯」
「(ゴゴゴォ)」

 レイスとファントムが今にも殺しに来そうな視線をぶつけている。
 特にファントムには背後に何かが見えそうな位である。

「っちょ、お前らどうした!?」
「⋯⋯べつ、に」
「(サッ)」

 レイジが理由を聞こうとするもレイスもファントムもすぐに視線を逸らしてしまった。

「⋯⋯何なんだ?」
「うふふふふ」

 不思議に思うレイジの隣でパンドラは意味深げに笑う。

「と言うよりも、よく今日会ったばかりの奴にそこまで妄想が進むものだな」
「あら?一目惚れという言葉をご存じないのですか?初めて会った方を好きになってしまう現象ですよ」
「はいはい、初めてね⋯⋯ーー初めて?」

 パンドラの様な好意を初めて向けられたレイジは聞き流そうとするも、ある一箇所だけは聞き流せなかった。

「今、『初めて会った』って言ったよな?」
「ええ、申し上げましたわ」
「じゃあ、お前はこの広場から出たことがないのか?」
「はい、私はこの階層がこのダンジョンに繋がってからはこの広場からは出ていませんわ」
「じゃ、じゃあ⋯⋯」

 レイジの背中にまたしても冷たいものが伝わる。

「俺を襲撃してきたやつは何者なんだ?」

 襲撃者。
『暗黒』の階層が繋がった時レイジに直接的な攻撃を仕掛けその後は階層主だと考えられていた存在。

 当時は、階層と同時に出現する階層主が襲撃者だとレイジ達は考えていた。

 しかし、今思い返してみれば襲撃者の特徴とパンドラの特徴が一致しない。

 襲撃者の瞳は赤色だった。
 しかし、パンドラの瞳は紫だ。

 さらに、襲撃者はレイジに迫る時、裸足ーー少なくても靴を履いている様な足跡ではなかった。

 勿論、パンドラは自身の身長をほどよく見せるほどの高さのヒールを履いている。

 ならば、襲撃者=階層主だと考えていたがそれは全くの誤りであった。

 なら、一体何者が?

 考えても考えても答えが出ない。
 そもそも、持っている情報が少なすぎるためである。

 レイジの表情に焦りが映る。

 そしてーーー

「アオオオォン!!」

 ーーー事態は急変した。
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