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1章〜異世界の地に立つ者達〜
18話「襲撃者1」
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「アオオオォン!!」
月光に照らされた黒い存在が終焉を呼ぶラッパの様に力強く、高らかに鳴いた。
そして、その声が響き渡ると広場にある2つの出入り口から次々と何者かが侵入する。
月光が届かず視界がぼんやりとした先では1つ、また1つと赤い瞳が増えていく。
「ッ!レイス!ファントム!餓鬼!中心に集まれ!」
「「「ッ!!!」」」
レイジの声を聞いた三体はすぐに行動に移った。
同様に、レイジもパンドラとともに広場の中心、最も光が集まる場所を目指した。
全員が集まり様子を伺っていると赤い瞳の集団の中から2つの赤い瞳ーー1匹の狼が歩み出てきた。
だが、狼と言うには余りに大きすぎた。
立った状態での首までの高さは3mもあり、背中には一対の大きな羽を広げ、毛並みは漆黒を彩り、後方にある尾は蛇であり別個体の様に動いている。
そして、赤い瞳は今にも殺しにかからんとばかりに鋭くレイジを見ている。
「貴様がダンジョンマスターか?」
狼は低く、怒気を含んだ声でレイジに問いかけた。
「そうだ⋯⋯と言ったら?」
「無論、貴様を殺す!」
激しい憤りが、底知れない憎悪が、明確な殺意がレイジを襲った。
今にも襲い掛からんとした勢いだったが「だが」と言って狼はその気迫を抑え、レイジから視線をわずかにずらしパンドラを見た。
「その前にパンドラよ、貴様に聞かなくては行かぬ。何故に貴様はそちら側にいるのだ?」
「私の方も聞きたいですわね。なぜ貴方がここにいるにですか?魔王配下『地を覆う影の万軍』マルコシアス!」
パンドラは険しい表情でそう言い放った。
「魔王!?」
レイジは初めて出てきた言葉に反応した。
「はい。貴方様はソロモンの悪魔をご存知ですか?」
「77体いる悪魔のことか?」
「それで間違いございません。このマルコシアスもその話になぞられた魔王配下の一体でございます」
「ちょ、ちょっと待て!何でそんな奴がお前のことを知ってるんだ!?」
「⋯⋯私も此処に招び出されるまでは魔王配下だったからです」
「何!?」
レイジはこの時ようやくこの世界のルールに大きな疑問を抱いた。
そもそも、召喚される魔物はどこから来るのか?である。
召喚された瞬間からなぜ会話能力がある?
召喚された瞬間からなぜ知的能力が高い?
先程までは架空の世界からやってくるのか、はたまた作り出されるのか。
だが、深く考えるには至らなかった。
レイジはパンドラに聞かなくてはならないことが増えてしまった。
だが、それよりも先にやるべきことがある。
「パンドラ、その話後でゆっくりと聞かせてもらうぞ」
「⋯⋯はい」
「で、こいつの情報は?」
「マルコシアスは多対戦を得意ですが、真価を発揮するのは自身一体になった時です」
「個体能力が高いのか?」
「いいえ、マルコシアスは本人が一種の軍隊を持っているのです。そして、その数は30万を超えると聞いています」
「なるほど、数の概念が崩壊しそうだ。全く理解できない⋯⋯ヤバイな」
レイジとパンドラがマルコシアスに全注意を向ける。
「フハハッハハハハハ!」
「な、何がおかしいのです!?」
「パンドラよ、貴様は余程信用がなかったようだな」
「⋯⋯どういうことですか?」
「我の軍団が30万だと?」
「⋯⋯何が言いたいのですか?」
「笑止!ただ嬲(なぶ)なぶるだけでは退屈と思って待っていればとんだ茶番であった!」
マルコシアスの周囲には赤い瞳が次々と増えていく。
「我の軍団は100万に匹敵する!」
その増加はとどまることなく、次第にレイジ達を包囲した。
赤い瞳は次第に月明かりに照らされ姿を現した。
マルコシアスの様に大きくはないが同様の漆黒の毛並みを持つ狼達だ。
中には、尾が蛇になっている個体や、背中に翼を持つ個体もいる。
そして、共通しているのはどの個体も怒りの眼差しを、憎しみの眼差しを、殺意の眼差しを向けている。
「これは、いよいよマジでヤバイな⋯⋯」
「私としても想定外ばかりです」
「レイス、周囲の狼倒すのにどれくらいかかる?」
「⋯⋯けっこ、う⋯⋯かか、る」
「ファントム、パンドラ、マルコシアスを討やれるか?」
「⋯⋯(コクリ)」
「わかりませんが、やってみせます!」
「餓鬼はーー」
「わかっておる、お主が死ねばワシら全員道ずれじゃ。それは嫌じゃからのぉ」
「ありがとう」
レイジはマルコシアスを見据える。
マルコシアスもまたレイジを視線で射抜く。
「全員ーー頼むぞ!」
レイジの声を合図にレイスが周囲にいる狼を斬り伏せた。
その数は決して多いわけではない。
だが、速度が尋常ではない。
1匹の首が落ちる。
隣の狼はその光景に驚く。
次の瞬間にはその狼と逆隣にいた狼の首が落ちた。
次々と落ちて逝く配下達を見たマルコシアスはーー
「フハハハハハァ!」
狂気の笑みを浮かべていた。
「驚いたぞ!まさかこんな所で変異種に出会うとわな!」
「よそ見は厳禁ですわよ!」
レイスの目にも止まらない動き、『神速』に興味を持ってたマルコシアスは完全に無防備であった。
容赦なくパンドラから闇の細剣で、ファントムから影の槍で貫かれた。
しかしーー
「なッ!か、硬い!?」
声を上げたのはパンドラの方であった。
パンドラが使った細剣が中腹から折れ、ファントムが放った槍は先端が粉砕した状態で地に落ちた。
パンドラはすぐに距離を取った。
「な、何という硬さですの」
「よそ見、か。フハハハ!よそ見ではなくこれは余裕と言うのだ!」
「パンドラ大丈夫か?!」
レイジはパンドラに呼びかける。
そう、パンドラは左手で細剣を握っていた右腕を抑えていた。
「大丈夫です⋯⋯問題ありませんわ」
そう言い返すが、パンドラの右腕は震えていた。
恐らく、先の一撃で予想以上の反動で痺れが治らないのだろう。
レイジは思考した。
たった一回の攻防戦だが致命的に攻撃力が足りなかった。
その間もレイスは1匹でも奥の狼を斬り伏せ、ファントムは少しでも長くマルコシアスの足を止めている。
「そうだ!パンドラ、レイスにさっきやった『厄災』でレイスの代わりは出来るか?」
「は、はい!わかりました!」
「レイス!」
「⋯⋯う、ん」
レイジの呼びかけに応えたレイスはすぐさま方向転換し、マルコシアスに向かった。
月光に照らされた黒い存在が終焉を呼ぶラッパの様に力強く、高らかに鳴いた。
そして、その声が響き渡ると広場にある2つの出入り口から次々と何者かが侵入する。
月光が届かず視界がぼんやりとした先では1つ、また1つと赤い瞳が増えていく。
「ッ!レイス!ファントム!餓鬼!中心に集まれ!」
「「「ッ!!!」」」
レイジの声を聞いた三体はすぐに行動に移った。
同様に、レイジもパンドラとともに広場の中心、最も光が集まる場所を目指した。
全員が集まり様子を伺っていると赤い瞳の集団の中から2つの赤い瞳ーー1匹の狼が歩み出てきた。
だが、狼と言うには余りに大きすぎた。
立った状態での首までの高さは3mもあり、背中には一対の大きな羽を広げ、毛並みは漆黒を彩り、後方にある尾は蛇であり別個体の様に動いている。
そして、赤い瞳は今にも殺しにかからんとばかりに鋭くレイジを見ている。
「貴様がダンジョンマスターか?」
狼は低く、怒気を含んだ声でレイジに問いかけた。
「そうだ⋯⋯と言ったら?」
「無論、貴様を殺す!」
激しい憤りが、底知れない憎悪が、明確な殺意がレイジを襲った。
今にも襲い掛からんとした勢いだったが「だが」と言って狼はその気迫を抑え、レイジから視線をわずかにずらしパンドラを見た。
「その前にパンドラよ、貴様に聞かなくては行かぬ。何故に貴様はそちら側にいるのだ?」
「私の方も聞きたいですわね。なぜ貴方がここにいるにですか?魔王配下『地を覆う影の万軍』マルコシアス!」
パンドラは険しい表情でそう言い放った。
「魔王!?」
レイジは初めて出てきた言葉に反応した。
「はい。貴方様はソロモンの悪魔をご存知ですか?」
「77体いる悪魔のことか?」
「それで間違いございません。このマルコシアスもその話になぞられた魔王配下の一体でございます」
「ちょ、ちょっと待て!何でそんな奴がお前のことを知ってるんだ!?」
「⋯⋯私も此処に招び出されるまでは魔王配下だったからです」
「何!?」
レイジはこの時ようやくこの世界のルールに大きな疑問を抱いた。
そもそも、召喚される魔物はどこから来るのか?である。
召喚された瞬間からなぜ会話能力がある?
召喚された瞬間からなぜ知的能力が高い?
先程までは架空の世界からやってくるのか、はたまた作り出されるのか。
だが、深く考えるには至らなかった。
レイジはパンドラに聞かなくてはならないことが増えてしまった。
だが、それよりも先にやるべきことがある。
「パンドラ、その話後でゆっくりと聞かせてもらうぞ」
「⋯⋯はい」
「で、こいつの情報は?」
「マルコシアスは多対戦を得意ですが、真価を発揮するのは自身一体になった時です」
「個体能力が高いのか?」
「いいえ、マルコシアスは本人が一種の軍隊を持っているのです。そして、その数は30万を超えると聞いています」
「なるほど、数の概念が崩壊しそうだ。全く理解できない⋯⋯ヤバイな」
レイジとパンドラがマルコシアスに全注意を向ける。
「フハハッハハハハハ!」
「な、何がおかしいのです!?」
「パンドラよ、貴様は余程信用がなかったようだな」
「⋯⋯どういうことですか?」
「我の軍団が30万だと?」
「⋯⋯何が言いたいのですか?」
「笑止!ただ嬲(なぶ)なぶるだけでは退屈と思って待っていればとんだ茶番であった!」
マルコシアスの周囲には赤い瞳が次々と増えていく。
「我の軍団は100万に匹敵する!」
その増加はとどまることなく、次第にレイジ達を包囲した。
赤い瞳は次第に月明かりに照らされ姿を現した。
マルコシアスの様に大きくはないが同様の漆黒の毛並みを持つ狼達だ。
中には、尾が蛇になっている個体や、背中に翼を持つ個体もいる。
そして、共通しているのはどの個体も怒りの眼差しを、憎しみの眼差しを、殺意の眼差しを向けている。
「これは、いよいよマジでヤバイな⋯⋯」
「私としても想定外ばかりです」
「レイス、周囲の狼倒すのにどれくらいかかる?」
「⋯⋯けっこ、う⋯⋯かか、る」
「ファントム、パンドラ、マルコシアスを討やれるか?」
「⋯⋯(コクリ)」
「わかりませんが、やってみせます!」
「餓鬼はーー」
「わかっておる、お主が死ねばワシら全員道ずれじゃ。それは嫌じゃからのぉ」
「ありがとう」
レイジはマルコシアスを見据える。
マルコシアスもまたレイジを視線で射抜く。
「全員ーー頼むぞ!」
レイジの声を合図にレイスが周囲にいる狼を斬り伏せた。
その数は決して多いわけではない。
だが、速度が尋常ではない。
1匹の首が落ちる。
隣の狼はその光景に驚く。
次の瞬間にはその狼と逆隣にいた狼の首が落ちた。
次々と落ちて逝く配下達を見たマルコシアスはーー
「フハハハハハァ!」
狂気の笑みを浮かべていた。
「驚いたぞ!まさかこんな所で変異種に出会うとわな!」
「よそ見は厳禁ですわよ!」
レイスの目にも止まらない動き、『神速』に興味を持ってたマルコシアスは完全に無防備であった。
容赦なくパンドラから闇の細剣で、ファントムから影の槍で貫かれた。
しかしーー
「なッ!か、硬い!?」
声を上げたのはパンドラの方であった。
パンドラが使った細剣が中腹から折れ、ファントムが放った槍は先端が粉砕した状態で地に落ちた。
パンドラはすぐに距離を取った。
「な、何という硬さですの」
「よそ見、か。フハハハ!よそ見ではなくこれは余裕と言うのだ!」
「パンドラ大丈夫か?!」
レイジはパンドラに呼びかける。
そう、パンドラは左手で細剣を握っていた右腕を抑えていた。
「大丈夫です⋯⋯問題ありませんわ」
そう言い返すが、パンドラの右腕は震えていた。
恐らく、先の一撃で予想以上の反動で痺れが治らないのだろう。
レイジは思考した。
たった一回の攻防戦だが致命的に攻撃力が足りなかった。
その間もレイスは1匹でも奥の狼を斬り伏せ、ファントムは少しでも長くマルコシアスの足を止めている。
「そうだ!パンドラ、レイスにさっきやった『厄災』でレイスの代わりは出来るか?」
「は、はい!わかりました!」
「レイス!」
「⋯⋯う、ん」
レイジの呼びかけに応えたレイスはすぐさま方向転換し、マルコシアスに向かった。
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