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1章〜異世界の地に立つ者達〜
37話「祈りを願いに、願いを力に7」
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「⋯⋯もう三桁目いったかな?」
千代の視界にはまたしても木々が映り、耳には水の流れる川の音が響く。
幾度となく同じ結果になりいつからか数えることをやめていたーーもし、数えていたらここまで来る前に廃人になっていただろう。
「⋯⋯クッソッ!」
ダンッ!、と強い音を出すほどに強く、強く千代は地面を殴りつけた。
「なんなの⋯⋯何なんなのよあのダンジョンマスター⋯⋯」
千代の頭の中には白髪に青い眼そして、色白の肌の男がチラつく。
「あんなの⋯⋯どうやって倒せって言うのよ!」
男を守っていた三体の魔物。
ローブを着た死神のような魔物。
黒いマネキンのような魔物。
痩せ細った緑肌の魔物。
どれもこれも千代にとっては化け物だった。
何度か挑む中で相手の能力を知り、裏をかき、更には冒険者を騙し連れていった。
中には善戦した戦いもあった。
しかし、全てローブの魔物の速度によって覆された。
「あの速さどうやって対抗すればいいよの⋯⋯」
「⋯⋯あのー」
「他の町に行かないダメかな⋯⋯」
「⋯⋯聞いてる?」
「やっぱ、上級冒険者辺りじゃないとダメかな...」
「ちょっとっ!」
「ーーッ!」
千代はダンジョンでの戦闘に思考を裂き、今ある現実を見ていなかった。
「やっと反応した。さっきからずっと声かけてるのに黙ってばっかだから耳が聞こえないのかと思ったよ」
目の前には、愛しく、憧れ、守りたい人が手を腰にあて千代を覗き込んでいた。
「あ、ごめんなさい⋯⋯」
「別にそこまできつく言うつもりはないんだけどなぁ。それで、何かあったの?」
「あー、実は私迷子なんだ」
「迷子?よかったらうちの村にくる?」
「いいの?」
「ええ、迷子の人一人助けられないほど困ってるわけじゃないからね」
「それならお言葉に甘えさせてもらうよ。私は千代」
「ちよ?変わった名前ね。私はーーー」
「よろしく、ーーー」
何十と繰り返したこのやり取り。
いつの間にか慣れてしまい、千代の中では作られた笑顔も本当か嘘かわからなくなっていた。
「じゃあ、案内するよ」
ーーーは笑顔でそう言った。
「⋯⋯本当は知ってるんだけどね」
「ん?何か言った?」
「ううん。ありがとう、って思ってね」
千代の呟きはーーーには聞こえず、千代はまた嘘か本当かわからない笑顔をーーーに向けた。
「そう?」
ーーーは村に着くまで終始笑顔だった。
そして、それを見ていた千代はいつか、一緒に笑い合いたい。
ただ、それだけを思っていた。
◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾
目を覚ませばそこは森の中だった。
ただ、いつもと違い自身の服装は冒険者風のローブと軽装、戦闘用の靴。
周りを見れば村の近くのように明るくない森の中だった。
「⋯⋯あ、そっか。私逃げてきたんだ」
千代は先の戦闘のことを思い出した。
「『閃光』も『蒼炎』もダメだったか。あの二人がダメならもう私に打てる手はないんだよな」
千代は誰かにと言うわけででもなく呟き続ける。
「実際、今回は何かおかしい⋯⋯あの女型の魔物は何? それに、あの速さと魔力量⋯⋯成長してる?」
千代は何度も繰り返してきた過去を、現在を、未来を思い返す。
その中で、一度でも起きたことがないことが今回に限って同時に起きている。
そして、千代は一つの最悪の結論に至った。
「⋯⋯もしかして、過去が変わった?」
千代にとってはやり直しは常に自身を軸に動いていた。
だが、今回全くの異常イレギュラーが発生したことに千代は焦った。
「何で?誰が?どうやって?もし、全ての過去が同じなら、もう⋯⋯」
千代の頭の中で最悪の予想が、未来が、絶望が組み上がっていく。
絶対に倒すことができない敵
絶対に訪れてきてしまう運命
絶対に救うことができない人
それらが、目の前で起きている、そんな錯覚が起きてしまうほどに。
「もう、ーーーと過ごせない。もう、ーーーと笑えない⋯⋯もうっ!」
ダンッ!と千代は強く殴りつけた。
「ーーーを⋯⋯助けられないよぉ」
そして、か細く泣きそうな声で言葉を零した。
一人の少女の祈りは願いになった。
一人の少女の願いは力になった。
しかし、その祈りも、願いも、力も、望む結末に導くことはなかった。
「⋯⋯もう、いっかな」
先の激戦に続き、疲労困憊の体に鞭打った逃走で千代の体力は限界に達していた。
疲れ切った頭には寝て起きればまた同じ景色が見える、そう言い聞かせた。
千代の瞼は再び閉じられ、深い深い眠りに千代は身を委ねた。
◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾
そして、いつの日か目覚めた千代の瞳に映ったのは、
「あれ? ここ私の部屋?」
幾度と繰り返した森の中ではなく女の子らしい部屋ーー自身の部屋の中だった。
千代の視界にはまたしても木々が映り、耳には水の流れる川の音が響く。
幾度となく同じ結果になりいつからか数えることをやめていたーーもし、数えていたらここまで来る前に廃人になっていただろう。
「⋯⋯クッソッ!」
ダンッ!、と強い音を出すほどに強く、強く千代は地面を殴りつけた。
「なんなの⋯⋯何なんなのよあのダンジョンマスター⋯⋯」
千代の頭の中には白髪に青い眼そして、色白の肌の男がチラつく。
「あんなの⋯⋯どうやって倒せって言うのよ!」
男を守っていた三体の魔物。
ローブを着た死神のような魔物。
黒いマネキンのような魔物。
痩せ細った緑肌の魔物。
どれもこれも千代にとっては化け物だった。
何度か挑む中で相手の能力を知り、裏をかき、更には冒険者を騙し連れていった。
中には善戦した戦いもあった。
しかし、全てローブの魔物の速度によって覆された。
「あの速さどうやって対抗すればいいよの⋯⋯」
「⋯⋯あのー」
「他の町に行かないダメかな⋯⋯」
「⋯⋯聞いてる?」
「やっぱ、上級冒険者辺りじゃないとダメかな...」
「ちょっとっ!」
「ーーッ!」
千代はダンジョンでの戦闘に思考を裂き、今ある現実を見ていなかった。
「やっと反応した。さっきからずっと声かけてるのに黙ってばっかだから耳が聞こえないのかと思ったよ」
目の前には、愛しく、憧れ、守りたい人が手を腰にあて千代を覗き込んでいた。
「あ、ごめんなさい⋯⋯」
「別にそこまできつく言うつもりはないんだけどなぁ。それで、何かあったの?」
「あー、実は私迷子なんだ」
「迷子?よかったらうちの村にくる?」
「いいの?」
「ええ、迷子の人一人助けられないほど困ってるわけじゃないからね」
「それならお言葉に甘えさせてもらうよ。私は千代」
「ちよ?変わった名前ね。私はーーー」
「よろしく、ーーー」
何十と繰り返したこのやり取り。
いつの間にか慣れてしまい、千代の中では作られた笑顔も本当か嘘かわからなくなっていた。
「じゃあ、案内するよ」
ーーーは笑顔でそう言った。
「⋯⋯本当は知ってるんだけどね」
「ん?何か言った?」
「ううん。ありがとう、って思ってね」
千代の呟きはーーーには聞こえず、千代はまた嘘か本当かわからない笑顔をーーーに向けた。
「そう?」
ーーーは村に着くまで終始笑顔だった。
そして、それを見ていた千代はいつか、一緒に笑い合いたい。
ただ、それだけを思っていた。
◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾
目を覚ませばそこは森の中だった。
ただ、いつもと違い自身の服装は冒険者風のローブと軽装、戦闘用の靴。
周りを見れば村の近くのように明るくない森の中だった。
「⋯⋯あ、そっか。私逃げてきたんだ」
千代は先の戦闘のことを思い出した。
「『閃光』も『蒼炎』もダメだったか。あの二人がダメならもう私に打てる手はないんだよな」
千代は誰かにと言うわけででもなく呟き続ける。
「実際、今回は何かおかしい⋯⋯あの女型の魔物は何? それに、あの速さと魔力量⋯⋯成長してる?」
千代は何度も繰り返してきた過去を、現在を、未来を思い返す。
その中で、一度でも起きたことがないことが今回に限って同時に起きている。
そして、千代は一つの最悪の結論に至った。
「⋯⋯もしかして、過去が変わった?」
千代にとってはやり直しは常に自身を軸に動いていた。
だが、今回全くの異常イレギュラーが発生したことに千代は焦った。
「何で?誰が?どうやって?もし、全ての過去が同じなら、もう⋯⋯」
千代の頭の中で最悪の予想が、未来が、絶望が組み上がっていく。
絶対に倒すことができない敵
絶対に訪れてきてしまう運命
絶対に救うことができない人
それらが、目の前で起きている、そんな錯覚が起きてしまうほどに。
「もう、ーーーと過ごせない。もう、ーーーと笑えない⋯⋯もうっ!」
ダンッ!と千代は強く殴りつけた。
「ーーーを⋯⋯助けられないよぉ」
そして、か細く泣きそうな声で言葉を零した。
一人の少女の祈りは願いになった。
一人の少女の願いは力になった。
しかし、その祈りも、願いも、力も、望む結末に導くことはなかった。
「⋯⋯もう、いっかな」
先の激戦に続き、疲労困憊の体に鞭打った逃走で千代の体力は限界に達していた。
疲れ切った頭には寝て起きればまた同じ景色が見える、そう言い聞かせた。
千代の瞼は再び閉じられ、深い深い眠りに千代は身を委ねた。
◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾
そして、いつの日か目覚めた千代の瞳に映ったのは、
「あれ? ここ私の部屋?」
幾度と繰り返した森の中ではなく女の子らしい部屋ーー自身の部屋の中だった。
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