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2章〜光は明日を照らし、鬼は大地を踏みしめ、影は過去を喰らう〜
52話「這い寄る影、蠢く破滅、その先に6」
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ブラウ率いる4人の冒険者がダンジョンに侵入した頃、レイジ達は今後の方針について話していた。
「⋯⋯侵入者か!?」
ダンジョンマスターの特性である『ダンジョンに侵入した敵意ある存在に対する拒否反応』がレイジを襲う。
毎回感じる不快感もだいぶ慣れたか便利なレーダーくらいの認識になりつつあるのは人間の順応力の素晴らしさだろう。
「⋯⋯今回は何人なの?」
ゼーレは心配そうな表情でレイジに尋ねる。
侵入者がくることはダンジョンの宿命なのだが、その度にレイジ達が傷つくため複雑な感情から抜け出せないのだろう。
「1、2、3⋯⋯4人か」
「4人なら⋯⋯」
「いや待て⋯⋯これは?」
「どうしたの?」
「3人が出た?」
レイジは侵入者の動向が気になりマップ機能での確認を急いだ。
そして、そこにはレイジ達の予想を超えてくる事態を示していた。
「何だこいつ!」
「どうしたの?」
マップには4人のマークが現れたかと思えばその内3つは全く動かない。
これだけなら『餓鬼道』の階層をどう攻略するのか考えていると説明がつくのだが、1つのマークが一直線に移動し始めたのだ。それも、人間を疑う速度で。
「侵入して来た4人の内の1人がもの凄い速さで移動してやがる!」
「ただ闇雲に走り回ってるんじゃないの?」
「いや、どういう理屈かわからんが一直線に⋯⋯まるで何か目印があるかの様に走ってるな」
「ええ!? それじゃあーー」
レイジは画面を見つめながら考えた。
今できる最善の一手を。
「どうするのお兄ちゃん?」
悩むレイジにゼーレが心配そうな目を向けている。
「⋯⋯『暗黒』で迎え撃とう」
「え? 奇襲はしないの?」
「ああ、正直今から奇襲に迎えるのがレイスだけだ。だが、そこにレイス単体で行かせて返り討ちにあった場合は最悪だ」
「なら、全員で万全な状態で迎え撃ったほうがいい、ってこと?」
「そういうことだ。それにこの様子からしておそらくこいつは偵察の可能性が高い。偵察なら戦闘を必須としないから上手くおびき寄せられるかも知れない。そうなればレイスは4人とやり合う事も考えられるからな」
考えがまとまったレイジは画面を閉じた。
そして、周囲にいる魔物達に視線を向けた。
「という訳だ。これから『暗黒』で侵入者どもを返り討ちにする。皆んな戦闘の準備をしてくれ」
「⋯⋯わか、った」
「了解しましたわぁ、お兄様ぁ」
「貴方様、私はいつでも行けます」
「初戦闘っすね! 気合い入れてくっすよ!」
(やっとワイも活躍できるな)
見渡した魔物達は次々にそう言った。
「お兄ちゃん⋯⋯気をつけてね」
「ああ。ーーよし行くぞ!」
レイジの掛け声と共に魔物達は『暗黒』の階層に足を踏み入れた。
◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾
レイジ達が『暗黒』層円形広場に到着する頃、ブラウ達4人は『暗黒』層に足を踏み入れていた。
「あの砂漠も種がわかれば大したことありませんね」
ブラウは少し得意顔でそう言った。
「にしても、よくブラウちゃんは知ってたな。あの階層が方向感覚を狂わせる類の物だって」
「過去に似たような階層に入ったことがあるだけよ」
「いやはや、恐れいったよ」
マーダは本当に感心した様子であった。
実際、『餓鬼道』の階層の本質は『迷子』であった。砂漠と言う過酷な環境下、目印もなく、食料の補填もできない。そのため、一度入った場合は死ぬか踏破のどちらかの未来しかない。
ここで問題なのは『迷子』にならないことだった。『迷子』とは目的や居る場所がわからないことを指す。そこで、ブラウは目的を明快にし、道順を作ることを考えた。それが、ロート1人に道標に沿って走らせることだった。
理屈はメチャクチャであるが本質は捉えていたため結果も後からついてきた。
階層の本質を知らなかったレイジとはここで経験の差が顕著に出てしまった。
「それはそうと、ココからは貴方の出番よ。任せて良いのですよね?」
「ああ、依頼通りしっかり働かせて貰うぜ」
そう言ってマーダは自らの影を伸ばした。
光源がないこの階層ではわかりにくいが、その膨張の仕方は異常であった。人の形を象っていたものが上へ、横へと影は伸び遠く、遠くへと無尽蔵に広がっていく。
「⋯⋯ふむ、こっちだな」
マーダは暗闇の中を見えているかのように歩き始めた。
「おっと、そうだ。これもやらないとな」
そう言ってマーダは腰につけている袋の底に小さな穴を開けた。
開けた小さな穴からは光り輝く粉が舞い落ちた。
その光は暗闇の中を照らすほどではない。しかし、落ちた地面にはしっかりと輝き道しるべの役をしていた。
「それじゃあ、見失わないようについて来てくれよ」
そう言ってマーダは改めて先行して暗闇の中を歩いて行った。
◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾
休憩を挟むことなく、最短経路を足早に踏破した4人は『暗黒』階層の円形広場の入り口まで来ていた。
「どうやらココがボス部屋みたいだな」
暗闇の中、何故か認識できる色合いを持つ大きな扉が四人の前に立っている。
「ふむ、道中の魔物も大したことがなかったな」
「そりゃあ、出来たばっかだからだろ? あんまり経験値とかも期待しないほうがいいぜ」
ラルカが厳しめの評価をした。
道中で何度か奇襲された4人だったが、結果としては戦いになるようなことはなく一蹴されて終わりというあっけないものだった。
「二人ともあまり油断しないように。実際、中級冒険者が二名行方不明になっているダンジョンです⋯⋯特にロート」
「な!? 何でさお姉ちゃん!」
「あなた、ココに来るまでに何回か影狼シャドウウルフに背後を取られていたわよね?」
「うっ⋯⋯それは⋯⋯でも! ちゃんと殺したじゃん!」
「はぁ、いいですか? そういう油断が危険を招くのですよ。十分気をつけるように」
「はぁい」
そう言ってブラウはロートに注意しながら門の前に立ち、手を掛けた。
「では、開けましょう。皆さん、油断しないでくださいね」
ブラウの言葉に全員が頷く。
そして、それらを確認したブラウは扉を開けた。
そしてその瞬間ーーブラウ達4人の視界が黒に染まった。
◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾
「侵入者どもは扉前に来た。手筈通り行くぞ」
レイジ達は先に到着し戦闘の準備を進めていた。
そして、これがその一つ、扉を開けた瞬間の奇襲。
前回の侵入者でエイナが自発的に行った奇襲を今回は他の魔物達と同時に行うことをレイジは考えた。
「や、やったすか⋯⋯?」
今回、扉が開けられた瞬間エイナの影の槍、パンドラの闇の槍、ハクレイの鎖が侵入者を襲った。
そして、ほぼ同時の奇襲に手応えを感じたハクレイが呟く。
だがーー
「中々に、手厚い訪問ではないか! 魔物達!」
「ひゅー、危ないなあ」
ーー土煙が落ち着き、月光が照らした先に居たのは4人。全員にダメージらしいものはない。
前側に鎧を着た女傑ラルカとローブを羽織った暗殺者マーダが魔法を展開していた。
ラルカの前には光り輝く盾。
マーダの前には深く暗い影。
その二つが奇襲を完全に防いでいた。
その光景を見たレイジは⋯⋯
「やっぱ、一筋縄じゃ行かねえか」
そう独り言るのだった。
「⋯⋯侵入者か!?」
ダンジョンマスターの特性である『ダンジョンに侵入した敵意ある存在に対する拒否反応』がレイジを襲う。
毎回感じる不快感もだいぶ慣れたか便利なレーダーくらいの認識になりつつあるのは人間の順応力の素晴らしさだろう。
「⋯⋯今回は何人なの?」
ゼーレは心配そうな表情でレイジに尋ねる。
侵入者がくることはダンジョンの宿命なのだが、その度にレイジ達が傷つくため複雑な感情から抜け出せないのだろう。
「1、2、3⋯⋯4人か」
「4人なら⋯⋯」
「いや待て⋯⋯これは?」
「どうしたの?」
「3人が出た?」
レイジは侵入者の動向が気になりマップ機能での確認を急いだ。
そして、そこにはレイジ達の予想を超えてくる事態を示していた。
「何だこいつ!」
「どうしたの?」
マップには4人のマークが現れたかと思えばその内3つは全く動かない。
これだけなら『餓鬼道』の階層をどう攻略するのか考えていると説明がつくのだが、1つのマークが一直線に移動し始めたのだ。それも、人間を疑う速度で。
「侵入して来た4人の内の1人がもの凄い速さで移動してやがる!」
「ただ闇雲に走り回ってるんじゃないの?」
「いや、どういう理屈かわからんが一直線に⋯⋯まるで何か目印があるかの様に走ってるな」
「ええ!? それじゃあーー」
レイジは画面を見つめながら考えた。
今できる最善の一手を。
「どうするのお兄ちゃん?」
悩むレイジにゼーレが心配そうな目を向けている。
「⋯⋯『暗黒』で迎え撃とう」
「え? 奇襲はしないの?」
「ああ、正直今から奇襲に迎えるのがレイスだけだ。だが、そこにレイス単体で行かせて返り討ちにあった場合は最悪だ」
「なら、全員で万全な状態で迎え撃ったほうがいい、ってこと?」
「そういうことだ。それにこの様子からしておそらくこいつは偵察の可能性が高い。偵察なら戦闘を必須としないから上手くおびき寄せられるかも知れない。そうなればレイスは4人とやり合う事も考えられるからな」
考えがまとまったレイジは画面を閉じた。
そして、周囲にいる魔物達に視線を向けた。
「という訳だ。これから『暗黒』で侵入者どもを返り討ちにする。皆んな戦闘の準備をしてくれ」
「⋯⋯わか、った」
「了解しましたわぁ、お兄様ぁ」
「貴方様、私はいつでも行けます」
「初戦闘っすね! 気合い入れてくっすよ!」
(やっとワイも活躍できるな)
見渡した魔物達は次々にそう言った。
「お兄ちゃん⋯⋯気をつけてね」
「ああ。ーーよし行くぞ!」
レイジの掛け声と共に魔物達は『暗黒』の階層に足を踏み入れた。
◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾
レイジ達が『暗黒』層円形広場に到着する頃、ブラウ達4人は『暗黒』層に足を踏み入れていた。
「あの砂漠も種がわかれば大したことありませんね」
ブラウは少し得意顔でそう言った。
「にしても、よくブラウちゃんは知ってたな。あの階層が方向感覚を狂わせる類の物だって」
「過去に似たような階層に入ったことがあるだけよ」
「いやはや、恐れいったよ」
マーダは本当に感心した様子であった。
実際、『餓鬼道』の階層の本質は『迷子』であった。砂漠と言う過酷な環境下、目印もなく、食料の補填もできない。そのため、一度入った場合は死ぬか踏破のどちらかの未来しかない。
ここで問題なのは『迷子』にならないことだった。『迷子』とは目的や居る場所がわからないことを指す。そこで、ブラウは目的を明快にし、道順を作ることを考えた。それが、ロート1人に道標に沿って走らせることだった。
理屈はメチャクチャであるが本質は捉えていたため結果も後からついてきた。
階層の本質を知らなかったレイジとはここで経験の差が顕著に出てしまった。
「それはそうと、ココからは貴方の出番よ。任せて良いのですよね?」
「ああ、依頼通りしっかり働かせて貰うぜ」
そう言ってマーダは自らの影を伸ばした。
光源がないこの階層ではわかりにくいが、その膨張の仕方は異常であった。人の形を象っていたものが上へ、横へと影は伸び遠く、遠くへと無尽蔵に広がっていく。
「⋯⋯ふむ、こっちだな」
マーダは暗闇の中を見えているかのように歩き始めた。
「おっと、そうだ。これもやらないとな」
そう言ってマーダは腰につけている袋の底に小さな穴を開けた。
開けた小さな穴からは光り輝く粉が舞い落ちた。
その光は暗闇の中を照らすほどではない。しかし、落ちた地面にはしっかりと輝き道しるべの役をしていた。
「それじゃあ、見失わないようについて来てくれよ」
そう言ってマーダは改めて先行して暗闇の中を歩いて行った。
◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾
休憩を挟むことなく、最短経路を足早に踏破した4人は『暗黒』階層の円形広場の入り口まで来ていた。
「どうやらココがボス部屋みたいだな」
暗闇の中、何故か認識できる色合いを持つ大きな扉が四人の前に立っている。
「ふむ、道中の魔物も大したことがなかったな」
「そりゃあ、出来たばっかだからだろ? あんまり経験値とかも期待しないほうがいいぜ」
ラルカが厳しめの評価をした。
道中で何度か奇襲された4人だったが、結果としては戦いになるようなことはなく一蹴されて終わりというあっけないものだった。
「二人ともあまり油断しないように。実際、中級冒険者が二名行方不明になっているダンジョンです⋯⋯特にロート」
「な!? 何でさお姉ちゃん!」
「あなた、ココに来るまでに何回か影狼シャドウウルフに背後を取られていたわよね?」
「うっ⋯⋯それは⋯⋯でも! ちゃんと殺したじゃん!」
「はぁ、いいですか? そういう油断が危険を招くのですよ。十分気をつけるように」
「はぁい」
そう言ってブラウはロートに注意しながら門の前に立ち、手を掛けた。
「では、開けましょう。皆さん、油断しないでくださいね」
ブラウの言葉に全員が頷く。
そして、それらを確認したブラウは扉を開けた。
そしてその瞬間ーーブラウ達4人の視界が黒に染まった。
◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾
「侵入者どもは扉前に来た。手筈通り行くぞ」
レイジ達は先に到着し戦闘の準備を進めていた。
そして、これがその一つ、扉を開けた瞬間の奇襲。
前回の侵入者でエイナが自発的に行った奇襲を今回は他の魔物達と同時に行うことをレイジは考えた。
「や、やったすか⋯⋯?」
今回、扉が開けられた瞬間エイナの影の槍、パンドラの闇の槍、ハクレイの鎖が侵入者を襲った。
そして、ほぼ同時の奇襲に手応えを感じたハクレイが呟く。
だがーー
「中々に、手厚い訪問ではないか! 魔物達!」
「ひゅー、危ないなあ」
ーー土煙が落ち着き、月光が照らした先に居たのは4人。全員にダメージらしいものはない。
前側に鎧を着た女傑ラルカとローブを羽織った暗殺者マーダが魔法を展開していた。
ラルカの前には光り輝く盾。
マーダの前には深く暗い影。
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