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4章〜崩れて壊れても私はあなたの事を——〜
94話「崩壊の招き人7」
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ーパンドラ vs テレスー
細剣と錫杖が奏る金属音に黒と白のドレスが社交ダンスのように揺られる。
その美しくも激しい戦場で舞うのは二人の美の化身——
「打撃は効きませんか⋯⋯」
「直接の戦闘は苦手の様でしたが⋯⋯嘘ですわね?」
数合の打ち合いの中で テレス は己の知識の中にある魔物の種族『概念種』に当たりをつけ渋い顔をする。
一方 パンドラ は確かな強さを実感させる杖術、体術を見せつける テレス に顔を若干引攣らせる。
「いえいえ、そんな事は御座いませんよ。私は補佐の方が得意ですので」
「よく言いますわ。それだけの心得があり、私と互角に打ち合っているではないですか?」
「うふふふふ」
「うふふふふ」
美しい美貌を作る口元が大きく釣り上がる。
まるで三日月を描くその口元は芸術的な美化を狂った道化へと変貌させる。
「闇の槍よ——」
「天の光よ——」
「「敵を討ちなさいッ!!」」
同時に叫ばれた攻撃の合図。
パンドラ によって生み出された漆黒の槍が、テレス によって生み出された白銀の矢が、激突した。
狙った様に互いが互いの技を撃ち落とす。その度に起きる爆発音や火花は恐怖と共に一種の芸術を作り出す。
全てを打ち終わってどちらも傷一つなく焦げた匂いだけが漂うのはどちらも劣らない威力だった事を示していた。
「手慣らしはこの辺で終わりでしょうかね」
「ええ。私も聖女の名に恥じぬように行かせてもらいます——『神を産む聖母の慈愛』、『聖域を番する守護霊』を解放致します!」
淡い白い光が テレス を包み込み、一際強い光が テレス の纏う光から分離した。
白い顔にうっすらと浮かび上がる赤色の奇怪な模様。目の周りと頬に現れるそれは力強さと正義を掲げる者を彷彿させる。
身を守っていた白い聖服は厚みや長さを増し、その輝きも同調するように眩しく一枚の天衣無縫を創り上げる。
そして、分離した一際強い光は鼓動を繰り返しながら形を変え——一体の馬を生み出した。
その細身ながら雄々しい四本の脚はしっかりと地を踏みしめ、背中を駆ける白い鬣は風に揺られている。そして最も眼を見張るのは——
「⋯⋯ユニコーン、ですか」
その白馬の頭部から伸びる白く畝る長い角。
一切の欠ける事のないその角は突く物全てを貫くだろう驚異的な破壊力を感じさせる。
「聖霊とは聖女を守護する精霊のことですのよ」
「クルルルゥ——ッ!?」
テレス に首をゆっくり撫でられる ユニコーン。しかし、突如動き出し テレス の前に立ち光り輝く半透明な盾を生み出した。
その突然の行動に驚く パンドラ とテレス。そして、ユニコーンの奇行で二人は巨大な火球が此方に迫って来ていることに気づいた。
「な、なんですの!?」
「ぱ、パローラ様!?」
半透明の壁と巨大な火球の激突。
轟音と高熱を振りまく理不尽なソレは光の壁によって砂埃を巻き立て消えていった。
「あ、ありがとうございます」
「クルゥ!」
「何だったのですかアレは⋯⋯?」
「恐らく パローラ様の火魔法でしょう」
「⋯⋯お仲間の魔法がこちらに飛んで来ましたよ?」
「パローラ様はその様な間違いは犯しません。考えられるとしたら狙いをずらされたとしか⋯⋯もしや、貴女のお仲間が此方に狙いを変えたのではないでしょうか?」
片手を顎に添え考えるそぶりを見せながら テレス は言った。
当然パンドラ は「そんな事っ!」と否定する言葉を口にしようとするが、喉まで上がって来た言葉は外に出ることはなかった。
「⋯⋯否定、しませんのね」
「⋯⋯此方にも色々事情があるのです」
「そうです——っ!?」
テレス が手を額に添え呆れながらそう言おうとした時、またもやユニコーンが自発的に動いた。
「クルゥ!」
次にやって来たのは先ほどの火球を三度大きくした様な氷の杭。なぜか回転が加わっている尖った先端はもはや破壊しか目的としていない。
「クルウゥゥッ!!」
ギャリギャリと嫌な音を立てながら突き進む氷の杭は果てには光の壁に亀裂を作った。
「マズイですわ!」
危機感を感じた パンドラ は片腕を振った。
それと同時に出現したのは無数の黒い腕。生きとし生ける者へ死を誘う様な邪悪さを感じさせる漆黒の腕は何もない空間から現れた。
そして、それらの腕は氷の杭を止めるために絡みついた。
ビチャビチャと嫌悪感を感じさせるその音と共に腕は弾き飛ぶ。しかし、それも長くは続かなかった。
というのも、元々そこまで高速で回転していなかった氷の杭は光の壁の効果もあり、次第にその回転と速度を緩め、ズゥン、と超重量を感じさせる音と共に地上に落ちた。
「これも貴女のお仲間の魔法ですわよね?」
「⋯⋯ええ。ですが、そんな愚行は犯しませんよ?」
「そうですか⋯⋯もしかしたら私はハクレイ様に恨まれていたのでしょうか」
「一体、貴女方はどういう集まりなのですか⋯⋯」
そう言ってまたもや テレス は呆れた事を体で表した。
しかし、同情するつもりはなく構えと同時に錫杖はシャリン、と心地良い音を鳴らす。
「もう長くここにいたくはありません。早急に片をつけさせて頂きます」
「私も同じ様に考えます。早急に終わらせ ハクレイ様に問いただしたいのですから」
そう言って パンドラ も細剣を正面に構えた。凛としたその構えと雰囲気は絵になるほどに美しい。
「一つだけ確認をさせて頂きますか?」
「何でしょうか?」
構え、睨み合っていた二人だが、唐突に テレス が疑問を口にした。
「私は先程までとは全く違いますのよ?」
「そうでしょうね」
「貴女はそのままでよろしいのですか?」
「と、言いますと?」
「先程仰ったではないですか。互角だ、と」
「ああ、その事ですか」
懐疑に彩られる テレス に余裕だと言わんばかりに得意げな表情を作る パンドラ。
その様子は魔法が飛んでくる場面を除けば終始変わっていない。
「その後に言ったではありませんか——手慣らし、と」
そして次の瞬間、膨大な数の “何か” が テレス を囲んだ。
◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾
ーーーーー
名前:パンドラ
種族:概念種
性別:女
Lv:43 → 89
HP:C → C
MP:C → B
技能:闇魔法<5→8>、厄災<->、美貌<->、剣術<5→7>、隠密<5>(New)、気配探知<4>(New)、使役強化<6>(New)、深淵魔法<->(New)
称号:闇の主、厄災の概念、美貌の概念、収集家(New)、堕転者(New)
ーーーーー
ーーーーー
深淵魔法<->
等級:A
闇魔法を強化する複合魔法。
心身共に昏き所まで堕ちた者にだけ使うことが許される禁忌の魔法。
ーーーーー
ーーーーー
収集家
あるものを求め、集め続け、執着した者に与えられる称号。
その並ならない情熱は賛同し得る者たちだけが評価できる。
ーーーーー
ーーーーー
堕転者
本来は正き道を歩んでいたが、己の欲望に忠実な生き方を選び、変わらぬ者となった者に与えられる称号。
その心の奥に潜む獣を解き放ってはいけない⋯⋯
ーーーーー
細剣と錫杖が奏る金属音に黒と白のドレスが社交ダンスのように揺られる。
その美しくも激しい戦場で舞うのは二人の美の化身——
「打撃は効きませんか⋯⋯」
「直接の戦闘は苦手の様でしたが⋯⋯嘘ですわね?」
数合の打ち合いの中で テレス は己の知識の中にある魔物の種族『概念種』に当たりをつけ渋い顔をする。
一方 パンドラ は確かな強さを実感させる杖術、体術を見せつける テレス に顔を若干引攣らせる。
「いえいえ、そんな事は御座いませんよ。私は補佐の方が得意ですので」
「よく言いますわ。それだけの心得があり、私と互角に打ち合っているではないですか?」
「うふふふふ」
「うふふふふ」
美しい美貌を作る口元が大きく釣り上がる。
まるで三日月を描くその口元は芸術的な美化を狂った道化へと変貌させる。
「闇の槍よ——」
「天の光よ——」
「「敵を討ちなさいッ!!」」
同時に叫ばれた攻撃の合図。
パンドラ によって生み出された漆黒の槍が、テレス によって生み出された白銀の矢が、激突した。
狙った様に互いが互いの技を撃ち落とす。その度に起きる爆発音や火花は恐怖と共に一種の芸術を作り出す。
全てを打ち終わってどちらも傷一つなく焦げた匂いだけが漂うのはどちらも劣らない威力だった事を示していた。
「手慣らしはこの辺で終わりでしょうかね」
「ええ。私も聖女の名に恥じぬように行かせてもらいます——『神を産む聖母の慈愛』、『聖域を番する守護霊』を解放致します!」
淡い白い光が テレス を包み込み、一際強い光が テレス の纏う光から分離した。
白い顔にうっすらと浮かび上がる赤色の奇怪な模様。目の周りと頬に現れるそれは力強さと正義を掲げる者を彷彿させる。
身を守っていた白い聖服は厚みや長さを増し、その輝きも同調するように眩しく一枚の天衣無縫を創り上げる。
そして、分離した一際強い光は鼓動を繰り返しながら形を変え——一体の馬を生み出した。
その細身ながら雄々しい四本の脚はしっかりと地を踏みしめ、背中を駆ける白い鬣は風に揺られている。そして最も眼を見張るのは——
「⋯⋯ユニコーン、ですか」
その白馬の頭部から伸びる白く畝る長い角。
一切の欠ける事のないその角は突く物全てを貫くだろう驚異的な破壊力を感じさせる。
「聖霊とは聖女を守護する精霊のことですのよ」
「クルルルゥ——ッ!?」
テレス に首をゆっくり撫でられる ユニコーン。しかし、突如動き出し テレス の前に立ち光り輝く半透明な盾を生み出した。
その突然の行動に驚く パンドラ とテレス。そして、ユニコーンの奇行で二人は巨大な火球が此方に迫って来ていることに気づいた。
「な、なんですの!?」
「ぱ、パローラ様!?」
半透明の壁と巨大な火球の激突。
轟音と高熱を振りまく理不尽なソレは光の壁によって砂埃を巻き立て消えていった。
「あ、ありがとうございます」
「クルゥ!」
「何だったのですかアレは⋯⋯?」
「恐らく パローラ様の火魔法でしょう」
「⋯⋯お仲間の魔法がこちらに飛んで来ましたよ?」
「パローラ様はその様な間違いは犯しません。考えられるとしたら狙いをずらされたとしか⋯⋯もしや、貴女のお仲間が此方に狙いを変えたのではないでしょうか?」
片手を顎に添え考えるそぶりを見せながら テレス は言った。
当然パンドラ は「そんな事っ!」と否定する言葉を口にしようとするが、喉まで上がって来た言葉は外に出ることはなかった。
「⋯⋯否定、しませんのね」
「⋯⋯此方にも色々事情があるのです」
「そうです——っ!?」
テレス が手を額に添え呆れながらそう言おうとした時、またもやユニコーンが自発的に動いた。
「クルゥ!」
次にやって来たのは先ほどの火球を三度大きくした様な氷の杭。なぜか回転が加わっている尖った先端はもはや破壊しか目的としていない。
「クルウゥゥッ!!」
ギャリギャリと嫌な音を立てながら突き進む氷の杭は果てには光の壁に亀裂を作った。
「マズイですわ!」
危機感を感じた パンドラ は片腕を振った。
それと同時に出現したのは無数の黒い腕。生きとし生ける者へ死を誘う様な邪悪さを感じさせる漆黒の腕は何もない空間から現れた。
そして、それらの腕は氷の杭を止めるために絡みついた。
ビチャビチャと嫌悪感を感じさせるその音と共に腕は弾き飛ぶ。しかし、それも長くは続かなかった。
というのも、元々そこまで高速で回転していなかった氷の杭は光の壁の効果もあり、次第にその回転と速度を緩め、ズゥン、と超重量を感じさせる音と共に地上に落ちた。
「これも貴女のお仲間の魔法ですわよね?」
「⋯⋯ええ。ですが、そんな愚行は犯しませんよ?」
「そうですか⋯⋯もしかしたら私はハクレイ様に恨まれていたのでしょうか」
「一体、貴女方はどういう集まりなのですか⋯⋯」
そう言ってまたもや テレス は呆れた事を体で表した。
しかし、同情するつもりはなく構えと同時に錫杖はシャリン、と心地良い音を鳴らす。
「もう長くここにいたくはありません。早急に片をつけさせて頂きます」
「私も同じ様に考えます。早急に終わらせ ハクレイ様に問いただしたいのですから」
そう言って パンドラ も細剣を正面に構えた。凛としたその構えと雰囲気は絵になるほどに美しい。
「一つだけ確認をさせて頂きますか?」
「何でしょうか?」
構え、睨み合っていた二人だが、唐突に テレス が疑問を口にした。
「私は先程までとは全く違いますのよ?」
「そうでしょうね」
「貴女はそのままでよろしいのですか?」
「と、言いますと?」
「先程仰ったではないですか。互角だ、と」
「ああ、その事ですか」
懐疑に彩られる テレス に余裕だと言わんばかりに得意げな表情を作る パンドラ。
その様子は魔法が飛んでくる場面を除けば終始変わっていない。
「その後に言ったではありませんか——手慣らし、と」
そして次の瞬間、膨大な数の “何か” が テレス を囲んだ。
◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾
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名前:パンドラ
種族:概念種
性別:女
Lv:43 → 89
HP:C → C
MP:C → B
技能:闇魔法<5→8>、厄災<->、美貌<->、剣術<5→7>、隠密<5>(New)、気配探知<4>(New)、使役強化<6>(New)、深淵魔法<->(New)
称号:闇の主、厄災の概念、美貌の概念、収集家(New)、堕転者(New)
ーーーーー
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深淵魔法<->
等級:A
闇魔法を強化する複合魔法。
心身共に昏き所まで堕ちた者にだけ使うことが許される禁忌の魔法。
ーーーーー
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収集家
あるものを求め、集め続け、執着した者に与えられる称号。
その並ならない情熱は賛同し得る者たちだけが評価できる。
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堕転者
本来は正き道を歩んでいたが、己の欲望に忠実な生き方を選び、変わらぬ者となった者に与えられる称号。
その心の奥に潜む獣を解き放ってはいけない⋯⋯
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