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第4章
第82話
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それからエルは独り、67階層で魔物達と連戦を繰り広げた。
しかも、ただの連戦ではない。
剛力を誇る魔物には力で、高速移動する敵には速さでという風に、わざと相手の得意分野で闘いを演じてきたのだ。
何故ならこの階層付近の魔物は、夫々がエルでも瞠目するほどの得意分野を有しており、修行相手として持ってこいの相手だったからである。
力や速さだけではない。その他にも奇怪な御面を付けた人型の魔物、暗黒呪術師の強力な魔法には気の遠距離攻撃で、4つに分かれた巨大な鼻を用い多彩な連続攻撃を繰り出す多鼻象には磨き抜かれた武神流の技で対抗してみせたのである。
どの魔物も自分の得意分野ということもあって、エルでも負傷を免れず苦戦を強いられる場面さえあった。
だが、その甲斐あって学ぶ事や得るものも多く、少年は充実した時間を過ごせたのであった。
そんなエルであったが、現在は猛烈な勢いで地面を転がっていた。
いや、ちょうど吹き飛ばされている真っ最中だといった方が良いだろう。
幾つもの草や木々を突き破ってようやく止まると露出していた肌の部分があちこち擦り切れ、攻撃を受けた部位に至っては強烈な痛みと真っ赤な血が流れ出していた。
だが、痛みに喘いでいる暇などない。
外気修練法を使い傷を癒しながら一気に飛び跳ねるようにして起き上がると、地響きを立てながら相手が近付いてくる。山の様な巨体に全身が魔鉱の光沢を放つ一際特徴的な風体の魔物が……。
そう、エルが何度も闘ってきた力自慢の魔物、鎧魔生物だ。
では何故、幾度も闘ってきた敵の攻撃をもらい負傷する羽目になっていたかというと、もちろん更なる挑戦のためだ。より過酷で重傷を負い兼ねない危険な試みを行っている所なのだ。
犬歯をむき出しにして迫り来る巨大な魔物を見つめる少年は、無謀にもこの魔物の剛腕を真っ向から受け止めようとしていたのである!!
互いの拳同士による力比べに勝利したエルは、今度は防御の修行としてアームドゴーレムを利用した、というわけなのだ。
つまり、先ほどは巨腕から繰り出された剛拳を受け止めきれず、ゴロゴロと地面を転がされるという無様を晒していたのである。
まあ、それも無理はない。
相手は鎧魔生物だ。
その大きさはエルが泊まっている金の雄羊亭よりも大きく、金属でできた体は少年の体重の優に百倍はある。感情の起伏の一切ない無貌の様な顔から繰り出される巨拳は、大きさだけとっても人間よりも遥かにでかいのだ。そんなものが当たったら、人がどうなるかなど子供でもわかる事である。
まあ、動き自体はそこまで速くないので避けるのは難しくない。
そう、アームドゴーレムの攻撃を受けずに避けるのが鉄則なのである。6つ星の上位冒険者ともなれば、前衛で敵の攻撃を受け持つ重戦士といへど全て防御するのではなく、受けるべきものだけを受け、それ以外は避けるかきちんと捌く、そうできる様に過酷な闘いを乗り越え、豊富な知識と優れた技術を手にしているのだ。
できない者は上にあがれない。あるいは、自分の身の丈にあった階層で満足するしかない。
そうしなれければ待っているのは死だけだからだ。純然たる力のみしか通用しない迷宮では、弱肉強食の非情な理が支配する世界である。弱ければ死ぬ。それだけだ。
いや、ただ死ぬだけならまだましな方だろう。魔物に慰み者にされたり、迷宮に住処とする生物に生きたまま食われる。そんな悲惨で残酷な結末も、冒険者の末路としては実にありふれたものなのだ。
だからこそ冒険者達は自分の強さが全てを決定する迷宮では、己を律し蛮勇を慎む事を常に求められているのである。
そんな冒険者からしたら、今のエルの行為は愚行にしか映らないだろう。
魔物相手に修行?
あえて相手の最も得意な分野で勝負する?
しかも、今度は一歩間違えれば死ぬ可能性すらある攻撃を受け止めようとしているなんて、無謀の極みだと断じられるに違いないだろう。
一般的な冒険者なら誰しもがそう判断するであろう事は想像に難くない。
しかし、少年は違った。
自分ならできると信じていたのである。正確に言うなら、初めはできなくても何度でも挑戦すれば打開策を見出せ、必ずこの修行を乗り越えられると考えていたのである。
たとえ肉が避け骨を砕かれ、何度も血反吐を吐き耐え難い苦痛を味わったとしてもだ!
常人では理解できないないであろう常軌を逸した思考。狂気の試み……。
だが、だが、この無謀が、死と隣り合わせの修行こそが、少年に急激に力を付けさせている事もまた事実なのである。この無茶無謀としか思えない試みが、他の冒険者達では想像も及びもつかない程の成長を促しているのである。
目の前に迫る巨大な塊。
まさに力の象徴の様な、あまりにも大きくて重い強固な拳。
それを前にしながらも、少年は身の回りに荒ぶる気を顕現させて嗤った。
そして、あっけなく吹っ飛ばされる。
巨大な固いものに肉を打たれ、激しい痛みやが全身を襲いあちこちから血が流れ出す。
しかし、少年は些かも嗤い顔を減ぜさせる事なく跳ね起きると、魔物が動き出す前に元いた場所に高速で戻った。
そしてまた地面を転がる。
何度も、何度も、何度もだ。
夥しい血が地面や草を赤く濡らし、辺りに濃密な臭いを発散させる。骨も肉も鎧魔生物(アームドゴーレム)の剛腕によって与えられた猛烈な痛みを幾度も訴えエルを苛んだ。
それでも、エルは不死鳥の如く立ち上がり魔物に立ち向かい続けたのである。
・・・
・・
・
時が経ち幾十幾百も打ちのめされる事で、少年は答えを模索し始めていた。
悔しいが純粋な力では鎧魔生物も軍配が上がる事を認めざるを得ない。
剛体醒覚に加え全身に気を張り巡らせる事で内外から肉体を強化しても、それでもなお魔物の方が力が強いのだ。これは現時点のエルではどうやっても覆せない事実であった。
では単純な気による防御や纏鎧などの気の防御技ではどうかというと、纏鎧よりも上位の防御技、重戦士が着込む全身鎧の様に硬質化した気の鎧、纏鎧・重をもってしても負傷を免れなかったのである。それに加えて、透壁を本来の使い方である敵の防御を阻む壁として用いてみたが、あっさり砕かれてしまった。
単純な気の防御でも纏鎧でも、そして透壁でも鎧魔生物の剛撃は防げなかった。
じゃあ、今の僕にできる解決策は……?
彼我の実力差を認識し自分に可能な事を模索する事によって、少年は活路を見えた。
1つ1つの防御技ではこの魔物の攻撃を防げない。
だけど2つ同時なら? いや、3つ全てを瞬時に発動し重ね合わせられたのなら?
光明が見えた少年は獣もかくやという恐ろし気な笑みをより一層濃くし、今ここに新たな技を編み出してやると、意気軒高と気を発現させようとしたまさにその瞬間……、
「何やっている! 敵わない相手からは逃げるんだ!!」
「早く逃げて!!」
「えっ?」
エルが驚いて振り返ると、こちらに向かい走ってくる冒険者の一団が目に入った。おそらくは防戦一方のエルの姿を発見し、助けに来てくれたのであろう。
必死に叫びながらこちらに向かってくる姿勢から、彼らが根っからの善人だとわかる。
やはり、迷宮都市の冒険者は傍若無人な者だけではなく、こうした優しい人達も確かにいるのだと思うと、戦闘の最中だというのに心が和んだ。
エルは柔らかな笑顔になると、安心させるように駆け寄る冒険者達に声を掛けた。
「心配してくれてありがとうございます。でも大丈夫ですよ。僕は……」
「危ないっ!!」
こちらの声を遮ぎると先頭を走るリーダーらしき剣士が大声を発した。
その言葉の意味を察するまでもなく、エルが自分に危険が迫っている事を見もせずに理解していた。
魔物達との数々の死闘によって鍛え上げた視覚以外の五感や第六感が、魔物の攻撃を感じ取っていたのである。
そう、今日幾度の地に叩き付けられ辛酸を舐めさせられたアームドゴーレムの巨拳がエルを殺そうと迫っているのだ。
直ぐ様振り向くと剛腕が唸りを上げ、強大な岩塊の如き魁偉な拳が直ぐ傍まで近付いてきているのが嫌でも理解できた。
まあ、それでもエル程の高速移動の手練れならば、今からでも楽々避ける事が可能ではある。
でも逃げない。
誤解ではあるがわざわざ心配して来てくれた冒険者達に安心してもらうためにも、そして自分が設定した試練を克服するためにも、逃げるわけにはいかないのだ。
僅かではあるが光明が見えた。
限界なんて何処にも無い。師の教え通り、気は思い描き念じれば必ず自分に応えてくれのだ!
ならばそれを信じて突き進むのだ。
そして少年はまた一歩、限界を、超えた!!
「おおおっ!!」
雄々しく猛り荒ぶるエルの心に呼応する様に瞬時に莫大な気が顕現し、複数の技を同時に形成していった。
巨大な拳がまだ小さな少年に打ち付けられる。
6つ星の冒険者でも受けずに避けるべき、恐ろしい破壊を秘めた拳がだ。
必死に駆け寄ってきていた冒険者達は最悪な結末を予想し、思わず立ち止まってしまった。
もし自分達が声を掛けなければ逃げる余裕もあったのではないかと、善意が仇になったと苦渋に顔を歪めてしまう者までいる始末だ。
だが、そんな未来は存在しない。
現実は時として想像を上回り、物語や御伽話さえ超越する事も起こり得るのである。
死んだと思われた少年は一歩も動く事無く、アームドゴーレムの剛拳を見事受け止めて見せたのだ!!
「嘘、だろ!?」
自分達でも受けられない攻撃を完璧に防御してみせた少年に、いやこの予想外の光景に冒険者達の理解が追い付かない。
少年と魔物の拳の間には、半透明な気の壁と特徴的な黒と白の2色の混在した気、そして魔鉱もかくやと思われる程の硬質化し、もはや物質になったかとさえ思える分厚い気の鎧が存在し、拳を阻んでいたのである。
三重壁
三種の気による防御を同時に発動する事で、防御不可能と思われた凶悪な鎧魔生物の攻撃を見事受け止める事に成功したのである。
エルの新技が生まれた瞬間であった。
また一歩自分が強くなれた事が嬉しくてたまらない。ここに他人の目さえなければ盛大に大声を上げ、はしゃぎ回りたいくらいだ。
だが今は、助成に来てくれた冒険者達が見ているし、何より敵が傍にいるのだ。
まずは、敵を打倒し彼らにお礼を述べるべきだろう。
ゴーレムが反対の拳を振り上げ攻撃態勢に入った。
この魔物には自分の修行に長らく付き合ってもらった感謝を込めて、全力で反撃させてもらおう。
そう、全力だ。
今できる最高の技をもって魔物への返礼とするのだ!
再び鎧魔生物の拳が振り下ろされると、大音が響き砂埃が舞い上がった。
端から見て入れば少年に直撃したかのように見えたかもしれないが、実際は当たる寸前に高速で動いた事によって避けられなかったと錯覚しただけである。
そんなエルはというと武天闘地によって、瞬きする間に空を翔け馬鹿馬鹿しいほど大きな魔物の胸の前に移動し終えていたのである。
はたして敵はエルの接近に気付けたのかと思える程の超高速移動であった。
もっとも気付けていたとしても、もはや手遅れだ。
透壁を足場としてエルが華麗に回転する。
尽きる事なきマグマの様に、身の内から滾々とあふれ出す膨大な気を背に集中させ、草原中に鳴り響く程の大音を発しながら震脚を行った刹那の後、エルと魔物が衝突し迅雷の如き轟音が起こった!!
破竜靠・震
背中のほぼ全体を攻撃に用いるエルの最大の発剄である破竜靠に加え、衝突すると同時に敵の内部に気の波動を送り内部破壊を行う徹気拳・震を行ったのである。
発剄の猛烈な衝撃が内部に浸透すると共に気の波動が魔物内部で荒れ狂い、互いに共鳴増幅し合い威力を高める。
その破壊力はあまりにも凄まじく、アームドゴーレムの身体を構成していた堅牢な魔鉱、灰色晶石が砂となり崩れ去ったのである!
「「「……」」」
傍観する羽目になった冒険者達からしたら事態の急展開と、エルの為した超絶的な攻撃についていけず、ただ口を開け呆然と見つめる事しかできなかった。
6つ星や7つ星の冒険者の武器や防具にも使われる、強固な魔鉱で創られたゴーレムが砂となり崩れ落ちたのだ。一体どんな攻撃をすればそうなるのか、理解も想像の範疇さえ越えた脅威の破壊力を秘めた攻撃であった。
彫像の様に冒険者達が固まっている間に落とし物を回収したエルは傍まで歩み寄ると、にこやかに頭を下げ礼を述べた。
「みなさん、心配して来てくれてどうもありがとうございました」
「あっ、ああ……」
「……私達は結局何もしてないし、お礼を言われる様な事はしていないわ」
「そんな事ないですよ! 助けに来てもらえて、本当にうれしかったです」
年相応の溌剌とした笑顔を浮かべ、エルは勢い良く頭を下げた。
なんとも過剰な態度に思えなくもなかったが、少年の元気な姿を見ている内に少しずつ冒険者5人組は平静を取り戻していった。
「というか一撃で倒せるなら、何で最初からそうしなかった?」
「そうよ。最初見た時は苦戦していると思ったんだからね!」
「そう思ったから俺達も駆け付けたわけだが、どうやら誤解だったようだな」
「その、すいません。実は鎧魔生物相手に防御の練習をしていたんです」
「「「はあっ!?」」」
恐縮し頭を下げながら少年は謝罪したが、冒険者達からしたら開いた口が塞がらないとはこのことだろう。この少年には実際にできるだけの実力があったから実行したのだろうが、自分達はその真似事すらやる気が起きなかった。やったら死ぬのが目に見えているからだ。
つまり童顔のせいで年よりも幼く見えるこの少年は、自分達よりも遥かに格上の戦闘者なのだ。
それなのに勘違いして自分達は助けに入ったわけだ。無意味な行動だと気付かずに……。
自然と冒険者口から乾いた笑いが漏れた。
「はははっ、余計なお世話だったわけだ」
「そうね、人助けの積りで急いできたけど、意味無かったわね」
「誤解させて本当にすいませんでした。でもみなさんの行動はうれしかったですよ。優しい人達もいるんだなって。やっぱり冒険者にも良い人がたくさんいるだって、改めて実感できました。」
「まあ、坊主にそう言ってもらえるだけましか。もし魔物と闘っていたら、危うく恥をかく所だったぜ」
「……」
「イヴン、どうしたの?」
穏やかな雰囲気が流れ始めた中、5人組のリーダーと思しき先程先頭を走ってきた剣士が真剣な顔つきとなり周囲を警戒し始めていた。エルの流した大量の血の跡を見つけたからである。
険しい表情のまま短く鋭い言葉を発した。
「逃げるぞ!」
「あん?」
「イヴン、何かあったの?」
「この子がどのくらいここで闘っていたかはわからないが、血を流し過ぎた」
「!?」
「この大平原は魔物だけじゃなく、多くの生き物達が生息している。それも魔物に負けず繁殖できるだけの力を持った奴らがね」
「まさか!?」
「ああ。血の匂いに誘われて肉食生物がやってくるぞ。!? いや、もう遅かったようだ」
「嘘だろ?」
「囲まれる!! 来るぞ!」
見晴し良い平原であるが狡猾な生物達はこちらにその身を悟らせぬように、背を低くし草に紛れて慎重に身を隠しながら近付いてきていたのである。
気付いた時にはもう遅かった。
エル達を囲むように、周囲の草叢から何頭もの猛々しい雄叫びが響き渡った。何か巨大なものが幾頭も勢い良く飛び掛かってきた!!
奇襲を受けたのだ……。
しかも、ただの連戦ではない。
剛力を誇る魔物には力で、高速移動する敵には速さでという風に、わざと相手の得意分野で闘いを演じてきたのだ。
何故ならこの階層付近の魔物は、夫々がエルでも瞠目するほどの得意分野を有しており、修行相手として持ってこいの相手だったからである。
力や速さだけではない。その他にも奇怪な御面を付けた人型の魔物、暗黒呪術師の強力な魔法には気の遠距離攻撃で、4つに分かれた巨大な鼻を用い多彩な連続攻撃を繰り出す多鼻象には磨き抜かれた武神流の技で対抗してみせたのである。
どの魔物も自分の得意分野ということもあって、エルでも負傷を免れず苦戦を強いられる場面さえあった。
だが、その甲斐あって学ぶ事や得るものも多く、少年は充実した時間を過ごせたのであった。
そんなエルであったが、現在は猛烈な勢いで地面を転がっていた。
いや、ちょうど吹き飛ばされている真っ最中だといった方が良いだろう。
幾つもの草や木々を突き破ってようやく止まると露出していた肌の部分があちこち擦り切れ、攻撃を受けた部位に至っては強烈な痛みと真っ赤な血が流れ出していた。
だが、痛みに喘いでいる暇などない。
外気修練法を使い傷を癒しながら一気に飛び跳ねるようにして起き上がると、地響きを立てながら相手が近付いてくる。山の様な巨体に全身が魔鉱の光沢を放つ一際特徴的な風体の魔物が……。
そう、エルが何度も闘ってきた力自慢の魔物、鎧魔生物だ。
では何故、幾度も闘ってきた敵の攻撃をもらい負傷する羽目になっていたかというと、もちろん更なる挑戦のためだ。より過酷で重傷を負い兼ねない危険な試みを行っている所なのだ。
犬歯をむき出しにして迫り来る巨大な魔物を見つめる少年は、無謀にもこの魔物の剛腕を真っ向から受け止めようとしていたのである!!
互いの拳同士による力比べに勝利したエルは、今度は防御の修行としてアームドゴーレムを利用した、というわけなのだ。
つまり、先ほどは巨腕から繰り出された剛拳を受け止めきれず、ゴロゴロと地面を転がされるという無様を晒していたのである。
まあ、それも無理はない。
相手は鎧魔生物だ。
その大きさはエルが泊まっている金の雄羊亭よりも大きく、金属でできた体は少年の体重の優に百倍はある。感情の起伏の一切ない無貌の様な顔から繰り出される巨拳は、大きさだけとっても人間よりも遥かにでかいのだ。そんなものが当たったら、人がどうなるかなど子供でもわかる事である。
まあ、動き自体はそこまで速くないので避けるのは難しくない。
そう、アームドゴーレムの攻撃を受けずに避けるのが鉄則なのである。6つ星の上位冒険者ともなれば、前衛で敵の攻撃を受け持つ重戦士といへど全て防御するのではなく、受けるべきものだけを受け、それ以外は避けるかきちんと捌く、そうできる様に過酷な闘いを乗り越え、豊富な知識と優れた技術を手にしているのだ。
できない者は上にあがれない。あるいは、自分の身の丈にあった階層で満足するしかない。
そうしなれければ待っているのは死だけだからだ。純然たる力のみしか通用しない迷宮では、弱肉強食の非情な理が支配する世界である。弱ければ死ぬ。それだけだ。
いや、ただ死ぬだけならまだましな方だろう。魔物に慰み者にされたり、迷宮に住処とする生物に生きたまま食われる。そんな悲惨で残酷な結末も、冒険者の末路としては実にありふれたものなのだ。
だからこそ冒険者達は自分の強さが全てを決定する迷宮では、己を律し蛮勇を慎む事を常に求められているのである。
そんな冒険者からしたら、今のエルの行為は愚行にしか映らないだろう。
魔物相手に修行?
あえて相手の最も得意な分野で勝負する?
しかも、今度は一歩間違えれば死ぬ可能性すらある攻撃を受け止めようとしているなんて、無謀の極みだと断じられるに違いないだろう。
一般的な冒険者なら誰しもがそう判断するであろう事は想像に難くない。
しかし、少年は違った。
自分ならできると信じていたのである。正確に言うなら、初めはできなくても何度でも挑戦すれば打開策を見出せ、必ずこの修行を乗り越えられると考えていたのである。
たとえ肉が避け骨を砕かれ、何度も血反吐を吐き耐え難い苦痛を味わったとしてもだ!
常人では理解できないないであろう常軌を逸した思考。狂気の試み……。
だが、だが、この無謀が、死と隣り合わせの修行こそが、少年に急激に力を付けさせている事もまた事実なのである。この無茶無謀としか思えない試みが、他の冒険者達では想像も及びもつかない程の成長を促しているのである。
目の前に迫る巨大な塊。
まさに力の象徴の様な、あまりにも大きくて重い強固な拳。
それを前にしながらも、少年は身の回りに荒ぶる気を顕現させて嗤った。
そして、あっけなく吹っ飛ばされる。
巨大な固いものに肉を打たれ、激しい痛みやが全身を襲いあちこちから血が流れ出す。
しかし、少年は些かも嗤い顔を減ぜさせる事なく跳ね起きると、魔物が動き出す前に元いた場所に高速で戻った。
そしてまた地面を転がる。
何度も、何度も、何度もだ。
夥しい血が地面や草を赤く濡らし、辺りに濃密な臭いを発散させる。骨も肉も鎧魔生物(アームドゴーレム)の剛腕によって与えられた猛烈な痛みを幾度も訴えエルを苛んだ。
それでも、エルは不死鳥の如く立ち上がり魔物に立ち向かい続けたのである。
・・・
・・
・
時が経ち幾十幾百も打ちのめされる事で、少年は答えを模索し始めていた。
悔しいが純粋な力では鎧魔生物も軍配が上がる事を認めざるを得ない。
剛体醒覚に加え全身に気を張り巡らせる事で内外から肉体を強化しても、それでもなお魔物の方が力が強いのだ。これは現時点のエルではどうやっても覆せない事実であった。
では単純な気による防御や纏鎧などの気の防御技ではどうかというと、纏鎧よりも上位の防御技、重戦士が着込む全身鎧の様に硬質化した気の鎧、纏鎧・重をもってしても負傷を免れなかったのである。それに加えて、透壁を本来の使い方である敵の防御を阻む壁として用いてみたが、あっさり砕かれてしまった。
単純な気の防御でも纏鎧でも、そして透壁でも鎧魔生物の剛撃は防げなかった。
じゃあ、今の僕にできる解決策は……?
彼我の実力差を認識し自分に可能な事を模索する事によって、少年は活路を見えた。
1つ1つの防御技ではこの魔物の攻撃を防げない。
だけど2つ同時なら? いや、3つ全てを瞬時に発動し重ね合わせられたのなら?
光明が見えた少年は獣もかくやという恐ろし気な笑みをより一層濃くし、今ここに新たな技を編み出してやると、意気軒高と気を発現させようとしたまさにその瞬間……、
「何やっている! 敵わない相手からは逃げるんだ!!」
「早く逃げて!!」
「えっ?」
エルが驚いて振り返ると、こちらに向かい走ってくる冒険者の一団が目に入った。おそらくは防戦一方のエルの姿を発見し、助けに来てくれたのであろう。
必死に叫びながらこちらに向かってくる姿勢から、彼らが根っからの善人だとわかる。
やはり、迷宮都市の冒険者は傍若無人な者だけではなく、こうした優しい人達も確かにいるのだと思うと、戦闘の最中だというのに心が和んだ。
エルは柔らかな笑顔になると、安心させるように駆け寄る冒険者達に声を掛けた。
「心配してくれてありがとうございます。でも大丈夫ですよ。僕は……」
「危ないっ!!」
こちらの声を遮ぎると先頭を走るリーダーらしき剣士が大声を発した。
その言葉の意味を察するまでもなく、エルが自分に危険が迫っている事を見もせずに理解していた。
魔物達との数々の死闘によって鍛え上げた視覚以外の五感や第六感が、魔物の攻撃を感じ取っていたのである。
そう、今日幾度の地に叩き付けられ辛酸を舐めさせられたアームドゴーレムの巨拳がエルを殺そうと迫っているのだ。
直ぐ様振り向くと剛腕が唸りを上げ、強大な岩塊の如き魁偉な拳が直ぐ傍まで近付いてきているのが嫌でも理解できた。
まあ、それでもエル程の高速移動の手練れならば、今からでも楽々避ける事が可能ではある。
でも逃げない。
誤解ではあるがわざわざ心配して来てくれた冒険者達に安心してもらうためにも、そして自分が設定した試練を克服するためにも、逃げるわけにはいかないのだ。
僅かではあるが光明が見えた。
限界なんて何処にも無い。師の教え通り、気は思い描き念じれば必ず自分に応えてくれのだ!
ならばそれを信じて突き進むのだ。
そして少年はまた一歩、限界を、超えた!!
「おおおっ!!」
雄々しく猛り荒ぶるエルの心に呼応する様に瞬時に莫大な気が顕現し、複数の技を同時に形成していった。
巨大な拳がまだ小さな少年に打ち付けられる。
6つ星の冒険者でも受けずに避けるべき、恐ろしい破壊を秘めた拳がだ。
必死に駆け寄ってきていた冒険者達は最悪な結末を予想し、思わず立ち止まってしまった。
もし自分達が声を掛けなければ逃げる余裕もあったのではないかと、善意が仇になったと苦渋に顔を歪めてしまう者までいる始末だ。
だが、そんな未来は存在しない。
現実は時として想像を上回り、物語や御伽話さえ超越する事も起こり得るのである。
死んだと思われた少年は一歩も動く事無く、アームドゴーレムの剛拳を見事受け止めて見せたのだ!!
「嘘、だろ!?」
自分達でも受けられない攻撃を完璧に防御してみせた少年に、いやこの予想外の光景に冒険者達の理解が追い付かない。
少年と魔物の拳の間には、半透明な気の壁と特徴的な黒と白の2色の混在した気、そして魔鉱もかくやと思われる程の硬質化し、もはや物質になったかとさえ思える分厚い気の鎧が存在し、拳を阻んでいたのである。
三重壁
三種の気による防御を同時に発動する事で、防御不可能と思われた凶悪な鎧魔生物の攻撃を見事受け止める事に成功したのである。
エルの新技が生まれた瞬間であった。
また一歩自分が強くなれた事が嬉しくてたまらない。ここに他人の目さえなければ盛大に大声を上げ、はしゃぎ回りたいくらいだ。
だが今は、助成に来てくれた冒険者達が見ているし、何より敵が傍にいるのだ。
まずは、敵を打倒し彼らにお礼を述べるべきだろう。
ゴーレムが反対の拳を振り上げ攻撃態勢に入った。
この魔物には自分の修行に長らく付き合ってもらった感謝を込めて、全力で反撃させてもらおう。
そう、全力だ。
今できる最高の技をもって魔物への返礼とするのだ!
再び鎧魔生物の拳が振り下ろされると、大音が響き砂埃が舞い上がった。
端から見て入れば少年に直撃したかのように見えたかもしれないが、実際は当たる寸前に高速で動いた事によって避けられなかったと錯覚しただけである。
そんなエルはというと武天闘地によって、瞬きする間に空を翔け馬鹿馬鹿しいほど大きな魔物の胸の前に移動し終えていたのである。
はたして敵はエルの接近に気付けたのかと思える程の超高速移動であった。
もっとも気付けていたとしても、もはや手遅れだ。
透壁を足場としてエルが華麗に回転する。
尽きる事なきマグマの様に、身の内から滾々とあふれ出す膨大な気を背に集中させ、草原中に鳴り響く程の大音を発しながら震脚を行った刹那の後、エルと魔物が衝突し迅雷の如き轟音が起こった!!
破竜靠・震
背中のほぼ全体を攻撃に用いるエルの最大の発剄である破竜靠に加え、衝突すると同時に敵の内部に気の波動を送り内部破壊を行う徹気拳・震を行ったのである。
発剄の猛烈な衝撃が内部に浸透すると共に気の波動が魔物内部で荒れ狂い、互いに共鳴増幅し合い威力を高める。
その破壊力はあまりにも凄まじく、アームドゴーレムの身体を構成していた堅牢な魔鉱、灰色晶石が砂となり崩れ去ったのである!
「「「……」」」
傍観する羽目になった冒険者達からしたら事態の急展開と、エルの為した超絶的な攻撃についていけず、ただ口を開け呆然と見つめる事しかできなかった。
6つ星や7つ星の冒険者の武器や防具にも使われる、強固な魔鉱で創られたゴーレムが砂となり崩れ落ちたのだ。一体どんな攻撃をすればそうなるのか、理解も想像の範疇さえ越えた脅威の破壊力を秘めた攻撃であった。
彫像の様に冒険者達が固まっている間に落とし物を回収したエルは傍まで歩み寄ると、にこやかに頭を下げ礼を述べた。
「みなさん、心配して来てくれてどうもありがとうございました」
「あっ、ああ……」
「……私達は結局何もしてないし、お礼を言われる様な事はしていないわ」
「そんな事ないですよ! 助けに来てもらえて、本当にうれしかったです」
年相応の溌剌とした笑顔を浮かべ、エルは勢い良く頭を下げた。
なんとも過剰な態度に思えなくもなかったが、少年の元気な姿を見ている内に少しずつ冒険者5人組は平静を取り戻していった。
「というか一撃で倒せるなら、何で最初からそうしなかった?」
「そうよ。最初見た時は苦戦していると思ったんだからね!」
「そう思ったから俺達も駆け付けたわけだが、どうやら誤解だったようだな」
「その、すいません。実は鎧魔生物相手に防御の練習をしていたんです」
「「「はあっ!?」」」
恐縮し頭を下げながら少年は謝罪したが、冒険者達からしたら開いた口が塞がらないとはこのことだろう。この少年には実際にできるだけの実力があったから実行したのだろうが、自分達はその真似事すらやる気が起きなかった。やったら死ぬのが目に見えているからだ。
つまり童顔のせいで年よりも幼く見えるこの少年は、自分達よりも遥かに格上の戦闘者なのだ。
それなのに勘違いして自分達は助けに入ったわけだ。無意味な行動だと気付かずに……。
自然と冒険者口から乾いた笑いが漏れた。
「はははっ、余計なお世話だったわけだ」
「そうね、人助けの積りで急いできたけど、意味無かったわね」
「誤解させて本当にすいませんでした。でもみなさんの行動はうれしかったですよ。優しい人達もいるんだなって。やっぱり冒険者にも良い人がたくさんいるだって、改めて実感できました。」
「まあ、坊主にそう言ってもらえるだけましか。もし魔物と闘っていたら、危うく恥をかく所だったぜ」
「……」
「イヴン、どうしたの?」
穏やかな雰囲気が流れ始めた中、5人組のリーダーと思しき先程先頭を走ってきた剣士が真剣な顔つきとなり周囲を警戒し始めていた。エルの流した大量の血の跡を見つけたからである。
険しい表情のまま短く鋭い言葉を発した。
「逃げるぞ!」
「あん?」
「イヴン、何かあったの?」
「この子がどのくらいここで闘っていたかはわからないが、血を流し過ぎた」
「!?」
「この大平原は魔物だけじゃなく、多くの生き物達が生息している。それも魔物に負けず繁殖できるだけの力を持った奴らがね」
「まさか!?」
「ああ。血の匂いに誘われて肉食生物がやってくるぞ。!? いや、もう遅かったようだ」
「嘘だろ?」
「囲まれる!! 来るぞ!」
見晴し良い平原であるが狡猾な生物達はこちらにその身を悟らせぬように、背を低くし草に紛れて慎重に身を隠しながら近付いてきていたのである。
気付いた時にはもう遅かった。
エル達を囲むように、周囲の草叢から何頭もの猛々しい雄叫びが響き渡った。何か巨大なものが幾頭も勢い良く飛び掛かってきた!!
奇襲を受けたのだ……。
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