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第2章 イマドキの呼び出し
19話~赤い姉弟~
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「蓮斗」
自室でベッドに寝転び本を読んでいるところに、突然聞こえた聞き慣れた声。
間髪入れず、扉が開けられる。
「っおい!勝手に入って来んなよ…!」
特に見られて困るものは無いが、ずかずかと部屋に入られるのはいつものことながら気分が良いモンじゃない。
俺は体を起こしそんな訴えをしてみるが当の本人、俺の姉である茜は全く気にする様子はない。
いつもは高い位置でふたつに結ばれている赤茶の髪が今は下ろされているところからして多分、風呂上りだろう。
「今日、召喚式の説明あったでしょ」
「あった、けど……」
全くこちらの状態や都合を気にすることなく話し始める姉貴。
これで生徒会の副会長だ、まったくとんでもねえ。
読んでいた本に栞を挟み腕を伸ばしベッドサイドテーブルに置く。
これは竹上が貸してくれた本だから、姉貴に燃やされでもしたら困る。
「アンタの師匠はこのアタシだから。」
突然の師匠宣言。
まったく意味が分からん。
何も答えられずにいると突然、片一方の耳を遠慮なく捕まれ引っ張られる。
「いででででで!!」
「お姉様の言葉には何て答えるんだったかしら?」
「は、はい…!」
「よろしい」
解放された耳を摩る。
まだじんじんする…師匠というより暴君だろ!
そして俺の扱いは弟子というより奴隷だ。…あぁ、自分で言っていて悲しい。
「召喚式に出る生徒は高学年の生徒の弟子となり、召喚に必要なチカラを磨く。それが決まりなの。」
「そういうのは同意を得る前に言うべきじゃ…」
「あ?」
「っ、『囲』!」
睨まれ、情けないことにビビった俺はつい最近習った防御の呪文を唱えてしまった。
俺の周りに見えない壁が作り出される。
俺は、火や風を手に灯し維持させるという形成学は苦手だが、呪文学は意外と得意だったりする。
特に得意なのは攻撃の呪文だが、防御も十分得意な方だと思う。
「……ふーん、このアタシに逆らうワケね。面白い。…二度とそんな気が起きないようにしてあげる。」
普段、ぱちりと開かれている赤茶色の目を微かに細めた姉貴につい息を飲み身を縮こめる。
あぁ、俺はどこまでも情けない…!
姉貴の両手に真っ赤な炎が灯る。
その拳が俺へと向けて飛んでくるのを見て、雹太と翠星学園の連中に絡まれた時のことを思い出す。
まるで走馬灯のようだ。
俺の周りに作られていた薄い薄い壁は俺のそれより小さな拳に簡単に割られ、間違いなく俺の左頬を捉えたようだ。
頬を抉られたような激痛に、俺は簡単に意識を手放す。
…本当に、情けない。
「…ってなことがあってな。」
「それでガーゼを貼っているんだね」
「お姉さん、小柄なのに強いよね…柔道やってるんだっけ」
左頬に白いガーゼを貼った蓮斗を囲むのは水色の金平糖頭の雹太と、黒髪の小柄な彼、真一。
ガーゼは貼っているものの大きく腫れ上がっているのは目に見える。
その痛々しい様子に真一は眉尻を下げ見つめる。
雹太は片手に粗く丸い氷を作り出し蓮斗に差し出した。
「はいっ!」
「お、おう」
剥き出しになった氷を片手に受け取る。
頬を冷やせという意味は理解できる。
しかしこれで冷やせばガーゼはびしょびしょになることは間違いない。
目の前には悪意のない、笑顔を浮かべたピータパン。
蓮斗が葛藤を繰り返しているうち、真一がビニール袋とハンカチを持ってくる。
「これ、コンビニのだけど良かったら…」
「あぁ、サンキュ。…ハンカチはいいよ、悪いし。」
葛藤により知らず知らずのうちに寄っていた眉間の皺を消し蓮斗は袋を受け取りハンカチについては首を横に振る。
受け取った袋の中へごろっとしたひとつの氷を入れ、袋の口を縛り閉じた。
それをガーゼ越しに腫れた頬に押し付ければ当然ながら、ひやりとした感覚。
「でも師匠を見つけなきゃいけないんだね」
「あぁ、そうらしい」
「竹上くん……だよね、?」
断られたハンカチをブレザーのポケットへ仕舞いつつ、真一は話題を召喚式に戻す。
その発言の内容を肯定し頷く赤髪の横で口ごもる水色。
真一ははっとしたように水色、雹太に向き直り一礼する。
「ご、ごめん。名乗りもせずに…僕は竹上真一です。蘇芳くんと同じ図書委員で…よろしくお願いします。」
「あ、うん!俺は坂崎雹太!よろしく、竹上くん!」
やや声量小さな真一に対して、声量大きく返す雹太の声は明るい。
新しい友達が出来て嬉しいのだろう、蓮斗はひとり、静かにそう思う。
しかしそれを指摘することはなく、周囲を見渡した。
「…そういや、榊がまだ来てないな」
時刻は朝のホームルームの5分前。
いつもの聖ならば来るはずの時間帯。
そう呟いた蓮斗の言葉は、誰にも拾われずただ空気を震わせるだけに留まった。
(竹上くんは誰か師匠のあてがあるの?)
(いや、それが無くて…坂崎くんは?)
(俺は1人だけ!…あ、その人にいい人がいないか聞いてみようか?)
(え、あ、いいの…?)
(もちろん!)
自室でベッドに寝転び本を読んでいるところに、突然聞こえた聞き慣れた声。
間髪入れず、扉が開けられる。
「っおい!勝手に入って来んなよ…!」
特に見られて困るものは無いが、ずかずかと部屋に入られるのはいつものことながら気分が良いモンじゃない。
俺は体を起こしそんな訴えをしてみるが当の本人、俺の姉である茜は全く気にする様子はない。
いつもは高い位置でふたつに結ばれている赤茶の髪が今は下ろされているところからして多分、風呂上りだろう。
「今日、召喚式の説明あったでしょ」
「あった、けど……」
全くこちらの状態や都合を気にすることなく話し始める姉貴。
これで生徒会の副会長だ、まったくとんでもねえ。
読んでいた本に栞を挟み腕を伸ばしベッドサイドテーブルに置く。
これは竹上が貸してくれた本だから、姉貴に燃やされでもしたら困る。
「アンタの師匠はこのアタシだから。」
突然の師匠宣言。
まったく意味が分からん。
何も答えられずにいると突然、片一方の耳を遠慮なく捕まれ引っ張られる。
「いででででで!!」
「お姉様の言葉には何て答えるんだったかしら?」
「は、はい…!」
「よろしい」
解放された耳を摩る。
まだじんじんする…師匠というより暴君だろ!
そして俺の扱いは弟子というより奴隷だ。…あぁ、自分で言っていて悲しい。
「召喚式に出る生徒は高学年の生徒の弟子となり、召喚に必要なチカラを磨く。それが決まりなの。」
「そういうのは同意を得る前に言うべきじゃ…」
「あ?」
「っ、『囲』!」
睨まれ、情けないことにビビった俺はつい最近習った防御の呪文を唱えてしまった。
俺の周りに見えない壁が作り出される。
俺は、火や風を手に灯し維持させるという形成学は苦手だが、呪文学は意外と得意だったりする。
特に得意なのは攻撃の呪文だが、防御も十分得意な方だと思う。
「……ふーん、このアタシに逆らうワケね。面白い。…二度とそんな気が起きないようにしてあげる。」
普段、ぱちりと開かれている赤茶色の目を微かに細めた姉貴につい息を飲み身を縮こめる。
あぁ、俺はどこまでも情けない…!
姉貴の両手に真っ赤な炎が灯る。
その拳が俺へと向けて飛んでくるのを見て、雹太と翠星学園の連中に絡まれた時のことを思い出す。
まるで走馬灯のようだ。
俺の周りに作られていた薄い薄い壁は俺のそれより小さな拳に簡単に割られ、間違いなく俺の左頬を捉えたようだ。
頬を抉られたような激痛に、俺は簡単に意識を手放す。
…本当に、情けない。
「…ってなことがあってな。」
「それでガーゼを貼っているんだね」
「お姉さん、小柄なのに強いよね…柔道やってるんだっけ」
左頬に白いガーゼを貼った蓮斗を囲むのは水色の金平糖頭の雹太と、黒髪の小柄な彼、真一。
ガーゼは貼っているものの大きく腫れ上がっているのは目に見える。
その痛々しい様子に真一は眉尻を下げ見つめる。
雹太は片手に粗く丸い氷を作り出し蓮斗に差し出した。
「はいっ!」
「お、おう」
剥き出しになった氷を片手に受け取る。
頬を冷やせという意味は理解できる。
しかしこれで冷やせばガーゼはびしょびしょになることは間違いない。
目の前には悪意のない、笑顔を浮かべたピータパン。
蓮斗が葛藤を繰り返しているうち、真一がビニール袋とハンカチを持ってくる。
「これ、コンビニのだけど良かったら…」
「あぁ、サンキュ。…ハンカチはいいよ、悪いし。」
葛藤により知らず知らずのうちに寄っていた眉間の皺を消し蓮斗は袋を受け取りハンカチについては首を横に振る。
受け取った袋の中へごろっとしたひとつの氷を入れ、袋の口を縛り閉じた。
それをガーゼ越しに腫れた頬に押し付ければ当然ながら、ひやりとした感覚。
「でも師匠を見つけなきゃいけないんだね」
「あぁ、そうらしい」
「竹上くん……だよね、?」
断られたハンカチをブレザーのポケットへ仕舞いつつ、真一は話題を召喚式に戻す。
その発言の内容を肯定し頷く赤髪の横で口ごもる水色。
真一ははっとしたように水色、雹太に向き直り一礼する。
「ご、ごめん。名乗りもせずに…僕は竹上真一です。蘇芳くんと同じ図書委員で…よろしくお願いします。」
「あ、うん!俺は坂崎雹太!よろしく、竹上くん!」
やや声量小さな真一に対して、声量大きく返す雹太の声は明るい。
新しい友達が出来て嬉しいのだろう、蓮斗はひとり、静かにそう思う。
しかしそれを指摘することはなく、周囲を見渡した。
「…そういや、榊がまだ来てないな」
時刻は朝のホームルームの5分前。
いつもの聖ならば来るはずの時間帯。
そう呟いた蓮斗の言葉は、誰にも拾われずただ空気を震わせるだけに留まった。
(竹上くんは誰か師匠のあてがあるの?)
(いや、それが無くて…坂崎くんは?)
(俺は1人だけ!…あ、その人にいい人がいないか聞いてみようか?)
(え、あ、いいの…?)
(もちろん!)
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