15 / 24
第1章 イマドキの高校生
15話~緑と焔と雷と~
しおりを挟む
「それじゃあ、蓮斗は剣道部に?」
「あぁ。まあ、剣道は今までずっとやってたしな。…お前は?」
「俺はねー、助っ人専門にした!なんか勧誘うるさくて嫌になっちゃったし」
「うん、賢明な判断だな。」
暖かい風。
桜は既に満開を終え、散りつつある。
そんな中、2人は学校へと歩みを進めていた。
学校にも慣れつつあり、いつもよりも余裕のある登校。
話題は昨日見に行った部活について。
自然と笑顔を零し盛り上がっていた会話は、飛んできた空き缶によって中断される。
「あぶな…!」
運動神経が人並を外れている雹太。
不意に飛んできた空き缶を避けるとそちらへ視線をやった。
その先には自分達の藍色のブレザーとは違う制服を纏った、学生と思われる男子が3人。
深緑色のブレザーに明るい灰色のスラックス。
蓮斗は眉を寄せた。
「あぁー、ワリィな。ゴミ箱と勘違いしちまった。」
下品に笑う3人に雹太は歩み寄ろうとする。
蓮斗は雹太の腕を掴んでそれを制す。
「…蓮斗、ムカつかないの?」
「相手が悪い…翠星高校のヤツ達だ。」
翠星高校と呼ばれる、翠星魔法高等学校。
隣町の翠星町の高校であり、魔法こそがどんな文明より優れているという思考の『魔法主義者』が多いことで有名だ。
2人の通う藍鐘高校とは違い魔法の授業にのみ特化した高校であり、魔法戦になればまず敵わない。
蓮斗とて、苛立たない訳ではない。
それでも無意味に、勝ちの目の無い喧嘩をするつもりはない。
「おいおい、逃げんのか?やっぱ大したことねえな、藍鐘の連中は!」
絡んでくる彼等を無視をして歩みを進めようとしたところで、そう更に言葉を投げられる。
魔法主義者にとって、藍鐘高校の生徒のように魔法と科学、どちらも学ぶ者は嘲りの対象だった。
それを無条件に受け入れること。
2人にとってこの上ない屈辱であった。
「おや、翠星高校の生徒さんじゃないですか」
「…アタシの可愛い弟に絡むのやめて貰える?」
後ろから聞こえた聞き覚えのある2つの声に、2人は振り向いた。
静電気を帯びているのであろう、胸元のリボンや短めの藍色の髪が不自然に浮いている月岡凜音。
その隣には赤い髪を高い位置でツインテールにした女子生徒。
彼女は蓮斗の姉である蘇芳 茜。
茜は小柄な背丈に似合わない豊満な胸の前でパキパキと両手の指の関節を鳴らす。
2人が臨戦態勢であることは誰の目にも明白だった。
「あぁ?お前ら、俺らが誰だか分かってんのかよ?」
翠星高校の生徒と思われる3人の視界から、雹太と蓮斗が消える。
そんな威嚇の言葉を凜音は鼻で笑った。
「それはこちらの台詞だね。月岡凜音、って名前、聞いたこと無いんだ?」
「藍鐘生徒会、副会長…これで伝わるでしょ。」
無駄に明るい声色でおどけて見せる人外、凜音。
その横で静かに両手に真っ赤な焔を灯す茜。
その言葉を聞き、対峙していた3人の顔からサーッと血の気が引いていく。
2人が1歩、前へ足を進めると、真っ青の彼等は今までの威勢も虚しく慌てて逃げ出した。
「……やっぱり他の学校にも流れてるんだ、私の人外説…」
体に纏っていた電気を飛散させ、心なしか落ち込んだ様子の凜音に雹太は歩み寄る。
「センパイ!やっぱセンパイって強いんですねぇ!」
きらきらとした視線を向けられると凜音は複雑な心境からつい苦笑いを零す。
そんな2人を見ていた蓮斗の腕を、既に焔の失せた茜の手が掴む。
「いってえ!!」
間髪入れず、道端で投げ飛ばされる蓮斗。
彼の悲鳴が響く。
「アタシの弟のクセにあんなチンピラに舐められるなんて有り得ない…!今日からみっちりしごいてやるから、覚悟しなさい!」
顔だけを見れば道を譲ってしまう程の不良のような彼、蓮斗。
彼は自分より30cm近く背の低い姉の言葉に、先程のチンピラ達以上に顔を青くする。
(じゃ、先行ってるからー)
(…蓮斗、帰ったら楽しみにしてなさい)
(……雹太、今日泊めてくれ)
(え?いいけど…逆に大丈夫?)
「あぁ。まあ、剣道は今までずっとやってたしな。…お前は?」
「俺はねー、助っ人専門にした!なんか勧誘うるさくて嫌になっちゃったし」
「うん、賢明な判断だな。」
暖かい風。
桜は既に満開を終え、散りつつある。
そんな中、2人は学校へと歩みを進めていた。
学校にも慣れつつあり、いつもよりも余裕のある登校。
話題は昨日見に行った部活について。
自然と笑顔を零し盛り上がっていた会話は、飛んできた空き缶によって中断される。
「あぶな…!」
運動神経が人並を外れている雹太。
不意に飛んできた空き缶を避けるとそちらへ視線をやった。
その先には自分達の藍色のブレザーとは違う制服を纏った、学生と思われる男子が3人。
深緑色のブレザーに明るい灰色のスラックス。
蓮斗は眉を寄せた。
「あぁー、ワリィな。ゴミ箱と勘違いしちまった。」
下品に笑う3人に雹太は歩み寄ろうとする。
蓮斗は雹太の腕を掴んでそれを制す。
「…蓮斗、ムカつかないの?」
「相手が悪い…翠星高校のヤツ達だ。」
翠星高校と呼ばれる、翠星魔法高等学校。
隣町の翠星町の高校であり、魔法こそがどんな文明より優れているという思考の『魔法主義者』が多いことで有名だ。
2人の通う藍鐘高校とは違い魔法の授業にのみ特化した高校であり、魔法戦になればまず敵わない。
蓮斗とて、苛立たない訳ではない。
それでも無意味に、勝ちの目の無い喧嘩をするつもりはない。
「おいおい、逃げんのか?やっぱ大したことねえな、藍鐘の連中は!」
絡んでくる彼等を無視をして歩みを進めようとしたところで、そう更に言葉を投げられる。
魔法主義者にとって、藍鐘高校の生徒のように魔法と科学、どちらも学ぶ者は嘲りの対象だった。
それを無条件に受け入れること。
2人にとってこの上ない屈辱であった。
「おや、翠星高校の生徒さんじゃないですか」
「…アタシの可愛い弟に絡むのやめて貰える?」
後ろから聞こえた聞き覚えのある2つの声に、2人は振り向いた。
静電気を帯びているのであろう、胸元のリボンや短めの藍色の髪が不自然に浮いている月岡凜音。
その隣には赤い髪を高い位置でツインテールにした女子生徒。
彼女は蓮斗の姉である蘇芳 茜。
茜は小柄な背丈に似合わない豊満な胸の前でパキパキと両手の指の関節を鳴らす。
2人が臨戦態勢であることは誰の目にも明白だった。
「あぁ?お前ら、俺らが誰だか分かってんのかよ?」
翠星高校の生徒と思われる3人の視界から、雹太と蓮斗が消える。
そんな威嚇の言葉を凜音は鼻で笑った。
「それはこちらの台詞だね。月岡凜音、って名前、聞いたこと無いんだ?」
「藍鐘生徒会、副会長…これで伝わるでしょ。」
無駄に明るい声色でおどけて見せる人外、凜音。
その横で静かに両手に真っ赤な焔を灯す茜。
その言葉を聞き、対峙していた3人の顔からサーッと血の気が引いていく。
2人が1歩、前へ足を進めると、真っ青の彼等は今までの威勢も虚しく慌てて逃げ出した。
「……やっぱり他の学校にも流れてるんだ、私の人外説…」
体に纏っていた電気を飛散させ、心なしか落ち込んだ様子の凜音に雹太は歩み寄る。
「センパイ!やっぱセンパイって強いんですねぇ!」
きらきらとした視線を向けられると凜音は複雑な心境からつい苦笑いを零す。
そんな2人を見ていた蓮斗の腕を、既に焔の失せた茜の手が掴む。
「いってえ!!」
間髪入れず、道端で投げ飛ばされる蓮斗。
彼の悲鳴が響く。
「アタシの弟のクセにあんなチンピラに舐められるなんて有り得ない…!今日からみっちりしごいてやるから、覚悟しなさい!」
顔だけを見れば道を譲ってしまう程の不良のような彼、蓮斗。
彼は自分より30cm近く背の低い姉の言葉に、先程のチンピラ達以上に顔を青くする。
(じゃ、先行ってるからー)
(…蓮斗、帰ったら楽しみにしてなさい)
(……雹太、今日泊めてくれ)
(え?いいけど…逆に大丈夫?)
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
お姫様は死に、魔女様は目覚めた
悠十
恋愛
とある大国に、小さいけれど豊かな国の姫君が側妃として嫁いだ。
しかし、離宮に案内されるも、離宮には侍女も衛兵も居ない。ベルを鳴らしても、人を呼んでも誰も来ず、姫君は長旅の疲れから眠り込んでしまう。
そして、深夜、姫君は目覚め、体の不調を感じた。そのまま気を失い、三度目覚め、三度気を失い、そして……
「あ、あれ? えっ、なんで私、前の体に戻ってるわけ?」
姫君だった少女は、前世の魔女の体に魂が戻ってきていた。
「えっ、まさか、あのまま死んだ⁉」
魔女は慌てて遠見の水晶を覗き込む。自分の――姫君の体は、嫁いだ大国はいったいどうなっているのか知るために……
三年目の離婚から始まる二度目の人生
あい
恋愛
三年子ができなければ、無条件で離婚できる――王国の制度。
三年目の夜、オーレリアは自らその条文を使い、公爵ルートヴィッヒに離婚を告げた。
理由はただ一つ。
“飾り”として生きるのをやめ、自分の手で商いをしたいから。
女性が公の場で立てる服を作るため、彼女は屋敷を去り、仕立て屋〈オーレリア・テイラーズ〉を開く。
店は順調に軌道に乗り、ついに王女の式典衣装を任されることに。
だが、その夜――激しい雨の中、彼女は馬車事故に遭い命を落とす。
(あと少し早く始めていたら、もっと夢を叶えられたのに……)
そう思った瞬間、目を覚ますと――三年前、ルートヴィッヒと結婚する前の世界に戻っていた。
これは、“三年目の離婚”から始まる、二度目の人生。
今度こそ、自分の人生を選び取るために。
ーーー
不定期更新になります。
全45話前後で完結予定です、よろしくお願いします🙇
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる