12 / 36
第一章
バカ代表とはこの人です
しおりを挟むイリナードは優しい。ベンに頼まれて上司の面倒を見ているのだから・・・。
「───や~め~ろベイン!下手くそ!自分で食える!コレを外せ!おい!イリナ・・・っちょっ、あつ!ベンっ熱いんだけど!」
「あっ、ベイン様、さ、流石に・・・」
「うぇぇ・・・ダメですぅ・・・ダメなんです・・・」
「だから熱いってば!!!いゃぁぁああ!服の中入った、中入ったぁ!熱いやだぁ!取ってよぉぉ!ベンのバカぁぁぁぁ!もうむりぃ、無理なの!イリナード!」
イヤイヤ叫ぶ事しか出来ないのは僕。ごはんをご飯を食べたいだけなのに、どうしてこんなに熱い思いをしなければならないのだろうか。本当に火傷する。
───数分前
「ライト様は自分でご飯食べちゃダメです!」
「・・・何でだ?」
ベンはどうだと言うように、自信満々に言い切った。ベン曰く、病人は自分でご飯を食べてはイケナイらしい。念の為イリナードにも確認するが、幼少期食べさせて貰った事が普通に在るらしい。
俺は子供じゃないと拒否していたが、料理が冷めると言う事とベンが泣いてしまった事から、ベンに食べさせて貰う事になったけど。
ベンはある意味天才だった。
「イリナード!中の取って!熱いっ熱いのっ!ベンも口のヤツ取って!二人ともっ、お願い!助けてぇ!」
「団長の服を、め、捲れと言う事ですか?!?!」
「おねがいっ、熱いの!」
部下の前で醜態を晒すとは最悪以外の何物でもないが、イリナードなら言いふらしたりしないだろう。
だから助けて!
やっとベンが口元の物を拭き取ろうと僕の顔を掴み、イリナードが服の中に手を入れるのと同時に声が響いた。
「───っ病人が何をやっておられるのです?コレは合意での行為ですか?貴方達は本当に」
「熱いってば!もぉ~やだぁぁぁあ!」
「ライト様、出来ました!」
「私には、私には無理です!ベイン様お願いします・・・!」
でも真剣に行動しているのだ。他の人の言葉などに耳を傾けている時間なんて無い。熱いくて助けを求める者や泣きながら行動する人、上司を目の前にしてアワアワしている人。余裕なんて一ミリたりとも存在しないのだ。
そして僕も熱過ぎて涙が出て来た。
「ベン!早く、早くして!ん・・・」
「取れました!!!」
「「「あ・・・」」」
「貴方達は、何をしているのですか?」
部屋を訪れたのは大神官様だった。いつも通りにこやかなのに、後ろで黒い炎が燃え上がって居る様だ。
しかし僕は何故ここに居るのかを考える前に、今すぐ一人でご飯を食べる許可が欲しかったので口を開こうとしたのに。にこやかな大神官様に遮られたのだった。
「言い訳は無用です。分かりました。お粥プレイなんですよね。三人でお粥プレイなんですね。人の趣味に口を出す気は有りませんし、私には関係ない事だと言いたい処ですがライト君は病人なんです。本当に分かっていらっしゃるのですか?」
「・・・三人で『おかゆぷれい』って何だ?」
「「ブホッッッ!!」」
「あぁ・・・こんなにウブな子を・・・」
おかゆぷれいってなんだろう?普段声を荒らげる事が無い大神官様が鬼の形相(雰囲気だけ)で言って来るおかゆぷれいって一体・・・。
「『おかゆぷれい』は悪い事なのか?それとも『三人でおかゆぷれいをする』という事が悪いのか?」
「両方ダメです!ってか大神官様、誤解です!」
おかゆぷれいも、三人でおかゆぷれいをする事も、両方悪い事らしい。・・・つまり、おかゆぷれいは悪い事って事か!
((テロテロリーン!! レリィハオカユプレイヲオボエタ!!))
おかゆぷれいに気を取られていたが、大神官様の許可が在れば一人でご飯を食べる事が出来る。今一番やらないとイケナイ事は、お願いする事。
「大神官様、一人でご飯を食べる許可を下さい。」
「すみません・・・どういう事でしょう・・・?」
( ˙◊˙ ( ˙ө˙ ( ˙8˙ ( ˙Θ˙ )
「そうだったんですね・・・今後は誤解される様な事をなさらないで下さい。私は本当に二人が襲っている様にしか見えなくて・・・」
「「誤解が解けて良かったです!(泣」」
僕だけ状況が理解出来ないまま説明(?)が終わった。分かる事はベンとイリナードが仲良しって事。
大神官様は安心していつものにこやか笑顔でご飯の食べ方を説明して退出して行った。
・まだ自分で食べないで、他者に手を借りる事
・充分に冷まして焦らずしっかり噛んで食べる事
・一口のサイズは小さくする事
・ベンが下手ならイリナードに任せて、膝に乗せてもらって食べる事
僕はイリナードの膝の上。少し冷めたお粥をもぐもぐしていた。お互いの顔を見ないからやりやすい。・・・目の前でベンが反省中の紙を持って正座しているけれど。
僕達は無言だった。だからボソッと言ったイリナードの声が普通に聞こえる訳だ。
「ベイン様が言ってのは本当なのか・・・」
ベンが言っていたのは本当。ベンは何を言ったのでしょうか?僕は気になって気になって四六時中寝れません。なのでイリナード君。教えて頂けませんかね?
「イリナード、詳しく。」
「え、えっ・・・と・・・」
目の前のベンはカタカタ震えている。おっと・・・コレは自覚がある様だね。イリナード君?困ったからって僕の口にお粥を詰め込むで無いよ。
ぐりぐりとイリナードの足をうりうりすれば恐る恐る口を開いた。ベンは言わないでと言わんばかりだからいっぱいあるって事か。
「団長は、恥ずかしがり屋だと・・・」
「ふーん・・・もっといっぱい言ってみろ。」
「団長は、団長は・・・!本当は可愛くて優しくて思いやりがあって、緊張するとキツく当たってしまうけど、後からめっちゃ後悔して、時には涙目にまでなって執務室にしょぼんとしていると!しかも本当は大きな声を出したく無いし、皆の名前ちゃんと覚えてるし、皆と仲良くした」
「───もう良い!良いってば!」
ベンの罪を確実にしようと聞き出そうとしたのに、勢いに任せて言い過ぎでしょ!凄く恥ずかしい!
なんで僕、もっと言えなんて言ったんだよ!
「勢いに任せて一応!他にもベイン様にたくさん教えて頂きました!団長が倒れてからのベイン様は泣き止む事を知らず、騎士団で代わる代わる子守りをしておりました!その際私が一番の適役と言う事で務めさせて頂き、泣きながらたくさん教えて下さいました!因みに騎士団全員の名前を覚えて居る事は全ての団員が知っています!」
「ベンのっ、バカぁぁああああ!!!」
最悪最悪最悪最悪!恥ずかしんじゃう!いっそ死んだ方がマシだった!やだやだやだやだやだやだ!
「ベン!言い訳を聞こう・・・!」
「すみませんでしたー!でも、名前の話と、ル・・・例の人の話はしてません!あと、い、いち、にににににんんんんんん」
「だ、団長の素の一人称は『僕』です!!!」
「ベンのバカぁぁぁあああああああ!!!!!」
念願の仲のいい人(?)は一人増えたが、恥ずかしい事No.3に入る事を知られたのであった。
0
あなたにおすすめの小説
運命の番ってそんなに溺愛するもんなのぉーーー
白井由紀
BL
【BL作品】(20時30分毎日投稿)
金持ち社長・溺愛&執着 α × 貧乏・平凡&不細工だと思い込んでいる、美形Ω
幼い頃から運命の番に憧れてきたΩのゆき。自覚はしていないが小柄で美形。
ある日、ゆきは夜の街を歩いていたら、ヤンキーに絡まれてしまう。だが、偶然通りかかった運命の番、怜央が助ける。
発情期中の怜央の優しさと溺愛で恋に落ちてしまうが、自己肯定感の低いゆきには、例え、運命の番でも身分差が大きすぎると離れてしまう
離れたあと、ゆきも怜央もお互いを思う気持ちは止められない……。
すれ違っていく2人は結ばれることができるのか……
思い込みが激しいΩとΩを自分に依存させたいαの溺愛、身分差ストーリー
★ハッピーエンド作品です
※この作品は、BL作品です。苦手な方はそっと回れ右してください🙏
※これは創作物です、都合がいいように解釈させていただくことがありますのでご了承くださいm(_ _)m
※フィクション作品です
※誤字脱字は見つけ次第訂正しますが、脳内変換、受け流してくれると幸いです
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました!
最終17位でした!応援ありがとうございます!
あらすじ
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
あなたの隣で初めての恋を知る
彩矢
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。
その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。
そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。
一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。
初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。
表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。
拗らせ問題児は癒しの君を独占したい
結衣可
BL
前世で限界社畜として心をすり減らした青年は、異世界の貧乏子爵家三男・セナとして転生する。王立貴族学院に奨学生として通う彼は、座学で首席の成績を持ちながらも、目立つことを徹底的に避けて生きていた。期待されることは、壊れる前触れだと知っているからだ。
一方、公爵家次男のアレクシスは、魔法も剣術も学年トップの才能を持ちながら、「何も期待されていない」立場に嫌気がさし、問題児として学院で浮いた存在になっていた。
補習課題のペアとして出会った二人。
セナはアレクシスを特別視せず、恐れも媚びも見せない。その静かな態度と、美しい瞳に、アレクシスは強く惹かれていく。放課後を共に過ごすうち、アレクシスはセナを守りたいと思い始める。
身分差と噂、そしてセナが隠す“癒やしの光魔法”。
期待されることを恐れるセナと、期待されないことに傷つくアレクシスは、すれ違いながらも互いを唯一の居場所として見つけていく。
これは、静かに生きたい少年と、選ばれたかった少年が出会った物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる