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第一章
選択 ?/S
しおりを挟む───になってからこんなに辛い事は経験した事がありませんでした。結局私は浅はかで、出来損ないなのです。私の力がもっと強ければ完璧に治せたのでしょうか。
私に求められて来た『完璧』
話し方、行動、挨拶や呼び名、歩き方一歩一歩まで。
ソレを出来ているモノだと思って居たのです。決して崩す事など無かったのです。なのに、貴方を見た時には平然として居られなかったのです。
信じる事が出来ませんでした。この血だらけの人が本当に数刻前にあった人なのだと。宰相様から頂く時は手が震えて止まりませんでした。
・・・取り乱してはならない。泣いてはならない、顔はいつも優しく微笑みましょう・・・。──になるために呪文の様に言われ呪文の様に繰り返し続けた。
その呪文はいつも私の中に、今も居続ける。
ソレを知らなかった『俺』は知らぬ間に・・・
ソレを知っている『私』に染められてしまった。
もしかして貴方も同じなのですか?だから自分が分からなくなってしまったのですか?忘れてしまったのですか?
私はどうするべきか考えました。
秘密にする事にしました。もしかしたら何事も無く終わると思ったからです。私だけが知る秘密としました。
そして、勘違いとして忘れる事にしました。
『・・・どちら様ですか?──────とは誰ですか?』
二回目でも同じでした。
コレは私の責任で、どんなに治しても変わりませんでした。御家族に、国王陛下に希望は無いと伝えました。
期待すればするほど、無かった時への絶望が大きくなるので。
───様に泣かれました。御家族は諦めないで全てを尽くしました。私の声が震えて居たのはバレて居なかったでしょうか?・・・胸がどれだけ痛くても涙を流す事は許されないのです。
例え一人でも許されないのです。女神様の瞳と化身たちが見守って居て下さるからです。
なので私には祈る事しか出来ないのです。
―――
奇跡が起きました。───様が鍵だったのでしょうか。私はとても安心しました。記憶もしっかりとあり、鍛錬に執着するのです。
ですがその後、私は部屋に足を踏み入れる事が怖くなりました。流石に叫び声が聞こえたので入ったら凄い事になって居ましたが、もしそうではなかったら、奇跡が突然壊れてしまったら?
今あるモノが夢となる。
私が全て悪くなる。
・・・そんな瞬間なんて見たくないのです。逃げてしまう私は───失格です。
たくさんの人々が────、────と崇めるけれど、そんなに優しい人では無いのです。自分が一番大切なのです。
やめて下さい、言わないで下さい、崇めないで下さい、・・・助けを求めないで下さい。
そう思って居ると、助けを求める声は直ぐに聴こえて来ました。
やはりコレは、逃げられない宿命なのですね。
私はまた、希望は無いと伝えました。しかし御家族は諦めませんでした。下に言えば、上を知らなければ・・・。
無知とはなんて幸せな事なのでしょうか。
私が思ったのはそんな最低な考えでした。女神様に常に見られるべき私がこんな事を考えるなど、規律に反します。
そんな私の最低な目に写ったのは、純粋で無垢な子供でした。まるで知らなかった時の私の姿を見ているでした。
また、──が居る事を羨ましく思いました。
思ったとて、変わらないソレを何度も考えてしまいます。私を縛るモノと同時に、ソレも存在していまうのです。生涯消える事のない、私の心臓の様に存在するモノ。
決して何も零さない様に、私はぎゅっと口を閉じました。
しばらくして、記憶が戻った様でした。御家族とも打ち解け、幸せに過ごして居る様でした。
羨ましいと、また思いました。思ってしまいました。
私の中に存在するモノに、憎いなんて思ってしまいました。
私をこんなモノにしたのモノを、憎いと思ってしまいました。
あの日以来、眠り続けている方を見に行く時間になりました。
私は平等に、民への幸福を願い、国の発展を願い続けるのです。誰だとしても、嫌悪を抱いてはイケナイのです。
すっと、椅子から立ちます。今のは上手に出来ました、女神様・・・。
私達に幸福を──────
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