ツンデレでごめんなさい!〜素直になれない僕〜

誰かのおとしもの

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第一章

ごめんなさいと

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 チュンチュンと優雅な小鳥の囀りが耳に響き、目を覚ました。

 右手に温もりを感じると、勝手に目から水が溢れてくる。左裾でソレを拭ってから、起き上がろうと右手を付くけど、大分か弱くなってしまったみたいでぽすんと音を立てベッドを揺らしただけだった。

 そんな少しの音で隣に居た人は起き、僕にぎゅっと抱き着いた。

 両手を使って起き上がると、僕もそっとその人に・・・、父上の背中に腕を回した。丁度、視線の先には部屋の隅では母上とカレアが寄り添う様に寝ていた。

 さっき拭った筈の涙は、嘘だったのだろうか。ずっと、溢れてくる。


「レリィ・・・レリィ・・・!」

「父上・・・ごめんなさい・・・本当に・・・!」


 本当にごめんなさいなんて言えない僕に父上は謝るし、言い合いが止まらなくなりながらしばらく二人で泣き腫らした後、話があると言った。

 そして、母上とカレアには聞かせれないと言った。

 それに対して父上は寝ているから大丈夫だ、早く教えてくれと言った。二人には聞かせたく無かったけれど、僕は今すぐにでもこのどうしようも無い気持ちをどうにかしたかった。

 だから正直に泣きながら話した。


 魔力を探知した時は頭が割れそうなくらい痛かった、吐血して口が血の味になって本当に嫌だった、ソレを拭う時、マントの内側が赤くて嬉しかった。

 深海の眠りを使ってめっちゃ疲れた、伝達をする時、手が震えた、皆死んじゃうのかと思って凄く怖かった。

 そして辛かったから、いっぱい笑った。

 いっぱい魔法を打って、火傷しまくって痛かった。皆の求めている人になりたかった。

 話し方が気持ち悪い奴が居てびっくりした。しかもソイツに腹パンされたせいでアバラの骨が折れて痛かったし、右手首も痛くなった。

 ベンに酷い事を言わせた、酷い事を言った。辛い思いを、させた。


 王城の中に侵入者が居て、ルドウィン様を結界で守った。僕が遅かったせいで頬と頭に怪我させてしまった。

 侵入者に、レイピアを折られた。

 血を・・・飲まされた。


 怖かった、痛かった、辛かった、息が出来なかった。

 沢山悔いた、助けて欲しかった・・・。


 経験した事、思った事、全部全部、洗いざらい話して行った。


 侵入者は父上と母上とカレアがくれた魔宝石で眠らせた。でも、ルドウィン様に弓が当たりそうになって、守りに行ったけど、結界は間に合わなくて、自分に刺さっちゃった。

 ルドウィン様が僕のせいで泣いてしまったけど、優しくて嬉しかった。ルドウィン様が、余計に死ぬのを怖くさせた。そのせいで、そのお陰で生きたいと思えた。みんなに会いたいと思った。

 涙を拭ってあげた。笑えなんて言っちゃった。最後も僕らしく、素直に言えなかった。

 初めて、感謝を伝える事が、名前を呼ぶ事が出来た。


 僕はずっと、泣きたかった。

 ずっと、苦しかった。


 襲撃事件を思い出すと・・・痛みと、辛さと、血の味と、壁に頭がぶつかる音と、赤い液体が、僕の視界を埋め尽くしてくる。

 感覚や思いも、全部全部フラッシュバックする。

 もう無いと心では分かって居ても、ずっとずっと止まらなくて、何度も何度も夢に、視界に出てくる。眠ればソレに魘され、過ごして居ればその人が僕を襲って来る様に感じる。

 誰かに話してしまえばそれが正夢と化すのでは無いかと、不安で不安でしょうが無かった。弱さを見せたら殺されてしまう気がして、食べた物を全て吐いてるなんて、ベンにすら言えなかった。

 自分が可笑しくなってしまったなんて、信じたく無かった。

 裏切られるのが、怖かった。

 目に映るモノが全て偽物に変わってしまうのが嫌だった。実際は、自分が変わって居るだけなのに。僕は分かって居るのに信じる事が出来なかった。

 僕が生きてココに居るのは、皆が助けてくれたからなのに。

 捨てられるのでは無いかと、要らないのでは無いかと、何も信じられなくなってしまって。知っているモノすら無くなった。

 なのに変わらず僕に優しくて、心を温かくしてくれた。

 だから本当だって、信じられた事。

 胸で突っかえて居たモノも、全部言った。


 最後に僕は言った。

 例え今、裏切られて殺されようが、ココに居る人達が大好きだと。僕は絶対に皆を裏切らないと。

 この二つの想いは、生涯ずっと変わらないと。


 全部話すと、私のせいだと父上は言う。勿論ソレを否定して、泣いて謝った。僕に勇気があったのならば、こんなにもみんなを悲しませる事はなかっただろう。素直に言えばよかったと、後悔した。

 既に母上とカレアは起きて居た様で、静かに涙を流して居る。


「母上・・・カレア・・・!」

「レリィ!」「っお兄ちゃん・・・!」


 呼べば、駆け寄って抱き締めてくれる。より一層、涙が溢れた。二人も同様に、僕に謝った。二人にも同様に、僕は謝った。



 たくさんの言葉を伝えた。

 ごめんなさいと、ありがとうを、

 そして、愛の言葉を──────



 泣いて泣いて泣いて、笑った。

 沢山笑った。泣いたよりも多く笑った。

 たくさんの愛を乗せて、みんなで笑った──────


 
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