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第二章

夢と現実

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『なんでそんな事も分からないのだ!お前は察する事も出来んのか!お仕置の時間だ。』

『ごめんなさい、ごめんなさい。気付かなくて、本当に申し訳ございません。・・・お仕置は脚ではなく腕にお願いします。歩けなくなってしまいます。お願いします!』

『ハッ、それが頼む態度か?』

『・・・っ、・・・お父様、汚らわしい平民風情の私とお話して下さりありがとうございます。苦しい所から私を拾って下さった神様の様な存在です。これからもずっと忠誠を誓い、時には命も捧げます。どうかご慈悲を下さい。お願いします。』


 床に土下座をしながら頭バンバンと打ち付ける。捨てられない様に、いつか認めて貰う様に、本当に愛して貰える様に・・・。


『仕方がない奴だ。良いぞ、お前の我儘を聞いてやろう。私は本当に優しい。』


 お父様はニンマリと笑って言った。嫌な予感がする。ううん、そんな訳な───


『本当は顔に傷を付けようと思っていたのだがな。お前の唯一の良い所を汚したら何も残らないよな。私は寛大な心を持っているから、脚じゃなくて足の裏にしてやるよ。精一杯感謝しろ。』


 ・・・何を期待していたのだろう。必ず裏切るのに。信じては、期待をしては駄目だ。私は文句も言わずただ謝り続けるだけで良い。


『ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。申し訳ございませんでした。』


 ──────急に

 ふわふわして暖かい

 まるで飛んでいるみたい

 とっても不思議な気持ち

 気持ち良く揺られた

 でも何処かに行ってしまう気がして

 行かないでと思って抱き着いた


 ん?抱き着いた・・・?何に?私は今どこに居るの?私は・・・そう、ファリンスの所。


「・・・ほぇ?」


 びっくりして間抜けな声が出た。知らない部屋でまたお姫様抱っこをされている。ファリンスのキラキラ光る位眩しい笑顔でおはよう、と挨拶をされめっっっちゃふわっふわっなベッドに寝かせられる。


「シャーロットの傷を治す為に医者を呼んでくるね。良い子に待って居れるかい?」

「・・・うん。」


 頭をなでなでされて布団を掛けられる。私は動かず良い子に待ってます。あまり状況を呑み込めないけどここは安全な気がする。

 ぽけ~と輝く天上を見つめベッドと布団の暖かさと柔らかさを噛み締める。心地良くて目を瞑ってしまっていた。



 気付くと意識は夢の中へと戻っていた。



『ごめんなさい、ごめんなさい、許して下さい。お願いします。申し訳ございませんでした。』


 バチンッバチンッ

 やめて、これ以上されたら歩けなくなる。止めて、辞めて、やめて。触らないで───


「・・・やめ・・・て、ごめんなさい!!!」


 ガバッとベッドから飛び起きる。目の前に広がる光景は、驚く顔をした医者と思われる人とファリンス。脚に包帯を巻いている様だった。

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